青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 けいおん!!を見ていた人は分かりますかね。

 2期2話の話です。

 ちょびっとイレギュラーなことがあって、それが伏線となるか。

 では、どうぞ!!




#27 整頓!

 

 「 ー ということで、大掃除をします」

 こうなった経緯は……

 

  『弘志よ』

  『あ、秀吉、久しぶり』

  『うむ。ちょっと用があるんじゃが』

  『何?』

  『以前、軽音部に貸した着ぐるみを返して欲しいのじゃが』

  

 ということがあって着ぐるみを演劇部に返すために物置を探していたら、その物置がゴミ屋敷で整頓をすることになった。

 

 「そこ、あからさまに嫌な顔しない」

 「よ~し今日は気合入れて練習するぞ!!」

 「そうだねりっちゃん!」

 りっちゃんと唯先輩は掃除と聞いて、すぐさま現実逃避を開始した。

 

 「そこまでやりたくないか……」

 「三度の飯より掃除が嫌いだ~!!」

 「意味分からん!!」

 それじゃ、三度の飯も嫌いだってことになるって……

 

 「というか、ここのそうじは音楽室掃除が ー 」

 「こんな私物だらけの部屋をですか」

 「ごもっともです」

 「だらけというか、私物しかありませんよ」

 掃除を始めていた梓ちゃんがこう言った。今の今まで、部室が綺麗な意味が分かったよ。全部物置に詰め込んでいたんだな。

 

 「さて、やりますか」

 「じゃ~片付けよっか~」

 「そうだね~」

 「って、元に戻すな!!」

 ひとまず物置を空にしないと、掃除が進まない……

 

 物置だけでなく、食器棚まで掃除の手が回った。

 

 「この食器っていくらくらいするのかな?」

 唯先輩が、ムギ先輩の私物である食器を手にしながらたずねた。

 

 「値段は分からないけれど、ベルギー王室で使っているものと同じだとか」

 「王室?」

 「危ね~っ!!」

 王室と聞いて、思わず落としてしまいそうだったが、間一髪でりっちゃんが取った。王室か。そんな高価なものを……Aクラスの設備といい、ここの部室の設備といい最高だな。逆にだらけてしまいそうで怖い。

 

 「ある程度は片付いたかな」

 物置を空にして、私物は全て人毎に分類してみた。

 「だが、私たちの私物じゃないものもあるな」

 「昔の軽音部の私物じゃないかしら?」

 古い音楽雑誌や、使えなくなったメトロノーム、ぼろぼろのカポやらが出てきた。

 

 「見てみて~!!」

 「お、高そうなケース!!」

 一番奥にしまっていたらしいハードケースが出てきた。

 

 「おお~!!」

 「結構いいギターですね」

 「あら、こんなところにあったの」

 「先生?」

 さわちゃん先生が現れた。

 

 「これ、先生のですか?」

 「そうよ、昔私が使っていたギター」

 「さわちゃん、私物はみんな持ち帰ることになったので」

 「私は弾く時間内から楽器屋さんにでも売りに行って頂戴」

 若干押し付けられている感じがしないでもないが、この見た目高そうなギターがどのくらいになるか知りたい。

 

 「もしも売れるのなら、他の誰かに使ってもらったほうがこのギターも幸せよ」

 ということで、帰り道そのギターを持って楽器店に行くことになった。

 

 「ちょっとホームセンターに寄らないか?」

 「物置に棚があったら便利ですもんね」

 いつも行っている楽器店の通り道にあるホームセンターに寄ってみた。

 

 「ここがホームセンター!? 一度来てみたかったのよ」

 ムギ先輩が感動していた。この人も竜也と似た感覚なのかもしれない。お金持ちの家育ちだが、庶民の生活を楽しみたいという。

 

 「おい、こら待て!」

 年不相応の少女に戻って、みんなホームセンターではしゃぎだした。

 

 「ったく……」

 「澪ちゃんは行かなくて良いの?」

 「わたしはいいよ。ヒロも行かなくて良いのか?」

 「昔から何故かしらホームセンターには行きなれているからね」

 親と出かけるときとかに暇つぶしに寄ったりとか。

 

 「わたしたちは棚を探そう」

 「うん」

 ほかの4人はそれぞれ自分の興味あるところに行ったが、オレと澪ちゃんは物置に置く棚を探しに行った。

 

 「これでいいんじゃないか?」

 「うん。ちょうどいいサイズだし」

 「明日の放課後学校に届けてもらうようにしよう」

 「そうだね」

 部費で購入。配達はお店の人にやってもらうことになった。

 

 「ムギ、買いすぎだろ!」

 「面白そうなのがたくさんあったから~」

 りっちゃんとムギ先輩がやってきた。

 

 「唯と梓は?」

 「どこだろうね」

 「そろそろ来るんじゃないの?」

 ほどなくして、2人が来て楽器店に向かうことになった。

 

 「 ー それでは査定させていただきます」

 「お願いします」

 ギターを店の人に預け、オレたちは店の中をうろつくことにした。

 

 10数分後、「査定お待ちのお客様 ー 」という声が聞こえてきたので、レジへと向かった。

 

 「こちらのギターなんですが、48万円で買い取らせていただきます」

 『はっ?』

 庶民の感覚じゃ味わえないような単位が出てきたのは気のせいでしょうか。

 

 「な、何て?」

 「えっ? 48万円で買い取らせていただきます」

 聞き間違いではなかった。

 

