青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 お久しぶりです。

 いよいよ、アンチ系が本格化?

 そこまで酷いアンチじゃないですけどね。

 では、どうぞ!!




#29 料理人!

 

 「あれ、アキなんでお前学校に来ているんだ?」

 オレがこういうのは、今日は日曜日だから学校は休みのはずっていう考えからだ。

 

 「Fクラスは補習なんだよ……そういうヒロは?」

 「部活。自主練しとこと思って」

 「そうか~」

 アキはFクラスの教室に、オレは部室に向かった。

昨日の結末を聞くのはアキのためにやめておこう。

 

 「でもな~」

 部室に着くなり、オレは考えた。

 

 「1人で部活ってのもな~」

 そう、今日は本来休み。誰も来ないのだ。トンちゃんにえさをやるくらいしかやることない。

 ひととおり練習したら、つまらなくなってきたため、2-Aの教室に行くことにした。

 

 「あれ、七島君、君も自習かい?」

 「久保か。お前は自習なんだ」

 「ああ。僕は毎日休日でも学校に来て自習さ。Aクラスの半分の人もそうみたいだ」

 久保に言われてAクラスの教室を見渡してみると、確かに勉強しているクラスメイトの姿が。

 

 「ふ~ん……Aクラスの教室にいてもな~」

 「何しに来たんだい?」

 「もともとは部活の自主練なんだが、誰も居なくてつまらねえと思ってたんだ」

 「それでAクラスの教室に」

 しかし、ここにいてもつまらなさそうだ。学校内ふらつくか。

 

 「お前は……七島?」

 ん? ふらついていると廊下で後ろから話しかけられた。

 

 「根本? こんな日に学校来るなんて意外だな」

 「そっちこそ。お前は部活か?」

 「ああ。お前は何してんだ。部活には入って無さそうだし」

 「自学だ」

 へ~根本って真面目なヤツなんだ……

 

 「そういやさ、お前と1回話したかったんだよ」

 「俺と? いいけど、何を話すんだ」

 俺は人目につかないようなところを選ぶ。屋上に決めた。

 

 「何の用だ。バカの噂と評判高かったが、実は演技だった七島よ」

 「いや……お前の噂のことだ」

 「ふん。そんなものに興味があるのか。“卑怯者”だろ?」

 「ああ。その通りだ」 

 噂では、卑怯者と名高いヤツ。しかし噂に過ぎん。一度オレの自分の目で確かめときたかった。

 

 「噂も何も真実だろ」

 「本当にそうか?」

 「な、何でそう思う?」

 「いや……お前は進んで“卑怯者”の汚名を着ている気がする。本当だったら普通は否定するはずだ。それが卑怯者本人だったらなおさら」

 大体、卑怯者という噂はカンニングした ー とか、窃盗した ー とか、若葉学園のセキュリティじゃありえないようなことだったから。

 

 「ほう………勉強だけが出来るって訳じゃないみたいだ」

 「当然だ。むしろそういうほうが分かりやすい」

 「なるほど。だが、俺は卑怯者だ」

 「お前が自分自身でそう言い張るならいいだろう。それ以上突っ込んで聞く気にもなれん」

 何かを隠しているような気がするが、証拠がない今手は出せない。

 

 「話はそれだけか」

 「ああ。お前はずっと卑怯者の汚名を着るんだな」

 「もちろんさ」

 「そうか」

 こいつが変わることが出来たら、いいやつなんだろうけどな。雄二みたいなやつだ。雄二は変わった。だから、お前も変わることが出来るはずだ。そう心に秘めながら黙っていた。あの女装のことは忘れよう。そしていつの間にか、根本は屋上から姿を消していた。

 

 『 ー ここなら誰にも邪魔されずにお弁当を食べることが出来ますね』

 『そうだね……』

 誰か屋上にやってきた。男女2人組のようだ。出るにも出られなくなった。邪魔しちゃ悪いから隠れておこう ー って、アキ!? 隣に居るのは姫路さんか。何で2人が一緒に……同じクラスだから? もしくは既に付き合ってるから!? そんなことを考えていたら、姫路さんは屋上から出て行き、代わりに雄二と秀吉・康太と竜也が現れた。

 そして、姫路さんが作ってきたと思われる弁当を、それぞれ勝手に食べ始めた。

 

 「あ、4人とも勝手に!」

 「いいじゃねえか1つくらい」

 それだけ言うと、雄二は突っ伏した。それに習うかのように他の3人とも突っ伏した。

 

 「ど、どうしよう! 何で……? まさかこのお弁当が?」

 アキがにおいを嗅いでみると、横に倒れた。

 思わず居ても立ってもいられなくなって、倒れた5体の元へ駆け寄った。

 

 「お前ら、何があったんだ」

 オレが呼びかけるとアキだけ反応があった。

 

 「あ、ヒロ……何でここに」

 「そんなのはどうでもいいから、何が」

 「姫路さんのお弁当なんだけど……」

 目の当たりにしたとはいえ、未だに信じられん。睡眠薬でも入れてきたのか?

