青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 遊園地も長らく行ってないから、雰囲気が全く分からないなあ。

 デートなんてやったことないし。

 想像力が試されるところってことですかね?


 では、どうぞ!!



#34 ドッキリ!

 

 次に、定番のお化け屋敷に向かった。するとそこには見覚えのある2人が。

 

 「………雄二、ノイちゃんはうっかりさんだから」

 「うっかりで頭が前後逆になる生物がいたらそいつはすぐに自然界で淘汰されると思うぞ」

 雄二と霧島代表だった。あ、オレらがオリエンテーリングで負けたからか。

 

 『あ、明久君、頭が逆ですよ!!』

 『しまった! どうりで前が見えないはずだ!』

 『何やってるのよアキ!』

 ぬいぐるみ3体の中からものすごく聞き覚えのある声。

 

 「あいつら何やってるんだか」

 「題して『坂本翔子大作戦』だ」

 「何じゃそりゃ。お前何か知ってるのか」

 竜也が言うには、アキが学園長をも巻き込んでさまざまな人を協力者とし、雄二と霧島さんをくっつけようとしているらしい。こういうのをありがた迷惑と言うんだろうなあ。

 学園長は、如月グループの目論見(カップルを取り逃さない)というのを知っててアキの話に乗ったのか。スポンサーにいい顔しておけばいいと。流石はトップの考えることだ。

 

 「………誓約書」

 「おかしいと思っているのは俺だけなのか!?」

 「冗談」

 誓約書の内容とやらが遠くからじゃ見えないが、周りの反応からするとすごいんだろうなあ。それと、誓約書を持って来たのが、康太に見えたんだが何人のヤツを巻き込んでいるのだろう。

 

 「では、中へどうぞ」

 霧島さんが、腕を組むという行為を肘関節を極めながら中に入っていった。頭はいいが、結構常識というものを知らないのかね。オレも言える柄ではないかも知れんが。

 

 「アキ~お前何やってるんだ?」 

 「ひ、ヒロ!? どうしてココへ! って竜也も? 2人は ー ああ、平沢さんと中野さんと一緒に」

 「そういうことだ。ってことでオレたちも入るぞ~」

 「どうぞどうぞ~」

 じゃんけんによって、オレと梓ちゃんペアが先に入るようになった。梓ちゃんは微妙に入るのを戸惑っていたが、オレが1人でとことこ歩いて行っていると仕方なく着いてきた。お化け屋敷で1人になるのは怖いだろう。オレも怖い。梓ちゃんの性格ならば確実についてくるだろうなあって思ってた。なにやら、廃病院をもとに作っているらしく、えらくリアルだった。梓ちゃんは思わずオレの腕にしがみつきながら歩いていた。

 そんな中、こんな声が聞こえてきた。

 

  『姫路のほうが、翔子よりも好みだな。特に胸とか』

 

 雄二の声だ。雄二の声なんだが、どうみても無理やり繋ぎ合わされたようにしか聞こえない音声。雄二をはめるための作戦だったのだろう。現に、上から釘バットが数本降りてきたし。何て作戦を考えているんだアキは……あいつならばマジでこういうことして2人がくっつくと思っていそうで怖い。

 

 「ううっ……」

 梓ちゃんはまだ怖がっているし……後ろから2人(竜也&憂ちゃんペア)の足音も聞こえてきたし。早めに出るか。出口に近づくと、雄二が霧島さん(釘バット持ち)に追いかけられている様子が目に映った。どうやら雄二は一直線に出口を目指していたわけじゃなくいろいろと迂回していたらしい。

 

 「恐ろしい! 恐ろしいお化け屋敷だ!!」

 「………逃がさない」

 釘バットを手に後ろから襲い掛かられるお化け屋敷。恐ろしくないやつはいないだろう。ちょうど出てくるときは一緒のタイミングで外に出る。

 

 「オツカレサマデシタ~イカガデシタカ」

 出口に似非外国人係員がいた。雄二はそんなのに構う余裕もなく、逃げている。

 

