大幅に変更した遊園地話。
いよいよアンチ霧島が本格化するのかな。
結構書いてて難しいですけど。
では、どうぞ!!
「どうした? こんな夜に」
とある金曜日の夜遅くに、竜也から電話がかかってきたのでビックリしたが出た。
「突然だが……」
「何だ」
「お前、彼女いるか?」
「突然すぎるだろ」
想像して欲しい。従兄弟が ー いや、従兄弟じゃなくて親友でもいい。何の脈絡もなく突然「彼女いる?」って聞かれてみろ。いないよこの野郎としか言えないぜ。
「ああ、悪かった。いろいろと端折りすぎた」
「自分で分かって何よりだ。それで?」
「すぐに彼女を作って欲しい」
「さっきからお前は何言ってるんだ」
結構な頻度でこいつの話についていけないことがある。結論が大事なのだが、それに至るまでの道筋がまるで見当たらない。証明の問題で言うと途中がすっきり抜けて、解答の一番初めに『だから○=△である』と書いているようなものだ。何が『だから』なのか、途中の言葉を入れて欲しい。
「どっから説明すればいいかな……」
「オレが理解できるところからでよろしく」
地道にヤツの言いたいことを聞き出していくと10分くらいかけてようやく理解できた。
「まとめると、如月ハイランドパークのカップル限定チケットが手に入ったから、オレにそれをくれるから無駄にしないように誰かと一緒に行け。そういうことだな?」
「そうだよ。そう言ってるじゃないか」
……突っ込むのも飽きてきたかな。
「それで何組分余ってるんだ?」
「2組分だ。オレとお前の分」
「オレはまだ行くとは一言も行ってないぞ」
「遊園地だぞ。行きたいだろう?」
確かに行きたいけどな。相手が……いないことはないけど。
「お前は誰と行くんだ?」
「オレは既に憂ちゃんと行くって決まっている」
「憂ちゃんと!?」
こいつマジだ。憂ちゃんにマジで惚れている。チャラチャラした雰囲気とは裏腹に一回も口説いたことが無いと言われている竜也がか。
「お姉ちゃんもその日は外出するみたいだからいいよ~ってOKしてくれた」
「そうか」
憂ちゃんは、唯先輩を基準に物事を考える。しかし、どうでもいい男と遊園地に行くことはないだろう。多少なりとも竜也はいい男だと感じているに違いない。
「ま、お前は梓ちゃんを誘うだろうがな」
「どうしてそう言いきれる?」
「違うのか?」
「明日、部活で全員に聞いてみる」
「お前って抜け目のない男だな」
それはどういう意味かな……?
「じゃ、封筒に入れてポストに入れておくから、明日部活行く前にチェックしておけ」
「分かったよ」
「んじゃおやすみ」
竜也はどうしてそのチケットを手に入れたのだろうか入手ルートを知りたかったがやめにした。
次の日、チケットを確認してみた。日付は明日だった。しかし突然だよいつもいつも。
「明日、誰か暇な人は?」
部活で、ティータイムの時間に聞いてみた。
「わたしは家の用事でちょっと……」
「すまんヒロ、明日は映画を見に行くんだ」
「唯と澪と3人で見に行くんだ」
「ごめんねヒロ君、明日までなんだ~この映画」
「わたしは暇だけど……何かあるの?」
ムギ先輩の家の用事ってえらいものを想像したんだが……
他の3人は映画か。梓ちゃんだけが暇だったらしい。
「何かするつもりだったの?」
「昨日、竜也がこんなチケットをくれて」
オレはチケットを取り出し、みんなに見せる。
「なになに?『如月ハイランドパークカップル限定プレオープンチケット』だとさ」
「カップル限定!?」
「とにかく、男女のペアじゃないとダメだそうで……余らせるのももったいないということで」
「誰かと行こうとした訳か」
その通りで。しかしせっかくの遊園地。行ってみるに越したことはないだろう。
「というわけで、梓ちゃんせっかくだから行かない?」
「へ? わたし?」
「そう。だって1人だけだもん。数人が暇ならどうしようか迷ってたんだけど」
そもそもがみんな遊園地に行きたいと思っているのかすら不安だけど。
「あ~ずさ行って来なよ」
「いいな~あずにゃん、わたしも行きたかったな~」
「え、ちょっ……」
「あずさちゃん2人でさ」
「感想楽しみにしてるからな」
先輩方4人は、梓ちゃんを断れない雰囲気に持っていったんだが……何でだろう。面白いから? それともただ単に、遊園地の感想を聞きたいから? それだったら、確かに梓ちゃんが断ったらオレ行く相手いなくなるから人にやってたかもしれないしね。
「わ、わかりました。行きます!」
「ありがと、梓ちゃん」
「別にチケットがもったいないからだからね!」
「それはもちろん」
女子と2人きりで、遊園地ってデートですか? 2人きりになるかどうかは竜也&憂ちゃんがいるから分からないけど。それならそれで楽しいか。
「しかもプレオープンだからレアだよ~」
「いいよね」