 

 「明久よ」

 「秀吉?」

 喋れるということは、睡眠薬じゃないようだ。じゃあ、何だ?

 

 「皿を取ってくれまいか? 毒を食らわば皿までじゃ」

 「秀吉!?」

 「まずいぞ。顔色が悪すぎる。ちょっと人呼んでくる!」

 「ひ、ヒロ!?」

 オレは屋上を飛び出して保健室に向かった。

 

 「くそっ……やっぱり、開いてないか!」

 日曜だもんな……職員室にも行ったが、誰も居なかった。こうなったら、作った本人に聞くしかない。

 

 「ここにいるか!?」

 2-Fの教室を思いっきり開けて姫路さんがいるか確かめるも居なかった。一言謝りをいれてドアを閉めた。

 

 「こうなったら……」

 「廊下を走ると危ないわよ」

 「ヒロ君、そんなに急いでどうしたの?」

 「木下さん? 憂ちゃん!」

 さっきは姿が見えなかったけど、この2人も自習に来ていたんだ。ちょうどいい。ちょうどいいって言ったら失礼だけど、この2人なら何かしらのことが分かるだろう。

 

 「ゴメンけど、ちょっと2人とも着いてきてくれない!?」

 「いいよ!」

 「憂……」

 「えへへ~だって暇でしょ」

 2人とも快く承諾してくれて屋上についてきてくれた。

 

 屋上には未だに5体の人間が倒れていた。

 

 「な、何よコレ!?」

 「どうしちゃったの?」

 「3人さん、どうしたんですか?」

 倒れている人間に驚いていると、後ろから姫路さんがやってきた。

 

 「あれ? 吉井君たちは寝てしまったみたいですね」

 い、いや寝てるっていうことじゃないと思うんだが……

 

 「ひ、姫路……俺にもウーロン茶を」

 「分かりました。買って来ますね」

 屋上から再び姫路さんが姿を消した。

 

 「弘志……」 

 「雄二、大丈夫か!!」

 「秀吉も大丈夫なの!?」

 「みなさん、しっかりしてください!」

 オレと木下さんと憂ちゃんは、懸命に介抱する。

 

 「何があった!?」

 「姫路の弁当だ」

 「本人は味見していないから気づいていないだろうが」

 「あれは食べ物じゃない」

 それだけ言うと、雄二たちは再び力なく倒れた。

 オレたち3人は未だに少しだけ残っている弁当を見つめた。

 

 「これが、5人をここまでしたのね」

 「救急車呼ぶ?」

 「アキがそこまでしなくてもいいって言ってたが、心配だ」

 まさかとは思うが、姫路さんに気を使って、こんな弁当だったって言わないつもりじゃ。

 

 「緑茶を買いに行きましょう」

 「そうだね優子ちゃん」

 「了解!」

 オレたちは殺菌作用があると言われている緑茶を買ってくることにした。本人達は救急車を呼ぶことは好ましくないと。だから、仕方なくオレたちが応急手当することにした。

 

 「わたしと優子ちゃんは熱い緑茶を淹れるから、ヒロ君は下の自動販売機で冷たい緑茶を」

 「分かった」

 2人は何でも揃っているAクラスに向かい、オレは急いでしたの自販機へ向かった。

 

 「1人1本で足るかな」

 持つ量にも限界があるから、500mlのペットボトル緑茶を買ってAクラスへ行った。すると、準備完了して屋上に向かっている途中の2人を見つけた。

 

 「って、あれ? 工藤さん?」

 「やっほー……何か大変なことになってるみたいだね」

 「そうなんだけど……何故ココに?」

 「部活帰りに教室寄ったら2人の様子が険しかったからね」

 事情はある程度聞いたらしく、手伝ってくれるとのこと。オレら4人で屋上に向かった。

 