 「ありがとうございます」

 「躊躇なさすぎだ!」

 やはり、お嬢様なムギ先輩だ。

 何故、そこまで値が張るのかを尋ねてみた。

 

 「このモデルは1960年代に生まれたギターでして、フィンガーボードにハカランダという ー 」

 何言ってるんだろう……さっぱり理解できないや。周りの人を見てみても、何とか梓ちゃんが理解出来そうかなという感じで他の4人は???だった。

 

 「と、とにかく貴重なギターということです!」

 しばらく、目が点になっていた。

 

 「ありがとうございました~」

 48万円を受け取り、店から出て行く。何て凄いギターだったんだ……

 

   ★

 

 「あ、あのギターは!?」

 オレ竜也は、学校帰りに明久や雄二・康太と共に楽器店に来ていた。そこで、今まで楽器店では見たことのないようなギターをみつけた。それもまだ展示されておらず、カウンターの上に。さっきまで査定していた雰囲気だった。

 

 「すいません!」

 「どうしたんだよ竜也……」

 オレがカウンターに向かうと他の3人も着いてきた。

 

 「いらっしゃいませ。どうなさいましたか?」

 「このギターいくらですか?」

 「え、ええっと……まだ値段は決めてませんが……」

 「50万円くらいでしょうか」

 「そうですね」

 是非とも欲しい! 家出する前だったら購入できたが……

 

 「分割払いOKですか?」

 「可能です」

 「買います!」

 『即決!?』

 こいつはめったにお目にかかることが出来ないぜ。しかも年代物にしては保存状態が良すぎる。未だに一線で活躍できるギターだ。

 

 「さきほど、同じ制服の子達が売りに来たんですけどね」

 「えっ!?」

 「まさか、ヒロたちじゃない?」

 「女の子5人に、男の子1人でした」

 若葉学園軽音部に間違いないだろう。オレに何で相談してくれなかった。

 

 「欲しいです」

 「分かりました」

 「10ヶ月分割で」

 「一月5万!?」

 バイトを必死にすりゃ大丈夫。オレは軽くメンテナンスをしてもらった後、商品を受け取った。幸せだ。

 

 「そんなにそのギター高いんだ」

 「50万円なんて額聞いたことないぞ」

 「………軽音部、うらやましい」

 「そうか、やつらそれより少し安い額を手に入れてるんだろ?」

 「どのみち、山中先生の手に渡るさ。これは山中先生のだろう」

 とはいえ、もっと年代が上のギターだけど。

 

   ★

 

 「でも、本当にこれわたしたちだけでもらっていいんですか?」

 梓ちゃんがりっちゃんに問う。

 

 「ほれ、6人で割っても1人当たり8万」

 「わたし欲しいエフェクターあったんですよね~」

 梓ちゃんまでがお金の誘惑に!?

 

 「り、りっちゃん……一応さわちゃん先生にも話を通さないと」

 「大丈夫だって!」

 「8万もあれば、いいエフェクターが……」

 『ふっふっふ……』

 みんな!? ムギ先輩だけはいつもどおりだけど、他の4人がブラックだ!

 

 「へ~あのギター48万円もしたんだ~」

 『えっ?』

 「さ、さわちゃん先生!?」

 帰り道、車が横に着いたと思ったら、さわちゃん先生の運転だった。

 

 「渡しなさい。査定書とお金」

 「りっちゃん……残念だけど、仕方ないよ。そのお金からいろいろ買ってもらおう」

 「くぅ……わたしの夢が」

 「楽器の新調とかだったらしてあげるけど、個々の欲望には使わせません」

 あれ、こんなに落胆した4人の姿初めて見た。りっちゃんしぶしぶ渡す。

 

 「ぶーぶー!」 

 「仕方ないわね。1つだけ何か買ってもいいわよ」

 「1つだけか~」

 「みんなで1つだからね」

 それだけ言うと、さわちゃん先生は去っていった。

 

 「何にしようか」

 「それぞれ一晩考えてこようぜ!」

 「そうだな」 

 「明日、物置に棚を置いた後、決めよう」

 ということで、今日は解散となった。

 

 次の日、オレと梓ちゃんが用があって遅れて部室に行くと、今まではなかったものが増えていた。

 

 『何ですかコレ?』

 水槽があって、その中に亀が泳いでいた。

 

 「新入部員のトンちゃんだよ!」

 『はあっ?』

 「先生に頼んで買ってもらったの」

 ってことはまさか、1つだけ買ってもらうってやつ、この亀に?

 

 「2人の後輩だよ。よろしくね」

 『へ~……』

 空気がちょっとばかしおかしくなった。

 

 「梓がこのカメ好きだって言ったの唯だぞ」

 「だって、欲しそうにずっと見てたんだよ」

 「ずっと見ていたのは唯先輩でしょ。わたしはただ変な顔だなって見ていただけです」

 『へっ?』

 でも、なんで急に……?

 

 「2人とも、後輩が居なくてさびしいかなって思って」

 梓ちゃんはそれを聞くと、水槽のほうへ歩いていった。

 

 「こんなに早とちりで飼われたら迷惑だよね」

 うんってトンちゃんがうなずいた。なんと賢いカメなんだ。

 

 「これからはわたしがお世話するからね」

 「オレも、生き物を飼ったことないけど出来る限りは」

 「わたしもするもん!」

 「唯先輩には無理でしょ」

 軽音部。後輩が増えた。どんどん賑やかになるね。

 

 





 アニメとはちょっと変えてみました。

 あの展開になったら、主人公の立場がなくなるなと思いまして。

 トンちゃんはやっぱり登場させないとですね。

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