2話に分けた部分の後半部分です。
やっぱり雄二はかっこいい!(と思うのはボクだけでしょうか?)
地味にフラグを建設?
では、どうぞ!!
★
「2人とも、すまない。俺がお前らの反対を押し切ってフィールドを……」
隣で2人の痛みに苦しむ顔を見ておきながら、どうしてもやつらの言った言葉が頭に引っかかって行動に移せなかった。
「フィードバック強すぎるだろ」
俺は気絶している2人を抱えて保健室に飛び込んだ。すぐその後に、ババア以下全員が駆けつけてくれた。このまま続けることが出来るのかコレは……精神的なダメージの方が強すぎるぞ。
「最悪な戦死の仕方ね」
「ああ」
木下姉がそうつぶやいた。確かに言うとおりだ。俺はあの戦場に立ってすらないのにおびえていた。あの翔子らが暴力を振るう姿があのときの姿と被って……何てチキンなヤツなんだ。何が悪鬼羅刹だ。どうしてあいつらを救うことすら出来なかった。
「坂本君がそう自責の念に悩まされること無いのよ」
「そうだよ。元はと言えばあんなことをした3人が悪いんだからさ」
そうは言うけどな。俺はフィードバックとやらの強さを知らない。が、比較的頑丈なこいつら2人が気絶するくらいなんだ。おまけにあのシーンだ。とめてやるのが筋ってもんだろ。
「ふむ。早く起きてもらわないとねえ」
ババアの野郎がこんなことを言いやがった。流石に俺もぶちきれた。
「てめえ今何て言った? こいつらの苦労も知らないで早々に再開するつもりでいるのか!?」
「当たり前じゃないか。そうしてもらわないと学園がボロボロさね」
「あんたはそれでも教育者か! 学園の前に、この2人がボロボロになるのが分からないのか!!」
「坂本落ち着け。相手は学園長だ。手でも出したらただじゃ済まされない」
鉄人が俺を力づくで止めたが納得できねえ。生徒が傷つくようなシステムなんか糞くらえだ。
「くそっ!」
「むしゃくしゃするのも分かるわ坂本君」
「ああ?」
「でもね。怒っても何も解決できないのよ」
木下姉の言う通りかも知れねえが……理性ではそう分かっていても感情の部分がどうすることも出来ないんだよ。寝ている2人に迷惑がかかるからと俺は木下姉に連れられて保健室の外へと向かった。
廊下に出て目の前の窓を開け、頭を冷やしながら会話する。
「なあ、俺は間違った行動を取ったのか?」
「いいえ。あの時あなたがそういう行動をしたのならそれが最善の策よ」
「あいつらの意見を尊重したばっかりにあいつらを気絶させるなんてな」
「あなたにしか分からない相当なジレンマがあるでしょう。アタシには分からない。でもねコレだけは言える。あの2人はあなたにそんなこと思って欲しくないということだけは分かるわよ」
っ!?
「今はただ、あの2人が無事に回復するのを待ちましょう」
「…………ああ、そうだな」
心が少し落ち着いた。木下姉はよく人の心を読んでいるな。
「って、あなたたち何勝手に保健室に入ろうとしてるの!?」
俺は木下姉がそう言ったから、後ろを振り向いてみると、そこには2人をあんなふうにさせた張本人3人がいた。
「明久君たちが保健室に運び込まれたところを見たから心配になって駆けつけたんですよ!」
「瑞希からこう聞いたからね、見舞いに行かないといけないじゃないの!」
「………そう」
「言ったでしょ。関わらないで欲しいって!」
「今どんな状況か分からないくせにそんなことを言うな!」
心を奮い立たせて恐怖心を出来るだけ隅っこに追いやって3人に立ち向かう。(そうは言っても、翔子からは一番遠いポジションに位置取る)今のあいつらを守れるのは俺しかいないんだ。
「坂本君、あなた1人で背負い込みすぎなのよ。今も自分だけで守ってやるんだって思ってたでしょ」
「なっ!?」
「バレバレよ。アタシもいるから忘れないで頂戴」
「ああ」
この薄い壁一枚隔てているところにやつらは寝ているが、断固として近づかせない。あいつらのためでもあるし、俺の精神の問題でもある。
「どうして、あなたたちに決められなきゃいけないのよ!」
「………雄二、ひどい。何でそんなことするの」
「いいからそこをどいてください!!」
女子だからという理由で手を出さないで置いたが、危うく手が出るところだった。その危険な行動を止めてくれたのは、鉄人だった。鉄人が俺たちがドアの前で騒いでうるさかったからドアを開けて出てきた。
「うるさい。静かにしろ」
「2人が通してくれないんですよ!」
「吉井の見舞いか?」
「はい!」
鉄人も流石に苦い表情をして少し考えていた。鉄人がドアを開けたままにしているため、中の様子が見えたが既に弘志は起きているようだ。明久に比べたら精神的ダメージが小さい上、召喚獣本体の防御力も明久とは比べ物にならないくらい高いはずだからな。
「? ココは……ああ、そうか僕また気絶しちゃったんだね」
