青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 さてさて、このたびは特に言うこと無いですね。

 うん。

 では、どうぞ!!




#54 雄姿!

 

 

    ★

 

 「あれ、ここは……」

 「あ、梓ちゃん起きた?」

 「ヒロ君……何で保健室?」

 「肝試しで驚いて気絶したんだよ」

 「そ、そうだっけ?」

 ちょっと動揺が隠せない梓ちゃん。まあ、怖がりを我慢していたのはえらいとする。

 

 「あれ、隣は憂だよね」

 「そ、ちょっと過労で倒れたんだって」

 「過労って憂いくつ……」

 「唯先輩の看病をしていたんだって」

 「そっか……結構前から風邪長引いてたからね……」

 話していると、憂ちゃんが起きた。

 

 「あ、あれ?」

 「元気になった? 憂ちゃん」

 「竜也君? 何で私保健室に?」

 「過労で倒れたんだよ」

 「か、過労?」

 「唯先輩の看病のし過ぎみたいだよ」

 「そっか……わたし肝試しの途中で倒れちゃったんだ」

 ちょっと残念そうな顔をする憂ちゃん。

 

 「それより、竜也君がここまで運んでくれたの?」 

 「え、あ、そうだけど」

 「ありがとね」

 「う、うん/// 憂ちゃんが元気になってくれればそれでいいよ!」

 めっちゃ照れてるし。顔赤いぞ竜也。

 

 「ひ、ヒロ君。わたしも言うの忘れてた。運んでくれてありがとね」

 「ととと突然ビックリするなもう!!」

 「運んでくれただけじゃなくて起きるまで居てくれた。ありがとね」

 「別に気にしなくていいよ///」

 「お前も照れてるじゃねえかヒロ!」

 「うるせえ黙ってろ!!」

 お礼の言葉を面と向かって言われると照れるよ。

 

 「肝試しどうなったんだろうね」

 「2人が元気になったんなら見に行く?」

 「いいよ!」

 「最後、愛子ちゃんや優子ちゃんがどう活躍しているか見たいし!!」

 「まだ出歩くのはダメよ! 安静にしておきなさい」

 「そんな~」

 「ただし、そこの男の子がちゃんと2人を背負って2人に負担を掛けずに行くっていうのなら話しは別」

 保健室の先生がこういった。

 

 「見に行きたいね」

 「また負ぶってもらおっか」

 「恥ずかしくない?」

 「大丈夫だと思うよ」

 「しっかり面倒見てあげなさいよ。まだ完治してないんだからね」

 オレは梓ちゃんを、竜也は憂ちゃんを背負って保健室を出た。

 

 「怖くない?」

 「大丈夫だよ!」

 「これでみんなの前に現れるの!? やっぱり恥ずかしい! 降ろして!!」

 「無理な注文を……保健室の先生からの忠告は守らないとね」

 「ヒロ君~///」

 「そろそろ教室か。FFF団だけは気をつけておかないと」

 「そうだな」

 そして、肝試しの様子が分かる部屋へ。入ると同時に、結構な視線を浴びたけど無視してディスプレイの方へ。そこには秀吉がいた。

 

 「あれ、復活した?」

 「おかげさまで……それよりどうしたのじゃ?」

 「保健室の先生からの言いつけで背負ってないとダメって言われたからさ」

 「そうなんじゃな」

 「それより、アキや雄二はどうなってる?」 

 秀吉は画面を見ながら簡単に説明してくれた。

 

 「道路を作り変えられて、明久雄二・工藤姉上のコンビになってしまったのじゃ」

 「というと、大変な女子2人を怖がらせて失格に追い込もうとしてるんだな」

 「じゃろうが、無理じゃろう。工藤もあの性格上あんまりお化けの類を苦手としてるようではない。その上、姉上なぞ全く持って興味を示さぬ」

 「何か秘策があるのかね」

 竜也がそうは言ってるけど、何も思いつかない。オレと竜也はいすに梓ちゃんと憂ちゃんを座らせ、オレたちはその背後でアキたちの様子を見た。

 

   ★

 

 『なに!? 何故にこっちがチェックポイントに来ているんだ!?』

 愛子優子ペアがチェックポイントに辿り着いた。再びあちらに手違いが生まれたらしい。

 

 『関係ねえ! オレたちは2年の主席と次席を倒したんだ。その下なんざ屁でもないわ』

 『それより、お前らもともとのペアなんであのバカどもなんだ?』

 聞き捨てならないねえ。

 

 『この学園始まって最初の観察処分者に悪鬼羅刹の異名をもつ人間か』

 『ま、この2人もそれにふさわしいじゃねえか。転校生にハズレってな』

 再び聞き捨てなら無い言葉が聞こえてきたね。冷静に怒っている自分がある意味恐ろしいよ。

 

 『誰がハズレですって?』

 『お前らのことだよ。あんな屑共とコンビを組まされたお前らだ』

 『明久たちは屑なんかじゃない!!!!!』

 耳に響き渡るような声で愛子ちゃんが叫ぶ。今まで聞いたことも無い音量だ。

 

 『突然大声出して何だ?』

 『あなた達の方がよっぽど屑ですよ』

 『ていうか、さっきの大声でお前ら失格だよな。さっさと出ていきな』

 『言われるまでも無い。愛子行くよ』

 『うん……』

 こっちまで分かるような涙声だ。悔しい。それはオレだって一緒だ。優子さんの何処がハズレだ。愛子ちゃんの転校っていう種族の何処がいけないんだ。お前らなんかのような屑と一緒にするなボケ。

 

