青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 映画ってあんまり見に行かないんですけど……

 毎年絶対見に行く映画が。

 多分読者の皆様今話を読めば、作者が何の映画を見たか分かります。

 では、どうぞ!!




#28 映画!

 

 「お~いヒロ~」

 土曜日、軽音部は学校に来て練習をしていた。その最中、竜也がやってきた。

 

 「どうしたんだ?」

 「あ、いや……邪魔して悪かった」

 「大丈夫だ。何か用があったんだろう?」

 「まあな。練習が終わってからでいい」

 そういうのならいいけど……

 

 「お前、練習終わるまでどこいるんだ?」

 「そこの兄さんや、せっかくだから見学していかないかね」

 「いいんですか?」

 「いいともいいとも」

 りっちゃんがおかしなキャラになるときは基本、何か企んでいるとき。

 

 「君~軽音部に入ろうとは思わないのかね?」

 「バイトが忙しいので」

 「そうか~それは残念」

 前に見ただろ……

 

 「さ~て、今日は帰りにどっか寄っていくか~」

 「あ、わたしは今日ちょっと……」

 「何かあるの? 梓」

 「はい、この後に ー 」「ヒロ~この後 ー 」

 『映画に ー ってえ?』

 見事にハモったな。しかし珍しいなこの組み合わせ。梓ちゃんに竜也か。

 

 「2人とも映画に行く予定だったんだ!」

 「は、はい。わたしは憂と ー 」

 「オレはヒロを誘っていこうかななんて思ってたり ー 」

 「映画か。そろそろ見に行ってもいいだろう」

 「どういう意味?」

 オレが見たい映画は10日前から始まってるんだけど、余りの人気に最初のほうは満員で入れないから、ちょうどこの時期がいいんだよね~。

 

 「よ~っし、行こう!」

 「オー!!」

 土曜日の昼、部活が終わってみんなで映画館に行くことになった。梓ちゃんは駅前で憂ちゃんと待ち合わせしていたらしかった、確かに駅前には憂ちゃんが居た。

 

 「梓ちゃ~ん」

 「憂~こっちこっち~」

 「あ、お姉ちゃん! それにみなさんも。こんにちは~」

 「こんにちは~」

 憂ちゃん、合流! そのまま映画館に8人で歩いていくことになった。その間中、学年ごとのほうが話しやすいのか、自然とオレ・梓ちゃん・憂ちゃん・竜也の4人で話していた。

 

   ★

 

 「なあなあ、ちょっとわたしらはさ~ここで帰らない?」

 「どうしてりっちゃん!?」

 「あの4人の雰囲気を見てみろ」

 「ダブルデートみたい」 

 「あたりだムギ!」

 律とムギがこんなことを言っていたが、あの4人がダブルデート? 普段からヒロと梓は仲良いし、他の2人も仲よさそうだし ー 。

 

 「分かったよりっちゃん。影から見守ろう!」

 「そういうことだ」

 「お、お前ら ー 」

 「そうだね」

 ムギもやる気だよ。わたしは観たい映画も無かったし、このままあの4人を見てみるのも悪くは無いと思って、律たちの言うとおりにした。

 

   ★

 

 「 ー 用事を思い出した?」

 「そうなんだ、ゴメンな。4人で見てきてくれ」

 「感想よろしくね!!」

 「あ、はい……」

 映画館に着きそうになったときにりっちゃんたちがこう言って来た。用事があるなら仕方ないか。すぐに見えなくなった。

 

 「残念だね」

 「そうだな」

 「そういえば、ヒロ君たちは何見るの?」

 「名探偵ドイルの船上の探偵だよ!」

 10数年続く、このシリーズ。映画は毎年作られているけど面白いんだこれが。

 

 「わ~奇遇だね」

 「わたしたちも一緒の見るんだ」

 「ホント? そりゃすごい」

 「一緒に見よう!」

 竜也? やけに嬉しそうじゃないか。何でだろう……

 