「大丈夫?」
「あ、愛子ちゃん、それにみんなありがとね。大丈夫だよ」
「まだ起き上がっちゃダメって」
「いいよいいよ ー ひっ!!」
明久はようやく回復して起き上がろうとしたが、偶然こちらのほうを向いてしまったために再び布団の中へともぐりこんでいった。取り返しのつかないレベルのトラウマだな。かく言う俺も翔子とはもう目を合わせることすら無理だ。虚勢のみでこの場に立っているといっても過言ではない。
「見たか。今どうみてもお前らの顔を見て怖がったよな」
「あなたたちがここにいると返って明久君のためにならないから何処か行ってくれるかしら?」
「何を ー 」
「2人の言うとおりだ。3人とも頼むからこの場を離れてくれ」
鉄人が助け舟を出す。3人とも鉄人には勝てないのでこちらをにらみながら帰った。
「ふぅー……」
「よく我慢したわね。あなたも代表にトラウマがあるんじゃなかったかしら?」
「ああ。最大限まで我慢したさ。だが、ここで折れるともう坂本雄二でいられなくなるような気がしてな」
「そこまで立派なものかしらね」
「何?」
「あなたが友達思いなのは十分分かったわ。アタシたちも見舞いに行きましょ」
たまに木下姉の言うことは分からなくなるような気がする。
★
「ちっ……何なんだあいつらは」
「追っ払った。安心しな」
「雄二、優子さん助かった。ほら、アキ。もう帰ったから布団から出てきていいぞ」
「うん……」
完全にトラウマものだな。
「2人とも回復したことだし、再び試験を受けて突入してもらおうかね」
どれだけ酷使するんだ……オレらしかいないからしかたないにしても、もうちょっとねぎらっていただきたい。アキだって微妙に体を震わせたじゃないか。
「ひ、ヒロ……みんなのために行かないとダメだよね」
「強がらなくてもいいんだぞ。オレは行くさ ー って痛たたた」
体をちょっと動かしたら痛みが出てきた。
「無理しないでよ」
「もうちょっと安静にしていたら?」
「そういうわけには行かないさ」
「それじゃあ僕も行くしかないじゃないか!」
アキは精神的に強いと思う。あそこまでのことをされておきながらまだ前に進めるんだから。
その後、保健室で数学の回復試験を受けたあとに、3度目の突入となった。
「もうこれで最後にしよう。成功しても失敗しても」
「どうした雄二。突然」
「お前たちの気絶する姿をこれ以上みんなに見せるな」
「うん。そうだね。これで絶対成功させて見せるよ」
「頼んだ……
「「
所々に出てくる雑魚共は全て一蹴して、あっという間に先ほど負けたあの舞台、サーバールームにやってきた。
「出てきたぞやつら」
「今度は負けるわけには行かないんだ!!」
芸術という中途半端な教科が選択されたようだ。霧島たちの芸術の点数はよくは分からんが、相手有利なのは変わらんだろう。
「ひとまず相手の攻撃パターンを読め!」
「分かった雄二」
「避けに徹して、たまに反撃する形を取ろう」
「了解!」
流石は優秀なのが相手。攻撃速度も速く、何回か避けられないことがあった。その上、反撃する余地もない。
さらに一瞬の隙を突かれ、召喚獣が縛についた。
「ぐうっ……」
「この縄外れない」
『しっかりして2人とも!!』
まさに拷問だ。強化合宿でのやつらの行動がフラッシュバックしてくる。
「た、助けて……」
「アキ。ぐうっ!!」
アキが声にならないような助けを求めている。どうにかならないのか。
『何この音は!?』
『あ、あれだよ!!』
「お姉さま~!!」
清水美春の召喚獣が登場した。それに気を取られた島田の召喚獣は動きが停止、他の2体の召喚獣も一瞬だけ動きが止まった。オレらはその隙を逃さない。姫路の振るう大剣をジャンプして避ける。すると、島田と清水の召喚獣にジャスト。戦死した。ラッキー清水助かったぜ。その上、流れはコッチに来たみたいだ。
「え? 純ちゃん?」
そう、純ちゃんの召喚獣みたいなのが、清水を追っかけてきた。どうやら、純ちゃんは清水のお世話係みたいになっているようだ。当然、カオスになった分、こちらが有利になる。その上、
「おいおい、オレを忘れてもらっては困るぜ」
「竜也!?」
「やっとテスト終わらせたのか!」
「ああ。急いでお前らの後を追ってきた。憂ちゃんありがとな~」
『2人を絶対に戦死させないでね!』
「任せときな!」
竜也がようやく合流。ピンチが一瞬にして消え去った。それもそのはず、音楽といえばこいつ。保健体育で言う康太のようなものだ。すぐにその他の2体の召喚獣が目の前から姿を現した。
「お前格好よすぎるだろ」
「美味しいところ持っていくね~」
「まあな。でもお前らが粘っててくれたおかげさ」
「おい、談笑してないでさっさと行こうぜ」