 「あれ、みんなそんなに急いでどうしたの?」

 「梓ちゃん!」

 「説明している暇はないんだ」

 「え?」

 オレたちの様子があまりにも凄かったから、結局梓ちゃんもついてきていた。

 

 「何があったの?」

 「それがかくかくしかじかで ー 」

 「憂、唯先輩に似てきた? 嘘っぽいよ」

 「嘘じゃないよ、梓ちゃん、大真面目な話なんだ」

 事情を話してこちらも手伝ってくれることになった。梓ちゃんが何で学校に来ているかは聞いていない。

 

 「急がなきゃ」

 屋上についてみると、姫路さんの姿はなし。相変わらず倒れている5人だけだった。

 

 「本当に倒れている……」

 「あ、何か紙が置いてあるよ」

 「ん?」

 姫路の直筆と思われる置手紙だった。

 

  『みなさん、起きたら午後の補習に来てくださいね。待ってます。姫路瑞希』

 

 と。本当に寝ていると勘違いしているのか!!

 

 「どうみても寝ているとは思えない顔色の悪さだね」

 「だよね。まずは冷たい緑茶で応急処置!」

 オレは1人1本緑茶を配って、それぞれに飲ませた。

 

 「ぷふぁ~生き返る~」

 「助かったぞ……」

 「姉上、弘志、他の皆もありがとうなのじゃ」

 「………緑茶が美味しい」

 「臨死体験をしたの初めてだ」

 しばらく飲ませていると、5人が復活した。本当によかった。こちらの5人も安堵の表情を浮かべる。

 

 「まさかAクラスの連中に助けてもらえるとはな」

 「人を助けるのに、クラスは関係ないでしょ」

 「そ、そうだな……」

 「流石は姉上じゃのう」

 しかし、食べ物一つで臨死体験って味わえるのか。

 

 「そう思うのなら、一度食べてみるがいい」

 「論より証拠だ」

 そんな恐ろしいことが出来るか。目の前で臨死体験したって言うやつがいるのに。

 

 「何があったのかしら……」

 「確実に姫路の弁当がもたらしたんだが……」

 「姫路さんに直接言うのも悪い気がするし」

 「そうじゃのう。あんなに嬉々とした表情を浮かべられてはのう」

 それを見るためにお前らは臨死体験をするのか。

 

 「一度言っておかないと、今後も同じ体験するだろう」

 「でもね……悲しい思いをさせるくらいなら……」

 「確かに」

 『何を言ってるの!?』

 オレがあきれて言葉を言うタイミングを逃していると、他の4人がいっせいに詰め寄った。

 

 「姉上?」

 「自分の体のほうがよっぽど重要に決まってるでしょうが!」

 「愛子ちゃん?」

 「そうだよ。もしコレで明久君たちが死んだら、そっちのほうが悲しむに決まってるじゃない」

 『2人の言うとおりだよ』

 それでもアキたちの口からいえないようだったら、オレが代わりにお前らの分まで恨みを買ってやるさ。

 

 「補習が終わったら、Aクラスに来てもらえるようにいってもらえるかしら?」

 「姫路さんにね、弁当預かってるからって」

 「お前たちは補習だろ。さっさと行って来い」

 『分かったよ』

 5人は、緑茶を数杯飲んだ後、Fクラスへと戻っていった。そして、屋上に取り残されたAクラスの5人。

 

 「でも、料理を作るだけであそこまでなるかな?」

 「素人が作ったらなるんじゃないの?」

 「多分ならないよ。みんな作ったことあるでしょ」

 憂ちゃんがそういうと、みんなあさっての方向を向いた。

 

 「あ……料理作らないんだっけ」

 「そっか。憂は家事ほとんどしてるもんね」

 「そうだよ。でも、食材の組み合わせが悪いとかでもあそこまではならないはずなんだけど」

 「憂、何も考えない。先入観がよくないよ。本人に聞くのが一番」

 「そうだね、優子ちゃん」

 オレたちは、弁当を片付けたり、毒消しに使った緑茶のペットボトルを捨てたりしたあとに、Aクラスへと戻った。

 

 「そういえば、梓ちゃんはどうして学校へ?」

 「部室に行って練習してたんだけど、ちょっと暇になって……ヒロ君のバックがあったからどっかにいるのかな~って思ってたらちょうど ー 」

 「あの現場に遭遇したわけか」

 「そ」

 いつ姫路さんが来ても良い様に、オレと梓ちゃんは部室から自分のバックを持ってきてAクラスにいた。

 