 「明久君は屑じゃない」

 「………雄二も屑じゃない!」

 「そうやって素直に応援する気持ちがあるなら、どうしてああいう行動に出るかな」

 「もはや関係修復は困難だからな」

 「オレたちの前で高感度上げようと思ったって無理だぞ。あいつら自身の問題だからな。ただ一つだけいえるのは、そうやって素直に2人のことを応援できるのなら、何故に最初っからそうしない。自分達で自分の好きな人生を閉ざしてしまったじゃないか。これはオレのアドバイスだ。自然とそういう行動が出来、心の底からあいつらのことを思えるようになるならば、どうにかなるんじゃないか。それがどういう行動となって現れるかはその人次第だが。ちゃんとあいつらのことを考えろ。自分のことばっかりじゃなくて」

 ついつい説教口調になったな……どうしてもこの2人は悪者には見えないんだよ。どうにかして元通りに戻って欲しいけど。きっかけがつかめるといいな。

 

 「………分かった。私とみんなとの愛の差はどれくらいか確かめる」

 「何が違うのか。見せてもらいます」

 好きにするがいい。竜也や梓ちゃんたちはオレに交渉を全面的に任せるらしく、関わろうともしなかった。

 

 『雄二……』

 『明久、お前の役割だ』

 『任せて』

 『『これからは本気だボケ野郎!!』』

 今までにないくらいアキたちが憤怒の表情を浮かべて進んでいく。

 

 「ごめんなさい。つい大声を出してしまって」

 「愛子は悪くない。やつらがおかしいだけ」 

 優子さんと愛子ちゃんが帰ってきた。

 

 「ちょうどよかった。2人とも、あいつらの雄姿を見てみな。もうすぐチェックポイントだから」

 「分かった」

 「ここに姫路さんと代表が居る謎は聞かないで置くわ」

 「オレの独断と偏見だ。気にしないでくれ」

 会話していると、アキと雄二が常夏のもとへ辿り着いた。

 

 『ようやく来たか本命』

 『さて、個人的な賭けだ』

 『単純に、負けた方は勝った方の言うことを聞くだな』

 『いいだろう』

 先輩方は、早速召喚する。が、召喚獣が出てこない。

 

 『あれ、フィールドがおかしいみたいですね。どうやら理科のフィールドがおかしいみたいですね。念のために別の教科の先生を呼んでおきましたのでそちらでやりましょう』

 『貴様……!』

 『教科が変わる代わりに、俺は召喚できねえ。いいハンデだろ?』

 雄二はどうやら白金の腕輪を使って、干渉を起こしていたらしい。

 

 『試獣召喚(サモン)!!』

 『仕方ねえ。試獣召喚(サモン)!』

 

 家庭科 F吉井 vs A常夏

        386   平均196

 

 『何ぃっ!?』

 『すいませんね。さっさとやっつけちゃいます』

 アキは宣言どおり、簡単にやっつけるのだった。

 

 『そんなバカな……』

 『あんたらはな。俺たちを怒らせた時点で勝負はついていたんだよ!!』

 『で、何をやらそうってか』

 『とりあえず、愛子ちゃんと優子さんに謝れ!!』

 アキはそう言い放った。これにより、肝試し大会は終了した。

 

 「どうだ姫路・霧島。何か分かったか」

 「分かりません。愛の大きさならば私たちのほうが大きいはずです!!」

 「愛が大きい小さいじゃねえんだ」

 「………どういうこと?」

 「一方的に押し付ける愛なんざ愛じゃねえってことだ。ま、一回も彼女を作ったことの無い人間が言うセリフじゃないと思うんだけどな~」

 オレは姫路たちにそう言い残して、教室を出た。アキや雄二と合流するためである。

 

 「さっきの言葉かっこよかったよ」

 「え?」

 梓ちゃんがオレの後を追っかけてきていたらしく、話しかけてきた。

 

 「一回見放したはずの姫路さんと霧島さんにもあそこまで話すなんて」

 「あの時は流石にキレたけど、話せば分かってくれると思うんだよな。だからアキや雄二もここまで付き合ってきたんだろ」

 「確かにそうかもね。わたしならば無理かな。あそこまで話すのは」

 「そう?」

 余計なおせっかいかも知れないけどさ。あんまり敵を作りたくないんだよね(苦笑)

 

 「おっ、弘志!」

 「勝ったよ~!!」

 「流石だな。あのお前たちの啖呵の切り方もかっこよかった」

 「流石にアレばっかりは俺だろうともぶち切れたな。あそこまで努力した人間をあんな屑共に否定されるとは」

 「そうだよ。そもそもあの2人はこの学園に居るだけでキセキなのに」

 確かに。学園転覆計画に加担していたくらいだからな。

 

 「それより、お前たちの仲は進んだか?」

 「もう告白しちゃったかなヒロ?」

 「ななな何言ってるんだ!?」

 「その様子だとまだまだか。梓ちゃん、ヒロのことよろしくね~」

 「え、あ、うん」

 「それじゃあまた~」

 「おいこら待て!!」 

 妙な捨て台詞を残して逃げていった2人。

 

 「こここ告白?」

 「いいいいいいいいや気にしなくていいから。うん。マジで」

 「そう? それより、みんなのところに行かないと」

 「そだね。行こうか」

 今はまだ早い。この気持ちを伝えるには……

 

 





 残念ながらまだまだでした。
 
 時を待っているというのでしょうか。
 それを失するとただ、想っているだけになってしまうかもしれませんが。

 一体、どうなる。

 というか、彼らのオカルト召喚獣出てきませんでしたね……
 ストーリー上、これが一番しっくり来たんで。
 案を出してくださった方ありがとうございました!!
 使えなくて申し訳ないです。

 ですが、肝試し編これで終わりと思いました?
 まだいろいろと残ってますよね!(多分)

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