さて、いよいよ2学期。
原作では、体育祭、vs2-C戦、vs2-A戦、vs3年戦と続きますが……
こちらでは、どうなることでしょう。
意外な展開も。
では、どうぞ!!
「突然、この3人を呼び出して何の用でしょう」
楽しかった夏休みも終わり、2学期になった。始業式から数日経ったある日、オレは高橋先生に『学園長室に行きなさい』と言われたために学園長室に来ているのだが……
「この夏休みは調整に必死でしたか」
「さぞご苦労なことで」
何故、雄二とアキまでいるのだ? こいつらも鉄人こと西村先生にオレと同様のことを言われたらしい。
「早速本題に入るよ」
「どうぞ」
「今年の体育祭さね」
そう。そろそろこんな時期。とにかく暑くて暑くて仕方が無い。体育祭が何かしたのだろうか。
「今年は、召喚獣野球大会をしようと思うさね」
「なるほど。調整に成功したのか」
「ってことは、イメージアップのためだね」
「そんな裏話はいいさね」
どうも図星らしい。確かに召喚獣で野球とかなると、相当調整に成功してないと出来ないことだ。
「それがどうかしたのかな?」
「それのルールを大まかに決めておいたから、何か文句があるところはあるかい?」
「何故僕たちに?」
「アンタたちが一番生徒の中でアタシと交流があるからさね」
なんて人望のない学園長だ。オレたちもそこまでないぞ……
「パッと見てみたが、9回は長すぎるだろ。1日じゃ終わらない」
「ふむ。半分の5回にしようかい」
「それと召喚獣使うなら、教科は偏りがでないように1イニング1教科にするとか」
「いいアイデアさね」
雄二も的確にいい答えだすなあ。オレとアキは何だ?
「教師も出るのか!」
「決勝戦に勝ったチームが戦えるさね」
「要するに決勝戦は事実上準決勝ってことだな」
決勝までシードはうらやましい。
「教師に勝ったときは?」
「何か望むのかい?」
「もちろんだ。ただクラス対抗じゃおもしろくないだろ。それにボスが教師ならなおさらだ」
「ふむ。アンタたちのその顔を見る限りじゃ、どうも昨日の抜き打ち持ち物検査で取られたものを取り返して欲しいようだね」
そう。昨日抜き打ちで持ち物検査があって、とても厳しい基準だったのだ。オレは軽音部だから音楽機器は必須なのに、授業には関係ないとして取られたのであった。
「どうやら先生の中でもあれは厳しすぎるとか反感買ってたんじゃねえか?」
「学校に必要ないものを持ってくるのが悪いさね」
「ひどすぎでしょ!」
「…………まあ、いいさね。教師に勝ったクラスは返還ということにしようかね」
「俄然やる気が出たぜ」
確かに。モチベーションは嫌が応にも上がる。特にFクラスの連中は取られまくったらしいから、ものすごく危険だ。
「じゃあ、教師以下各クラスにも話を通すさね」
「へいへい」
「先生たちも知らないことを僕たちが先に知れるって何かすごいね」
「まあ。それだけ学校に貢献してるってことだ」
「嫌味が籠ってるさね。真実だから何も言い返せないさね」
まあ、相当感謝してもらってるらしい。もちろん、罪悪感も多少は残ってる(と信じたい)
「じゃ、俺たちはこれで」
「失礼します」
おそらく、この話は今日のHRでみんなに伝わることだろう。雄二たちも本気で優勝を狙いに来るはずだ。Fクラスまでとは言わないが、モチベーションはAクラスといえども上がると思う。勝ちを取りに行かないとね。
★
「 ー ということなのですが、何か質問がありますか?」
案外乗り気じゃねえ!! 取られたやつほとんどいなかったもんな~ でも、最高クラスなら勝ちが当然じゃないのか!?
「では、作戦等を話し合ってください。霧島さん」
「………はい」
霧島。夏休みの間全く見なかったが……まだ気持ちは変わってないのかね。まあ、それとこれとは話は別。
「………まず、野球経験者は?」
周りを見渡すと誰も手が上がっていなかった。要するに、オレだけだ。
「………七島」
「何か?」
「………今回も任せる。私野球分からない」
「それでいいのか?」
「………構わない。最高クラスとして恥ずかしくないように」
「了解。本気で勝ちを狙いに行く」
オレは霧島に促されるように全員の前に行き、話す。
「先ほど霧島代表が言ったように、最高クラスとして恥ずかしくないように。それと昨日あった抜き打ち持ち検で、没収されたヤツはほとんどいないだろうが、他のクラスは結構没収されている」
『それがどうかしたか?』
「優勝したクラスはそれが返却されることになる。だから、どのクラスもモチベーション高い」
オレがこう言うと、ざわめきが起こった。優等生のかたがたは下々の考えや学園長の考えを分からないらしい。学校に持ってきてはいけないものを取られているのに何故返却? とか、没収されてて当然とか。学園長は甘いのではないかとか……よく考えようよ。決勝は教師チームだぞ。学園長も負けるはずは無いとふんでそのくらいの条件(エサ)を出してるだろ。真面目ぶりやがって……何か優等生は融通が利かなくてあわんな。
「まあ、そんなに没収されて当然と思うなら、Aクラスとして教師代理として他のクラスをぶっつぶせばいい」
『なるほど』
『Aクラスとして責任があるな』
おっ。この手の話には乗るのか。まあAクラスとか教師代理とかいかにもって感じだし。
「先に言っておくが、オレらが罰を加えるからといって油断はするな。確実に足元をすくわれる」
『Aクラスをなめるな』
『点数の差があるだろ』
