作者は夏に負けて、頭がおかしくなったんだろうか……
話を読んでいただいたら分かります。
では、どうぞ!
「…………ん?……さっきからあらゆるものの音が鳴っている気がする……」
「ふぇ…んー……あ、確かに。って、もうこんな時間!」
あれからずっと寝ていて、既に6時を回っていた。
「携帯の着信履歴もものすごいことに!」
「わたしもだよ! さっきからインターホンもすごい!」
2人で急いで玄関に向かう。
「ゴメ~ン!!」
「遅いよ梓!」
「何やってたんだよ……」
「と、とにかく入って! ゴメンねみんな待たせちゃって~」
寝起きで少し頭がぼーっとしているが、みんなが来たのを無下には出来ない。オレと梓ちゃんは少しの隙間をぬって、顔を洗いに行った。
「ったく~憂がみんなを誘ってくれたのに~」
「ホントにゴメン!」
「2人とも家に居ないかと思ったよ~」
「悪いみんな。熟睡していた……」
5時間くらい寝ていたのかな。昼寝にしては良く寝た。
「2人で仲良く手を繋いで寝ていてね」
「俺たちを外に置いてうらやましいやつらだ」
何故知っている!?
「ど、どうしてそれを!?」
「ふふ~梓は素直ね」
「へ?」
「ボクたちはそんなこと知らないよ。カマをかけただけ」
「む~!!」
やはりか。隠しカメラとか仕掛けるわけ無いよな。でも、また1つ新たな弱みを握られたような。
「あ~ずさ!」
「な、何!?」
「お誕生日おめでと~」
『『『おめでと~』』』
「ふぇ……? あ、ありがと」
突然だよな~本当に。8人ともありがたいよ。
「朝からヒロ君と誕生日を祝ってたみたいだし」
「さぞかしいいプレゼントをもらったみたいだから」
「ボクたちは全員でコレを買ってきたよ♪」
「じゃ~ん」
憂ちゃんが目の前に出したのは、机の天板くらいの大きさで高さは10cmくらいの。
「な、何これ!?」
「ケーキだよ!」
「「ケーキ!?」」
そんなサイズのケーキがあるのか! 高かっただろうに。
「流石に特別版には出来なかったけど」
「みんな、見た瞬間に驚いちゃってね」
「これ買おうってことになったんだ」
その気持ちとても判る気がする。こんな机のサイズだぞ。
「じゃあ早速食べようか?」
「まだ夕ご飯食べてないんでしょ」
「そうだけど……」
「夕ご飯作るから、その後にしよ」
「憂ありがと~」
「もちろん、料理ならオレも手伝うぜ!」
出た。カップルで料理が作れるって凄いと思う。って勝手にカップル認定しちゃったけど。別にバチは当たるまい。竜也と憂ちゃんの他にも、この場に料理を作れるのがまだまだいる。
「僕も手伝おうか?」
「人数だけに俺も手伝ったほうがいいだろう」
「………同じく」
アキと雄二と康太。こいつらもまた、料理が作れるのである。アキは一人暮らしで慣れている、雄二は母親がアレだから作りなれている、康太は器用だからうらやましい。
「なんか悔しいよね」
「みんなには勝てないってのがさ」
「そうね。アタシたちも練習はしてるんだけど」
こいつらには叶わないってことか。
「じゃあ、台所借りるね~」
「うん。よろしく~」
料理担当の方々がキッチンに。残ったオレたちは会話に花が咲く。
「梓~こんな昼間から2人で寝ていて何やってたのかな~」
