先に、晶との約束を果たしましょう。
曲名がたくさん出てきますが……
是非とも全部聞いてみてください。
では、どうぞ!
「持ってきたぜ」
数日後、晶が軽音部の部室に現れ、曲を持ってきた。
「俺たちは楽譜が無い。全部フィーリングで作曲してそれぞれが自分の好きなように演奏している」
「なんかすごいな」
「だから、耳コピでよろしく」
いい勉強になりそうだ。
「あ、そうそう。日程・場所だが、この紙を見てくれ。ポスターも俺たちで作った」
と、渡されたポスターは、数十枚あった。
ついに最強の布陣整う!
よーぐるっぺ☆ & 放課後ティータイム
コラボもあるぜ♪
「この謳い文句なんか嬉しいね」
「そうだな。わたしたちも場を借りて演奏できるなんて」
「楽しみ~」
どうやら、来週の日曜日らしい。なるほど。超短期間だな……
「場所は、あの時と同じだ」
おおっ! あのホールか。
「そして、時間なんだが、お互い1時間程度と行こう。最後にコラボをいれよう」
「だってりっちゃん」
「1時間か~未知の挑戦だな」
確かに。今まで学校では20分とか30分だったから……
「それと、今頃になってもう一つ提案だが……共同練習しないか?」
「共同で!?」
「ああ。お互い刺激になるだろうし」
「やるやる!」
「律、落ち着け」
確かに。他のバンドの練習を見るのは滅多に見ないからいい機会だ。
「せっかくだし、本番まで毎日しよう」
「毎日!?」
「出来る場所あるの?」
「それはもちろん。前日は本番会場でリハーサル可能」
こいつらの知名度すごすぎだろ……
「最後に個人的な希望だが。これは誰も考えていないと思うんだが」
「なになに? 教えて教えて」
唯先輩が聞く。
「せっかくのコラボだろ? お互いの曲をするだけじゃなくて、何か別の思い出を作りたいと思って」
「別の思い出?」
「俺が思っているのは、こっちのメンバーとそっちのメンバー全員で新曲を1曲つくりたいと」
「「「新曲!?」」」
随分と意表を突く。共同作成曲ということか。
「今までに無いような曲が出来上がると思うんだよ。もちろん、演奏も全員で」
「ドラム2人!?」
「ベースも2人だぞ」
「いろいろ難点はあると思うが……」
音の厚みは増すだろうが、多ければ多いほどぐちゃぐちゃになりやすいし、普通リズム隊と言われるのは1人で演奏するから、難しい。
「それは、晶個人の考えか」
「そうだ。出来る雰囲気だったらみんなに提案しようかと」
「わたしたちも考えておこう。まずはその曲を完成させるのが先だ」
「もちろんです。俺も焦って……せっかくの機会をと思い……」
ありがとう。本当に。
「じゃあ、明日から練習しよう。いつも俺たちが練習しているスタジオでやろう。場所はこれだ」
「意外に学校から近い!」
「学校終わったらすぐよろしく」
「了解」
「じゃあ、また明日」
ということで晶は去っていった。
「何か、ものすごいことになったね」
「どんな感じになるんだろうな」
「まずは曲を聴いてみようぜ」
オレらは、持ってきてくれた曲を聴く。全然ジャンルが違って新鮮だ。耳コピに挑戦するが難しい。早速次の日から、いろいろ聞きまくる。もちろん、アレンジもつけくわえながら。
「もう本番か~」
あれから、毎日刺激を受けながらお互いに練習を重ねる。何とか、完成に持ち込んだ。
「リハーサル通りにいくといいけど」
「LIVEは基本いかないものだ」
「なるようになるさ」
楽観的なのが数名。男女ともにいた。
「トップバッターは俺たちが行って来る」
「おう!」
そろそろ時間となり、最初に演奏するよーぐるっぺ☆のメンバーがステージに向かった。
オレたちも舞台袖で控えている。ステージの幕が下りている。そして全員の準備が完了。
「みんな、待たせたな!」
という晶の声に観客席の方からの歓声が聞こえてくる。おおー満席らしいが、緊張してきたな。
「いよいよ、最強コラボLIVE始まるぜ!!」
「最初は俺たちよーぐるっぺ☆からだ!」
「1・2・3」
ひずませたギターの音がよく聞こえてくるこの曲、あ~題名は覚えてないが、それが始まると同時に幕が上がる。そして、幕が上がりきるころにようやく歌。DrumsにGuitarにBassの3ピースに、歌だけのボーカル。それぞれがレベル高いし、自然と融合している。いやはや、こんなやつらと一緒に演奏できるなんてな。
2曲続けて、よーぐるっぺ☆の演奏だ。それが終わると、ボーカルMCがこう言った。