  『隊長! どうやら同じ映画を見るらしいです!』

  『それは運命だ。じっくり観察するように』

  『了解です。りっちゃん隊長』

 

 後ろから妙な視線を感じるような気がしたが、構わず映画館に入った。

 目の前には、見慣れた男1名とその両側に女が2名いた。

 

 「明久君、この映画が見たいです!」

 「アキ、ウチも!」

 「そう……それなら2人で見てきて」

 アキと、島田と姫路さんだった。

 そして、その後、また見慣れた男女がやってきた。

 

 「明久、諦めろ。男とは無力だ」

 雄二と霧島代表だった。普通ならば、いい男と綺麗な女のいいカップルなんだが……雄二の両手には手枷がつけられていた。

 

 「雄二、コレを見る」

 「待てそれ3時間24分あるじゃねえか!」

 「2回見る」

 「1日の授業より長いじゃないか!」

 「いつも雄二と一緒に居られない、う・め・あ・わ・せ」

 「俺は帰る」

 「帰させない」

 霧島代表はどこからともなくスタンガンを取り出し雄二を気絶させ、学生2枚分のチケットを購入し劇場に入っていった。これらの出来事が一瞬で行われたため、突っ込む暇さえなかった。霧島代表への不信感が募った。本当に雄二のことが好きなのだろうか。

 

 「仲のいいカップルですね~」

 「憧れるよね~」

 島田と姫路さんがこう言っているのが聞こえた。こいつらの価値観って一体……?

 

 「ね、ねえ3人に聞くけど」 

 「ああ」

 「オレって常識間違ってる?」

 「多分、あちらが異常なだけだと思う」

 梓ちゃんがやさしく言ってくれた。そうだよな。

 

 「あれ、ヒロじゃない? それに竜也も」

 「ようっ」

 「どうしたのこんなところで」

 「映画を見に来たんだ。お前は?」

 アキはさっとコチラへ近づいて、理由を言った。なるほど。雄二がデートするということを聞いて、島田と姫路さんがそれに便乗した感じだな。確実に2人ともアキのことが好きなんだろうな。

 

 「今月の食費が……」

 「ゲームの買いすぎだ。自業自得」 

 「ヒロ~行くぞ~」

 「待て。今行く。じゃ、そういうことで」

 オレたちも劇場へ入っていった。

 

 

 「いや~面白かったな~」

 「ホントに。な、なあヒロ」 

 「何だ? 今からラ・ペディス行かないか?」

 「いいけど。今日バイト休みじゃないのか?」

 「そうだけど、行きたくなったんだ」

 普通、バイトしている店って普段からあんまり行きたがらないって聞くけど、あれはどうなんだろう。

 

 「分かった。あそこは美味しいデザートが一杯待ってるからな~梓ちゃんと憂ちゃんも来るよね」

 「え? わたしは別にいいけど」

 「わたしもまだ時間あるし」

 「っしゃ!」

 「何か言った竜也?」

 「何でもない。そうと決まれば行こう」

 駅前の喫茶店「ラ・ペディス」に行くと、相変わらずお客さんが多かった。

 

 「へ~こんなところがあったんだ~」

 「憂は初めてだっけ?」

 「そうだよ。梓ちゃんはあるの?」

 「軽音部のみんなと、ヒロ君の案内で」

 「へ~ヒロ君こんな店知ってたんだ~」

 「甘い物好きだからね」

 それに、少しばかりの竜也のためとでも思っている。

 

 「わ~美味しそう!」

 メニューを見ながら、憂ちゃんがつぶやく。

 

 「何食べる?」

 「そうだな~オレはやっぱり抹茶パフェで。2人はどうする?」

 「バナナクレープにしよう」

 「わたしは~このストロベリークレープにしようかな」

 「かしこまりました。抹茶パフェ1つ・バナナクレープ1つ・ストロベリークレープ1つですね。少々お待ちください」

 竜也? バイトモード?