「な、何もやってないよ! ただ寝てただけ!」
「本当に~? 怪しいな。わたしたちに言えないようなことでもしたんじゃないの?」
「し、してないよ!!」
梓ちゃん、何も無いんだからもっと堂々としてりゃいいのに。
「さっきからこの子は……」
「いいじゃん♪ 楽しいし」
「そういう優子だって本当は期待してるんじゃないの?」
「な、何言ってるの! そんなことあるわけないじゃない!」
「優子ちゃんあやしい~!」
とてもじゃないけど話に参加できるような気配ではない。
「どう思う? ヒロ君?」
「ふぇ…!?」
我ながら気の抜けた間抜け声を上げたと思った。
「助かったわ弘志君がそんなんで」
「い、いや話は聞いてたけど、まさかオレに話題を振ってくるとは」
「せっかく優子をたたみかけるチャンスだったのに~」
愛子ちゃんがそう言うが、仕方あるまい。その後も、いろいろと話をし続けていると、待ちに待った夕食が完成した。
「お待たせ~」
「すごい!」
5人が5人料理を持ってきて、机に並べようとするが……
「っ……入らないね。テーブル持ってくる」
10人という多さだ。いつも使っているらしい机だけじゃ入らない。
「ふ~これに!」
1人で折りたたみ式のテーブルを持ってきた…オレもついていけばよかったな。
「憂、すごいよ!」
「いつものことだよ。慣れてるからね~」
慣れてるって……この量を!? 唯先輩がたくさん食べるんだろうな~
「じゃあ、みんな席ついた?」
「おうっ」
「は~い」
「梓の誕生日を祝って!」
手拍子3回の後、「HappyBirthDay」を歌いだす8人。元から決めていたんだな。オレもそれにのろう!
「みんな、ありがと~!!」
感激している梓ちゃん。そりゃそうだよな~一度はこうやってみんなに祝ってもらいたい。
「食べよっか」
「カンパ~イ」
「「「乾杯~!!」」」
憂ちゃんと竜也を中心に料理の精鋭5人が作った料理。さまざまな味付けでそれぞれが美味しい。食べている間も話のネタはつきなかった。食後、8人が買ってきてくれたケーキをいただくことに。目の前にするとやはり大きさは際立つ。普通のホールケーキの何倍だろうか……それを食べると、梓ちゃんがこういった。
「みんなありがとね。そういえば、ウチにも両親が買ってきてくれたケーキがあるんだけどみんなで分けよう」
「梓、それは梓のご両親が梓のために買ってきてくれたんだよ」
「ヒロ君のためにもだろうね♪」
「だから、わたしたちはいらない」
「純……みんな……」
意外といってはなんだが、意外。純ちゃんが一番乗り気で食べるかと思った。
「よ~っし、たらふく食べたところでゲームでもするか~!」
「「ゲーム?」」
竜也が突然こんなことを言い出したが、ゲームなんて持っていないんだが。
「安心しろ。オレが持ってきた」
持ってきた? こんな大量人数で遊べるようなものがあったかな。あ~あれか。人○ゲーム。
「竜也、いつのまにそんなものを?」
「気づかなかったか? オレのバックにはコレしか入ってないぜ」
「そうだったんだ」
竜也が自分のバックを取り出し、そのゲームとやらを取り出す。
「じゃ~ん、『ツイスターゲーム』!!」
オレの予想は外れた。しかし、ツイスターってなんだ?
