サラダ・デイズ/ありふれた世界が壊れる音   作:杉浦 渓

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第19章 天文塔の戦い1

その日のことは歴史書にこう記されている。

 

「ホグズミードからエリザベス3世が騎士団を率いてホグワーツ校の天文塔に降下した。黒いトレンチコートを靡かせ、当時最新の移動用高級箒ノルドヴィント3000Sの柄を黒々と輝かせて。次々と降下する騎士団員の先頭を走り、必要の部屋から出てきた死喰い人の一団と正面から激突することになった」

 

当然ながら、これは蓮のことではない。母親である怜と蓮の描写をミックスしたものである。

 

この天文塔の戦いから約1年の間、蓮の姿は全てエリザベス3世として描かれ、「レン・ウィンストン」の略歴の中には「真実薬の後遺症療養のため休学」と記載される。

 

 

 

 

 

@ホッグズヘッド

 

早朝にホグズミードに続々と不死鳥の騎士団員が詰めかけて、ホッグズヘッドやその周辺に集まっていた。

 

「いい箒だな、レイ。買ったのか」

 

シリウスが怜の傍らに置いてある箒に目を留めた。

 

「そうよ。アズカバン研修を終えて以来、一切箒を使っていないの。もともと競技用箒ではなかったから、それほどメンテナンスを気にしなくてもいいとは言うけれど、さすがに20年以上放置していた箒で空を飛ぶ気にはならないわ」

「ノルドヴィントとはまた高級志向だな」

「大学を卒業して魔法省に入る時に買ったのがノルドヴィントだったの。ジャガーみたいな乗り心地じゃなきゃ、アズカバン研修には耐えられないと思ってね。ノルドヴィントのディーラー以外呼んだことがないのだもの仕方ないでしょう」

 

シリウスは複雑そうな顔をした。

 

「なによ」

「ドイツからディーラーを呼んで箒を買うのはあんたぐらいだ。普通はクィディッチ用品店や旅行用品店で買う」

 

そうなの? と向かいに座るアンドロメダに尋ねると、アンドロメダは頷いた。

 

「あなたの箒の買い方は、うちの舅の車の買い方と同じだわ。蓮は素晴らしいクィディッチ・プレイヤーだというのに。娘の箒を買ってあげたことはないの?」

「蓮の箒やクィディッチの担当者は日本の母やウィンストンの義父だもの。でも、そうね。卒業したら今の箒では不便でしょうから、ディーラーを呼んであげようかしら。運転免許は取らせる予定だけれど、車を買うのはまだ早いわよね」

「だから・・・ああ、もういい。ドイツのディーラーは喜ぶだろうからな」

 

テーブルの上に広げてある設計図を手に取り、シリウスは唸った。

 

「大したものだ。ハーマイオニーと、スーザン、だったか? 『姿をくらますキャビネット』なんて骨董品を完全に修理してしまうとは。しかも対になるキャビネットはボージン・アンド・バークスに置いたままなんてな。修理してしまった2人も大したものだが、それを使うことを思いついたルシウスの息子も大したものだ。こちらに引き込むことが出来て本当に良かった」

 

怜が面白そうにアンドロメダの顔を覗き込んだ。

 

「伯母上らしく、なにかひと言言ってあげたら?」

「ルシウスの息子の『伯母上』は、あの狂犬だけでいいの」

「ハーマイオニーからの手紙にはそうは書いていなかったわ。『母上にとっての姉はアンドロメダ伯母上だけで、今となっては僕もその気持ちが理解できる』のだそうよ。アンドロメダ伯母上らしいひと言をかけてあげても良いと思うわ」

 

私もそう思う、とシリウスが真剣な顔になった。「ちょっとしたひと言の積み重ねが、若者を過ちから引き戻すことに繋がるのだ。言葉を惜しむべきではない」

 

「アブ! まだヤギを店の中で養っているのかえ! これだからあんたさんはヤギと不適切な関係だと言われてしまうのえ!」

 