「みんな! 俺たちの最強コラボLIVEに来てくれてありがと~!!」
「キャーキャー!」
「ここで、今日俺たちとタッグを組む放課後ティータイムのみなさんに出てきてもらおう! どうぞ!」
という振りがあったので、オレたちは6人でステージに出て行く。すると、歓声があがった。これは想像以上の人数だ。ふと観客席見ると、一番前に竜也率いる10数名が居て、その後ろにも見知った顔がちらほらと。結構、若葉学園の生徒も来てくれている様だ。
「どうも~」
「放課後ティータイムです!」
「今回は、よーぐるっぺ☆のみなさんとタッグを組むことが出来て本当に光栄です」
「みなさん、私たちの演奏と、彼らの演奏をお楽しみください!」
上手く、梓ちゃんがまとめてくれた。
「よっしゃ。前回のLIVEを見に来てくれた人は知っていると思うが、とうとう約束を果たすときが」
「前回、このタッグを組むって言ったな」
「とうとうそれが実現できました! 放課後ティータイムの皆さんありがとう!」
「じゃあ、早速その放課後ティータイムのみなさんの演奏をお聞き願いましょう!」
『ふわふわ時間』
王道。今までのLIVEで欠かさずやってきたこの曲。いつも演奏する講堂とはまるっきり違う人の多さ。ホールのすごさ。そして、観客の多さ。もちろん、照明まで使ってある。緊張を通り越して、演奏するのが楽しくなった。
それに、あいつらが一番前に居るおかげで、安心できる。いつもあいつらがいる。見守ってくれている。と。ふわふわ時間が終わると、すぐに次の曲に入る。
『ふでペン~ボールペン~』
この曲は、去年の学園祭で1曲目に演奏した。あの時は唯先輩が病みあがりでギー太を家に忘れてきたんだっけ。急いで取り帰ったんだよな~懐かしい。この曲は澪ちゃんがメインボーカルだからよかった。今回は、さわちゃん先生の特別ギターバージョンではなく、しっかりと唯先輩のギターである。
キーボードで演奏しながら思うんだが、澪ちゃんの歌う曲はかっこいいな~対する唯先輩は可愛い系。2人の性格や声質が、そのまま出ていると思う。
あっという間に2曲終わってしまった。次はよーぐるっぺ☆に譲った。
その後も、2曲交代で進めて行く。
『カレーのちライス』
『ときめきシュガー』
『わたしの恋はホッチキス』
『ぴゅあぴゅあはーと』
『ごはんはおかず』
『U&I』
『いちごパフェがとまらない』
『冬の日』
計10曲。多分これで放課後ティータイムとしての曲は全てだ。久しぶり演奏してみると楽しいな。何かアルバムって感じでいいね。
「そろそろ、時間になってきました」
「え~」
「ですが! さ~ってここで!! コラボということでなんと!」
「最後!俺たちが放課後ティータイムの曲を演奏します!」
というと、観客がざわめきと共に、歓声があがった。
「みなさん、さきほど聞いていただきました『U&I』をよーぐるっぺ☆バージョンで!」
「1・2・3・4」
もともと結構早い曲だが、よーぐるっぺ☆が演奏するとそれが一層際立つ。歌に入ると、男と女の声の違いで、こんなにも変わるのかという新たな発見、流石にキーボードが居ないからちょっと薄いけど、その分晶のギターがフル稼働している。アレンジもくわえており、違う曲を聴いているようにも感じる。これは成功だ。
「ありがとうございました~!!」
「最後に! 今度は~わたしたち放課後ティータイムが!」
「よーぐるっぺ☆の演奏をしたいと思います!」
よーぐるっぺ☆が舞台袖に下がると同時に、オレたちがステージに上がる。歩きながら唯先輩がMCを担当する。すぐに準備して演奏を始める。
「放課後ティータイムバージョンでお聞きください!」
最初にボーカルの歌から始まるこの曲。もともとはボーカル1人の曲だが、幸いにも放課後ティータイムには2人のボーカルが居る。アレンジして、2人が歌うようにした。唯先輩だけ・澪ちゃんだけ・両方で歌いどちらかがハモったり、ユニゾンしたり。そして、間奏に入ると共に、全楽器演奏開始。スピーディーな曲でパワフルな曲ってのはやってみると面白い。もともとにキーボード無いから、ムギ先輩と考えながら、アレンジを加えていたのだ。
途中には、もちろんギターソロもあったが、ドラムソロもあり、ブレイクしてベースだけが残って2小節ソロもあり、初挑戦のキーボードソロ。ムギ先輩もオレもしてみた。なかなかの感触であった。そして、最後はボーカルだけが残り、終わる。なんとも成功ではないか!?
