青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 お久しぶりです。

 今日3日間によるテストが終わりました。

 結局そこまで勉強できませんでしたが。

 どうしてテスト期間中って、アニメがすすむんでしょうかね(笑)

 では、どうぞ!!




#44 暴走!

 

 「来てくれたみたいだね」

 試召戦争も無く、中間テストや強化合宿も終わり、期末テストにはまだ時間がある今日この頃。オレは他の複数の人間と共に学園長に呼ばれた。

 

 「一体何ですか!」

 こう言うのはアキ。他のメンツを見てみても雄二・秀吉・康太・竜也といったFクラスの連中に梓ちゃん・憂ちゃん・優子さん・愛子ちゃんといったAクラスのメンバー、計10人が学園長室に呼ばれている。だからなのか、学園長室には学園長他、F担任:西村先生とA担任:高橋先生がいらっしゃった。

 

 「アンタたちを見込んでちょっと頼みがあるんだけどね」

 これほどまでに学園長を見たのは初めてだが、嫌味が籠った言い方でちょっとね。

 

 「今、試験召喚システムがおかしくなっているんだがね、それの修復を手伝ってもらいたい」

 「試験召喚システムがおかしくなっている?」

 「それの修復?」

 考えても分からん。そんなものをオレたちに頼んだところで出来るものなのか。

 

 「あのセキリュティ万全のサーバールーム内に誰か侵入しておかしくしているんだよ」

 「システムのコアに近い教師用の召喚獣は完全に使えないようになっているんだ」

 「それに、生徒用の召喚獣も操作不能=暴走状態にあります」

 「そんなのを一体どうやって!?」

 オレらに頼んでも何も始まらない気が!?

 

 「おまけに、サーバールームの防犯システムにアクセスできない。これじゃ修理に入ることも出来ない」

 「壁を壊して侵入しようにも、明日はスポンサーにこのシステムの説明をしないといけないから」

 「なるべく、隠密にことを進めたいのです」

 「だからといって何で僕たちに頼むんですか!?」

 アキが代表してオレたちが疑問に思っていたことを言った。

 

 「観察処分者の召喚獣は別領域で動いているからそれで中に侵入してもらって修理してもらおうと思ってね。それに、腕輪所有者の召喚獣も別領域で動いているからね。そこの吉井明久と七島弘志に本田竜也にちょいと働いてもらおうかと思ってね」

 「俺も黒金の腕輪を持っているが」

 「教師がフィールド作成を出来ないんだ。ということはそれでフィールド作成するしかないさね」

 「なるほどな」

 だからこのメンバーを選んだわけか。

 

 「それにしても、それだけならばその4人でいいはずでは?」

 「アンタたちを買っているんだよ。強化合宿での行動をね。信頼しているよ」

 「お前たちの協力する姿勢や、正義感あふれる行動を買ってこの10人を選抜された」

 「その期待に皆さん応えてください」

 へ~口は悪いけどちゃんと見るところ見ているんだねこの学園長は。

 

 「召喚獣でサーバールームに入ってケーブルを繋いでくれ。そしたらアタシが端末から防犯システムを切って扉を開ける」

 「なるほど。物理干渉が利く明久ならではの作戦か」

 「でも、壁とかをすり抜けられないよ」

 「ちゃんと通気孔があるから安心しな」

 相手はこちらのことを買ってるかもしれないが、こっちは学園長のことを何も知らない。

 

 「通気孔の中だと、見えないから操作できないんじゃない?」

 「………これ、ビデオカメラと送信機」

 「OK、いつも持ち歩いている謎はあえて聞かないよ」

 先生達も、仕方なく今回は黙認しているようだ。

 

 「黒金の腕輪の範囲は狭い。サーバールームの目の前で使ってくれ。誘導はこちらからする」

 「大型ディスプレイがあるAクラスでしますか?」

 「いや、一般生徒には迷惑をかけたくない。ここにも小型だが、ディスプレイがある」

 といって、とあるリモコンを使ってスイッチを押すと学園長室の1つの壁の上からスクリーンが降りてきた。

 