オーガスタ・ロングボトムの声に怜は肩を竦め「アブとヤギの不適切な関係については少しは言葉を惜しむべきね」と声をひそめた。

 

 

 

 

 

@ノクターン横丁

 

「ドーラ、フラー。君たちはもうホグズミードに向かいなさい。この先は女性を案内して入りたい通りではない」

 

リーマスが言うと、フラーはぎゅっとビルを抱き締めてキスをした。

 

「気ーをつけーて」

「君たちのほうが危険だ、ハニー」

 

2人の女性が姿くらましをすると、リーマスは「結婚を控えた若者には危険過ぎる任務だ」とビルをも押し出そうとした。

 

「いやだよ、リーマス。僕の婚約者は、三大魔法学校対抗試合の代表選手に選ばれる魔女なんだ。僕が腰抜けだと面子が丸潰れじゃないか」

「しかし・・・モリーの心痛を思うとだね」

「その母さんのためにも、ここらで片を付けてあげたいと思うのは間違いかい? そろそろ叔父さんたちのことを、良い思い出にしてあげたいじゃないか」

 

そういうことだな、まったくだ、と双子が姿現ししてきた。

 

4人が4人とも、薄汚れた変装をしている。「マンダンガスと付き合ってると、このぐらいの変装は朝飯前になっちまうな」

 

「ああ、もう。全員適当に散りなさい。こう固まっていては変装の意味がない」

 

 

 

 

 

@グリフィンドール寮

 

「イヤよ! わたしも行くわ!」

 

ダメだ! とロンが怒鳴りつけた。

 

「どうしてよ! フェリックス・フェリシスも言われた通りに飲んだ。ハリーに全部飲ませれば良かったのに、彼の気遣いだから受け入れたわ。でもそれは何のため? あなたたちに守られてここでおとなしくしてるためなの? フェリックス・フェリシスを飲んだ以上わたしも行くのが当たり前よ!」

 

ぞろぞろと6年生や7年生が肖像画の穴から杖を掴んで出て行く。

 

それを見ていた蓮が首を傾げた。

 

「なあ、ロン」

「なんだよ。ボーっとしてないでジニーを説得してくれ」

「6年や7年で寮に残って防衛の指揮を執るのは誰だ? みんな出て行った」

 

ロンは周囲を見回した。

蓮、ハーマイオニー、パーバティ、ネビル、そして自分。

 

「・・・グリフィンドール生ってのは、なんでこう喧嘩と祭りになると、どいつもこいつも飛び出して行くんだ?」

 

とにかく、とハーマイオニーがジニーの両肩を押さえた。「すごく重大な任務よ、ジニー。あなたにしか頼めない」

 

「・・・まさか」

「5年生以下をよろしくね。グリフィンドールを守るのはあなたよ」

「ちょっと! ハーマイオニー!」

「頼りになる妹がいて僕ぁ幸せだぜ、ジニー」

「いざとなったら入り口付近に首絞めガスを撒け」

「気をつけてね、ジニー。ああ、コリン、君たちはジニーの指揮に従って下級生を守ってあげてよ」

「大変だと思うけど、あなたにはフェリックス・フェリシスがついてるから大丈夫。安心して」

 

口々にジニーに激励の言葉をかけて、最後の6年生集団が出て行った。

 

「何なのよ! 結局みんな出て行ったんじゃない!」

 

肖像画の扉に飛びつきながらジニーが喚くと、コリンが「司令官、まさか君まで?」と冷たい視線で止めた。

 

