青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 お祭りといえば、もうすぐ地元のお祭りが始まるなあ。

 年々人が減ってきているという感じがする。

 結構寂しいな。

 そんなウチの地元とは違って、大盛況であろうこのお祭り。

 では、どうぞ!!



#63 お祭り!

 

 「疲れた~」

 「アキ君、みなさん。この後、近くの神社でお祭りがあるみたいですから行きましょう」

 「お祭り!? やった~!! 行こ行こ!!」

 「楽しそうだね~!!」

 疲れた体だが、お祭りとなりゃ話は別だ。十分に楽しむぞ~

 

 「じゃあ、着替えて1階のロビーで待機しておいてください。女子はしばらく時間がかかるので」

 「分かった!」

 ということで、オレたちは旅館に帰り、服に着替えすぐにロビーに行った。

 もちろん、長い時間待っておかなければならなかった。

 1時間とまでは言わないが、数十分待っていると女性陣がやってきた。

 

 「お待たせ~」

 「っ!? 浴衣!!」

 「おお~!!」

 「ムッツリーニよ焦るでない。逃げるわけでもあるまい」

 「いやはや、華やかだ」

 女子全員が浴衣でやってきたのであった。

 

 「浴衣なんて、誰が?」

 「私が人数分全員のを持ってきていたんですよ」

 「なるほど。玲さんが。すげ~!!」

 「なんか僕たち幸せだね」

 「同意する」

 「一気に美少女の浴衣姿を拝めるんだからな」

 それについては否定しない。というか、むしろ大賛成する。

 

 「ヒロ君、あんまり見ないで……恥ずかしい」

 「ええっ!? どうして。梓ちゃんがそういうのならそうするけど、とっても似合ってるよ」

 「うそっ! ダメダメでしょ。憂たちがうらやましい」

 「そんなことない。梓ちゃんだって ー あ~言葉が上手くでねえ。今まで女子を褒めるなんてあんまりしてこなかったから……どう言えばいいんだろ………まあとにかく、このままでいて欲しい!」

 「ふぇっ? ひ、ヒロ君?」

 オレってこんなに口下手だったっけ……対女子に関して褒めることとかあんまりないから(といっても男子もなかなか褒めないと思うけど)

 

 「き、気にしないで。ほ、ホラ。隣でも竜也が憂ちゃんに」

 「確かに……前から思ってるんだけど、もうそろそろ憂も気づくはずなんだけどね」

 「気づいてるんじゃないかな。でも、今は友達以上恋人未満の距離でいたいと思ってるとか」

 「あ~そうかも。唯先輩がいるからね~憂にも」

 「竜也もある意味不憫だ」

 唯先輩がいる限り、憂ちゃんを本格的に竜也の方に振り向かせるのは難しいと。

 

 「康太、素直に似合わないなら似合わないって言って。そっちのほうがすっきりするから」

 「………(パシャパシャ)」

 「何も言わないからって、勝手に写真を撮らない!」

 「………ダメなのか」

 「え、えっ!? だ、ダメ ー って勝手にはそりゃダメでしょ」

 「………じゃあ、撮る」

 「そういう問題じゃない!!」

 「………???」

 本気で分からない感じだが……まあ康太も似合わないものを被写体に選ぶわけがない。こいつの写真能力では既にアマチュアのトップレベルに達していると思う。もしかしたら将来プロカメラマンとして名を馳せているかもしれない。

 

 「アキ君。どうでしょうか」

 「姉さんありがと! みんな凄い似合っていると思う!」

 「私もですか?」

 「もちろん! 愛ちゃんも似合ってるよ!!」 

 「あ、ありがとアッキー!」

 「アキ君?」

 「ちょ、姉さん怖いよ!! 今からお祭りに行くんでしょ!!」

 「そうでしたねアキ君」

 「だからそのオーラをしまって!」

 アキも苦労しているようだ。あの姉さんをどうにかしないといけないのだろうが。厳しいな。

 

 「ん? 秀吉は浴衣を着ないのか?」

 「雄二よ。お主わざと言っておるじゃろう」

 「ははは……」

 「代わりと言っては何じゃが、姉上が浴衣を着ておるではないか」

 瓜二つなんだから、秀吉が浴衣を着ても優子さんが浴衣を着ても一緒ということであろうか。

 

