え~作者は、リアルの方で、軽音部に所属しているんですけども、
この頃、GO!GO!MANIACを練習しているんですよ。
けいおんを見ていた方は分かると思いますが、相当速いです。
えらい大変です……(汗)
あんなにすらすら弾ける唯たちの腕がうらやましすぎる!
では、どうぞ!!
「まだお姉ちゃん熱下がらなくて ー 」
「そうなんだ……」
数日経っても唯先輩が部活に現れないため、りっちゃんと澪ちゃんが、放課後ウチの教室に来て憂ちゃんに聞いてみた。りっちゃんに風邪をうつされたのかと思いきや、今度のLIVEの時の衣装(浴衣)を気に入りすぎて、ちょっと寒いのに家でもずっとその格好をしていたから風邪をひいたらしい。唯先輩らしい……
「梓、今日からリードの練習もしておいてくれないか?」
「え?」
「唯が来られない可能性もあるから」
梓ちゃんはちょっと回答を渋った後、肯定の意を示した。今日はそれで放課後は終わった。
「席に着け! HR始めるぞ!」
次の日、西村先生がやってきてHRが始まった。
「今日から学園祭まで後5日をきった。そろそろ出し物を決めないと。いつまでも後回しには出来んぞ」
出し物か。LIVEの方にあんまり影響が出ないのが良いな。
「無難に露店だろ」
「そうだな。何の店だ?」
「たこ焼きとか?」
「クレープがいいと思うな!」
教室のあちこちから上がる声。何になるのかね。
「 ー それじゃあ多数決を取ろう」
みんな自分の希望するものに手を上げた結果、ウチのクラスの出し物は「クレープ」に決まった。それもこれも、クラスに女子の割合が多いからだろう。オレとしてはクレープでも大歓迎だけど。
「ということで、この後は各自どうするか相談するのだ」
誰が作れるのかを考え、シフトを作り上げたやつがいた。こういうやつが1人でも居てくれると助かる。オレは料理が出来ないから、もちろん作るほうには参加しない。買出し担当となった。アキと秀吉は接客、雄二と康太は少し料理できるらしいからキッチンみたいだ。梓ちゃんは料理はそこまで出来ないみたいで接客、憂ちゃんは家事のほとんどを任せられているらしく、キッチンの統括をすることになった。
「各自、役割をきっちりと果たし、学園祭を楽しむように! 以上!」
帰りのHRが終わった。オレは買出しだから、前日に大量に食材を買い込まないといけないか。それはいったん頭から離そう。部活だ。
部室に着くと、先輩方もテンションが少し低めであった。唯先輩がいないからだろう。ティータイムの時間、ちょっと空気が重かった。30分くらいしてから、
「練習、始めようか」
「そうだな。練習しながら唯が帰ってくるのを待とう!」
「オオー!」
練習を始めることになったが、オレはちょっとトイレに行った。
★
ヒロ君がトイレに行っている間に、わたしたちが楽器のセッティングをしていると ー 。
「やっほ~」
「あっ! 唯!」
唯先輩が部室に現れた。
「風邪大丈夫なのか?」
「え、風邪? あ、ケホケホ……大丈夫だよ」
「治ってたんなら、朝から学校来いよ~」
同じクラスの律先輩が、唯先輩に言った。
「え~とそれは……そう! 授業が終わる頃に治ったから ー 」
「要するにサボりたかった訳か」
「早く練習しましょう! ね、唯先輩!」
「あ、うん」
わたしもリードの練習してたけど、やっぱりリードは唯先輩だ。
★
「遅くなってゴメン ー ってあれ?」
部室に帰ってくると、風邪をひいていたはずの ー 。
「早く練習始めるよ!」
「え、あ、うん……」
梓ちゃんに急かされてキーボードの前に立つ。
「ね、ねえ……」
「ヒロ、準備はいいか?」
「お、おう!」
あれ? おかしいよね。ちょっとした疑問を感じながら演奏を始める。
「完璧すぎる ー 」
演奏を2回してみた。みんなの感想はこうだった。完璧で何が悪かったのかというと、唯先輩と演奏するときは必ず少しずれたりしている。(そのずれも良く聞こえるが)
「ね、ねえみなさん?」
「どうしたのヒロ?」
この方々はまだ気づかないのか……
「う、憂ちゃん……そろそろみんなを騙すのやめたら?」
『憂ちゃん!?』
「な、何の話でしょう?」
顔とかはそっくりだったから、髪形を唯先輩っぽくしたら本当に見分けがつかなくなる。
「本当に憂ちゃんなの?」
「どうなの?」
「嫌だなあ…紬さん律さん」
「紬さん?」
「律さん?」
あ、ボロを出しちゃった……唯先輩はムギちゃんりっちゃんって言うから。
「じゃあわたしのあだ名は?」
「あ、梓2号!」
「偽者だ!」
……確かにあずにゃんって言うのは唯先輩だからすぐ分かるな。
「それにしても何でヒロは、唯じゃなく憂ちゃんだって分かったのだ? 全然見分けつかないだろう」
「え、だって……顔はそっくりでも、上靴の色まではごまかせないでしょ」
「上靴……?」
『あっ!』
赤の上靴はオレらの学年だ。赤の上靴が3組。オレ・梓ちゃん、後は……? トイレから帰って来たときから気づいていたんだけどな…あまりにも言う機会がなかったし。
「リボンはバレない様に、借りてきたみたいだけど……」
「本当にみなさんごめんなさい」
いったん席に着くことになった。憂ちゃんはそのまま唯先輩の席に。
「憂ちゃんってギター弾けたのね」
ムギ先輩がこう言った。確かに……しかも唯先輩より上手かったような?
