さっさと、行事ごとを進めて行きます。
早速本番。
どうなることやら。
では、どうぞ!!
「早いな~体育祭」
「そうだね。唯先輩たち、野球大会出ないって言ってたよ」
「そうかあ……3-Aには温存できるくらいの力があるんだな」
「みたいだね。どうも学年主席を中心に文武両道の人が多いみたいだし」
教室から、運動場に歩いていくときに梓ちゃんと話す。体育祭は、普通の競技と野球大会と大きく2つに分かれている。
「最初の相手は2-Bみたいだよ」
「あ、憂。おはよう」
「おはよ~」
霧島さんや優子さん・愛子ちゃんと話していた憂ちゃんが情報を持ってきてくれた。
「2-Bというと、根本か」
「だね」
「勝てるの?」
「よっぽど2-Aが運動出来ない人が多くない限り大丈夫だろう」
「それじゃあ、ちょっと危ないってことだね」
憂ちゃんの懸念もごもっとも。ウチのクラス、運動できない人多すぎるんだ。
「………何とかして勝つ」
「霧島さん」
「そういうことよ」
「優子ちゃん」
「ま、ヒロ君に全て任せるんだけどね~」
「愛子ちゃん」
後ろから追いついてきた彼女らが、威勢のいいことを言う。モチベーションが問題ともなるかもしれないから、ポジティブに考えていこう。
「………そろそろ試合」
「早いね」
「学園長が面倒くさがりやでこういうとき助かる」
開会式も存在しないこの学園。ある意味大丈夫か?
「急ごう!」
「うん」
少々小走りになり、試合会場に着く。そこにはずらっと5人の先生が並んでいた。
「急いでください」
「はい」
この先生方は、審判兼フィールド作成。オレたちの少し遅れて、残りのAクラスのメンバーと2-Bのメンバーが来たんだが……
★
「くっ……強すぎるだろ」
「怖がりすぎだろ」
あっさりと勝ってしまった。2-Bの連中、ウチを怖がりすぎて、フォアボールの連発。満塁になったとこで、4番オレ。あ、何かかっこいい。ま、いいとして。満塁だとストライクにどうしてもいれないといけないから、ど真ん中に程よいスピードで来たから打ったら入っちゃった。タイミングさえよければ、点数が高いとホームランになるな。
こんな感じであっさりと……何か物足りない。
「七島1人にやられた……」
「何だお前。乱打戦を目論んでいたか。Aクラスにも運動神経いいやつがいないと読んで」
「ああ。打ち合いで、勝てる可能性もあるからな」
「残念だったな」
ピッチャーがボールを制球出来る出来ないは本当に大きい。
「どうやら、第二会場では2-Fが勝ったらしいぞ」
という声が聞こえてきた。まあ、2-Eはソフトボール部や野球部に所属している人間が多いから心配していたが、操作技術と得点で上回ったみたいだな。どこかで当たるまで楽しみにしておこう。
★
「そっちでも競技頑張ってるみたいだね」
「そこそこね。でも、Eクラスには叶わないよ」
Eクラス、通称運動部クラス。ほとんどの人間が運動部に所属している。まあ、体育祭なんだし、そこが勝って当たり前といった下馬評がある。
「おい、七島!」
「どうした?」
「2-F快進撃だ」
「ふ~ん」
「興味無さそうだな」
「勝ち上がるのは当然だろ」
「ま、一応報告しておくが、準決勝進出だ」
「ほ~」
準決勝? ってことは、3-Eも倒して、3-Cも倒したのかよ。
「強いなやつら」
「でも、予想してたんでしょ」
「当たり前だ。雄二がいて、今のFクラスならそこまでいけるさ」
「そうだよね」
「それに、おそらくまだせこい手を使っていない」
雄二には最終兵器が残っている。悪知恵。
「ヒロ君たちも勝ったら準決勝なんでしょ」
「ってことは、勝ったらFクラスとだね」
「そういうこと。でも、相手は3-A。最強クラス」
「そうなんだ……頑張ってね。わたしたちも競技頑張ってくるから」
昼休みの会話であった。
★
「………七島、遅い」
「申し訳ねえ。いろいろとしてた」
「遅いぞヒロ!」
「って、りっちゃん!? どうして?」
梓ちゃんの話によると、軽音部のメンバーはでないんじゃ……?