 「な、何よその言い方は秀吉!」

 「いや~うん。制服のときと全然違うな。新鮮でいいぞ」

 「へっ? な、何言って ー 」

 「姉上。素直に褒め言葉は受け取るものじゃ」

 「そ、そそんなことないわよ! 別に……みんな似合ってるって意味じゃないの」

 「そうかもしれぬが、姉上が言われたんじゃ。みなを代表してお礼を言うべきであろう」

 「そ、そうね。あ、ああありがと坂本君///」

 「お、おう…………んじゃ、みんな揃ったことだし行こうじゃないか。そのお祭りとやらに」

 雄二。お前……まあいいや。お祭りを楽しむとするか。

 

 「車? 姉さん、そんなに離れてるの?」

 「そこまで離れてませんが、一応念のためですよ」

 「ふ~ん。そうなの……」

 浴衣みたいな歩きにくい服装だから、気を遣っているのかな。

 

 「では、行きましょう」

 「は~い」

 車に乗り、10分もしないうちに辿り着いた。確かに近場であった。

 

 「おお~お祭りだね~」 

 「屋台がたくさんだ!」

 「何処行く何処行く!?」

 「姉さん、この人数で集団行動するの?」

 「確かに、12人で行動するのは結構厳しいものがあるかもしれないですね」

 「じゃ、じゃあ?」

 「20:30に再集合するとして、それまで個人個人でということにしましょう」

 「分かった」

 「ただし、女の子を1人にさせてはダメですよ」

 「ね、姉さん?」

 珍しい。不純異性交遊の厳禁ではなかったのか。他人には適用されないとか?

 

 「もちろん、アキ君は姉さんと一緒です」

 「そんなバカなあああああ!!!」

 ドンマイアキ。冥福を祈る。

 

 「じゃ、憂ちゃん早速行こう!」

 「いいよ、何処行くの?」

 「憂ちゃんはどこがいい?」

 

 「このままじゃ、わたしは置いてけぼりだね康太」

 「………遠まわしな言い方だな純」

 「こんなことレディーに言わせる気?」

 「………お前にそんなものがあったとはビックリだ」

 「ひどい! もういいから早く行こう!!」

 「………初めからそういえばいいのに」

 

 「あはは……じゃあ梓ちゃん行こうか」

 「そだね」

 「雄二はどうする気だろう」

 「優子さんと行くんじゃないの?」

 「お互い素を隠しているからなあ。ま、秀吉が何とかしてくれるか」

 「間に立って上手くしてくれるだろうね。ところで明久君の心配はしないの?」

 「オレらの体が持たないぞ」

 「……そうだね。じゃあ、行こうよ」

 「何処行く?」

 というわけで、オレと梓ちゃんは数人を残して屋台をふらつきまわる。

 

    ★

 

 「女子を1人にさせぬようにとは……明久の姉上もなかなかじゃのう」

 「うるさいわね秀吉。アンタ行くわよ!」

 「何ということを! 何故ワシなのじゃ!?」

 「いいでしょアンタ相手いないし」

 そういう問題ではないのじゃ。雄二はどうするというのじゃ。姉上もむごいことを考える。

 

 「雄二よ。いささかワシと姉上だけじゃ心配ゆえ、ついてきてもらえぬか?」

 「ん? 確かにそうだな。女子の双子が歩いていると思われても不思議ではない」

 「それはワシをからかっておるのかの?」

 「冗談だ。まあ、俺に喧嘩を売るヤツはそういないだろう。安心しな」

 雄二は180cm強で筋肉もしっかりついている。何か格闘技をしているかラグビーなどの球技をやっていると思われても不思議じゃない。これ以上ない護衛だろうがの。

 ワシの考えはそこではないのじゃ。

 

 「よかったの姉上。これで安心じゃな」

 ワシにとっては2重の安心じゃ。護衛の件はもちろんじゃが、雄二と姉上が一緒の時を楽しめるということは、お互いがよい時間を過ごせるためにワシとしても安心なのじゃ。

 

 「そ、そうね。坂本君、アタシたち行くわ」

 「分かった。俺に構わず進んで行ってくれ」

 因みに頃合いを見てワシは離脱する予定じゃ。これは明久にも話を通しておるから上手くいくであろう。

 

 「愛ちゃん何処に行く?」

 「えっ? ボクが決めて良いの?」 

 「もちろん。姉さんは保護者だから」

 「それはどういう意味ですかアキ君。私にはお祭りを楽しむ権利がないということですか」

 「そ、そういう意味で言ったわけじゃないけど……」

 明久。お互い姉を持つと大変じゃのう……忘れるでないぞ。先ほどの件をの。

 

 





 雄二と優子の所が一番書いてて楽しいです。

 なかなかくっつけないこの2人の距離。

 秀吉がそれを必死に埋めに入る。

 そして、明久は未だに姉の恐怖から脱出できない。

 愛子が可哀想。

 はたして、どうなるのだろう。

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