やはり、レギュラーメンバーをアンチ対象に入れるってきついですね。
自分の新たな挑戦も結構難しい域です。
徐々にフラグを建設していこうと思っています。
では、どうぞ!!
「ったく……お前らはいい加減に起きないか!!」
安眠の時間を野太い声によって遮られた強化合宿2日目の朝。
「ふぁ……おはようございます西村先生」
真っ先にオレが起きてあいさつをする。
「何のためにお前をこの部屋に配置したか分からんじゃないか。お前も揃って寝坊とは」
「申し訳ないです。全員揃って目覚ましかけ忘れたみたいです」
「みたいってなあ……」
右手を頭にやってあきれたポーズをとる西村先生。目覚ましが無いとオレらはいつまででも寝れると思うんだよな。
「おはようなのじゃ」
秀吉を筆頭に、続々と目を覚ます部屋の住人。目覚まし以上の破壊力のある声で起こされるんだからな。
「急げお前ら。既に全員揃っているぞ」
「マジか!?」
「着替えて学習室に入れ」
「了解!」
そういえば、今日はAクラスとFクラスの合同自習って言ってた気が。しまったな……とんだドジ踏んだ。
「遅かったですね。寝坊ですか?」
急いで着替えを済ませ、学習室に入ると高橋先生が。
「すいません。全員寝坊です。申し訳ありません」
「今度から気をつけてください」
「分かりました」
「みなさん、合同自習を始めていますのであなたたちも」
合同自習っていっても……Aクラスの連中が勝手に自習して、Fクラスの連中はゲームなどしているだけ。というあまりにも見て分かる雰囲気だ。
オレたちは、意図せずして姫路やら島田やらと真反対の位置に席取る。そうしたら、優子さんや梓ちゃんたちのとこらへんになった。
「遅かったわね」
「ヒロ君まで寝坊しちゃダメでしょ~」
「ゴメンゴメン……目覚ましをかけ忘れていたんだ」
「何処か抜けてるよね」
オレのこの性格に関してそこまで重要に思っていない。簡単に言うと、直そうとも思っていない。
「ちょうど、Fクラスが5人、Aクラスが5人いるね」
「言われてみればそうだ」
「マンツーマンで教えてやるか」
「成績向上のためにね」
あからさまにFクラス5人の顔に嫌そうな表情が映ったのだが、そんなのお構いなしだ。自衛だとも思えばいい。
「康太と愛子ちゃんは絶対組ませないから。危ない話がポンポン出そう」
「………俺を何だと思っている」
「二つ名をムッツリーニという人間」
あくまで客観的な意見を述べたまでだ。保健体育の王様と女王が組んだらさ……
「じゃあ、ボクは明久君に教えるよ♪」
「よろしく頼む」
「愛子ちゃんかあ。分かった」
「憂ちゃん、教えてください!!」
「えっ? わたし? いいよ」
「ありがとう!!」
一瞬で、2組(明久&愛子ちゃん・竜也&憂ちゃん)が決まった。残り6人どうするか。
「秀吉はあんまり姉に教わりたくないだろうから……オレか梓ちゃんだけどそこまで面識ないもんね。じゃあ、オレと梓ちゃんで秀吉を教えよう」
「そしたら数が合わないよな」
「康太は優子さんと組ませると何をするか分からないからコッチに来い」
「………それはどういう意味だ」
自分で分かって欲しい。こっちみたいにセットのときは手出しできないかもしれないが。マンツーマンのときはいつの間にかカメラが勉強しているときに出てくるからね。
「じゃあ、わたしは坂本君に教えればいいわけね」
「そこまで手がかからないはずだから。真面目にさせればの話ね」
「俺も勉強しないといけないのか」
「当たり前だ。自衛だ自衛」
付け焼刃だが、点数上がっていた方が無難だ。
「よろしくね、坂本君」
「ああ。頼む」
この2人の組み合わせはあんまり見ないが、なかなか面白そうだ。
「それぞれ何を勉強しようか」
とオレは10人の得意教科・苦手教科を頭の中で打ち出した。
保健体育などの副教科はカウント無しで、5教科の中ではじき出す。
得意教科/苦手教科である。
Aクラス Fクラス
木下優子…英語/特に無し 坂本雄二…数学/特になし
工藤愛子…理科/社会 吉井明久…特になし/全部
平沢憂……オールラウンダー 本田竜也…特になし/全部
中野梓……国語/数学 木下秀吉…国語/他
七島弘志…社会/理科 土屋康太…特になし/全部
何か悲惨だ。アキ・竜也・康太が悲しすぎる。憂ちゃんって特別何かいいってのはなかったように記憶しているが……全てが高いんだよなあ。優子さんは、英語だけ飛びぬけてよくて他も際立って高いんだよね……雄二は何故にFクラスにいるんだって感じだ。
Aクラスのメンバー(名前が出ている人)について軽く説明を。
文系……優子・梓・弘志・久保
理系……愛子・憂・霧島・佐藤