「こ、コリン」

「6年生や7年生はいいよなあ。僕だってDAで訓練を受けたんだから戦いたいと思うけど、先に下級生を置いて出て行かれたら、もうこれ以上、寮を手薄に出来ないもんなあ」

「が、頑張ってくれると・・・」

「喧嘩と祭りがホグワーツの華だと考えるグリフィンドール生だ。1年生でさえおとなしくしている気がしない。そんなグリフィンドール生の仕上がりが、今まさに僕らを放置してさっさと出て行った6年生や7年生なんだけど、ジニー、それでも君は寮を留守にするつもりか? 根っからグリフィンドール一家の娘である君なら、グリフィンドール生の生態には僕より詳しいだろう。君や僕まで出て行ったら、1年生や2年生はどう行動するかな? この寮、空っぽになるような気がするのは僕の気のせいか? グレイバックに1年生が集団で突撃することを想像して眩暈がするのは僕だけか?」

「コリン・・・敵は必要の部屋にあり。グリフィンドール生は敵じゃないわ、よ?」

「君と僕の今日の敵はグリフィンドール生だ。君のその行動は敵前逃亡だ」

 

がくりと肩を落として、ジニーはその場に座り込んだ。

 

「わたし・・・自分の子供の将来はグリフィンドール以外を希望するわ。本気よコリン」

「君の子供はどうでもいいから杖を構えろ。ナイジェルとシェリルが早速何か企んでる」

 

 

 

 

 

@レイブンクロー寮

 

ドアノッカーの前でパドマが「本日の謎かけ」の設定変更をしようとしていた。中ではアンソニーが点呼を取っている。

 

「パドマ」

「ああ、ルーナ、ちょうど良かった。本日の謎をレベルアップしてセキュリティ・レベルを上げたところなの。解いてみて」

 

ルーナは軽く頷いてドアノッカーを叩いた。

 

『両手を勢いよく叩きあわせれば、パン、と音がする。では片手ならどんな音がする?』

 

「どう? 極東の哲学問答よ、ルーナ」

 

ルーナは軽く指をパチンと鳴らした。

 

「パドマ、これどのあたりがなぞなぞ?」

 

開いていくドアを見て、パドマが「あああああああ」と頭を抱えてしまった。「しまった。禅問答の正解はたいてい『ありのまま』だったんだわ」

 

「もっとレイブンクローらしくしようよ」

「レイブンクロー、らしく?」

「カラスのなぞなぞ」

 

オーケー、とパドマは立ち上がった。「定番だけど、あれに優るものはないわね」

 

設定を変更した。

 

『すべてのカラスは黒い。これを証明せよ』

 

 

 

 

 

@ハッフルパフ寮

 

実に籠城戦向きの寮だ、と談話室にずらりと並んだ料理や飲み物、デザート類を確かめて、ジャスティンは頷いた。

 

籠城すると監督生のアーニーに知らせたら、あっという間に食糧が確保出来た。隣が厨房だと実に便利だ。

 

「そんなに長丁場になる予定ではないわよ?」

 

髪をまとめて女子寮の樽型の扉から出てきた軽装のスーザンが苦笑した。その後ろから泣き腫らした目のハンナも出て来る。

 

「どうしたんだ、ハンナ?」

「わたしのミスね。ネビルのことが心配なあまりちょっとパニックなの。ハンナ、大丈夫よ。ネビルにはみんながついてるわ」

「ネビルはともかく、君も行く気かい?」

 

スーザンはジャスティンの腕をちょっと叩いて「侵入路を破壊するのはわたしかハーマイオニーにしか出来ないのよ、行かなきゃ。たぶんハーマイオニーは・・・グリフィンドールの血が滾ったら走り回って戦うでしょうから、わたしは必要の部屋付近に隠れているだけにするわ」とジャスティンを安心させようと微笑んだ。

 

ジャスティンは肩を竦めて「だったら僕も行くべきだな」とローブを脱いでアーニーに投げた。

 

「ジャスティン?」

「ハーマイオニーが走り回り、レンが主攻正面だったら、レンのピンチに我慢出来なくなって飛び出すのが君だ。それを引き止める人員が必要だろ。ハンナ、ネビルのことは僕とスーザンに任せて、君はアーニーと一緒に寮を守っててくれ。僕らのデザートもついでに守ってくれるとありがたい」

 