「いえ、お姉ちゃんに何回か触らせてもらっていただけです……」
平沢家は天才揃いか!?
「梓ちゃんもヒロ君もゴメンね……ベッドで寝ているお姉ちゃん見てたら居ても立ってもいられなくなって」
『ヤッホ~』
「激しくデジャブ!」
「唯!!」
正真正銘の唯先輩が現れた。正直めっちゃきつそうなんですけど。
「ゴメンね迷惑掛けちゃって ー 」
「治ったのか?」
「さっき起きたらね、気分良くなってて、少しは練習した方が ー へくちゅん」
……全然大丈夫そうに見えない。ギー太を見つけて歩いていったが、足取りがふらふらで見ていられなくなった。みんなが強制的に熱を測らせるとやはり高熱であり、軽音部のソファに寝かせた。
「やっぱダメだったね……わたし抜きで本番がいいね。あずにゃん本番任せたよ」
唯先輩。そんな事言っちゃ ー
「嫌です!」
梓ちゃん?
「みんなで出来ないのなら辞退した方がマシです!」
「そうです! 唯先輩」
「唯、本番まで軽音部に来るな。しっかりと風邪を治すことを優先しろ! いいな?」
「みんなで本番出ましょう! 諦めちゃダメですよ!」
オレは唯先輩をおぶって、平沢家まで送っていった。
~学園祭前日~
「ヒロ君、今日こそ唯先輩来るかな……?」
部室で唯先輩の話に。あれ以降風邪が治らないらしく、1回も学校に来ていない。心配なのは梓ちゃんだけでなくオレもだ。しかし、この問いには答えることが出来なかった。来るよ。って言っても気休めにしかならないからだ。
「わたしたちが練習していればきっと来るよね」
「そうだな」
何だかんだ言っても、梓ちゃんは唯先輩のことを一番心配している。
「唯なら来る」
「練習しておこう」
「そうだな」
「あの~すいません。オレ明日の学園祭のクラスの出し物の買出しに行かなくちゃいけないんですけど…本当にごめんなさい。役割で決まっちゃってて」
びっくりすることに、買出しオレ1人だったのだ。1人だったら絶対に引き受けてない。こうやってLIVE前に迷惑を掛けるのが分かっているから。
「マジか!?」
「クラスの出し物なら仕方ないか」
「失礼しま~す」
買出しに行こうとしたときに、憂ちゃんが部室にやってきた。
「あれ、憂ちゃん、どうしたの?」
「唯の調子がよくならないとか……!?」
「い、いえ……まあ確かによくはなってないですけど、それを伝えに来たんじゃないです」
憂ちゃんは、オレの方を向いて言った。
「ヒロ君、携帯確認した?」
「ん? 何かあるの?」
「吉井君からメールが来てると思う」
「そなの?」
携帯を確認してみると、確かにアキからメールが届いていた。内容は、急用が出来て一緒に食材の買出しに行けない。ゴメンということだった。オレは料理のことはさっぱりなので、一人暮らしを始めて半年になるアキに聞いたら分かると思って一緒に行くように頼んでたんだけど……
「どうしようか」
「それで、わたしが代わりを頼まれたから」
「あ、そうなんだ。ありがとう。でも、唯先輩の看病しなくていいの?」
憂ちゃんがいいって言っても、こっちがとっても心配なんだけどさ。
「寝てると思うから」
「そっか……りっちゃん・澪ちゃん・ムギ先輩・梓ちゃん、ということなのですいません」
「おうっ!」
「また明日、な!」
「うん!」
オレは、買出しをしに憂ちゃんと部室を出た。本当は練習しておきたいけど……こういうのって、前日になっても慌てているようじゃいけないのかね。別に練習休んでも大丈夫ってくらいに仕上げておくのが普通なのかな。
「クレープってよく食べるけど、何から出来ているのかさっぱり知らないんだよね」
