青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 どこかの番組みたいなサブタイトルになってしまいましたが……
 (作者は一度も見たことが無いんですがね)

 今話の内容はこれがぴったりでしょう!


 では、どうぞ!!




#39 逃走中!

 

 「わたしたちはあなたたちに模擬試召戦争を申し込むわ。覚悟しなさい」

 自習が終わり、自由時間になって部屋へと戻ろうとしたときに、後ろから女子の声が聞こえてきた。思わずオレたちは振り向くと、そこには見知らぬ女子が10人くらいいた。しまったな。女子4人と別れてきてしまったためにコッチは6人しかいないぞ。

 

 「え~っと……誰?」

 「女子風呂を覗こうとした人を成敗する正義の味方よ」

 中二病? 自分で正義の味方って言ったら世話ねえな。横で咳こんでいるじゃないか。ってしかも、それ冤罪だし……

 

 「オレたちはあんたたちに用はないんだけど」

 「こっちにはあるのよ。あなたたちを成敗しなければならないっていうね」

 「何処のクラスの人間だ」

 「Cクラスよ」

 なかなか言わないリーダー格にしびれを切らしたのか、半歩下がったところにいる女子が代わりに応えてくれた。なるほどCクラスか。あの小山とかいうところの下ね。そういう行動に出るわけだ。オレらはアイコンタクト(したこともなかったけど)で会話をかわし、次の行動をとる。

 

 「先生」

 「はいなんでしょう?」

 「ちょっとあそこに……」

 と女子の背後のほうを指差して注意を向ける。先生だけでなく女子まで引っかかってくれた。その隙に、オレたちは逃げる。ただひたすら逃げる。全員が同じことを思っていたらしく、誰1人出遅れることは無かった。

 

 「何が ー って、みなさん!?」

 「逃げたわね!! 敵前逃亡よ!」

 「残念ながら、先生は承認します! って言ってないからな」

 と言い残し、逃げるも追いかけられる。運動能力に劣る竜也であっても運動部じゃない女子に後れを取ることは無い。他の5人は言わずもがな。

 

 「図られたわね。部屋まで追うわよ」

 という女子の声が聞こえてきたために、オレたちは目的地を急遽変更することにした。今のオレたちでやつらに勝つことは厳しい。点数が不利な上に、人数でも劣っている。オレ1人高くてもほぼ無意味。

 

 「何処に逃げ込もう」

 アキが走りながらみんなに問いかける。竜也は息がきつそうになってきて、そう長くは走れないみたいだ。

 

 「女子塔に行ったところで敵は増える一方」

 「男子塔で逃げるにも限界が!」

 「となると、男子トイレに隠れるか?」

 「………隠れるのはやめたほうがいい。すぐに逃げ出せない」

 康太の言うとおりだ。もしそのまま入ってこれるような女子が追っ手にいたら万事休す。

 

 「こうなったらさっきいた学習室に戻り、先生がたくさんいるところに行こう」

 「干渉を駆使して試召戦争させないわけか!」

 「ずるいかもしれんが、時間稼ぎにはなるだろう」

 「で、結局何処に!?」

 「学習室だ!」

 といっても、男子塔から学習室に向かう道は一本道。どこかでさっきの追っ手と鉢合うことになるのだが… 

 

 「見つけたわよ!!」

 学習室にちょっと遠いところで、追っ手に見つかる。相手も人数を割いて探していたらしく、メンバーは5人に減っていた。

 

 「今度は逃がさないわよ! 遠藤先生、召喚許可を」

 「承認します!」

 『試獣召喚!!』

 Cクラスの女子と自称していた彼女らは召喚獣を出してきた。こうなったら召喚しないと負け確定だ。

 

 「雄二よ」 

 「何だ」

 「オレ、今いい案思いついたんだが」

 「奇遇だな。俺もだ……だが……」

 「任せろ。後は頼む」

 「いいのか? それじゃあ」

 雄二は他の全員にアイコンタクトをして、オレが召喚するのを見届けてフィールド外に出る。1vs5の形だ。1人でも出しておけば、敵前逃亡にならないから、今雄二たちは自由の身だ。