 「ひ、ヒロ!? 助けてくれ!」

 「この遊園地から出て家に閉じこもればいいだろ」

 「そうする」

 釘バットの恐怖にはオレも勝てる気がしない。ごく一般論を述べたら雄二はその通りに逃げていった。霧島さんはこりずに追う。その様子を見て、似非外国人は、

 

 「オカシイデスネ。キキニオチイッタフタリハアイヲハグクムハズデスガ」

 こいつも一種のバカなのであろう。そして、他の場所に歩いていった。そのすぐ後に竜也と憂ちゃんが出てきた。

 

 「怖かった~」

 ジェットコースターの時と同じ要領で、十分満喫した顔をしてこういったセリフを。対する梓ちゃんは……

 

 「怖くない怖くない……よしっ怖くない!!」

 何だろうこの差は。言葉って恐ろしいなあ。

 

 「ヒロ、さっき中で聞こえてきた声なんだが ー 」

 「雄二だろ。あれに怖がって家に帰ったぞ」

 「明久やりすぎだったな」 

 「後できつくしかっておく」

 バカだから本当に……あいつは仲を切り裂いているんじゃないのか?

 

 「全く坂本君も酷いね~代表お弁当まで用意していたのに」

 「そうね」

 影から、工藤さんと木下さんが現れた。

 

 「2人が何で?」 

 「明久くんに頼まれたからね♪」

 「2人の仲を親密にしてもらうためにって」

 「2人ともさ、どんな仕掛けしていたのか知っているの?」

 『さあ?』

 それならばそう言っているのも納得するよ。ってか、この2人はオレたちが来ていることは既に知っていたみたいだな。それに、竜也と憂ちゃんもこの2人が来ていることを知っていたみたいだ。

 

 「後で、アキに聞くといい。オレたちは他のアトラクション楽しむか」

 「満喫しよう!」

 ハイテンションの2人に対して、疲れていた竜也と梓ちゃん。

 

 「そろそろお昼にしようぜ」

 「そうだよ。疲れたよ」

 「う~んそういえばそうだね」

 「ちょうど12:00頃だし」

 時計を見て確かに腹が空くころだと思った。

 

 「何処に食べに行く?」

 と、オレは園内の地図を取り出し食べ物屋を探す。

 

 「お前は食べに行くのか。憂ちゃん、オレ作ってきたんだけど ー 」

 「本当に!? わたしも作ってきたんだけど ー 」

 「マジ!? 食べよ食べよ~」

 しまった。この2人はそういったことが出来るんだった。くそっ……うらやましいぜ。遊園地でお互いにお弁当を作ってくるとか。

 

 「ゴメンね梓ちゃん。オレ料理とか全く出来ないからそういった発想がなかったんだ」

 「あ、うん……」

 「オレたちは食べに ー 」

 「待ってヒロ君」

 再び、園内の地図で食事が出来るところを探そうとしたところ、梓ちゃんが待ったをかけた。

 

 「わたし、お弁当作って来たんだけど」

 「へ?」

 「何回も言わせないで! お昼があるの!!」

 「マジで!?」

 女の子と2人で遊園地に行って、お昼はその女の子が作ってきたお弁当って!

 夢のようなシチュエーションだ!!

 

 「竜也~」

 「どうした?」

 「ほっぺたつねってみて」

 「夢じゃないし」

 いや~梓ちゃんがわざわざ作ってきてくれるとは思わなかったよ。

 

 「梓ちゃんって料理しないんじゃ ー 」

 「お昼を別で払うとかなると高くつくでしょ。だから作ってきたの!!」

 「ああ、そういうことか! 全く考えてなかった。そのくらいならオレがおごったのに」

 「そんな迷惑かけれないよ!」

 巻き込んでしまったのはこっちなんだし、お昼くらいはおごろうと思ってたんだけど。なんだかやられた気分。

 

 「それじゃ、4人で食べよ!」

 「うん」

 ベンチを見つけそこに座る。

 