「いや~高城やら葵やらが競技のほうに出ないといけないらしくてさ」
「学園長に無理やり競技に参加しろって言われたらしくて」
「ってことで、私たちが出ることになったの」
「お手柔らかにね、ヒロ君♪」
ははは……こりゃなおさら負けられないじゃないですか。学年主席とその補佐がいない3Aクラスに。
「………さっきと同じ感じでいいの?」
「まあね。よし。戦うか」
ピッチャーオレ。キャッチャーは点数も高くて運動神経のいい優子さん。ファーストに霧島代表(運動神経もいいからね重要)。セカンドに佐藤さん。サードに久保君。ショートに愛子ちゃん。これだけ内野陣固めてりゃいいさ。そう簡単には外野にはボールを飛ばさせない。
「サインはさっきと同じで良いのかしら?」
「構わない。さっきよりも厳しく行くから覚悟してね」
「誰に向かって言ってるのかしら」
「言ったね。優子さん。頼んだよ」
「任せておきなさい」
普通、女の子にキャッチャーはさせられないけど。いかんせんウチのクラスの男子オレ以外誰も運動できないんだ……久保はマシだが、優子さんに劣る。バッテリーだけで勝負を決めたいところ。
「プレイボール!」
と、竹中先生の声がかかった。竹中先生といえば、国語だな。苦手教科ではない。大丈夫だろう。
「さ~って、ヒロをぶっ飛ばしますか!」
「最初っからりっちゃんかよ!」
「核弾頭と呼んでくれたまえ」
「自分のチームを爆発させないように……」
3-Aは情報によると、2-Aと同じく運動部が少ないと。高城・小暮には気をつけろとのことだが、幸運にも2人は不在。鬼の居ぬ間にではないが、勝たせてもらう。2-Fと戦いたいもので。
「ストラックアウト!」
「手加減しろよヒロ!」
「無理に決まってるじゃないですか。パーフェクト目指してるんですから」
「ケチ~!」
微妙にAクラスの方々のプライドをゆすってみた。挑発に乗るかな。スポーツは挑発に乗ったら負け。オレの目論見どおり、軽音部以外の3Aクラスの方々は熱くなってきたようだ。柄にもなく、熱くなったら本当にやばいと思うよ。
「ストラックアウト」
「ストラックアウト。チェンジ!」
3者連続3球三振。
「コチラが本気かしら?」
「さあてな」
「まだまだいけるならどんどんいいわよ」
「いいね」
優子さんは本当に安心できる。心置きなくピッチングに集中できるものだ。
「よっしゃ~さっさと抑えて攻撃だ!」
「お~!」
クラス一の元気者(らしい)りっちゃんがピッチャーだ。澪ちゃんがキャッチャー。まあこのコンビは妥当か。唯先輩ムギ先輩は、運動が得意ではないらしく、レフト・ライトにいた。
「ストラックアウト!」
……同じようなものなのか……1・2番と続けて凡退した。りっちゃんは元気よく投げているも、コントロールには結構気を遣っているらしく、フォアボールがない。
「さて、アタシの出番のようね」
「優子さん出塁頼んだよ」
「任せなさい」
非常に頼りになる優子さん。1球でセンター前にはじき返した。2アウトランナー一塁。
「りっちゃん、勝負しようか」
「え~ヒロと~」
「すまないがヒロよ」
「どうしたの澪ちゃん」
打席に入る前に澪ちゃんが謝ったが……その謎はすぐに分かった。
『敬遠!?』
「いや~悪いねえ。こちとら負けてられないんだ」
「最大の得点源は封じさせてもらうよ」
「へえ。おもしろいじゃん」
敬遠で一塁に歩かされるオレ。ネクストバッターズサークルにいた霧島代表がちょびっとばかし怒っている雰囲気が見えた。そりゃそうだろう。学年主席の前で敬遠されるのだから。
「………田井中さん。あなたの負け」
「ふふ。いいね2年の学年主席。これはこちらの代表からの言伝だから仕方ないんだよ」
「………早く投げて」
「おおっ! 闘志全開だね」
りっちゃんが、代表との口論に夢中になっている隙に、オレと優子さんはサインを送りあった。
「でも、打たせないよ!」
「っ! しまった盗塁!?」
「………残念」