 

 「者ども逃げるぞ!」

 「しょうち ー ってええ!?」

 「いいから! 後のことは弘志に任せろ!」

 「そんな……」

 アキがオレを心配してくれるのか、立ち止まったりしていたけどさっさと行って欲しい。雄二とオレの考える案が一緒ならいいんだが。あいつを信じよう。

 

 「逃げたわね」

 「行かせないけど。オレを倒してから行くんだな」

 「1vs5でよくそんなこと言えるわね」

 「それに、増援を呼んだわ」

 二手に分かれたと見られる女子の追っ手も合流すると1vs10という悲惨なことに。その前にケリをつけたいんだが……教科が英語か。

 

 英語  A七島 vs Cモブ×5

       231    平均168

 

 文系教科の中でもちょっと苦手な英語。1人ずつだったら倒せるが、そう簡単には殺らしてくれない。

 

 「5人で囲んでいっせいに殺すわよ」

 「分かりました!」

 リーダー格がオレが一番嫌がる戦法をとる。オレは刀1つで立ち向かう。まあ、死中に生ありだ!

 

 「行けえっ!!」

 「…………っ!!!」

 5人揃っての大小さまざまな武器を一息でかわす。オレの目的は時間稼ぎ。先に逃がした雄二が頼りだ。

 

 「ちょこまかと!」

 「時間稼ぎが目的なんでね」

 「何言ってるの? 吉井たちは完全に逃がしてしまったから、わたしたちの目標はまずあなたを補習室送りにすること。一番面倒だからね。それに、時間があれば増援が期待できるのはコッチよ」

 さっき分かれた5人の増援なら怖くも無い。ただ、本当に違うところから援軍が来るなら怖い。

 

 「いい加減に早くくたばることね」

 「そう簡単にはいくかよ」

 実は、召喚獣を使うのは3回目ではないオレ。たまに高橋先生に頼んで操作技術の向上に努めていた。今回は結構それが役立っている。

 

 「今度はコッチの番だな」

 程よいくらいで反撃もする。そういう構えを見せておかないと。

 

 『何なんだお前たちは』

 『コッチに来てください!』

 『一度明久とはケリをつけねばならんと思ってですね』

 『ここらへんでいいです。試召戦争の許可を!』

 と、後ろからアキと雄二の声が聞こえる。戻ってきたみたいだ。

 

 『承認する!』

 と、背後で西村先生の声が聞こえた瞬間に、今までオレたちの召喚獣が出ていたのが一瞬に消えた。

 

 「何が!?」

 一瞬状況がつかめていない女子を尻目にオレは逃げ出す。そう、いわゆる『干渉』だ。

 

 「ナイスだ雄二!!」

 「おうよ! 助かった弘志」 

 「逃げようヒロ!!」

 雄二と案が一緒でよかった。干渉を多用する、ということだ。

 

 「そこまでよ」

 逃げようとした矢先に、第二の追っ手が目の前から現れた。要するに挟み撃ちというやつか。

 

 「ちっ……ぬかったな」

 「遠藤先生、取り消してください」

 「はい。承認取り消し!」

 こう言うと、西村先生のフィールドが残り召喚獣を喚びだせるようになる。オレたちは隙を見て逃げ出そうとしたものの、相手は機を制して先に召喚獣を出した。こちらは3人。相手は10人。劣勢もいいところ。

 

 「雄二」

 「何だ」

 「残りはどうした」

 「見ていたら分かる」

 雄二の言うとおりにしてみることにする。召喚獣を出してすぐに後ろからこんな声が聞こえてきた。

 

 『高橋先生、模擬試召戦争をするのじゃ』

 『かかってこい秀吉!』

 『承認します!』

 まさかの二段構え。再び干渉によってフィールドが消される。その隙にやはりオレたち3人は2人と合流して逃げ出す。

 

 「また同じ作戦を取る気!?」

 「そっちはもう逃げ場は無いはずよ!」

 そう。オレたちが逃げ込んでいるのは学習室。学習室の先は女子塔。要するに、学習室を中央に男子塔と女子塔がある。この女子も女子塔に行けば仲間が増えると思い込んでいるのであろう。

