蓮の母親を案内して女子寮の階段を上がる。部屋には、パーバティが起きて待っていた。
「レンは?」
「さっき眠ったわ」
ハーマイオニーはドアを押さえて、怜を招き入れた。
「ここがあなたたちの部屋?」
部屋に入った怜が、微かに驚いたようにハーマイオニーに確かめた。
「は、はい、そうですけど」
懐かしいわ、と怜が目を細めて、窓枠の小さな傷を指差した。「F.L」と本当に小さく引っ掻き傷で書いてある。「ネビルのお父さまのイニシャルよ。フランク・ロングボトム。これでアリスのボーイフレンドが誰か、わたくしとドロメダにはわかってしまったの」
思わずハーマイオニーは部屋を見回した。
「じゃあ、この部屋はネビルの?」
「ネビルのお母さまが7年間暮らした部屋。わたくしたちは違う寮にいたけれど、たまにパジャマパーティをしたわ。直接お互いの部屋にハウスエルフに連れて行ってもらって。蓮の机はこれかしら」
一番雑然とした机に手を置いて、怜が尋ねる。ハーマイオニーは頷いた。「あの、今日は特別散らかってますけど、いつもはもう少し」
怜は笑って、埃にまみれた上着を脱いだ。
「マクゴナガル先生から伺っているわ。あなたたちが、蓮の後遺症をサポートしてくれたと。本当にありがとう」
深々と頭を下げられて、ハーマイオニーとパーバティは慌てた。
「いえ?! いえ本当に大したことは。むしろ大変だったのはスーザンで!」
「ええ! 一番手のかかる時期にはスーザンが!」
スーザンね、と怜が頷いた。「新しいお友達が出来たのだったわね」
ハーマイオニーはコクコクと頷いた。
「マダム・アメリア・ボーンズの姪なんです。スーザン・ボーンズ、ハッフルパフ生ですけど、昼間の子守はスーザンがすごく上手にしてくれました」
「・・・子守。そうね、すっかりそういう症状だったみたいね」
苦笑しながら、怜は蓮のベッドに腰を下ろした。
蓮の柔らかな髪を撫でながら「本当に嬉しいこと」と呟く。「この子のスクールライフはアリスが守ってくれている」
ハーマイオニーは、おずおずと尋ねた。
「あの、おばさま。ネビルのお母さまやトンクスのお母さまとは」
「親友よ。そうね。あなたたちみたいに、禁じられた森で決闘したり、パジャマパーティをやったり、厨房でハウスエルフにお願いしてアフタヌーンティーを楽しんだり」
「すごい戦いぶりでした。ベラトリクス・レストレンジを相手に」
「生まれ持った能力は同じぐらいですもの。顔もそっくりだし。ただ、そうね、ドロメダひとりではベラには勝てないわ」
ハーマイオニーが「そんな」と呟くと、怜は「まともな人間が、ブレーキの壊れた人間に勝てると思う?」と頭を振った。
「それは・・・」
「闇の勢力と戦うつもりならば、忘れてはいけないわ、ハーマイオニー。彼らにはルールというブレーキがない、壊れているの。例えば・・・今日の蓮のように」
思わずパーバティを振り返ると、パーバティが「ちょっとだけぶっ放しちゃったの」と答えた。
「おばさま、わたし、被告側証人に。アンブリッジが何をしたか証言します」
怜は笑って首を振った。
「ハーマイオニー、ハリーの時とは違うわ。本当の懲戒尋問に被告側証人の出廷はないの。本人と保護者だけよ。この子、明日はお利口にしてくれるかしら」
その時、蓮が不満げに唇を尖らせたまま、うっすらと目を開けた。
「ハイ、プリンセス。起こしちゃった?」
「・・・ママ」
本当によく似ている。
「約束通り、ハーマイオニーたちはみんな無事よ。ゴッドファーザーとマザーが大活躍したわ」
「ママ」
「ん?」
「・・・ごめんなさい」