「いえ~放課後ティータイムバージョン聞くとまた違った曲に聞こえますね~」
脇からよーぐるっぺ☆のみんなが出てきて、このLIVEのまとめをしてくれる。
「長かったようで短かったLIVEもこのコラボ企画で終了なんですけど……」
『アンコールアンコール』
ずっとこのアンコールが鳴り響いてやまない。音楽で人を楽しませるって凄く誇らしい。
「ありがとうございます。アンコール!」
『イエ~!!』
「実はですね。1曲だけ隠していたやつが」
『聞きた~い!』
「これがアンコールの曲となります。そして、このLIVE最後を飾るその曲とは!」
『俺たちよーぐるっぺ☆と!』
『わたしたち放課後ティータイムが』
『協力して作り上げた新曲です!!』
オレたち10人がこう言うと、会場中歓声が聞こえてきた。
『2つのバンドの音楽が融合する』
『新たな音楽をどうぞお聞きください!』
10人という人数の多さだが……特別セットが組まれた。
ドラム2、ベース2(ベースボーカル1)、ギター3(ギターボーカル1)、キーボード2、ボーカル1というなんとも想像を絶するようなバンドの出来上がりだ。
ドラムが2つなんて聞いたことも無いが、オレたちは作り上げた。互いが互いのを邪魔しないように1つじゃ到底成し得なかった音が作りあがる。ベースも同じく。ただ、ベースに関しては交互に弾いたりすることが多い。2つもあると喧嘩をしてしまいそうだ。ただ、澪ちゃんはボーカルも兼任するのでベースは簡単。ギター3本はよくあるので、普通にOK。特に唯先輩はボーカルに専念できるし、梓ちゃんのカッティングに晶のテクニックが融合してすごいことに。キーボード2人はいつも通りだからOK。ボーカル1人も、唯先輩と澪ちゃんとの3人での歌となるため、音域がそれぞれ違う歌が出来上がる。それぞれの個性を生かし、奏でるハーモニー。
今までにない音楽が完成したのではないだろうか。
★
「最高のLIVEだった」
「楽しかったよ~」
最後にものすごい歓声を浴びながら終了したLIVE。裏でお互いに言い合う。
「音楽っていいな」
この言葉に誰もが賛同した。
片付け等した後、よーぐるっぺ☆のメンバーと再会を期して分かれた。
「お前ら凄い!」
「まさかあんなことまでするとは!」
出口には、竜也率いる10数名がいた。
「竜也から見て、最後のはどう思った?」
「新感覚の音楽だった。だが、改めて難しいとも思ったぞ」
「あの人数での演奏が?」
「ああ。上手いところもあったけど、やっぱりごちゃごちゃしていた。だが、それ以上にインパクトがあった」
流石に1週間やそこらで完成はしないか。1週間で、作詞・作曲して、それをパートごとにアレンジ加えて、みんなであわせるようになるって凄いことだと思う。
「僕たちもあんな音楽やってみたいな……」
「軽音部入ればいいじゃないか」
「今はいいよ。先輩方がいらっしゃるし、邪魔しちゃいけないし」
「わたしたちが卒業したら、2人になってしまうから是非とも入ってくれたまえ」
「考えておきます」
何か意味深な言葉を残したな……アキよ。
いや~音楽の演奏されているシーンの描写難しいですわ。
そして、作者は馬鹿なことを考えます。
10人での演奏。
リアルではそうとう難しいですよ。真面目に、ドラム2ベース2は見たこと無いです。
でも、男1人にソプラノ(唯)にアルト(澪)ってすごいハーモニーを奏でてくれそうですよね。
最後には、フラグが立ったような(汗)
どうなるんでしょう。
今気づいた。
今日七夕じゃん!
特に何も無いけど。
あ、それと。
Youtubeにて、自分が所属していた部活の演奏がUpされているのにこの頃気づきまして。
現在のリアルの高校生のバンドの腕はいかほどのものか見たい方はどうぞ♪
自分の活動報告「軽音!」をご覧ください。
詳しい説明はそちらに。
コメント・感想・評価、
お願いしますね♪