青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 数話続いてきた合宿編もとうとうクライマックス。

 幾度と無く地味に出てきた伏線を一気に回収!

 真犯人は一体誰なのか!?

 では、どうぞ!!




#42 決着!

 

 

 「ようやく……このときが来たようね」

 「アキ、覚悟しておきなさい」

 「明久君、楽しい時間ですよ」

 「………雄二」

 姫路や島田、霧島や小山、そのほかにも後ろに中林など数人がいた。

 

 「こう来ると思ってたよ」

 「その割に随分と無用心ね」

 「そちらこそ女子風呂は大丈夫なのか? 男子全員が覗きに加担したらしいぞ。高得点者がこっちにいていいのかね?」

 「先生たちもいるから大丈夫よ。それよりわたしたちはあなたたちに用件があるの」

 相手側は先生を1人連れてきているため、試召戦争でオレたちを補習室に送る気満々のようだ。

 

 「今までさんざんわたしたちのことコケにしてくれたわね」

 したっけ?

 

 「もういいわ。この決着は試召戦争でつけましょう。遠藤先生、召喚許可を」

 「承認します!」

 『試獣召喚!!』

 なるほど。遠藤先生か。優しそうだから本当は覗きの阻止をしないといけないはずなのについつい小山たちに連れてこられたんだな。西村先生や高橋先生など主力の先生達はみんなあちらに出払っているのであろう。

 

 「これで最後にしよう。もうお互い異論はなしだ」

 「いいでしょう」

 『試獣召喚(サモン)!!』

 

 英語 A七島・F坂本・F吉井・F土屋・F木下・F本田

     269  ・ 142 ・ 36 ・ 28 ・ 67 ・ 54

 

 見るに耐えない数字だ。雄二は優子さんに教えてもらった甲斐があったみたいだ。

 

   A霧島・F姫路・C小山・E中林・F島田・他数人

    421 ・ 418 ・ 169 ・ 118 ・ 48 ……

 

 圧倒的に不利だ。相手に霧島や姫路がいるというとてつもない不利な展開を謀で勝るように取り計らう。

 

 「竜也!」

 「おう、『教科変更(チェンジ)!』

 竜也は黄金の腕輪を取り出して、腕輪の効果を使う。別に黒金の腕輪で干渉してもいいんだが、結局のところ、いつかはこいつらと決着はつけないといけないので。

 

 「何になったんだ?」

 

 A七島

 149

 

 「数学かよ!!」

 よりにもよって、数学に教科変更。こちらには雄二だけが頼りなんだが、島田でさえ高いんだからさらに不利な状況になる。だが、これ以上の教科変更は不可能であろう……

 

 「ありがたいわ~ウチ、数学得意なのよね」

 「これは神様がわたしたちにくれたチャンスなのでは?」

 「そうかもしれないわね」

 ふざけたことをぬかさないで欲しい。それよりこいつらはまだ大事なことを忘れている。オレらにはまだ助っ人を温存し、最後の作戦としてカードをまだ切っていないのだ。

 

 「ホント、いい加減にして欲しいわね」

 「全く成長して欲しいものだよね」

 そう、優子さん以下4人の助っ人だ。これが最後の切り札って訳じゃなく……

 

 「あなたたち……」

 小山の歯軋りする音が聞こえてきた。すっかり姿が見えなかったので油断していたらしい。

 

 「梓ちゃん、憂ちゃん証拠は見つかった?」

 「バッチリ」

 「ちゃんとレコーダーにも録音してあるから」

 「何のこと?」

 そう、コレがオレが密かに女子と企んでいた最後の切り札だ。

 

 「お前、オレたちが覗き魔扱いされていたの忘れてんのか?」

 「忘れてないけど」

 「お前たちには言ってないが、その犯人を内密に調べていたんだ」

 「何言ってるのかしら、その犯人があなたたちでしょ」

 小山が何か言ってるが、こちらとしては既に証拠が挙がっているんだ。

 

 「まずは、この女子風呂で見つかったカメラだが」

 「何故あなたが持っているのかしら?」

 「心優しい人が貸してくれて。それでコレの指紋検査をしたところ、とある人の指紋が出てきたんだ」

 「っ!? わ、わたしの指紋はついてるでしょう。最初に見つけたんだから!」

 小山が明らかに動揺している。

 