蓮は腕を伸ばして、母親の首にしがみついた。
「許されざる呪文を使った。ちゃんと罰は受ける」
「・・・蓮」
怜は娘の身体を抱き締めた。
「アメリアがどんな処罰にするかはともかく、ママも一緒よ、蓮。一緒にその罰を受けて、一緒にその後遺症を回復しましょう」
「うん」
「ハーマイオニーとスーザンに聞いたわ。たくさん悪戯をしたのですって?」
「・・・うん。ううん、たくさんじゃない、少しだけだよ」
「嬉しいわ」
身体を離し、蓮の頬を両手で挟んで怜は言った。「あなたの子供時代を一緒に過ごせる」
「変だよ、あのね、もう16歳だから蛙チョコは禁止なんだ」
「ママが買ってあげるわ」
「16歳は百味ビーンズには冷淡にならなきゃいけないんだ」
「冷淡になるまで食べさせてあげる」
「ママ」
「なあに?」
「今日は泊まるの? お仕事?」
「泊まるわ。でも一緒に寝るにはベッドが小さいかもしれない」
パーバティがぐしぐしと目のあたりを乱暴に擦って「わたしがラベンダーの部屋に行くわ。ハーマイオニー、ベッドを譲る」と逃げ出してしまった。
ハーマイオニーは、静かに、そっと、邪魔をしないように、怜の分と自分の分の入浴の支度をした。
その間、アルジャーノンは本物のママに抱きついて、スーザンには見せられないぐらいに甘えたおしていたのだった。
「いいわね? 乱暴な言葉は使わずに、正直に話すのよ。ママが手を握っていてあげるから」
「うん」
「ほら、ネクタイは緩めちゃダメ。パパみたいよ」
「パパはネクタイを緩めてたの?」
「学生時代はいっつも。でも、お仕事のときはきちんとしていたわよ」
校長室に座って、母から制服を整えられる。
ダンブルドアの先導でアメリア・ボーンズが校長室に入ってきた。
「うん。飲んだよ。わたくしには真実薬は効かないんだ。だから平気だった」
「毎晩か?」
「うん。毎晩。無味無臭だからわからないけど、ゴブリン製のスプーンは必ず曲がった」
「アンブリッジは何をそんなに知りたかったのか?」
蓮は首を傾げた。
「大したことじゃないよ。グリフィンドールの中に、魔法省を嫌いな奴はいないかとか、ダンブルドアと特別な仲良しはいないかってこと。その他には誰が誰のガールフレンドかとか、女子寮に訪ねてくる男子はいないかとか。いるわけないのにね。ハリーとロンがわたくしたちの部屋に来ようとして階段に撃退されたのはみんな知ってる」
マダム・ボーンズが溜息をついた。
「昨夜の事件に真実薬の影響はあると思うか?」
「・・・ないよ」
マダム・ボーンズの片眼鏡がぽろりと落ちた。
「同じ場面になったら同じことしちゃう。スーザンに磔の呪文を当てたんだもん」
「・・・スーザン。スーザン・ボーンズか?」
「うん。わたくしがダメな魔法をぶっ放さないか見張ってくれてたんだ。あのね、マダム」
「何か?」
「ちゃんと全部お話ししたいから、順番に話していいかな?」
溜息をついて、マダムは母をちらりと見た。母は頷いた。
「良かろう」
「あのね。この件とは別だけど、昨日の魔法省の騒ぎは知ってるでしょ? そのために、わたくしはアンブリッジを捕まえたんだよ。ハーマイオニーたちが魔法省に行くのを邪魔するから」
「まあ、そうだろうな」
「せっかく捕まえたんだから、知りたかったことを質問したんだ」
「知りたかったこと?」
「うん。パパが死んだ本当の理由」
マダムが蓮をじっと見つめた。
「リータ・スキーターに色々教わったから確かめた」
母が手を握ったまま、呆然と蓮を見つめた。
「スキーターに?」
