バカテスの珍しい過去編の部分ですね。
大して変更は無いですが……
最後のほうは。
では、どうぞ!!
★
教室の近くに来ると、えらくドタバタギャーギャーうるさかったので陰から様子を見ることにした。
教室内には、アキと坂本が2人いた。入学式以来のコンビだな。ただ、2人とも真剣な表情をして汗をかき、教室は見るも無残に机がバラバラになっていた。喧嘩だなと思い当たったがオレはしばらくここで様子を見ることにした。
喧嘩って言うのは当事者同士が解決するのが一番いいと思っている。だが、どうしようもなくなったときに第三者の手を差し出すのだ。という気持ちで陰から見ていると、1人の生徒が教室へ近づいてきた。
あれは……木下? 結局本当に男なのか謎な人物だな。まさか止めに入るつもりなのか?勇者だな。その木下が教室のドアを開けると同時に、
「何をやっとるか馬鹿者が!!!」
と大声で叫んだ。何が起こったのか一瞬理解できなかったが、あのちっこい体している木下が先ほどの声を出したことには間違い無さそうだ。しかも、声は担任の西村先生にそっくりだったし。
「ワシは声真似が特技でな ー 」
というようなことが聞こえてきた。声真似のレベルじゃなく、本物だと思ったぞ。
そんな木下を無視して、再び喧嘩をしようとした2人。そこに再び木下がカツを入れた。間違いない。あいつは恐るべき人物だ。そんな中、もう1人の生徒が教室に入っていった。あれは……土屋?
「………機材が壊れる」
とのこと。機材?盗撮カメラor盗聴器、もしくはその両方といったところか。入学早々なんてものを仕掛けてるんだヤツは。
「ちっ……興がそがれたぜ……」
こういった声が聞こえてきたから、オレは様子を見に行くことにした。
「お前ら何やってたんだ?」
「ヒロ……聞いてよ。こいつが ー 」
「俺じゃねえよ!」
一向に話が分からんし進まん。かろうじて分かったのは、島田関係でアキが坂本に対して怒っているだろうということと、それは誤解だと坂本が言い張ってることか。
「………これでチェックできる」
と、先ほどまで教室に仕掛けられてあっただろう盗撮カメラを2人の前に差し出した。
どうやら、この喧嘩の原因はアキの誤解から始まったようだった。たまたま1人教室に残っていた坂本が落ちている島田の教科書を拾って島田の机に入れようとしていたところにアキがたまたま教室へ入ってきた。アキはそのシーンを見て、坂本が島田の教科書にいたずらをしていると勘違いしたようだった。教科書はぐちゃぐちゃだし、坂本は不良だったこともありその誤解は誤解のままアキが理解した。そして今に至ると。その勘違いも、盗撮カメラによって無事解決した。掃除時間中に机を引きずっていたら島田の教科書も混ざって引きずってしまったためにぐちゃぐちゃな教科書が出来上がったらしい。
「本当に坂本君、ゴメン!」
アキが必死に謝る。坂本は面倒くさそうにしていたが、そうは言ってられない状況に追い込まれた。
「お前らは何やっとるんだ~!!」
本物の西村先生がやってきたのだった。
教室を見渡してみると、机の並びがぐちゃぐちゃになってるし、服も乱れており、2人の顔は少し腫れている。この状況だけ見てみると、喧嘩だと思われても仕方が無い。
ここはどうする。逃げるか。いや、この大の男から逃げ延びれるとは思えない。オレが考え事をしている間に、やつらは事前に相談していたように、西村先生の視界を上着で奪いそれがほどけても時間稼ぎできるように机を集めていた。逃げ延びる気か? あっという間に、アキと坂本は外へ走って出て行った。土屋もそれを追う。オレは残された木下と共に、やつらの手助けをしないといけない羽目になった。
木下は演技が上手い。平然と嘘をついて、西村先生をミスリードしている。オレはその嘘がばれたときにフォローするくらいでいいだろう。あんまりそういった片棒を担ぐ真似はしたくないんだが。
★
1時間くらい経ってから、アキと坂本は帰って来た。心なしか2人とも仲良くなってるように見えた。お互いのことを下の名前で呼ぶようになっているし。アキの手には新品の教科書が。あのぐちゃぐちゃになった教科書と全く同じものであった。どうやって手に入れたのかは知らんが、島田のために持って来たのは間違いない。
その後、オレたち5人は仲良く説教を受ける羽目になった。だがこの事件以降、5人の仲が深まり、お互いを下の名前で呼ぶことになった。
下校時刻になりオレら5人は、一緒に帰宅することになった。
その途中で、みんなでいろいろと話をした。
木下は演劇部に入るということや、土屋が犯罪のエキスパートだということ。
担任の西村先生は、趣味がトライアスロンらしいから、あだ名は「鉄人」となっていること。
坂本は小学生の頃「神童」と呼ばれていたことはアキに聞いた。
「ん?……神童? 坂本……雄二?」
オレはそのキーワードに何か引っかかりを覚えて考え込む。
自分のことをあまり詮索されるのが苦手なのか、雄二がオレに問うた。
「何だ? そんなに気になるか?」
小学生時は神童と呼ばれ、中学生時は悪鬼羅刹と呼ばれたのか。波乱万丈な人生送ってるな。
「え、ああ、ちょっと聞いたことあるような気がしてな。因みに聞くが出身小学校は?」
「水無月だ」
「何っ!?」
「そんなに驚くことも無いだろう。もういいか? その頃のことは思い出したくないんだ」
面倒くさそうにさっさと歩き出した雄二。オレのもやもやが解消されたんだ。もうちょっとこの話に付き合ってもらうぜ。
「オレも水無月小だぞ」
「何!?」
「因みに同じクラスでもあった、神童こと坂本雄二よ。久しぶりといって覚えているか?」
「七島弘志……? すまねえ。その頃の俺はどうかしていたから全く覚えてねえ」
「だろうな。まさかその坂本雄二が悪鬼羅刹とまで呼ばれるようになったなんて驚いた」
「俺の過去は関係ない。放っといてくれ」
「そうか。お前がそうなってしまったのにはいくらばかりか心当たりがあるが、言わないでおく」
「助かる」
その会話が終わると、誰も口を開けるものが居なかった。
神童と呼ばれていた坂本雄二、不祥事を起こしそれがきっかけで悪鬼羅刹になった。と単純に思ったが、ヤツの表情見ているとそんな単純な話じゃないということも分かった。これはまたいつの日かたずねることにしよう。
「坂本雄二……か」
小学生の頃は、あんなに人を周囲に寄せ付けなかったのに……人間の変化って大きいなあ。
今の雄二ならば仲良くなれそう。
高校入学してから2回目の土日を迎えることになった、若葉学園1年生であった。
バカテス原作の仲良くなった話に微妙にオリ主を融合させました。
転校族ならではの、おったような気がするっていう悩み。
本当にあるのか心配ですが……
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