 「お前たちにもオレたちの無実を証明するべく、一緒にこのレコーダーの内容を聞いてみようかね」

 「好きにすればいいじゃない!」 

 「そうさせてもらうよ」

 オレが合図をすると、愛子ちゃんが持っていたレコーダーに録音されているのが流れてきた。

 

 『 ー これでいいんでしょ』

 『ああ。これで目障りな吉井や坂本と言った連中もおしまいだな』

 『流石。素敵よ恭二』

 

 「 ー っ!!!」

 小山が声にならない悲鳴を上げていたが続ける。

 

 『もう一度おさらいを。友香が最初に見つかりやすいところにカメラを設置し、わざと発見させる。その後、みんなの目の前でそれを発見して、吉井たちが犯人だとわめく。で、数人を連れて吉井たちのもとへいくのだ。天誅ということかな。あいつらはそれをきっかけに本当に覗きに走る。そのときには返り討ちにしてあいつらの評判を地に落とすのだ』

 『しっかり覚えておくわ。恭二』

 

 「どうだ小山友香よ。これに心当たりは?」

 「あ、あるわけ無いじゃないの!!」

 「ほう。まだシラをきるつもりか」

 「もう当の本人はゲロっちゃったよ」

 と、愛子ちゃんが小山に告げる。小山がビックリして愛子ちゃんたちのほうを見ると、そこには力なくうずくまった根本の姿が。

 

 「目撃証言も出ているぞ。突然カメラを取り出して、犯人は吉井だ坂本だとわめいている小山の姿があったと」

 「っ……」

 「さて、どう弁明してくれるのかな。オレたちに濡れ衣を着せて」

 「小山さんどういうことですか、説明していただけますか」

 遠藤先生は召喚許可を取り消して、小山に迫った。

 それと時を同じくして、

 

 「オネエサマ~!! あの豚野郎共は、退治しました!! 美春と一緒にお風呂に入りましょう!!」

 「み、美春!?」

 清水美春がやってきた。どんどん場を乱してくれ。

 

 「先ほどの話を詳しく聞かせてもらいたい」

 と、西村先生までいつの間にかやってきた。思ったより覗きの勢力が弱かったのであろうか。

 

 「小山・根本、補習室に来てじっくり話を聞く」

 と、2人を連れて補習室へ行った。

 

 「もうあななたちもお風呂に入るように」

 遠藤先生は、そういい残して歩いていった。

 

 「さて、どうしてくれるのかね」

 オレはいろいろな意味を込めて、霧島たちに問う。

 

 「で、でもアキたち女子風呂覗こうとしてたじゃない!!」

 「そうですよ! さっきお風呂の方に向かってましたし!」

 「………悪い子たちにはオシオキが必要」

 あくまでアキや雄二を道具としてみているようだ。これはもう取り返しがつかなくなる。さっぱりと縁を切るべきであろう。

 

 「代表、幻滅しましたよ」

 「坂本君をどうしてそこまでに」

 「霧島よ。オレはある程度予測できる。ただ、雄二がもうダメなんだ」

 いろんな意味で。無意識的な部分から避けているように見える。

 

 「だから、霧島。雄二のことを思っているのなら、潔く距離を置け」

 「………そんなこと出来るわけない!!」

 「雄二は特定の所有物じゃないんだ。そんなことを分からない霧島ではないだろう!」

 「………小学校の頃からの私の夢!」

 それをつぶしたのは自分の行動だ。それを理解しろといっている。

 

 「姫路・島田。お前たちもだ。もう取り返しがつかないことをしている」

 「どんなことですか!!」

 「そんなのしてないわよ!」

 「だから、アキのことを大切に思っているなら、縁を切った方がいい」

 オレもまた嫌な役割を背負っているもんだ。変にかばったりするからこうやって後々大変なんだよ。そういうのを身に染みて分かったかなアキも雄二も。

 

 「そんなこと出来るわけ無いじゃないですか!!」 

 「そうよ! アンタにそんなのを決める権限はない!」

 「姫路さん、島田さん。あなたたちFクラスに馴染みすぎたんじゃないかしら?」

 「わたしもそう思う。しっかりしなよ。普通に考えたら分かることじゃん」

 憂ちゃんによる痛烈な批判も混じって口撃する。気づいたら、中林以下モブがいなくなっていた。

 