「野球経験者がオレしかいないだけでまず不利だ。野球だぞ。スポーツだぞ」
オレがこういうと微妙に教室が静まり返った。確かにと言わんばかりに。頭がいい人間が野球上手くなるなら、今頃プロ野球選手は全員優等生だ。それに、点数を体に置き換えてみても分かる。プロ選手は必ずしも全員がでかいわけではない。
「それと、3年も出場するから、操作技術において不利だ」
『1年の差は大きいものな』
3-Aは最強に違いない。何かの拍子に負けるといいんだけど……
「というわけで、まあ……他の競技と並行して大変だが、確実に上を目指そう」
オレの〆で、HRは終わった。
さて……まず、ナイン誰を選ぶか。見たところ運動出来そうなやつもあまりいないしな……こうなれば、仕方ない。上から順番と、相性を考えよう。意外に野球もチームプレー。チームに和を乱すやつがいるとまとまらない。
ってことは、霧島・久保・優子さん・愛子ちゃん・佐藤さんは確定させるとして……後3人。
どうしようか……
「………七島。ちょっといい?」
「なに?」
「………メンバー決めは後ででいいから、私と話をして欲しい」
「重要ごとのようだな」
「………そう」
このまま仲違いしておくわけにもいかないので、話には乗る。体育祭・学園祭と続いてくこの2学期、仲直りは必須条件だろう。
「………ついてきて」
と、休み時間に空き教室に呼び出された。そこには、優子さんと愛子ちゃん・梓ちゃんと憂ちゃんがいた。
「えっ?」
オレは一瞬事情がつかめなかった。だが、そこにいるメンツと霧島。接点といったらあの事件しかない。1学期の暴走召喚獣事件。全員の表情を見る限り真剣だから、その関連の話かもしれない。
「………みんな集まってくれてありがとう」
「用件は何なの代表?」
「………私、夏休みの間ずっと考えていた。自分のこと。雄二のこと」
「それで?」
「………私、随分ひどいことをした。前に七島が言った取り返しのつかないといった理由が分かった」
現に取り返しがつかなくなっている。
「………ずっと自分で自分を責めていた。何であんなことしたんだろうって」
「反省をしてたということか。上辺だけ?本心から?」
「本心からに決まってる! だから……雄二と元通りに戻りたい」
「自分が一番分かってるよね。もう元には戻れないって」
「それはもちろん! でも……でも…………どうしても諦め切れなくて……」
ようやく、年相応の恋する乙女となったか。今まで何に取り憑かれていたのだ。それによって自分だけでなく周りの人まで巻き込んでるぞ。
「その想いが強すぎたから雄二をあそこまでにするくらいに追い詰めたんじゃないの?」
「そうね。客観的に見て判断することがなかった。夏休みはそのいい機会だったんじゃない」
みんな、霧島への不信感を徐々に薄め、霧島を更正させようと一役買おうとしている。
「………だから、雄二と話したいの。元通りとまでは言わない。でも、せめて話せるくらいにはなりたい!」
「その協力をアタシたちに仰いだわけね」
「そう! お願い。今までみんなに迷惑掛けたのは謝る。だから ー 」
「そこ。一番迷惑だったのは雄二よ。何かと幼馴染で付き合い長い分、つらかったでしょうね」
「優子……?」
「自分が信じている人からここまでされるって人間不信に陥りかねなかったわよ」
「………雄二……ごめんなさい」
「雄二はそれでも前を向いている。強いわよ。代表が惚れるのも分かるわ。でも」
「でも?」
「それに甘えすぎていたのよね。周りが見えなくなっているから止まることも出来ない」
「………どうして……どうして優子はそこまで分かるの?」
「アタシはもともと第三者の立場にいたからかな。仲良くなってからも客観的に見ることが出来る。だから、雄二がどんな心境なのか、とかも少しは分かる気もするの」
「代表はそこを見落としていたんだよ。だから、今からはそのアドバイスを素直に受け止めて」
「………うん。ありがと。みんな……でも、優子」
「なに?」
「………いつから雄二を下の名前で?」
「な、なっ!? い、いつからかしらね」
「代表、嫉妬しちゃダメですよ。また周りが見えなくなります!」
「………うん。分かってる。アドバイス聞いた」
「それでいいです」
「………優子が羨ましい」
「道を誤っただけで、ゴールにはまだ辿り着けますよ」
「………うん。まずは、雄二と話せるようになる。みんなも協力お願い」
「分かったわ」
随分と長い会話だったけど、オレが口を挟めそうな雰囲気ではなかったな。女子同士のほうが、こういうのは分かり合えるだろう。しかし、よかったよ。猛省して、おそらく元通りの無垢な霧島に戻って。これからクラス行事が増えるから、いいことだ。
さて雄二よ。お前はどうする。まだ無意識のうちに避けてしまうか。そうだろうな。オレら周りの人間から見たら比べ物にならないくらいの深い傷を負っているもんな。だが、その傷をそのままにしておくのもどうか。オレたちが全力でサポートするから、どうにかして立ち直ってみようぜ。協力する。
一発目は体育祭。
でも、そんな雰囲気じゃないですね……
霧島改心!
どうも、アンチ霧島になりきれなかったようです。
でも、失った部分は大きい。
これから、Aクラスのみんなや雄二のまわりの人の支えを受けてどこまで進歩するのか。
姫路・島田は一体どうなるのか!?
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