任せろ、とアーニーがジャスティンのローブをハンナの頭にかぶせて泣き顔を隠した。「他の寮の奴らでも引き受けるから、迷子を見つけたら送り込んで来いよ。入り口の樽の横には『ハッフルパフ・リズム』担当者を待機させておくから誰でも入れる」

 

 

 

 

 

@スリザリン寮

 

談話室に陣取って、ハウスエルフに運ばせたお茶を優雅に楽しみながら、ダフネ・グリーングラスは周囲のスリザリンの男たちを見回した。

 

「愉しいことがありそうね? 殺気立っちゃってわかりやすいったらないわ」

「我々はいつでも愉しんでいるが? 良かったら君も一緒にどうだ? 腰抜けのグリーングラス家に僅かながら名誉を上乗せ出来るかもしれないぞ」

 

嫌だわあ、とグリーングラスは大仰に仰け反って声を僅かに張り、寮に響かせた。「獣臭い集団には近寄りたくないの。グレイバックが死んだら考えてあげてもいいけど。貧乏臭くて獣臭いなんて、最悪じゃないの」

 

マルフォイは鼻ジワを寄せて「下僕の数は少ないよりも多いほうがいい。あまり僕を怒らせるな、グリーングラス。今日が終われば、僕は英雄だ。グリーングラス家を捻り潰すぐらい容易い」と威嚇してみせた。

 

「あらそう! やっぱり今日なのね! だったら今日はもう寮から出ないことにするわ。グレイバックの臭いが移ったら困るもの」

 

「今日」と「グレイバック」の単語を律儀に返して、グリーングラスは婉然と微笑んだ。

 

 

 

 

 

@トロールにバレエを教えるバカのバーナバス

 

螺旋階段に伏せた蓮の傍らに、やはり同じように伏せたハーマイオニーが小声で囁いた。

 

「わたしたちがここにいても大丈夫かしら。必要の部屋の扉が開かなかったら、情報が漏れていたことになってマルフォイのミッションは失敗よ」

「開くよ。大丈夫」

「どうしてわかるのよ」

 

マルフォイの敵じゃないからだ、と蓮は小さく笑って言った。「開けたがっている術者の敵がいる時は必要の部屋は開かない。だから円卓メンバー以外は別のフロアに行かせた。でも今ここにいるのは、マルフォイの敵じゃない」

 

ハーマイオニーが後ろのロンをちらりと見ると「信用しろよ」と端的な答えが返ってくる。

 

「それよりハーマイオニー、気持ちを整えて。心臓がバクバクしているとパトローナスを出せなくなる。素早く騎士団に一報を入れるのが大事だ。ロンも。天文塔担当は誰だ?」

「シェーマスとディーンに任せてきた。僕のパトローナスを合図にスモークを焚いて誘導する」

「うまく誘導してもらわなきゃ、騎士団側の本日の指揮官は箒に乗れるかどうかも怪しい人物なんだ・・・」

 

蓮が不安そうに呟いたが、すかさずスーザンが「安心して、レン。法執行部の検察官や判事になった人は、絶対に熟練の箒乗りなんだから。アズカバンの嵐の中を飛べない箒乗りは執行部副部長にはなれないわよ」と説得した。

 

「空飛ぶジャガーで飛ぶのは得意でも、箒でアズカバン上空を飛んだことは人生で2回だよ。熟練とはとても言えない・・・着陸したんじゃなくて墜落してもアズカバンにはたどり着いたと表現出来る」

 

ハーマイオニーは蓮の頭を杖で小突いた。

 

「おばあさまもお母さまもあなたを信じてくださっているわ、レン。あなたもおふたりを信頼しなさい」

「ママがもしまともにホグワーツにたどり着いたら、ハーマイオニーはその箒を貰うといい。下手くそでも墜落しない奇跡の箒だ」

「わかったから信頼しなさい。ついでにわたしのことも」

 

うわ、とネビルが声を上げた。

 