 「みんな自習してるね~」

 「流石はAクラスだよ」

 「騒ぐのは悪いから、オレも勉強するかな」

 「わたしも……」

 Aクラスに帰ってみると久保がいないな~なんて思ってたりしていた。しばらく勉強していると……

 

 「すいませ~ん」

 姫路さんが1人でやってきた。おかしいな……あいつらの性格上、ついてくると思ったんだけど。

 

 「姫路さん、こっちこっち」

 と、談合室みたいな場所に案内する。と同時に、さっきの5人組が集結した。一度関わった出来事、最後まで謎は知りたいからね。

 

 「姫路さん、アキたちは?」

 「明久君はクラスメイト達に追い掛け回されていましたよ」

 オレはこのときまだ何も知らなかった。Fクラスに妙な組織が出来上がっていたということを。

 

 「他は?」

 「帰りました」

 「そう…」

 ど思わせてどこかに忍んでいるのかな。

 

 「あ、あの弁当箱預かっててもらえたんですよね」

 「そうそう。ハイこれ」

 「ありがとうございます」

 「姫路さん、聞きたいことがあるんだけど?」

 「は、はい。何でしょう?」

 木下さんがちょっと声のトーンを落として姫路さんに話しかけた。

 

 「このお弁当の中身なんだけど」

 「み、見たんですか?」

 「片付けるときにね」

 「わたし普段料理するんだけど……食材、何を使ってるか気になって」

 憂ちゃんが代わりに話を進めてくれた。コッチのほうが自然に聞きだせる。

 

 「え? 食材ですか? 普通にスーパーで売ってるものですけど」

 「調味料は?」

 「普通にスーパーで売ってるものですけど」

 「隠し味は?」

 「秘密です!」

 そこが一番気になる。何をいれてるんだ。

 

 「そこをなんとか」

 「秘密です♪」

 「アキたちが悲しむぞ」

 「どうしてですか?」

 マジで何が原因か分かっていないらしい。

 

 「教えてくれなければ、今後アキたちに料理を食べさせないで欲しい」

 「どうして七島君にそんなことを言われなければならないのですか!」

 「それなら、隠し味教えてくれたっていいだろ? アイツら弁当食べるときの顔 ー 」

 「美味しいって言ってくれてましたから! もういいですよね。失礼します」

 姫路さんは怒って出て行った。逆ギレだよな。怒らせるようなことしてないし……

 

 「ちょ、ちょっと強引に行き過ぎたかなヒロ君」

 「そう? アタシもあのくらいでいいと思ってたけど」

 「姫路さん、警戒して逃げたじゃない」

 「だけど、何が原因か判明したね」 

 「隠し味」

 隠し味って人を傷つけるために生まれたんだっけ。料理を美味しくするために生まれたはずなんだけど。アキたちが素直に美味しくないといえばそれでおしまいだったのに。ったく、余計な気遣いのせいでみんなを傷つけてるじゃないか。

 

 「今後の対策どうする?」

 「マジで死人が出そうだし」

 「一番良いのは、明久君が直接、美味しくないって言うのだろうけどね」

 「せめて隠し味が何か教えてくれたら吉井君たちも対処できるんだろうけど」

 「さりげなく、隠し味に何が入ってるか聞き出してくれたら」

 それが一番だな。あいつらの健康の ー いや、命のためにも。

 

  『戦死者は補習 ー !』

  『いや~やめて!!』

 

 あんな西村先生とアキの声がいつかは日常の一部に加えられ、平和な日になるといいんだけどな。

 

 「はあ……吉井君可愛いな」

 こうやってつぶやきながら入って来た久保……オレの耳が練習のしすぎていかれていたと思うことにした。

 

 





 本来、サブタイトルの前には、「殺人」がつくんでしょうが、それだと内容が一発で分かってしまう上に、ブラックなものはサブタイトルからは排除しました。

 根本の登場にビックリした方もいらっしゃるでしょう。

 どっちでも取れる終わり方にしました。
 根本更正or今までどおり。
 今までどおりのほうが票多いと思いますが、気分でどっちがいいかは決めますわ。

 そして、姫路の料理初登場!
 バカテスの代名詞と化して来ているこの料理。
 登場遅いくらいでしたね。

 さあ、姫路や明久や主人公の思惑が重なるときは来るんでしょうか!?

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