けいおん!のメンバー、原作では男子と話すシーンほとんどなかったですから難しいですね。
そろそろバカテスのほうの影が薄くなってきたけど……大丈夫かな。
では、どうぞ!!
「最近、あずにゃん来ないね」
「そうだね……1週間は来てないわ」
そう、あの日から毎日部活では練習をしているのだが、中野さんの姿が見当たらない。教室で目が合ったときも何かとオレを避けている。嫌われちゃったかな……。
「ヒロ、梓は教室ではどんな?」
「前と変わらずいたって普通ですが……」
「もう来ないかも……」
その会話を聞いていたか知らないけど、中野さんが部室に入ってきた。
★
「あ、梓! どうして最近来なかったんだよ! ここんとこ毎日練習してたんだぞ!」
「わー待ってたよあずにゃん!」
わたし、梓は一週間ぶりくらいに部室を訪れた。
「まさか、やめるって言いに来たのか!?」
「それだけは勘弁してくだせえ!」
わたしは、軽音部は練習しなさ過ぎてダメだと思ったので、この1週間は外のバンドの演奏を聴きに行っていた。やっぱり外のバンドの方が上手い。でも……でも……何故かあの時の演奏が ー ……
「どうしていいか……分からなくなって……」
『えっ?』
「どうして軽音部に入ろうと思ったのか……どうしてあんなに新歓ライブの演奏のときに感動したのか……しばらく一緒に居てみれば分かると思って……でも……一緒にやってきたけど、やっぱりわからなくなって……」
わたしは、涙をこらえることが出来ず、最後のほうは言葉にならなかった。
「それなら、いっちょ演奏するか!」
「あの時の気持ちを思い出せるようにさ」
先輩方は、新歓ライブでやった曲の1つを演奏しだした。
……やっぱり……どうしてだろう。
唯先輩はまるで音楽用語知らないし、律先輩のドラムも走り気味だし……
なのに、どうしてこの4人が演奏するとこんなにいい曲になるんだろう。
演奏し終わると、澪先輩がわたしのほうに歩いてきた。
「梓、この前何で外バン組まないか聞いたよね」
……ピクニックの時に澪先輩に聞いたけど答えが聞けてなかったんだった……
「やっぱりわたしはこのメンバーでバンドをするのが楽しいんだと思う。きっとみんなもそうで、だから良い演奏になるんだと思う」
わたしはこの言葉を聴いて、今まで抱え込んでいた悩みが無くなった!
「梓、一緒に演奏しよう!」
「はい! わたしやっぱり先輩方と演奏したいです!」
「よかった~あずにゃん~!」
★
オレはこの様子を見て、この部活に、この人たちに出会えてよかったと思うと同時にうらやましくも思った。
本当の本当にこの部の一員となれる日が来るのかな。その日はオレが楽器の何かをマスターしてみんなとの息が合うというところまで行かないとダメだ。く~中野さんうらやましすぎる。
オレも家で何か練習しないとな……もしかしたら親に聞いたらギターやベースが眠っているかもしれない。
「まあ、これからもお茶飲んだりだらだらすることもあるだろうけど、それは必要な時間ということなんだよ」
この一言に、軽音部の特徴が集約されているような気がした。
「はあ……そういうものなんですね」
「いや~中野さんが戻ってきてくれてよかったよ。先輩方のやる気がなかなか上がってなかったんだよ~」
「ほ~言うなヒロ。そういうお前も『梓ちゃんがいないとボク寂しい!』な~んて言ってなかったか?」
何てことを言いやがるんだこの人は! この人が冗談言っても嘘が嘘に聞こえない!!