 「簡易スクリーンだよ。これでいいさね」

 「分かりました」

 「頼んだよ」

 何か、若葉学園の存続を託された気がしたが、出来ることをやるしかない。

 

 「すまんがオレ、テストの点数ものすごく低い。多分0に近い」

 「今頃言う?」

 「言い出すタイミングが無かった」

 「仕方ないですね。急いでテストを受験しましょう」

 竜也はテストを受けるため、オレとアキ・雄二でサーバールームの方へ向かうことにする。

 

 「頑張ってね!」

 と、みんなに後押しをされながら、学園長室を出た。

 

 「しかしムッツリーニも最新式の機材をよく持っているなあ」

 「今回はそれが学園の存続のために役に立っているな」

 先生達も、本当に康太に感謝するべきである。こんなことを言うのは、全てが終わった後にしよう。

 

 「着きましたよ」

 無線で繋がっている学園長に話しかける。

 

 『早速、展開し召喚してくれ』

 「2人とも準備はいいか?」

 雄二がオレとアキに問う。目を合わせてうなずく。

 

 「起動(アウェイクン)!!」

 「「試獣召喚(サモン)!!」」

 オレらの召喚獣が通気孔を通って、中の(迷路になっているらしい)道を進む。

 

 『聞こえるかの2人とも』

 「バッチリだよ秀吉」

 『そのまま直進じゃ』

 『………3m先を右折』

 「了解!」

 秀吉と康太の指示通りにオレたちは進む。が、曲がった途端トラップが。

 

 「痛っ!! 痛いよこれなに!?」

 『毒の沼地さね。セキュリティの一種さね』

 「お、おい! フィードバックがオレにも来るのは何故だ!?」

 『それは厄介さね。今アタシが研究しているのに少し関係するが、話は長くなるから後にするさね』

 どんな研究だ!! くっ……アキはよくこんなフィードバックを耐えれるな。

 

 『迂回するわよ。そこで左折して』

 「了解!」

 『すぐに右折!』

 「OK!」

 次々に出てくる指示通りに進む。案外順調かと思われたその時。

 

 「召喚獣が!?」

 「これがいわゆる暴走召喚獣か!」

 「しかも、秀吉とムッツリーニじゃないか!!」

 『すまぬ! 操作が出来ぬ。オートで動いているようじゃ』

 『………気をつけろ。今フィールドは保健体育だ』

 「「何だって!?」」 

 保健体育の王様に平民のオレたち2人が挑むのか!

 

 「アキどうする!?」

 「って言ってる側から!!!」

 『避けろ!!!』

 「「ぐわあっ!!!!」」

 痛いと思うより先に、オレは目の前が真っ暗になった。

 

 「明久ぁ~!! 弘志ぃ~!! おい、戦死したのか!?」

 『みたい』

 「この2人気絶している。俺は急いで保健室に運ぶからどうにかしろ!!」

 

   ★

 

 「……っ! ココは?」

 「起きた~良かった」

 「? みんな? あれオレそういえばサーバールームに……」

 「ヒロも起きた?」

 「アキか……って“も”?」

 オレは記憶をたどることにした。どうもみんなと会話が成り立たない。

 確か、秀吉とムッツリーニの暴走召喚獣と出会ったあたりから記憶がないんだよね。

 

 「………あの後、俺の暴走召喚獣が2人を一撃で仕留めた」

 「コンピューターが操作しているだけあって的確な場所を突き止めていた」

 「お前らフィードバックは大丈夫なのか?」

 「全然問題ないよ」

 「何でオレらが保健室に運び込まれているかが謎だな」

 あまりの衝撃に痛みすら飛んで行ったらしい。痛みを感じることすら出来なかったと言っていい。

 

 「隣にいるのに、何もしてやれない俺が不甲斐ないぜ」

 「仕方ないよ。雄二はフィールドを展開するのが仕事だから」

 「2人とも、まだ続けることは出来ますか?」

 「「はいっ」」

 オレたちは保健体育のテストだけを受けなおして再チャレンジすることになった。因みに竜也はほぼ全教科受けなおしているから未だに合流できないらしい。

 