フルメンバー揃ったところで、さあケーブルとやらを繋ぎに行こうか。まあ、その前にたくさんの敵が現れるのは百も承知だが。
『ヒロ君、私たちの召喚獣!』
『まずいわよ!』
『4人、全員いる!』
『どうにかして』
最後の最後というときに、優子さん・愛子ちゃん・梓ちゃん・憂ちゃんという最強メンバーが顔を揃えた。
「芸術だからまだ勝ち目はあるか」
「とはいっても、梓ちゃんの音楽も高いからなあ」
「勝てばいいんだよ!!」
「アキの言うとおりだな」
だが、防戦一方とまでは言わないが結構押されている展開だ。
『ヒロ君!!』
『みんな大丈夫!?』
「くそっ。ココまで来たと言うのに最後には負けるのかよ」
「まだ諦めてたまるか」
『ダメ! 最後に大技でしとめようとしている!!』
愛子ちゃんがそう叫ぶ。確かに、斧に電気をまとっているみたいだ。
「そうだ! 4人とも今すぐ試験を受けて!!」
『はあっ!?』
「そうか明久。いいことを思いついた! 回復試験だ」
『何を言って ー そういうことね!』
『ふっ……』
アキの考えた作戦は間に合うのか!! 学園長がようやくその考えにたどり着いたかと言わんばかりに鼻を鳴らしていたのが気に食わないが……自分達でやれるところまでやれということか。
『テスト受けます!』
『いいのですか? これ以上テストを受けたら3人に勝ち目はありませんよ』
高橋先生はまだ気づいていない。時間が大事ってのに……
『いいから早く!』
『どういうことなの優子ちゃん』
『こういうことよ!』
『へっ? 白紙?』
『そうか! 0点になるから、わたしたちが戦死扱いとなって消えるんだよ!!』
『なるほど。高橋先生テストを!』
「アキ、竜也、最後に一太刀浴びせよう」
せめてものオレたちの活躍だ。やらしてもらおうじゃないか!!
「「「いっけえ~!!!」」」
『木下優子・工藤愛子・中野梓・平沢憂、0点』
「よかった。これで無事に終わる。明久最後はお前の仕事だ。ケーブルをつなげ」
「了解!」
『システム異常回復しました!』
『これでひとまず終わったさね』
やっと終わった。長かった……
「終わった~!」
「よくやった3人とも」
『みんな~お疲れ~』
仕事が終わって休んでいると、みんながサーバールーム前までやってきてねぎらってくれた。これで何とかこの学園も続くのだな。
「最後にいいか」
「どうしたの雄二」
「どうしても腑に落ちない点が1点あるんだ」
「犯人が誰かって話ね」
「そうだ」
なるほど。雄二の言うとおりだ。修復の方に集中しすぎてそっちの方にまで頭が回らなかったな。
「学園長、あなた恨みを誰かから買われてませんか?」
「心当たりがありすぎるさね」
「じゃあ、内部には」
「教頭がアタシのポストを狙っているみたいさね」
「それが黒幕かもな」
「どういうことだ坂本」
「学園の不祥事を喜び、なおかつ学園内部の人間の犯行としか考えようが無いんだよ」
「セキュリティがここまで凄いのに、あんなところまで入るということを加味するとね」
雄二と優子さんのコンビは素晴らしいな。よくそこまで想像できるよ。
「でも証拠がないよね」
「そのとおりだ」
「誰だっ!!」
「どうしたの?」
「そこの影から逃げていく人が」
「黒幕だ! もしくは黒幕の手下か。追うぞ!」
「3人は休んでなよ」
そうは言ってられない。オレたちを間接的にこんな目に合わせたヤツをとっつかまえるまではな。
「待てぇ~」
西村先生ももちろん参加。これは怖い。いつの間にか外にまで走って逃げているらしかった。
『すいませ~ん取ってください』
と、オレの前に転がってきた野球ボール。もう部活が始まるような時間なのか。ん? 野球ボール?
「一か八かだが……食らいやがれ!!」
中学時代強肩で鳴らしたオレの球を受けてみろ。
ただ、意に反して結構なコントロールミスが。ああ、キャッチボールしないとダメだな。そう思ったときだった。サッカーボールがたくさん入っているかごにジャストミートし、かごが横転、ボールが転がりだした。逃亡者はそれに足を取られて転倒。その隙に趣味はトライアスロンの鉄人こと西村先生が追いつき捕獲した。
オレの意図した形とは違ったが、やつらをとっ捕まえることに成功した。
清水いいところで活躍!
雄二の苦悩と優子の的確な助言。
未だに、名前呼びとは程遠いですが、徐々に近づいていってますね。
優子が目立ちすぎて、他の3人(愛子や梓・憂)が目立たなかった気がする。
ちょっと課題ですね。
次からは本当の本当に長編に入ると思います。
今回のは順番を逆にしたんです。予定では、次やる長編の後にしようと思ってたんですが、先に持ってきました。
もしかしたら、次話まではこの話の流れを引っ張るかも。
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