基本オールラウンダーは理系に行く傾向が毎年根強い。よく言われる、理系から文系への進路変更は可能だが、文系から理系への進路変更は不可能っていう考えからだ。
「数学と英語はやめておいたほうが無難でしょうね」
「中学生時代からの積み重ねだからね。そう簡単には点数上がらないね」
「国語って言っても、古文・漢文だけだろうなあ」
「理科・社会は全般的にOKだね」
女子4人がそれぞれ口を開いた。確かにもっともだ。さて、どうしよう。
「じゃ、それぞれに任せよう」
「了解したわ」
「OK♪」
ということで、マンツーマン授業が始まった。後ろで目を光らせている姫路・島田・霧島(もはや代表と敬って良いのかどうかすら不安だ)を目で牽制しつつ。
「秀吉と康太かあ。梓ちゃんどうする?」
「わたしは何でもいいよ」
「じゃあ、2人の得意教科の社会と国語を教えよう」
「分かった」
文系タッグで挑む。どこまで掘り下げて解説出来るかな。それに、他のところは大丈夫かな。優子さんのところは安心できるとして、愛子ちゃんの所は騒がしくなりそうだし、憂ちゃんの所は竜也がデレデレになりそうで。
「じゃあ、まず社会から。日本史だ」
「何故、過去を学ばなければならぬのじゃ」
「………俺は常に先を見る」
日本史が苦手な人の常套句が……康太も格好よく言っているが、現実逃避に変わりはない。
「秀吉、お前演劇で古典が出てきた場合どうする?」
「じゃから、古典を勉強しておるが」
「その時代背景とか詳しくなったらさらに演技に幅が出るぞ」
「なるほど。早く教えてくれなのじゃ」
ちょっと違う気もするが。勉強するやる気が出てきたのは何よりだ。康太もしぶしぶ勉強をすると言った形だが、初めはそれでよかろう。
「何から教えるの?」
「まずは時代の流れじゃない?」
「それくらいは知っているでしょう」
「あまり決め付けは良くないよ梓ちゃん」
こいつらのバカさは尋常じゃないんだ。
「縄文・平安・戦国・江戸・平成」
「………幕末・源平・聖徳太子」
ほら見ろ。言わんこっちゃ無い。梓ちゃんも驚き通り越して目をパチクリするだけだった。平成の前の元号を知らんとかいう以前に、時代の1つに聖徳太子ってあるってどういうことだよ。
「オレが言いながらノートに書くから真似するんだ」
そういって、順番通りに書き上げる。
「旧石器・縄文・弥生・古墳・飛鳥・奈良・平安・鎌倉・室町・安土桃山・江戸・明治・大正・昭和・平成」
戦国とか南北朝とかは正式な時代名じゃないんだよね。もちろん源平とか幕末も然り。
「ただ覚えるだけじゃ味気ないから、自分なりの覚え方をするといい。歌に乗せて覚えるとか」
「ふむ。それもそうじゃな」
いい雰囲気で進んでいく勉強。他のグループはどうなっているのかね。
「英語って言っても、言語なんだから簡単よ」
「それは分かる人のセリフだ。分からない人のセリフは『他国の言語なんか必要ない。日本人だ』という」
「坂本君は数学が得意みたいだからすぐに覚えられるわよ」
「ますますもって訳分からんな」
優子さんは得意教科の英語を教えているらしい。積み重ねだから ー とか言っていたのは優子さんだった気がするが……雄二だから何とかなるか。
「英語も規則正しく公式通りにしていけば結構簡単よ」
「ほう」
「主語(S)の次は、動詞(V)が必ず来る」
「それが公式か」
ここは心配する必要も無さそうだ。愛子ちゃんたちはというと。
「明久君、(ピー)で(ピー)する場所」
「何言ってるの愛子ちゃん」
R-18の内容と思われる(康太が異常におかしいから)内容を言っている愛子ちゃん。康太と外した意味ないし。
「だから、ここが腎臓なんだよ」
「腎臓って何?」
生物を教えているんだが、たまにそこから発展しすぎることがあるようだ。少々心配だが、息はピッタシのようなのであえていじくる必要もあるまい。
「○○教えて~」
「ココはね、こういうことなんだよ」
「そうなんだ~」
ホントに分かっているかどうかが心配な竜也。ずっと憂ちゃんの方ばっかり見ているし。勉強に集中していないんじゃなかろうか……
「じゃあ、ココはどういうこと?」
「さっきのがこうだからこうじゃないの?」
「そうだよ!」
分かっているようだ。勉強する側に意欲が無いと成績が伸びないってのは分かる。
「………きじやこあなへかむあえめたしへ」
「旧石器、縄文、弥生……覚えれんのじゃ」
2人はそれぞれの覚え方で覚えようとしているのだが……康太のはそれで覚えていいが、何がなんだか分からなくなる可能性大だぞ。
「そういう記憶系にはよくストーリーを作ると良いって言うよね」
「確かにそうだね梓ちゃん」
「どういう意味じゃ?」
「例えば、旧い石器と縄が弥生(3月)に古墳に行って飛ぶ鳥を見つけ ー とか今適当に作ったんだけど」
