青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 あの方々の兄が登場!

 少しずつ謎が明らかに。

 では、どうぞ!!




#57 謎!

 

 「まあ、肝試しってのは恐ろしいほどの効力を発揮するものだ」

 「どういうことりっちゃん?」

 アキたちはみんな部室から出て行き、軽音部での話が始まった。

 

 「さっき2年生のペア同士を見たが、お互いの距離が近くなっていると思う」

 「それはわたしも気づいた。梓とヒロだけじゃなく他の人たちも」

 「というと?」

 「確かに! あの吉井君って子と、黄緑色のボーイッシュな感じの子はもうカップルって感じだったわね」

 「そうだね! わたしでもそれは分かったよ!」

 ふ~ん。それは気づかなかった。自分のことでいっぱいいっぱいだったからな。いつか、それなりに話を聞いてみよう。今日のお返しに。

 

 「まあ、竜也と憂ちゃんは周知の事実として」

 「ただ、憂ちゃんは今でも唯のほうが重要だろうからな」 

 「竜也君もかわいそうね」

 「3人とも何言ってるの?」

 唯先輩は全然この話が分からなかったようだ。憂ちゃんのことを一番見てるようで一番分かっていない気が。

 

 「あの、赤い髪のツンツン頭と可愛い優等生って感じの子も意外とあいそうだったし」

 「へえ。雄二と優子さんがねえ」

 「合宿のとき以来、少しずつだけどお互いの差が縮まってるんじゃないかな?」

 「多分そうだろうね」

 霧島がこの事実を知ったら烈火のごとく怒りそうだが、少なくとも当事者同士は全然そんなことを考えていないと思う。

 

 「一番意外だったのが、ジャズ研の純ちゃんって子とあのものすごい人」

 「ムッツリーニ君だっけ?」

 ドンマイ康太。先輩方にもあだ名のほうで覚えられてしまったようだぞ。

 

 「全然そんな雰囲気無かったのに、今日見たらあれ?って思った」

 「そういえば、あの2人どうやって知り合ったのかとか全く聞いていないなあ」

 「わたしも。純何も言っていなかったような……」

 「というか、オレたちのことはいいですから、先輩方はどうなんですか!?」

 「「「「えっ!?」」」」 

 まさか、こういった切り返しが待っているとは思っていなかったようで、明らかに動揺している。

 

 「わ、わたし ー はそんなのはないかな」

 「そ、そうね。何も無いよ」

 「わたしだって恋人は軽音部だし」

 「そんなの作れないよ~だってわたし達受験生なんだよ」

 「「「お前がそれを言うか!」」」

 「えへへ~」

 忘れていたが、そういや唯先輩たちって3年生。受験が待ち構えているのか。

 

 「ま、そういうわけでわたしたちは梓とヒロの仲を応援するわ」

 「そうね。そうしましょう」

 「ヒロ、梓を大事に扱えよ」

 「あずにゃん、ヒロ君のことちゃんと大事にしないとダメだよ」

 「「は~い」」

 もう時間も遅いこともあり、今日は練習出来ずに帰ることになった。

 

   ★

 

 「あ、アキおはよう」

 「ヒロ、おはよう!」

 学校に来ると、珍しくアキがオレより先に来ていた。

 

 「時間もあるのでお前に聞きたいことがある」

 「何?」

 オレらは人目のつかないところに歩いていく。

 

 「率直に聞くが、お前は愛子ちゃんとの関係はどうなっているんだ?」

 「えっ? 愛ちゃんとの関係? どうなんだろう……」

 「愛ちゃんって呼んでるのか?」 

 「そうだよ。愛ちゃんも僕のこと『アッキー』って呼ぶよ」

 いつの間にやら……これは付き合っているうちに入らないのかね。

 

 「とはいっても、お互いに告白とかしたりしていないから付き合ってないと思うよ」

 「そうか。ま、愛子ちゃんのこと大事にしろよ」

 「もちろん! ヒロもそうだよ」

 「分かってるさ」

 何か突っ込んで聞きたいことが聞けなかったような感じだが、これ以上の回答はもらえないだろう。アキは教室へと戻って行った。

 

   ★

 

 「あ、愛子ちゃん」

 「お、ヒロ君おはよう!」

 「聞きたいことがあるんだけどさ」

 「じゃんじゃん聞いて!」 

 「アキのこと、呼び方変えたんだって?」

 「そうなんだ~今は『アッキー』って呼んでる」

 「2人って付き合ってるの?」

 「えっ? どうなんだろうね。お互いにそんなことしてないし、お互いにこのままのこういう楽しい関係にいられるのがいいんじゃないかな。別に告白したからどう変わるとかないし」

 「そういうものかもしれないね」

 オレも告白したからといって梓ちゃんとの付き合い方が変わるというわけでもあるまい。

 

 「じゃ、わたし先にAクラス行ってるよ」

 「うん」

 オレは走っていった愛子ちゃんの後ろを行くように、歩いていった。

 

 

    ★

 

 