 竜也は裏に消えていった。

 

 「どうしちゃったの?」

 「竜也はここでバイトしているんだ」

 「へ~そうなんだ~」

 もともと持っていた料理センスにさらに磨きがかかっているし……オレとは正反対の男だ。

 

  『いらっしゃいませ~』

 

 いろいろ話している途中、入り口からアキが入ってくるのが見えた。隣には島田と姫路さん。やつらも映画の帰りか。ちょびっとしてから ー 。

 

 「お待たせしました~ストロベリークレープです」

 「うわ~美味しそう。これ竜也君が作ったの?」

 「はいっ! 毎日料理を作っている憂ちゃんの口に合うか分からないけど……」

 2人の初対面は、竜也が転校してきたときに案内役としてついてくれたのが憂ちゃんだったっけ? その頃には既に下の名前で呼び合っていたとか。流石は竜也。いい雰囲気だ。だが……

 

 「おい、早くオレたちにも商品を渡せ」

 「あ、忘れてた。抹茶パフェです」

 オレたちを忘れてもらっちゃ困る。

 

 「バナナクレープです」

 「どうも」

 竜也は全部配ると、席に着いた、みんなが食べる様子を観察していた。

 

 「美味しい~」

 「よかった! そういってもらえて嬉しいよ」

 「料理上手だよ」

 「ありがとう」

 2人とも料理の経験値がものすごく高いからレベル高い会話になるだろうなあ。

 

 「そういえば、憂ちゃん一騎討ちの時、凄かったよ。須川を瞬殺だもん」

 「いや~竜也君があんなに音楽に優れているとは思ってなかったよ」

 「ははっ。オレは料理と音楽だけなら人に負けない自信あるからね」

 「そうなんだ~」

 瞬殺出来るくらいの戦力差だったということは、奇襲しなくても別に良かったかもしれない。と今思った。

 

 「2人とも仲良しだね」

 「そうだな」

 「いい雰囲気じゃない」

 「応援してあげよう」

 「そうだね」

 竜也って、見た目ちゃらちゃらしてるけど、今まで女性と付き合ったこと無いらしい。何でも、コクられることがあっても全て断ってるとか。そういう竜也が憂ちゃんに? 結構お似合いだし。

 

  『りっちゃん隊長!』

  『うむ。2人2人いい雰囲気だな』

  『いいなあ~4人とも』

  『な、なあ3人ともやめにしないか?』

 

 「いけません、お姉さま~!!」

 梓ちゃん ー じゃない、似た声の人が確かココでバイトしているんだった。その子が大声を上げてフォークを投げていた。

 

 「み、美春?どうしてここへ?」

 「お姉さま、お待ちしていました~」

 美春と呼ばれた子は、アキと姫路と食べていた島田めがけて突進していた。島田の妹なのかな?

 

 「ヒロ、勘違いしてるかもしれないから言っておくが、断じて美春は島田の妹じゃないからな」

 「えっ? 何でオレがそれを考えているって?」

 「顔に出てた。やつは清水美春。若葉学園Dクラスに所属している。島田の事を同性としてじゃなくて本当に好きらしい」

 「っ……そうなんだ」

 趣味は人それぞれ。人それぞれ。

 ちょびっと竜也と話している隙に、4人の姿は見えなくなっていた。

 

 「あの子、梓ちゃんに声がそっくりだね~」

 「もう、それいいよ。何回目だろう……」

 「まあまあ」

 しばらく、喫茶店で時間をつぶして各自家に帰った。

 





 名探偵ドイルの船上の探偵→パチもんくさすぎますね(笑)

 さてと……
 地道にフラグを立てていってます。

 このフラグ、誰にも邪魔できない!?
 さて、どうなる!?

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 後、GW中はちょっと家族で遠出するので更新が出来ません。
 ご了承ください。
 今まで続いてきた毎日更新が途切れるのが残念でたまりません。
 4日に再開するつもりですので、よろしくお願いします♪

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