なるほどね。そういう覚え方をあんまりしたことがなかったから新たな発見だ。
「それならば覚えられそうじゃ!」
「………やってみる」
小学生に教えている気分になっているオレ。ここまで時代覚えに時間を食うとは思わなかったが、こういう地道な一歩が次につながる ー と信じたい。そうでもしないと徐々に現実逃避をしたくなる。
マンツーマン授業にも熱が入って、時間の経過が分からなくなってた。
「みなさん、そろそろお昼の時間です」
「食堂に行き、ご飯を食べて来い。1時間後にはここに集合だ」
もうそんな時間か。やけに腹減ったと思うのはオレだけではあるまい。朝ご飯食べないってきつい。しかしみんな良く集中していた ー と思ったら、愛子ちゃんとアキは寝てるし。
「いつの間にか寝てたのよね」
「隣が静かになったと思ったらこういうことか」
と、優子さんと雄二がそうつぶやく。そんなことを気にしていなかったということは相当勉強に身が入ったんだろう。
「むにゃ……? 何?」
「お昼だよ」
「もうそんな時間なんだ。明久君、食べに行こう」
「うん……」
2人仲良く寝ていた証拠に目があんまり開いていなかった。
「ねえ、ココで食べて良い?」
「一緒に食べましょう」
「………雄二食べよう」
オレたちが10人で食べていたところに思わぬ邪魔が。アキと雄二は体が思わず逃走体制に入っていた。無理は無い。
「やめとけ。こっちのためでもあるし、お前らのためでもある」
「そんなことありません!」
「それよりどうして七島君が決めるのですか!」
「………自分のことは自分で決める」
オレは今日1つのことわざを理解した。『恋は盲目』。恐ろしいくらいに周りが見えなくなるんだよ。Fクラスからの視線も痛いし……
「ごちそうさま!」
「先に帰ってる」
アキと雄二は、急いでご飯を食べ終わり席を立ってその場を立ち去った。
「もう、また邪魔をして!」
「ひどいです!」
「………めげない」
「いい加減に分かってくれ。お前らの今の状態じゃ到底不可能だと」
それが聞こえたか聞こえなかったのか、3人は違う場所に行って食べ始めた。
「あそこまでの拒否反応が出るくらいまでのことをしでかしてるのにね」
「気づかないものなのかな」
「多分、照れて逃げていると思っているのかも」
「それは無いでしょ梓ちゃん」
いや、否定できない。というか、自分の所有物とまで思っているかもしれない。
「ともかく、アタシたちも早めに食べて戻りましょ」
「そうだね♪」
残された8人も少し速めに箸を動かし、学習室に戻った。
「あれ、いない」
が、そこにアキと雄二の姿はおらず、西村先生だけであった。
「明久と雄二の姿を見てはおらぬかの?」
「知らんぞ。まだ帰ってきてない。部屋じゃないのか?」
「ありがとうございます」
西村先生の言うとおりに、部屋へと戻ったらいた。
「そろそろ勉強会が再開するから戻ろうぜ」
「ああ、そうしよう」
「そうだね」
ちょびっとホッとした様な感じを見せ、オレらについてくるように学習室へ向かった。
「さっきのメンバーで教えあおう」
自然とグループが出来て、早速勉強を始める。この学習意欲なら5人とも成績向上間違いなしだな。
「じゃあ、今度は国語をよろしく」
「分かった」
今度は梓ちゃんメインで秀吉と康太に教える。途中で姫路と島田と霧島がこちらを伺っていたので、2人を梓ちゃんに任せて監視をすることにする。
「言っておくけど、無理だからね」
「まだ何も言ってないのに!」
「一緒に勉強したいとか思っているんだろうけどね無理無理」
「どうして私たちの邪魔ばっかりするんですか!!」
逆にしないほうが人としてどうかと思うよ。親友が傷つけられているのに黙ってみているだけとか。
「………私たちの愛は誰にも邪魔できない」
「そうは問屋が卸さない。霧島。頼むから正常に戻ってくれ」
秀才いや天才霧島よ。過去に何かあったのは分かるがそこまで雄二に執着して、どうして雄二をそこまで傷つける。結果的に自分から手放して行ってるじゃないか。
姫路も島田もだ。ちょっかいを出す程度なら分かるが、やりすぎという限度が分かってない今、パートナーとなるべき人を傷つけるどころか、生死の境をさまよわせている。
「おい、お前たち。立って話さないで、勉強をしなさい」
西村先生の声が聞こえてきたため、しぶしぶ3人は空いている席へと向かっていった。
途中の得意教科とかは完全にイメージですよ。
優子は英語が得意ってイメージから離れないんですよね~(笑)
梓や憂は全然分かりません(苦笑)
愛子が理科が得意な理由は「生物」があるからです。
保健体育とからませて覚えます。
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