「ん? その様子を見ると、知らないやつが多いのか?」
「知らない」
「わたしも」
「僕も知らないよ」
「俺もだ」
オレと梓ちゃん・アキと雄二が知らなかったらしい。優子さんは家にあって小さい頃に秀吉(今日は演劇部)としたことがあるらしい。憂ちゃんも唯先輩としたことがあるそうだ。愛子ちゃんや純ちゃんはものすごく笑顔だ。これの楽しさを知っているみたいだ。康太は表情には出さないが、アレは兄あたりとしたことがあるのだろうか。
「せっかくだ。知らないやつらからやってみると面白い」
「いいね。ルールは?」
「まあ待て。出場者を先に決める」
「梓ちゃんは後にしよう。いろいろな楽しみのためにね」
「愛子、考えが……」
「わたしも賛成!」
「………そのほうが面白いだろう」
「みんながこう言ってるし、最初は野郎共3人でやってみよう」
ということで、最初はオレとアキと雄二の3人でやることになった。
「やりながら説明した方が分かりやすい」
「そういうものか」
「よ~っし何か分からないけど、この2人には負けない!」
「この円を使って遊ぶのだな」
赤・青・黄・緑と4種類円があって、それが同じ列に数個並んでいる。
「じゃあまずはっと!」
何か観客の方は手元でルーレットみたいなものを回していた。
「右足を黄色」
「みんな、右足を黄色に乗せて」
「それだけでいいのか?」
「案外簡単だね」
「こいつらの不気味な笑顔が、悪巧みを考えていることを示しているぞ」
妙な恐怖感に襲われながらも、ツイスターゲームとやらを楽しむ。
「左手を緑」
「いよっと!」
「ふふ……そろそろね」
「優子、怖いぞ。何かこのゲームにトラウマでもあるのか!?」
「さあね。それは数分後に分かるわよ」
怖いな。他のやつらも思いっきり笑顔で見てやがるし。梓ちゃんだけはルールを知らないから、まだきょとんとしてみていた。
「右手青」
余裕!
「左足青」
……!? 左足!? ここからじゃやつらが邪魔で。
「愚問だと思うが、これって、両手両足以外床についたらダメなのだな」
「「「当たり前!」」」
そこまで言わなくても。ちょっと聞いてみただけじゃないか。
「ゆう…じ…邪魔」
「お前こそどっか行け!」
「くっ……よし!」
「さて、このゲームの怖さが分かる頃だね」
今怖さって言った! 楽しさじゃねえのか!?
「左手赤」
「はあ!?」
「この角度からあそこを狙えと!」
「先手必勝!」
アキが先に動いた。オレたちも後れをとるものかといっせいに狙うものの、他の3つが動いてしまってどうすることも出来ない。
「体が柔らかくないとダメだな」
「俺は結構不利だぜ」
かたくは無いだろうが雄二は体が大きいからなアキに比べて柔軟性に劣る。
「右足青! ー ってダメか」
「じゃあ、ボクがまわそう。右足緑!」
「ぐおっ!」
「ぎゃ~!!」
「巻き込むな!!」
3人が3人先を急ぎすぎて接触。そのまま全員崩れ落ちる。
「「「はははは!!!」」」
「全員、失格じゃん!」
「くそ~雄二のせいで!」
「お前がそんなところにいるのが悪い!」
「恐ろしいゲームだ……」
竜也め。何が楽しいだ。
「さて、ここからが本番。一番の楽しみは最後にとっておこう」
「そうだね♪」
「このゲームの最大の楽しみは男女共にやるんだもんな」
「「えっ!?」」
「っていうわけで、ムッツリーニと純ちゃんと、愛ちゃんと明久行こう!」
先ほど観戦していたメンツが、自分の番になると苦笑いを浮かべていた。
「やめてアッキー!!」
「仕方ないじゃないか! どうすることもできないんだよ!」
今の状況を説明するには、R-15制限が必要となるためにやめておくとする。その後すぐに、アキと愛子ちゃんが2人で倒れ、お互いの顔が近くに。喜んだ純ちゃんも束の間、バランスを崩し、康太の上に乗っかる形に。うん。これは写真撮るべきだ。
「ふ~これは見ているほうがいいんだよね~」
「今分かったよ。やってるほうは辛いだけ」
「じゃあ、次のグループ、雄二と優子さん行こう!」
「おい、待て。竜也何お前自分は入ろうとしていないんだ」
「げっ!」
「バレバレだ。お前巻き込む」
