青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 あの方登場!

 純もレギュラークラスに昇格できるように努力中です。

 では、どうぞ!!



#48 天然!

 

 「ヒロ~手伝ってくれ~」

 放課後、アキが数人を引き連れAクラスにやってきた。姉を見返すという意味で今回のテストではいい点数を取らないといけないんだっけ。

 

 「勉強か?」

 「そうなんだ。減点が既に300だからさ」

 「というと?」

 「あ~中間より300点以上取らないとダメってことだ」

 アキの説明じゃちょっと不足していたから雄二が教えてくれた。300点以上のupか……つらいな。

 

 「お前、中間どのくらい取ったんだ?」

 「覚えてない」

 「自分の点数くらい把握しておけ」

 「ともかく、高い点数を取ればいいじゃない♪」

 愛子ちゃんが後ろからやってきてきた。確かにその通りだ。

 

 「雄二、今日は雄二の家でいいよね?」

 「ああ構わん。今日はおふくろが旅行で誰もいないから気兼ねなく勉強できるさ」

 「そうなんだ」

 「アキ、勉強するメンツは?」

 「雄二・秀吉・ムッツリーニ・竜也・ヒロ・愛子ちゃん ー 」

 「に憂ちゃんも入るみたいだな」

 Aクラスに竜也が入ってきたときには、既に憂ちゃんの方へ駆け寄り今日の件を話していたらしい。竜也のあの喜びようを見ると憂ちゃんはOK出してくれたんだろう。

 

 「明らかにバカばっかりだな」

 「何だよその言い草は!」

 「点数を効率よく上げたいならもうちょっと教えてもらう人を要請するか」

 「優子さんお願いできるかな」

 「………別にいいわよ。西村先生や高橋先生にも頼まれているわけだからね」

 

 「後は……梓ちゃんも今日は大丈夫?」

 「え、ええ。わたしは別に用は ー でも……」

 「純ちゃん来てたんだ」

 梓ちゃんが視線を移した先には純ちゃんがいた。一緒に勉強しようとかだったら誘えばいいんだけど。

 

 「一緒に勉強しようかと思って」

 「何たる偶然!」

 「どうしたの?」

 「実は(略)ってことで」

 「ふ~ん。憂や梓が行くならわたしも行きたい」

 「いいんじゃねえの? 雄二、たくさん人増えたぞ」

 「あんまり増えてもウチに入るかどうか分からんぞ」

 滅茶苦茶増えたような。F…アキ・雄二・康太・秀吉・竜也、A…オレ・優子さん・憂ちゃん・梓ちゃん・愛子ちゃん。それ+純ちゃんだから11人か。

 

 「まあ、ともかく行こう」

 「そうだね」

 合宿のときのあのメンバーに純ちゃんが加わって、さらに活発になったな。

 

   ★

 

 「入ってくれ」

 雄二の家の前に着いて、自宅訪問。もしかしたらこれが初めてかな。出会って1年以上経つというのに。

 

 『お邪魔しま~す』

 オレたちは大人数で雄二の家におしかけた。雄二はオレたちの先を行き、リビングであろう場所のドアを開ける。そこには、一心不乱にプチプチをつぶしていた女の姿が。

 

 「   」

 何も言わずにドアを閉める雄二。

 

 「雄二? 今のは……?」

 「赤の他人だ」

 「えっ? 母親よね?」

 「おそらく、精神に疾患のある患者が何らかの手段でこの家に侵入したに違いない。何せ、俺のお袋は温泉旅行に行っているはずだからな」

 苦しすぎる。その言い訳は雄二らしくない。そんな中、雄二曰く赤の他人の声が聞こえてきた。

 

 「あら、さっき雄二を送ったと思ったのに ー 」

 は!? ってことは、オレたちが学校で授業を受けている間中プチプチをつぶしていたの!?

 

 「おふくろ! 一体何やってるんだ!!」

 耐え切れず、雄二はリビングのドアを開けて入っていった。

 

 「あら雄二。おかえりなさい」

 「おかえりじゃねえよ! 何で家にいるんだ!? 今日は泊まりで温泉旅行だろ?」

 「それがね。日付を間違えちゃったの。7月と10月って似てるじゃない?」

 「何処をどうみたら間違えるのだ!!」

 ドがつくほどの天然母親か。雄二を生んだとは思えない若さだ。

 

 「みなさん、いつも雄二がお世話になっています。どうぞ入って入って」

 「もういいよ! また出かけてくるから!」

 「あら、せっかく飲み物くらいは出そうと思ったのに」

 「何故、めんつゆを持ってくる!?」

 「あら、似ているから気づかなかったわ」

 「せめてラベルで気づいてくれ……」

 雄二が力抜けていく様子が目に見えて分かる。みんなあっけに取られていた。

 

 「みんな、すまんがウチで勉強会は無理だ。違う場所を探そう」 

 そういって、ひとまず雄二の家を出た。

 

 「そういえばさ、雄二の母親の声と純ちゃんの声似てない?」

 「そうか?」

 「全然気づかないけど」

 「分かる気もするけど……」

 気のせいか。少し似ていると思ったんだけどな~

 

 「仕方ないわね。ウチで勉強する?」

 「姉上!? いいのかの?」

 「両親は遅くまでいないんだし別にいいでしょ」

 「そうじゃな。みなどうかの?」

 「秀吉の家!? さんせ~い!!」

 瞬く間にその案は可決され、(アキ曰く2人の女の子がいる=秀吉・優子さん)木下家に向かうことになった。

 