「どうした、ネビル?」

「僕のエクエスに今グリーングラスからメッセージが来た。マルフォイが、クラッブやゴイルと一緒に寮を出たよ。マルフォイのルートは、パースのルーン文字で・・・こうだな。マズい、レン。この螺旋階段に向かってるみたいだ」

「わかった。全員移動だ。7階のバカのバーナバス前で透明になろう」

「所在通知機能はグリーングラスが切って渡したはずよ?」

 

マルフォイがONにしたんだろ、とロンがバカのバーナバスの前に直立した。「ルート変更を知らせるために」

 

「全員お口にチャックよ。目くらましをかけるわ。解くときはフィニート・インカンターテム」

 

 

 

 

 

@闇の魔術に対する防衛術教授居室

 

「我、ここに誓う。我、善からぬことを企む者なり」

 

以前没収した機会に模造した「忍びの地図」を開いて、セブルス・スネイプは生徒たちの配置を確認した。

 

ドラコ・マルフォイの向かっているルート上にウィンストンたちがいる。

 

スネイプは眉をひそめた。螺旋階段を塞いでいては侵入が失敗する。

 

しかし、何があったのか、螺旋階段にあったウィンストンたちの足跡が、7階の踊り場まで降りて一直線に並んだ。

 

「ふむ」

 

スネイプは顎を撫でた。

 

この動きは実に不自然だ。何らかの手段でルートを知らせ、それに反応したように感じられる。

 

「面白いことをするではないか、蓮」

 

呟いて、未練を断ち切るように忍びの地図を杖で軽く叩いた。「いたずら完了」

 

そのまま暖炉まで浮遊させて燃やし、個人的な私物を収納したトランク類をすべて封じ、荷造りを済ませた。

 

セブルス・スネイプの荷物は、常に決して多くはない。

 

魔法薬の調合設備は基本的にホグワーツのものを使ってきたし、いずれホグワーツ以外の場所で必要となってもすぐに最高の一式を揃えられるだけの金貨は持ち歩いている。また、リリーの手紙のジェミニオは常にシャツの胸ポケットに潜ませている。

 

調合設備を買う金とリリーの手紙。

 

いつどのような事態にも対応できるように瑣末なことを削った結果、スネイプが最期まで手放せないのは、結局この2つだけになった。

 

つまらぬ人生であったかもしれぬ、と顔を上げた。しかし後悔はない。

 

「死せる人々よ、照覧あれ。本日この時より我輩が、彼を再び死すべき者に引き戻す礎とならん」

 

 

 

 

 

@ホグワーツ城、校長室

 

「いささか物が多過ぎるのう・・・」

 

約1年頑張っても身辺整理の済まなかった校長室を見回し、ダンブルドアは、はふん、と溜息をついた。

 

『アルバス・パーシヴァル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドアの遺言書』

 

そう記した分厚い文書を黒ずんだ右手の指で撫でた。

 

1年の間に出来た身辺整理は、結局のところ、この遺言書を書き上げることだけだった。

なかなかに未練の多い人生を歩んできたものよ、と左手の傷を眺める。

 

「君の住まいは私物のない清潔な場所であったのう、ゲラート」

 

そう考えると、この雑多な物の多さに、誰にともない釈明が出来るような気がするから不思議だ。血の誓いを交わしたゲラートが、私物を持てない晩年を過ごしている代わりに、アルバスのもとに雑多なものが集まった。

 

そのように解釈しておくことにしよう。

 

「ああ、いかん。忘れておった。あの絵を正式にアバーフォースの所有にせねば道が開かぬ」

 

『アバーフォース・ダンブルドアに、我が家の宝である絵画【アリアナの小径】を正式に遺贈する。私の死後も、好きなだけ君の住まいに飾り、アリアナを偲んでもらいたい。君にとってもヤギよりマシな同居人であろう』

 

インクが乾くのを待ち、遺言書を閉じると、ダンブルドアは立ち上がって杖を握った。


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