「いいいいい言ってませんよそんなこと!! 大体田井中先輩達だって ー 」
「おいおいヒロ、その田井中先輩ってのは今更堅苦しいぞ。下の名前で呼べ下の名前で」
「え? 律先輩?」
「よーしそうだ。せっかくだからみんな下の名前で呼ぶことにしよう。お互いな」
部長が提案したことにぎゃーぎゃー言っているようだったがみんな異論は無かったみたいだった。
「え~っと、律先輩・澪先輩・唯先輩・紬先輩と呼べばいいんですかね」
「わたしは『ムギ』で良いわよ。みんなもそう呼んでいるし」
「分かりましたムギ先輩」
中野さんは先輩のことを前から下の名前で呼んでいたから何も変えなくて良いのか……
「じゃあ、改めて軽音部がスタートするという意味を込めて下の名前で呼び合うぞ~!」
『おおー』
先輩方はそれだけ言うと、騒ぎ出し手がつけられなくなった。微妙に置いてかれた気がするオレと中野さんはお互い見合って苦笑していた。
「先輩方元気だね、中野さん……」
「そうだね……七島君……」
「ちょっと待った~!! 何で君たち2人はまだ苗字で呼び合ってるんだい?」
「そうだよ、あずにゃん・ヒロくん! みんな下の名前で呼び合うっていうのが決まりでしょ!」
げげっ……さっきまでぎゃーぎゃー騒いでいたのに、こんなちっちゃい声の会話が聞こえるのかよ。
「親睦を深めるためにも、下の名前で呼び合ったほうがいいと思うぞ」
「そうよ2人とも~」
澪先輩やムギ先輩まで~……
同級生が居るのは心強いけど、出会って間もない女子を下の名前で呼ぶなんて……あえて避けていたのに。
「さあさあ、梓ちゃんは“ヒロ君”って、弘志君は“梓ちゃん”って言いなさい!」
何とココで悪ノリの女王の山中さわ子先生、通称:さわちゃん先生までやってきた~
「え……それはちょっと恥ずかしいですし……」
「そ、そうですよ。恥ずかしいです」
お互い視線をずらし、顔を赤らめていた。どうすればいいんだ~!!
「ダメよ!」
「そうだそうだ~」
「さわちゃんいいこと言う~」
……完全アウェーだ。オレと中野さんは窮地に追い込まれた。
「ぐっ…………」
このまましらばっくれたところで、この人たちは諦めるような人たちじゃない。これも仲良くなるため。軽音部でやっていけるようにするため。どうにでもなれ~!!
「あ……あ…梓……さん」
「おいおい、下の名前で呼ぶのにさん付けはないだろう。もう同じ仲間なんだぜ!」
「そうよ! ちゃん付けか呼び捨てにしなさい!」
ちゃ、ちゃん付け!? 呼び捨て!?
覚悟を決めて、『梓ちゃん』と呼ぶと、向こうも恥ずかしがりながら『ヒロ君』と呼んだ。同級生の女子から君付けをされたのは初めてかもしれない。
「よくやった2人とも! 褒めてつかわす」
「これでまた1歩前進だね」
律先輩や唯先輩はなか ー 梓ちゃんみたいな立場に立ったとしても平気で下の名前呼べるだろうなあ。
澪先輩は確実に嫌がるだろうなあ。ムギ先輩はイマイチつかめない。
「それにしても今のやり取り思ったけど。そうやって照れてる方が逆に恥ずかしくないか?」
「そうだよ。あずにゃん・ヒロ君、今のどうみても恋人同士が恥ずかしがってる場面みたいじゃない」
『えっ!?』
「おい律、唯そろそろやめてやれ。この2人もう耐え切れなくなるぞ」
な、ナイスフォローです澪先輩。軽音部のまとめ役という突っ込み役というか。この人がいなかったら、常に暴走しているような気がしてならない。
「そうだな。よ~し、じゃあお茶にするか」
「そうしましょう。私が淹れるわ」
「わ~い、今日のお菓子は何かな~」
……………………
展開が速すぎてついていけなくなったオレと梓の前に、澪先輩がこう言ってくれた。
「2人とも大丈夫だ。これからもよろしくな!」
『は、ハイ……』
「それじゃあ、お茶にするみたいだから2人とも席に座って」
『はい』
未だに慣れないけど、この部活ならやっていけそうだなと思ったのであった。
★
まさか、こんな出会って間もない男子を下の名前で呼ぶなんて恥ずかしい!
というか、今までで男子を下の名前で呼んだことあったかな……あ~もういいや。これが軽音部。そう思おう。同じ学年の人が1人でも居てくれた方が心強いし。暴走しがちな先輩が多い中、澪先輩やなな ー ヒロ君はまともそうだし。頑張ろう。
下の名前で呼び合う。
これだけで一気に仲良くなったように感じるのは気のせいじゃないでしょう。
バカテス原作、1年生次の出来事がほとんど書かれてませんから、影が薄くなっても仕方ありませんね……
出来るだけちょこちょこ出して行きたいと思っているんだけど。
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