 

 「雄二、康太がいないみたいだが」

 「分かってて言うな」

 なるほど。三段構えの残り1人のキーは康太か。もう干渉は通用しないだろうが……

 

 「もう追い詰めたわ」

 学習室に入って、対峙するオレたち。何故だろう。負ける気がしない。その理由は後ろのオーラであった。

 

 「………雄二。間に合った」

 「ああ、サンキュー」

 どんな作戦を取ったのか。気になって背後を見てみると。

 

 「助けに来たよ♪」

 「全く……懲りない人たちもいるようね」

 「わたしたちはヒロ君たちの味方だから!」

 「要するに、あなたたちの敵」

 1人康太は女子塔に行き、オレたちの唯一の助っ人である、女子を連れてきてくれた。コレに勝る助っ人はもうオレたちの手札には存在しない。一瞬でこれら全てを指示出した雄二の頭の回転の速さはすごい。オレは干渉の件しか考えられなかったが……

 

 「Aクラスの木下に工藤……」

 「何故あなた達がこいつらに味方を……?」

 憂ちゃんと梓ちゃんが抜かされたのは突っ込んであげるべきなのだろうか。それを考えていると優子さんが答えていた。

 

 「何言ってるのかしら? 助けを求められれば手を差し伸べるのがAクラスの役割なのよ」

 そんな役割があるとは初めて耳にした。それがAクラスがAクラスたる所以なのであろう。

 

 「こんな犯罪者に手を貸すなんて馬鹿馬鹿しいと思わないのかしら?」

 「早く勝負しなよ。そっちも10人、こっちも10人。互角じゃないの♪」

 愛子ちゃんが挑発する。互角なわけが無い。Fクラスが混じっているとはいえ、一度試召戦争で対戦しその強さを体感しているAクラス生5人もCクラス10人は敵にしないといけない。

 

 「そこの男子共は、女子なんかに手を借りて恥ずかしいと思わないの?」

 「何を言ってるんだ」

 プライド? そんなものこの状況であってたまるか。

 

 「捕まって冤罪を造り上げられることの方がよっぽど嫌だな」

 「まだ言って……」

 「で、どうするんだ。やるのかやらないのか」

 「くっ……覚えていなさい!」

 どこかで聞いたことのあるような捨て台詞を吐いて、Cクラスの女子は退散して行った。最大の目的、戦わずして勝つ(相手を追い払う)が達成された。その功労者は何といってもこの女子4人。もちろん作戦を立てた雄二も素晴らしい。

 

 「あの様子じゃ、数十人を相手しないといけないかもしれないわね」

 「そうなったら、いくらボクたちとはいえ勝ち目がない」

 オレたちが作戦会議をしている中で後ろから西村先生と高橋先生がやってきた。先ほどはすいませんね。干渉のお手伝いをしていただいて……

 

 「先ほどの女子だが、お前らを指して犯罪者と言っていたが何の話だ?」

 「身に覚えがありませんね」

 「そうか。それよりあまり先生を使うな。先ほどの干渉連発は驚いた」

 「あれも作戦のうちです。弱者が強者に勝つには何だってしないと」

 自分で自分を弱者とみなすことによって、いろいろな作戦が浮かぶ。強者とみなしてしまうと奇襲に弱い。

 

 「そろそろ飯・風呂の時間だ」 

 時計を見てみると確かにそんな時間だ。オレたちは残り今日をゆっくり過ごすことができた。途中、FクラスがEクラスとDクラスの男子を巻き込んで覗きに参加した。という報が入ったが気にせず床につく事にした。

 





 悪知恵を出させれば若葉学園において右に出るものはいない雄二。

 大活躍です。

 しかし、2日目でコレなら残りの日どうなることやら……

 女子は大変ですな。
 覗かれながら、明久たちを倒すと言う使命にも追われているなんて。

 途中の「死中に生あり」と言う言葉、上杉謙信が発した言葉として有名です。
 「死中に生あり、生中に生無し」意味は文から予想してください。


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