 「ねえねえ、ヒロ君」

 「どうしたの、梓ちゃん?」

 教室に戻ると梓ちゃんがいて、オレに話しかけてきた。

 

 「どうやら今日、純が康太君と一緒に帰るんだってさ」

 「えっ?」

 「ちょっと憂が立ち聞きしたみたいでさ、2人の謎暴かない?」

 「それいいね!」

 「多分、純も部活が終わってから一緒に帰ると思うから、部活の心配はしなくていいかな」

 「そうだね。いざとなったら憂ちゃんに連絡してもらおう」

 「そうしよう!」

 憂ちゃんや竜也と話をし、今日、純康太謎解読作戦! を決行することになった。

 

 そして、あっという間に放課後。

 憂ちゃんには純ちゃん、竜也には康太の見張りをしてもらうことになり、オレたちは部室に向かうことになった。

 

 「こんにちは~」

 「おうっ! 来たか」 

 「どう? 新婚2日目の様子は?」

 「結婚してませんよ!!」

 「そんなにいままでと変わりませんよ」

 特に変える必要も無いと思う。あえて言うなれば、土日部活がない日、梓ちゃんと出かけるかもしれないというだけか。

 

 「今日のお菓子は、梓ちゃんとヒロ君のために、いいものを持ってきたわ」

 「サンキュームギ!!」

 「ムギちゃんいいことするよ!!」

 オレたちより、完全にりっちゃんや唯先輩のほうが喜んでいる。

 

 

   ★

 

 

 「こっちこっち」

 「憂~ありがとうね」

 「気になってたんだよこの2人は」

 部活が終わり、憂ちゃん・竜也と合流して、純ちゃんと康太のストーカーをする。犯罪? 多分違う。オレたちはあくまで3人で帰っているのだ。その前方にたまたま2人がいるだけである。

 

 「ちょっと待って、誰か分からないけど、大人の男性2人があの2人に近づいていっているよ」 

 「まさか脅し!?」

 「それは飛躍しすぎだと思う。様子見よう」

 オレは2人を確認するために出来るだけ近くに寄った。

 

 『2人とも一緒に帰ってきたのか』

 『あっちゃんも陽太君と一緒じゃない』

 『ははっ。今からバンドの練習だ』

 『康太、純ちゃんを家まで送っていかないとダメだぞ』

 『………当然。陽兄もバンド頑張って』

 『ああ』

 

 「あ~あっちゃんくらいベース上手くなりたいな~」

 「………十分純も上手いと思うぞ」

 「まだまだなんだよ~このままじゃ憧れの澪先輩に追いつけない」

 へ~純ちゃんって憧れ澪ちゃんなんだ。確かに凄いよね……

 じゃなくて、さっきの会話の謎。

 

 「よし。突撃!」

 「そうしよう!」

 「ちょっと2人とも!?」

 いつのまにか傍からいなくなって、あの2人の元へ直行。

 

 「何やってんの?」

 「わっ! びっくりした~梓と憂とヒロ君か~」

 「………何でこんなところに!?」

 「それより、さっきの大学生らしき2人の人物と、2人が知り合いな理由は関係するみたいだね」

 オレがそういうと、2人は黙った。明らかにバレたかという表情をしていた。

 

 「さっきのは、わたし達の兄。2人とも同学年でバンド組んでるんだ」

 「………純の兄の淳司(あつし)で、俺の兄の陽太(ようた)

 「へ~そうだったんだ。そのつながりで2人とも知り合いだったわけね」

 「そっ! そのほかにも、康太にはべー 」

 「………それ以上は言わなくてもいい」

 何を言おうとしたんだろ……

 

 「そう? それならいいや。ということだから、もうこれでいいでしょ」

 「自分のこととなるとそう弱くなる」

 「これで純と康太君の謎が解けたね」

 「しかし、もうちょっと深い付き合いがあると思ったんだけどな~」

 「深い付き合い!?」

 「ま、いいや。それさえ知れれば今日は十分だし」 

 「もう二度と嗅ぎまわらないでよ!」

 「そうは行かないよ純。昨日わたし達に何をやったか覚えてるよね」

 「心の底からごめんなさい」

 「康太も分かってるよな」

 「………いい迷惑」

 こちらもいい迷惑だった。

 

 その後は、2人に別れを告げ、憂ちゃんを送り届けるのは竜也に任せ、オレは梓ちゃんを家まで送って帰った。

 

 





 けいおんhighscoolだと、あっちゃんこと鈴木淳司は出てきます。
 オリジナルではありませんので。

 陽太はもちろん、知ってますね。
 確か大学生だったはず。
 颯太とどちらか迷ったんですが……

 別にどっちでも良かったんですけどね。

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 あ、今日の夜から大阪に出発します。
 日曜の朝に帰ってくるので、明日の更新は出来ません。
 申し訳ありません!

 作者が一番最初に好きになったアーティスト、GARNET CROWのLastLiveですから、見逃すわけにはいきません。最初で最後のLive堪能してきます。
 

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