オレと優子さんのダブルスチール+霧島代表のヒッティング。要するに2アウトランナー1・2塁からのヒットエンドランであった。綺麗に1・2塁間を抜け、ライト前ヒット。優子さんは悠々とホームに還る。
「ゴメンねムギ先輩!」
「む、ムギ! ホーム!」
「ヒロがランナーだとこういうのもあるか!!」
「残念だね」
とにかく守備陣が穴ならば、次の塁を狙うのは当たり前。オレはボールが転がった瞬間にホームを狙っていた。単打であろうと関係ない。送球がずれれば、3塁どころかホームまで狙える。
「くそ~っ! 悔しい!!」
「2-Aをバカにしたら困るよりっちゃん」
「バカにはしてない!」
「こちらとて、運動できない集まりなのだ……」
ホームで立ち尽くしていた澪ちゃんの呟き。それはとてもとても重たい言葉であった。
次の愛子ちゃんはりっちゃんの好反射でピッチャーライナーに終わったものの、初回の2点は大きい。
それが、改めて分かるのが最終回である5回。1回の裏以外スコアボードに0が並ぶ。3-Aはこれで2以上の数字をスコアボードに刻まなければ負けとなる。因みに、「H」のところの数字も0である。要するにオレは後3人で完全試合がかかっている。
「最終回。自然に緊張するでしょうけど、落ち着きなさいね」
「分かってるよ。人前には慣れているさ」
「もう緊張してる? 人前とこれは関係ないでしょ」
「そ、そうだね」
いくら下手糞とはいえ、当たると飛ぶバッターが9人も並んでいる打線を相手にするのは心臓に悪い。
「わたし…からですね」
「ムギ先輩かあ。容赦なく行きますよ」
「怖くないです怖くないです!」
オレは目を疑った。ムギ先輩目をつぶってバットを振ったのであった。あまりにもテキトーだが、当たってしまう。
「………びっくりした」
「おおっ! ナイスキャッチ霧島さん」
1・2塁間のライナーを飛びついてとる(あくまで、これは召喚獣の野球=召喚獣が飛びつく)
「よかった~まだまだだ」
「みなさん、当たりますよ!」
「そうだね、ムギちゃんだって当たったんだもの!」
「よ~っし、次行くのは僕だね」
勝手に盛り上がってるところ申し訳ないが、勝つのはオレたちだ。
「ストラックアウト!」
ボールに当たることさえさせないさ。
「さらにピッチ上げてきたよ」
「さっきのムギちゃんのあたりを見てびっくりしたんでしょうね」
「あのファーストじゃなかったら……」
諦めムードに入ったんなら、遠慮なく勝たせてもらいますよ。
「そうはいかないよヒロ君!」
「最後は唯先輩かよ」
「わたしには必殺技がある!」
「それは?」
「この大人の魅力?」
聞かなかったことにしよう。よっし。気を取り直して。さっさと決着つけるか。
「ちょっと無視はひどいよ~ヒロ君!」
「周りを見てくださいよ……」
「え?」
オレがこういったのも、3年生側に頭に手を当ててる人がほとんどだったからだ。
「行きますよ!」
「ひどい! よそ見しているときに!」
今までのストレートと違い、唯先輩に考慮して超スローボールを投げる。
「ん? お、え、とりゃ!」
まあ、タイミングが合わないわけです。チェンジオブペースということだ。
「全部それで投げてよ!」
「全力で断ります!」
それじゃ、チェンジオブペースの意味が無い。ストレートの中にたまに混ぜるから効果がある。
「よ~っし次来い!」
「っ!!」
オレは、裏をかいて、もう1球同じ球を続けた。
「来た!!」
「何っ!?」
ボールは遙か彼方に飛んでいく。唯先輩はこの球にヤマを張っていたらしい。しくじった……
「ファール」
「ええっ? ホームランじゃないの?」
「よかった……」
ギリギリでポール外にきれたからよかったけど……最後の1人でホームラン打たれるところだった……
「ということで、ヒロ君もう1球よろしく」
「絶対に投げない」
もう投げるものか。唯先輩が単純すぎて危ない。
オレは優子さんとのサイン交換で球種を決めた。最後に投げた球は!!
つまらない試合はカットしました。
果たして、2Aと3Aの試合はどうなる!?
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