 「何か3人ともゴメン。オレだけ作ってこないって」

 「オレは予想してたよ。お前作れないからな」

 何か人の弁当をもらうだけってのもね。後日お返ししないと。それにしても梓ちゃんのお弁当楽しみだ。その前に、隣で憂ちゃんと竜也が弁当の交換をしていたがレベルが高すぎ。梓ちゃんには悪いけどあそこまでの期待はしていない。

 

 「あの2人には負けるかもしれないけど」

 「オオー!!」

 日頃料理をしないにしては、いいと思う。自分で弁当を作ったことないから分からないが。

 

 「美味しい!」

 「ホントのこと言っていいよ。下手でしょ」

 「そんなことないよ。わざわざ作ってきてくれたんだもん」

 それにえらそうな立場で言えない。自分で料理できないんだから。

 

 「あ、梓ちゃんの美味しいよ」

 「ホントだ」

 「2人とも食べたの!?」

 隣からいつの間にか憂ちゃんと竜也も食べていた。

 

 「でも、塩をもうちょっと足したほうがいいかな」

 「そうだね。ココをこうして ー 」

 オレは料理の話が始まったためにひたすらお弁当を食べ続けた。さっぱり分からん。梓ちゃんも結構混乱しているみたいだけど……この2人から料理について指摘されたら仕方ないよね。

 

 「美味しかった~」

 全員がお弁当を食べ終わる。

 

 「何処行こうか~」

 さまざまなアトラクションを楽しんだ後、最後は観覧車に。

 

 「この観覧車は2人乗りです」

 観覧車の前まで来て、係員にそう言われた。先に、竜也と憂ちゃんが観覧車に乗った。その次のにオレと梓ちゃんも乗る。

 

 「高いのは怖くないんだ」

 「はって何? 今日何も怖がってないよ!」

 言い切るか。ある意味すごい。

 

 「今日はありがとね。一緒に来てくれて」 

 「もともとココには来てみたかったし、チケットもったいないし」

 「凄く楽しかった。2人で来れてよかったよ。お弁当も食べれたし」

 「あの2人には敵わないからもう作らない」

 料理を作るという意志さえもつぶされてしまったようだ。

 

 「ねえねえ聞きたいことがあるんだけどさ」

 「何?」

 「憂ちゃんって、誰かのこと好きなのかな?」

 「そりゃあ唯先輩でしょ」

 あ~言い方が悪かった。それはオレも分かっているわ。

 

 「そうじゃなくて、異性として誰かってこと」

 「ヒロ君、憂のこと好きなの?」

 「あ、違うよそうじゃなくて、竜也がな」

 「竜也くんがね。このこと憂には ー 」

 「もちろん内緒で」

 竜也の初恋の相手。全力で応援してやらんわけには行かない。

 

 「何もない異性の人と遊園地なんかに来ないんじゃないかな」

 「そうだよね。憂ちゃんも竜也に対して脈はあるよね」

 「うん。そうだと思う」

 「ってことは、それだと梓ちゃんもオレに気があることに?」

 「な-っ!! 何言ってるのヒロ君!!」

 「冗談だよ冗談」

 (………………)

 観覧車で話をしているとすぐに1周して終わった。ゴンドラを出るときに梓ちゃんが小声で何か言ったようだが、聞き取れなかった。出ると竜也と憂ちゃんが待っていてくれた。

 

 「帰ろうぜ~」

 「おうっ」

 夕日をバックにオレたち4人は帰路に着いた。

 

  次の日、部活にて。

 

 「昨日どうだった!?」

 「ジェットコースターはコーヒーカップはお化け屋敷は!?」

 「きゃーっ!!」

 「そっか澪はお化け屋敷は -」

 いつもの軽音部であった。結局かいつまんで話すにとどまった。

 

 





 原作とはまるで違う方向へ。
 アンチ霧島を掲げてしまったせいで……
 誰だそんなことをしたのは!!
 すいません。自分ですね……


 新鮮でこういったのも経験ですけどね。

 果たして地道にフラグは立っているのか!?

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