「うん、ごめんなさい、ママ。魔法省の悪いところに一番詳しいのはあの人だと思って、色々教えてってお願いしたんだよ。その内容をアンブリッジに確かめた。スキーターの言った通りだったけど、もっとひどかった」
「・・・具体的に」
「ドローレスがキリアンに命令したんだ。キリアンが闇祓いとしてお手柄をあげるのに、別に誰でも良かったんだけど、たまたま、ネビルのパパの意味深な言葉を聞いたのが、わたくしのパパだった」
「ふむ。ネビル・ロングボトムだな。父親はフランク・ロングボトム」
「だからドローレスは、弟にウィンストンを拷問して喋らせろって命令した。弟のお手柄はドローレスにとっても有利になるから。でも弟は失敗したんだ。それどころか、パパを殺した。有利どころじゃなくなるでしょ? だから新聞には、キリアンを追及する記事は掲載させないように脅した。でも、弟が生きてると、いつ何を喋るかわかんないから、ママの起こした裁判はラッキーだったんだって。アズカバンで死んでくれて良かったって」
蓮は眉をひそめて、頭を傾けた。
「そこまで確かめたら、頭に靄がかかったみたいになったんだ。許されざる呪文を使わないように決闘しようって言ったのは覚えてる。スーザンがいるから気をつけなきゃって思った。怪我させないようにね。アンブリッジに許されざる呪文をたくさん使わせて、最後に杖を奪って魔法省に突き出すつもりだった。あいつは悪いことをいっぱいしたけど、人を脅して偉くなって罪から逃げられるようにしてきたんだ。だから、本当は良くないけど、わたくし相手に磔の呪文をたくさん使わせて裁判にかければいいと思った。違う罪だけど、刑を受けるならいいと思ったんだ」
「ふむ。途中まではその通りだったのだな?」
「うん」
「なぜ杖を奪ってから、死の呪文を?」
「スーザンに磔の呪文を当てたからだよ。ハーマイオニーとかパーバティとかでもそうだし、ハウスエルフたちもそうだ。マクゴナガル先生も。わたくし以外の人を攻撃するのはアウトだ、きっと」
「アウト?」
「頭がもやもやだったのが、もっと真っ白になった。わたくしが殺してやる、って思ったんだ」
母の手がぎゅううと、蓮の手を強く掴んだ。
「だからね、マダム・ボーンズ、わたくしは悪いことをしたのに間違いはないんだよ」
アンブリッジの杖の検査をしている間、校長室でママが言った。
「成人の、子供まで産んだ魔女でさえ、殺意の暴走に勝てる人は多くないわ」
「うん。でも、良くないことをした。そうだよね?」
「そうね。罰と反省が必要よ」
うん、と蓮は頷いた。「残念だな」
「なにが?」
「前科がつくから、校長にはもうなれない」
肖像画たちが一斉に首を振った。
「アルバスでさえ、決して無垢ではないぞ!」
「若者の過ちじゃ。心から反省すればそれで良い」
「いざ校長にならんとするその時に、優れた魔女であれば我々は認める」
パッと母を振り返ると、母が力強く頷いた。
「ママと一緒に罰を受けて、やり直しましょう。ウェンディやウィンキーが認める正しい魔女になれるように」
「うん!」
マダム・ボーンズは蓮の前で威儀を正した。
「杖の検査をした。供述の通りの挑発があったにせよ、校長が生徒に対して磔の呪文を数十回放つという極めて遺憾な事態であったことを確認した」
「はい」
「たとえ正常な16歳の魔女であっても、この事態に際して殺意の衝動に駆られることはなんら不自然ではない。さらに、被告人には真実薬の後遺症の所見がある。本日より、保護者の監督下において、充分な反省と療養を誓うか?」
「うん、じゃない。はい」
「であれば、今学年の終わりまでの停学、並びにディメンターのキスに関しては、成人までの執行猶予を与える。未成年の犯罪は記録に残らない」