 「………それでも!」

 「ちょっと待った。康太・竜也、アキと雄二を部屋に連れて行け。部屋から出るな」

 「分かった。しっかりとケリをつけてきてくれ」

 「………承知した」

 これ以上、口論をアキや雄二に聞かせるのは酷というもの。ただ、案の定3人はそれを追いにかかる。

 

 「待てよ。行かせるわけ無いじゃん。オレたちと話してケリをつけるんだ」

 秀吉や、女子4人で進路をふさぐ。

 

 「どうして邪魔ばっかりするんですか!!」

 「あんたたちさえいなければ!!」

 「………雄二」

 島田と姫路はキレ、霧島は姿が見えなくなった雄二をずっと見ていた。

 

 「3人に最後通牒を。今まで自分がやってきた行動を思い返せ。何か反省する点があるならば、オレやこの5人に話を通せ。直接話すのは不可能だ。あいつらの精神的に。が、それでも何も分からないと言うのなら、アキや雄二に近づくな」

 「3人とも、ココまでヒロ君が丁寧に説明しているのをありがたいと思わないと」

 正直、こんなこと言って元に戻るようだったら今までにそのチャンスは数回あった。ほとんど無駄だと思うが、一応形だけは。

 

 「今の状態では嫌われたまま卒業、そのまま別れるわね」

 「それが嫌なら、さっきの弘志君の忠告を聞くことだよ」

 「ダメだと思っているのに、最後の手を差し伸べているんだからね。有効に使わないともったいないよ」

 「ワシらはこれにて失礼する」

 それぞれ一言ずつ残して、オレらは部屋へと戻る。女子4人もこちらについてきてくれた。一回だけオレは後ろを振り向いたが、3人は依然として立ち止まったままだった。

 

 「オネエサマ~!」

 清水は意外と常識人だということがわかった。今の深刻な話中に1回も口を挟まずに後ろで待機していてくれた。島田にはもったいない人間かもしれないな。オレらが去った後に再び島田のもとへ。

 

   ★

 

 「お帰り」

 「………どうだった?」

 「何とも言えんな。一応釘を刺した。近寄るなとは。それでも変わらないようだったらオレらで ー 」

 「ありがとね、みんな。そこまでしてくれて」

 「情けねえよな俺とした事が。恐怖で足が動かねえなんて『悪鬼羅刹』の俺になってからは初めてだ」

 お前らは被害者だ。そうなるのが普通の人間だ。よく今まで我慢していたよ。

 

 「今日はもうこの部屋から出たくないか」

 みんな疲れきっている顔をしていたので、風呂は部屋のを使うことにした。

 

 「じゃあ、わたしたちは部屋に戻るね」

 「ありがとう。今回は本当に助かった」

 「あんなのを見せ付けられているのに無視するなんて気分悪いからね」

 みんなお礼を言って、女子が去るのを名残惜しんだ。

 

 「本当に助かったな。持つべき友人はああいう人だな」

 「オレこっちに転校してきてよかったよ」

 「お前、そういえば聖クロニカ学園から転校してきたといったな。何でだ?」

 「いろいろとあったんだよ」

 とお茶を濁すような回答だった。問い詰めると、いろいろなことがわかった。

 

 そこの理事長の娘と同じクラスだったらしいが、とんでもないお嬢様タイプだったらしい。男子を人として見ている雰囲気じゃなかったらしく、奴隷扱いだったそうだ。他の男子は理事長の娘だからとかルックスがいいとかで媚売っていたが、自分だけは絶対に服従するのは嫌ということで反抗していたら、徐々にクラスどころか、学校中で浮いてきたらしい。それでいじめられるようになってから、こんな学校を勧めた親にも反発して家出をし、前々から興味があった若葉学園に通うことにしたそうだ。

 

 みんな一人一人にさまざまな悩みを抱えていると分かった強化合宿だった。

 





 犯人意外でしたか?
 まあ、結構分かりやすかったかもしれませんが。

 根本結局、悪の方に戻しました。
 良根本の印象がパッと来なかったもので。

 清水が美化されていっているような。
 声優つながりで大事にしないとですね(笑)

 最後の竜也の転校話。
 そんなに大したことじゃなく、伏線と言うわけでもありません。
 
 さて、次の話は何だと思います?

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