 「試獣召喚!!」

 再び、1からのスタートだ! ただ一つ心配なのが、黒金の腕輪はランダムで教科が出てくるからまた保健体育とかで康太と当たると二の舞になりかねない。

 

 「今度のフィールドは?」

 『数学だよ!』

 「ありがとう梓ちゃん!」

 『気をつけて』

 スピーカー越しでも聞こえるみんなの声援を無駄にはしたくない。正直、ココまで期待してもらえるのは嬉しい。

 

 「出たな秀吉とムッツリーニ!」

 「5教科のときならお前らに勝ち目は無いぜ!!」

 「行くぞっ!!」

 アキが相手を引きつけオレが点数差を生かし相手をつぶす。

 

 「どうやら、倒したみたいだな。お前ら」

 「ありがとう雄二!」

 『戦死者は補習~!』

 『理不尽じゃ!』

 『………勝手に召喚獣が勝負挑んで負けただけ』

 『問答無用!』

 スピーカーの奥からこんな声が聞こえてきたが……

 

 「ゴメン2人とも!」

 「お前らの犠牲を無駄にはするものか!」

 立ち止まってるわけにはいかないんだ。

 

 「おっ! 光が射している場所があるぞ」

 「そこがサーバールームじゃねえのか?」

 『そうさね。そこまで一直線』

 「「痛たたたたたたっ!!」」

 『だが、トラップはもちろんあるさね』

 「「それを先に言えっ!!!」」

 学園長の指示はあんまり当てに出来ないらしい。優子さんを中心としたAクラス女子の指示を頼りに。

 

 『どうやら、一直線で行くのは不可能みたいね』

 「学園長の嘘つき!!」

 『仕方ないさね。アタシだって見間違えることくらいはあるさね』

 「そんな呑気な!」

 『迂回しよう。次を左折して、すぐに右折だよ』

 「了解!」

 憂ちゃんの声が聞こえてきてその通りにする。あちらの画面がどんなものかは知らないが、迷路をやっているようなものなのか。それとも……?

 

 「お前ら、一応用心しとけ。いつ敵が襲ってくるかわからな ー って危ない」

 「雄二、僕たちの反射神経をなめているのかい?」

 「伊達に召喚獣を扱っているわけじゃねえからな」

 『暴走召喚獣出現! 須川率いるFFF団数名』

 お前らは邪魔しかしないのか。

 

 「FFF団なら容赦はいらねえ! 思いっきりぶっ潰して来い!!」

 「言われるまでも無いよ!」

 「圧倒的な点差を見せ付けてやる」

 数で劣ろうとも、点数合わせたってオレに劣るんだから負けるわけがない。

 

 「よしっ。光がもうすぐそこに」

 『それがサーバールームさね』

 「入ろう!」

 「おそらく、ココにたくさんの敵が待ち構えているだろう」

 オレたちに小出しで当たらせて最後はボスが待っているんだろう。優子さんあたりが出てくるとちょっときつい。

 

 「って、お前ら3人かよ!!」

 「2vs3な上に圧倒的不利な点数差じゃないか!」

 『やっぱり、重要な拠点には重要な人材を置いているものね』

 聞こえてくる優子さんの声。そう、その3人とは……

 

 「くっ……霧島に姫路に島田か。おまけに教科が数学だと?」

 「ひ、ヒロ……どうすれば?」

 点差な上に、精神的にこちらが不利。アキの戦う気力が大幅に減っている。雄二も隣でガタガタ震えているようだ。仕方あるまい。強化合宿のあの事件があれば。

 

 「やるしかあるまい!」

 そうオレは格好よくアキに言い放つものの、圧倒的劣勢を覆すことが出来ず。

 

 「痛いよ!!」

 「くっ……このフィードバックはきつすぎる!」

 「お前らしっかりしろ! もうフィールド消すか!?」

 「そんなこと出来るわけ無いじゃないか! みんなが応援してくれてるんだ」 

 「いつにも増して暴力がきつい! 反撃の機会すら許してくれねえ!!」

 そしてオレらは負けた。

 

 





 バカテス1期8話の話です。
 
 これは長編になりそうになかったですが、1話にも収まらなかったので2話に。

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