平たく言えば、とマダム・ボーンズが片眼鏡を外した。「成人の誕生日まで良い子にしていれば無罪放免だ」
「ありがとう、マダム・ボーンズ! あのね、気をつけたほうがいいよ。ママもマダムも」
「・・・何をだ」
「アンブリッジは、ママやマダムに異性トラブルがないか探ってるんだ。それでね、男性の影がないから、えーと、マダムとママがデキてるんじゃないかって言ってた!」
マダムは虫歯が痛むような顔をした。「わたしにも好みというものがある。恋愛より仕事を好んでいる」
「蓮。マダムに失礼よ」
「ごめんなさい。でもマダム、そのことスーザンにも教えてあげて。動揺してた」
「・・・あれは伯母をいったい何だと」
「男の人より仕事が好きなのはわかりきってるけど女性の件は確かめたことがないわって。うちのママはたぶん相手じゃないよって教えたんだけど」
ほう、とマダムが片眼鏡を嵌めながら言った。「わからんぞ? その根拠は?」
「パパよりかっこいい人はいないからだよ」
ハーマイオニー、ハリー、ロン、そしてそれぞれ動物に変身した蓮と怜とで森の奥に出かけた。まだハグリッドは戻ってきていないし、ハグリッドじゃケンタウロスの機嫌は治らないと蓮が主張するからだ。
グロウプを縛ってある場所で変身を解くと、怜が苦虫を噛み潰したような顔で現れた。
「いくら弟だからって、フリドウルファの息子を連れてくるなんて。またわたくしを無料でこき使う羽目になるわ」
ハーマイオニーは、同じく変身を解いた蓮にゴブリン製の短剣を渡した。
「一緒に行きましょうか? アルジャーノンのままで説得は難しいでしょう」
平気だよ、と蓮はローブに短剣を仕舞った。「難しい話はママがする。わたくしは血を流すだけだ。それより、グロウプにちゃんと話をしてね。ハグリッドがいなくて寂しい思いをしてると思う」
ハリーが「わかってるよ」とロンの肩を抱いた。「ハリー、おい」
「詳しい解説はロンがする」
「やめろ、無理なこと言うな」
「君はグロウプの心配より、自宅に帰ってからの心配をしなよ。アルジャーノンのままでいいから、新学期には絶対に学校に戻ってくるんだ」
「ああ、そっちはマジでがんばれよ。成人まで良い子にしてれば無罪放免なんだからな。グロウプは・・・ハーミーがなんとかする」
ハーマイオニーは思い切りロンの足を踏んだ。
ケンタウロスの居住地に来ると、蔦で矢来が組まれていた。
「臨戦態勢ね」
母が言って、蓮の肩を叩いた。
「責任重大だわ」
「うん。がんばる」
弓を背負ったケンタウロスが悠然と近づいてきた。
「何用かな」
「森の平和における重大な懸案について、森の賢者たるケンタウロス族のお知恵を拝借にまいりました」
母が驚いたように蓮を見つめているのを感じた。
「重大な懸案です。仔馬のわたくしでは心許ないことでしょう。ここに、ウィンストンの当主代行も来ております。ヒトたる魔法族の森番ハグリッドと、森の賢者ケンタウロス族との協定を結んでいただきたく思います」
「だからあ!」と蓮が頭の堅いケンタウロスの長に向かって指を突きつけた。「森の賢者だって言うんなら、グロウプの躾ぐらいお手伝いしてよ!」
「断る! 我々の知恵は多種族に分け与えるものではない!」
「誰もグロウプに占いを教えろなんて言ってないし! 教えて欲しいのは森のルールだよ! ケンタウロス族は叡知ある種族だ。巨人のひとりぐらい躾出来るでしょ?!」
「巨人にはそもそも知性がない! 躾など無駄だ!」
あるよ、と蓮は長を睨んだ。
「あり得ぬ!」
「『ハガー』と『ハーミー』って、ちゃんとヒトを認識してる。これは知性だ」