 「どうぞ。入って。ただし、2階は立ち入り禁止。1階のリビングだけね」

 「そうじゃな。特に姉上は、人に見られてはいけ ー 」

 「何かしら秀吉」

 「なんでもないのじゃ」

 何か姉弟喧嘩が起こりそうな雰囲気だったが、簡単に収まり家の中へ。

 

 「おお~綺麗!」

 このアキの言葉通りに部屋の中は豪華ではないが、シンプルで清潔感あふれる家である。そこそこ広いため、11人はリビングに楽に収容できた。

 

 「初めからこっちにしておけばよかったかもな」

 「姉上が怒ると思って言い出せなかったのじゃ」 

 「坂本君の家で出来るならそれに越したことはなかったでしょうけど、不測の事態が起こったものね」

 「さて、明久君勉強やろ♪」

 「憂ちゃん、今日もよろしく!」

 「分かった」

 愛子ちゃんがアキに猛アタック中。いつかこの二人の馴れ初めを聞く機会があったら聞こう。それに、竜也も憂ちゃんにアタック。いつカップルになるのか楽しみだな。今のところ憂ちゃんにそこまでの気持ちはあるのかは外から見る上では分からないけどな。

 

 「基本的に、合宿のときのメンバーでいいか?」

 「慣れてるしそっちの方がいいかもな」

 「純ちゃんはオレたちのところに入れるわ」

 「分かった」

 ということで、マンツーマン(オレたちグループだけ全く違う)授業がスタートした。

 

 「純ちゃん、オレたちはこのメンバーでする」

 「え~っと、ヒロ君に梓・康太君と秀吉君か。よろしくね」

 「純ちゃんって勉強出来るの?」

 「さあ? Dクラス所属ってことがその証拠かな」

 平均くらい。何ともいえないと言えないってことかな。

 

 「まあいいや。分かるところは教えて、分からないところは聞いて」

 「了解しました!」

 何を教えようか梓ちゃんと相談して始める。

 

   ★

 

 いつの間にか数時間が経過していた。外を見るともう暗くなっていた。

 

 「もうこんな時間か。そろそろお暇しないとな」

 「あら。夕食くらい食べていけば良いのに」

 「夕食?」

 「何か出前取ろうかしら?」

 それは申し訳ない気がするから……

 

 「そこまでしてもらわなくてもいいさ。なあ明久」

 「え、うん。優子さん何か材料ある?」

 「あるんじゃないかしら?」

 「それ使っていいかな? 僕が料理するよ」

 なるほど。勉強教えてもらったお礼にっていうことかな。

 

 「明久、俺も手伝う」

 「………俺も」

 「じゃ、オレも」

 「「「竜也は今回はパスで」」」 

 「何でだよ~!!」

 確かにいつもこいつの料理を食べている羽目になっている気がするから、たまには他の人の料理も食べてみたい気がする。

 

 「ヒロ君は作らないの?」

 「えっ?」

 「だって、今男子が結構立候補しているからさ」

 「申し訳ない……料理は全く出来ないからさ」

 「そうなんだ」

 「わたしも手伝おうか?」

 「いや、いいよ。今日はこの3人で作るからさ」

 「そう?」

 ということで、キッチンではアキ・雄二・康太による料理が始まった。

 

 「任せたのはいいけど、大丈夫なのかしら」

 「優子さん。見かけによらないとはあいつらのことだ」

 「そうじゃ。姉上。あの3人は料理が上手いんじゃ」

 「竜也にはそりゃ負けるかも知れんが、味の品質は保証する」

 「楽しみだな~♪」

 「ええ。そうね」

 オレたちが雑談していると、数十分後に料理が運ばれてきた。

 

 「「「オオーーー!!」」」

 歓声が上がる。まあ確かに簡単に作ったにしては手の込んだ料理をしているみたいだ。

 

 「えっと……ちょっと下手かもしれないけど。食べてください。勉強教えてくれてありがとう!」

 「いつも助けてもらっているから、少しくらいは恩返ししていかないとな」

 「………男としてのプライドが廃る」

 「みんな……」

 オレも何か作れないなりに作ればよかったかな。

 

 「「「「いただきま~す」」」」

 みんなおいしそうに食べる。いや、事実美味しいんだって。

 

 「これ本当に明久君が作ったの!?」

 「え、そうだけど?」

 「坂本君本当?」

 「そうだが……」

 「「美味すぎる……」」

 梓ちゃんと純ちゃんがハモってこうつぶやいた。女子(憂ちゃんを除く)はちょっと暗いムードになって食べだしたのであった。あ、そうか。男子の方が料理が上手いって女子のプライドが傷つくってやつか。

 

 「「「「ごちそうさまでした~」」」」

 あっという間に食べ終わってしまった。時計を見ると既に8:00を回っていた。

 

 「そろそろ帰らないとな」

 「本当にありがとう~」

 「ワシもためになったし、楽しかったぞい」

 木下家を出て、家が同じ方向の人と帰ることになった。

 校区が木下家と同じの平沢家(憂ちゃん)はすぐに別れた。竜也はちょっと残念そうに見送っていた。

 梓ちゃんを家まで送り届けた後、オレは雄二たちと別れ1人で帰路についた。久しぶりの夜帰り、細い道は意外と不気味だった。

 

 





 声優ネタ。
 純ちゃんと雪乃(雄二の母親)が一緒って知ってましたか!?
 全然知らなかったんですよ。
 偶然、とあることをきっかけに知ってしまったんですけど。
 声優って凄いですわ。

 原作どおり、明久たちは料理が上手です。
 竜也の影に隠れますが…主夫になれる人って多すぎません?
 秀吉とヒロは何をやってるんだか(苦笑)

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