「えっと、本当は小麦粉とかから作ったほうが良いんだけど」
「?」
「予算や時間の関係上、ホットケーキミックスを使うことになったんだ」
ホットケーキミックスってホットケーキを作るためにあるんじゃないんだ。クレープも作れるなんて万能だな。確かに、生地は似ているけど。でも、卵とか牛乳とかはいるらしい。
「じゃあ、具材の方は?」
「まだメニュー決めてないから、今日買った食材によるかな」
「ってことはオレ結構重要なこと決めれるんじゃない?」
「まあそうだね」
クレープの具かあ。おかずってのも別に悪くはないんだけど、あれはおやつとして食べるのがいいよね。
「おやつ感覚の方で特化しようよ。どうせ、他のクラスがおかずは出しているだろうから」
「そうだね。ということは、バナナとイチゴとチョコは絶対でしょ」
「なるべくコスト抑えた方が良いってことは旬がいいでしょ。でも旬じゃないよね?」
「バナナはフィリピンからの輸入があるからいいけど、イチゴはちょっと高いかもしれないね」
イチゴの旬は、冬から春にかけてって聞いたことある。クレープにはイチゴ必須なのに……
「アイスはもう寒いだろうし……」
「もう10月も終わりに近づいてきたからね」
「じゃあ、今が旬の果物って何かある?」
「りんご・ぶどう・なしは秋だよ」
「じゃあ、バナナとイチゴとりんご、チョコと生クリームとカスタードの6個でよくない? 組み合わせはお客さんに決めてもらうとかでさ。そうしたら、バナナとイチゴ両方食べたいという人にも対応できるし、チョコ苦手なんだよって言う人にも対応できるじゃない?」
食べ物、特に甘いものには目がないからさ、クレープなんて露店見つけたら基本買ってたからね。
「分かった、そうしよう! じゃあ手分けして探す?」
「オレ、決めるのは良いけど、どんなのがいいかとか全く分からないよ」
「そうなんだ。じゃあ、一緒に回ろう」
「お願いします! 荷物持ちはもちろん任せてもらいたい」
スーパーで一気に購入したものの、一人で持ち帰るのはつらい量であった。学校におかせてもらうとはいえ、その学校までも一人でもてない量のスーパーの袋の数。ちょっと憂ちゃんには申し訳ないけど、持ってもらうことにした。
「悪いね憂ちゃん。流石にこの量は無理だったから」
「1人に任せちゃったこっちが悪いんだからそんな謝らなくても」
「いや仕事だからね。卵とか割っちゃ申し訳ないからさ」
「そうだね」
学校に着く頃には、もう日も暮れ夜空が広がっていた。なるほど、寒いと思ったのはそのせいだったか。家庭科室に自分のクラスの分と分かるように、さっき買ってきた食材やら何やらを保管してもらった。
「唯先輩大丈夫かな」
「心配になってきちゃった……」
「遅くなってゴメンね。暗いから送っていくよ」
「わざわざいいよ、そんなこと。これもわたしの仕事のうちなんだから」
クラスの出し物の統括をする立場なんだけど、それはそれ。女子を暗い夜道1人で帰らせるということは、オレにはとうてい出来ない。だって、帰り道に襲われたりとかしたら責任どう取ることも出来ない。だからといって、一緒に帰っているときに襲われて守れるかっていう話になると、いささか自信はないが……確率は減る。
憂ちゃんを無事に家まで送った。唯先輩は明日こそ来てくれると家の前で祈りをした。
風邪、治ってくれ。
クレープのくだり、間違っていたら報告よろしくお願いします!
何せ作者、料理が全く出来ませんから。
いよいよ次話、学園祭ですね。
どうなることやら……
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