「なに?! ハガーとはハグリッドのことであろう! 獣とて兄弟のことは区別している! 知性ではない!」
「じゃ、『ハーミー』は?」
つん、と蓮は顎を突き出した。
「は、ハーミー? おおかたフリドウルファの娘であろう。いずれにせよ、凶暴極まりない巨人に間違いあるまい」
「見る?」
蓮はニヤリと笑った。
「グロウプ! ダメ! ロンよ、コレはロン! 松の木じゃないの!」
ロープの届かないギリギリのところで腰に手を当てて仁王立ちしている「ハーミー」。それに向かって、グロウプは「ハーミー! グロウプ、ロン、欲しい!」と地を揺るがす声を上げた。
蓮は傍らのケンタウロスの長を見上げて「あれが、凶暴極まりない『ハーミー』だよ。フリドウルファの娘じゃないと思う。わたくしの知る範囲では歯医者の娘だよ。ウィンブルドンの山に巨人が経営する歯医者があれば話は別だけどね」と説明した。「あ、歯医者っていうのは口の中を手術する癒者なんだ。巨人の手じゃちょっとだけ難しいと思うよ」
「まさか・・・あり得ぬ。巨人がヒトを襲わぬなど」
母が「もちろん『ハーミー』は特殊な例と言えるでしょう」と後ろから声をかけた。
「うん。ハグリッドが直接紹介したからだと思うよ」
「ですが、あれが知性の萌芽であることに疑いの余地はございませんわ。攻撃対象としてではなく、友情の始まりとしてヒトを認識しているのです。森に住まう賢者として、一方的な攻撃対象にすることはいかがなものでしょう」
「ハグリッドと仲直りしてよ。ハグリッドはもうすぐ森番に復帰するんだ。ハグリッドと仲直りして、順を追ってグロウプに住んでいい場所を分けてあげて。森の中で引っこ抜かなきゃいけない木と引っこ抜いちゃいけない木を教えてあげて。森の中のお仕事を少しずつグロウプに分けてあげてよ」
ただでさえ、と母が口添えをした。「ヒトたる魔法族の傲慢により、それ以外の魔法種族の住まいは狭められていますわ。残された限りある場所を治めるケンタウロス族には是非とも、ユートピアの構築にお力をお借りしたい。娘はそう申し上げておりますの」
「ユートピア? 夢物語を」
「ホグワーツに夢物語がなかったら、他のどこにあるんだよ?!」
「蓮、お行儀よくして。確かに夢物語ですわ。ですが、夢物語を語るこの子がいずれウィンストンの当主となります。約定の証もお持ちしました。蓮、お見せして」
蓮は頷いて、ローブから短剣を取り出した。
「待っててね、今ちょっとだけ血を」
「待たれよ!」
長が顔色を変えて蓮を止めた。
「でもこれじゃただのゴブリン製の刃物だよ? お魚を切るのにはちょうどいいかもしれないけど」
「ただの証にウィンストンの血を流させるほど、ケンタウロスは強欲ではない。ゴブリンとは違う」
「夢物語って言うじゃないか!」
もう言わぬ、と長は苦笑した。「ただし、ハグリッドと直接話し合うまでは、我々からはアレには近寄らぬぞ。ハグリッドの教育抜きにアレに近寄る危険は要らぬ」
母が蓮の頭を撫でて「もちろんですわ。わたくしでも御免ですもの」と笑った。「でもご覧になって」
おそるおそる「ハーミー」がグロウプの差し出した掌に、小さな手で触れた。
「仔馬のうちに夢物語を語ることを覚えておいた方が良い。そうは思われませんこと? あの子は魔女としては本当に仔馬なのです。たった5歳の仔馬同然にしか汚れておりません。新しき開明的な時代を差し招くのは、アンブリッジの手ではなく、仔馬たちの手なのです。ホグワーツぐらいはユートピアであって欲しいと、汚れた大人のわたくしでさえ思っております」