「そういえばこの学園のスポンサーに如月グループも入っていたような」
「へ~そうなんだ~」
このときのムギ先輩の言葉に微妙な違和感を抱えながら、当日を迎えた。
「ゴメ~ン待った?」
「いや、オレも今来たとこ」
オレたちは駅前に待ち合わせをして、そこから電車で向かうようにしていた。そこのホームでは予想通り、あの2人が居た。
「あれ、梓ちゃんにヒロ君?」
「よっヒロ。もったいないことになりそうにないみたいだな」
お前みたいな女子に話しかけるのに何も苦を感じない人とは違うんだからな。あれを女子5人の前で話すのって結構恥ずかしいぞ。
「梓ちゃんも遊園地に?」
「そうだよって憂も?」
「うんっ。一回行ってみたかったんだ~お姉ちゃんには悪いけど」
唯先輩確かに行きたそうだったからな~ ちゃんと感想を伝えるか。
「如月~如月」
電車で数駅分。あっという間に目的地にたどり着いた。駅から遊園地まではすぐに着いた。
「いらっしゃいませ、チケットはお持ちでしょうか?」
「コレです」
「拝見します。ふむ。お通りください」
「ありがとうございます」
先に行った竜也ペアは難なく通れたみたいだ。オレたちも構わず続く。が、その前に気になることが。係員の人がどう見ても秀吉にしか見えないのは何故だろうか。
「秀吉、何やってるんだ?」
「何のことでしょうか?」
「ヒロ~行くぞ~」
「分かった」
確かに秀吉だと思うんだが、他人の空似かもしれない。それに秀吉ならば竜也だって気づくはずだ。
「さて、憂ちゃん、何処に行きたい?」
「う~ん……まずはジェットコースターかな」
「っ!? 分かったそうしよう!」
一瞬動揺した竜也の姿が見えたが、やつのプライドのために何も言うまい。
「梓ちゃんはどうする?」
「う~ん……どうしよう」
「オレたちもジェットコースター行く?」
「う、うん! 怖くない怖くなんかない!」
怖いんだね……梓ちゃん分かりやす過ぎる。
「やめとこうか?」
「そうだ ー 」
「先輩達に何も話せないや」
「やっぱり行こう!!」
遊園地=ジェットコースター・観覧車・お化け屋敷と思うのはオレだけか? 梓ちゃんのためとか思っていたら1つも行けそうにないから最初っから強行手段♪
「結局お前らもジェットコースターか」
「悪かったな」
「しかし、タイミングよかったみたいだな」
「ああ」
隣で竜也が前の連中を見ながら舌打ちをしていたのは気にしないでおこう。因みに前の連中ってのは、男1人に女子が6人。いわゆるハーレム状態ってやつに嫉妬したのか否や。やつらの格好がものすごかった。黒髪ロングの女子と金髪ロングの女子はいいとしよう。遊園地に白衣やらメイドやらゴスロリやらシスターやらの格好をしているとはどういうことだ? ま、他人は他人。関係ないか。別にプレオープンチケットってカップル限定だけとじゃないんだと思っただけ。
「次の方どうぞ~」
と、 係員の指示が。ちょうどオレたちまでいわゆる最後尾。
「楽しみだね~♪」
「う、うんそうだね」
やっぱり竜也のやつビビってやがるな。あいつもビビる事あるんだな。
「大丈夫怖くない怖くない」
「梓ちゃん、乗る前からそんなんで大丈夫なの?」
「先輩達のため先輩達のため」
ダメだこりゃ。まったく聞こえていないようだ。
「それでは出発しますよ~」
因みにオレも怖くないと言えば嘘になるが、楽しみのほうが大きい。
ガタガタガタガタと言い出し、最初の坂をものすごくゆっくりなスピードで上りだす。
「梓ちゃ~ん」
「ひゃ、ひゃい!?」
「緊張しすぎ」
滅多に見られないこの反応も楽しい。そんなことを思っていると前のほうから悲鳴が。そして、時間差で突然機体が動き出した。前と後ろの差であろう。
『キャーッ!!』
周囲から悲鳴が。オレはこの流れに乗り遅れたのか、悲鳴を上げられなかった。
そして気づくと、もう終わっていた。途中から視界が余りにもおかしすぎて目をつぶっていた。目をつぶると怖さは軽減するけど。
「怖かったね~」
っていう憂ちゃんが一番、楽しそうにジェットコースターを降りていた。今更ながら恐るべき人物だ。対する竜也や梓ちゃんは半ダウンの状態。返事が出来ないみたいなのでオレが。
「確かに」
その後の言葉が全然見つからない。ジェットコースターは恐ろしいな。
「次何処に行こうかな♪」
平沢憂、凄すぎ!! その後、コーヒーカップもしたのだが同じような感じだった。
遊園地回も2話に分けることに。
途中のジェットコースターでのくだり、分かる人は分かりますかね。
補足をします。もうこの話以降で出てこないでしょうから。
竜也は聖クロニカ学園という学校から転校してきました。
それで分かる人は分かります。分からない人は別にどうでもいいです。
大してストーリーに関わるとかはありませんので。
コメント・感想・評価、
お願いしますね♪