「もちろん、憂も巻き込むわよ」
苦笑いしながら、2人とも参加することに。あれ? この流れって……
「憂ちゃんやばい!」
「わたしのほうもダメ!!」
「くっ……これほどまでに腕力を使ったのは久しぶりだ」
雄二は優子さんのダメージを経験するために、腕立て伏せ状態を下でキープしているのだ。何たる力だ。
「む~女子2人が頭よく、的確な場所に逃げるからなかなかだな~」
「愛子、アタシだって伊達に昔してたわけじゃないのよ」
「わたしもお姉ちゃんとずっとしてたんだから!」
竜也が、観客だったときの面影なしの汗だくになっている。雄二も精神的に削られていっているのだろう。アキやオレとするときは、倒れたとしても二次災害は起き得なかったが、女子が2人いるもんな~しかも優子さんだぞ。
「し、しぶとい!」
「竜也よ。お前ギブしたらどうなんだ?」
「へっ。何言ってるんだ。お前こそ頭に血が上って汗ダラダラじゃねえか」
「負けるわけには行かないね」
ゲームだというのにここまで熱くなるのか。この終わりはとてつもなく突然訪れた。2人の汗が、置くべき手を滑らせてスリップしたのだ。それに全員が巻きこまれて危ない格好に。まあ、男子が下になっているから安全か。
「ご、ごめんなさい雄二!」
「気にするな。大丈夫か?」
「え、ええ」
惜しかった。ラッキーが見れるかと思ったのに。
「ごめん憂ちゃん!! 悪気は無かった!」
「分かってるよ。不可抗力だもんね」
うん。下心があったら確実に後ろに手が回るようなところに、ちゃんと触れていますな。
「いいもの見れたね~」
「くっ……愛子を元気にさせたくはなかったわ」
「でも、ド本命が残ってるじゃん!」
「そうね。しっかりと見届けてあげましょう」
「さて、ラストメインイベントだな!」
8人の視線がいっせいにオレと梓ちゃんのもとに。この後にやれってか。男子としてはラッキー多発するから嬉 ー いやなんでもない。
「え、わわたし!?」
「梓~みんながここまでやったんだ」
「やりたくないとは言わせないわよ」
「強制ね」
「もちろん、2人で」
「「えっ!? 4人じゃないの!?」」
「あきれるくらい息がピッタリね」
「2人の様子を8人で見たいものね」
どの道、この言い合いには勝てそうもない。仕方なくやるとするか。ラッキーには期待している。期待していないとか言ったら男じゃないな。って、ただの変態じゃねえか!
「ううっ……やるよ!」
『『『『オオーーーー!!!』』』』
何だこいつらは。どんだけ期待してるんだよ。
「これ、難しくない!?」
「稀に見る、プレイヤーイジメだね」
全てを円の中に置くんだが、体をねじっておかないともうアウト。2人やばいよね。
「きゃっ……」
「ゴメン梓ちゃん。って!!!」
まずいぞまずい。これはまずい。四つんばいに近い格好の背後に回る形となったオレは、成り行きどおり、梓ちゃんの下半身の近くにならざるを得なくなっている。どうするんだよ~!!
「いいぞ弘志!」
「梓もかわいいわよ!」
「「うるさいな~みんな!! こっちは真剣なんだよ!!」」
「また被った」
「うらやましい」
観客の盛り上がりとは裏腹に、オレたちの苦悩はすごい。
「ううっ……恥ずかしい……見ないでよヒロ君……」
「断じて見てない! オレは下しか!」
「きゃっ!!」
突然、梓ちゃんが手を滑らせ足を滑らせオレの上に落ちてきた。
「~~~~~~~~~~~っ!!!」
お互い、声にならない悲鳴を。
「ご、ごごごごめんヒロ君!」
うん。こちらが全力で謝ります。いくら不可抗力とはいえ、梓ちゃんの股に顔を突っ込んだ形になったんですからね。
「あはははっ!! 最高だねこの2人」
「反応が一番面白いよ!」
「持ってきて正解だった~」
「ううっ……もうこのゲーム絶対やらない……」
「楽しかったのに~」
「まあまあ2人をいじめないの」
「そういう優子だってとても楽しそうじゃない」
「ええ。そうよ。いいものが見れたわ」
鬼だ。鬼がたくさんいる。
「まあゲームも終わったことだし、オレたちはそろそろお暇するか」
「そうしようぜ」
「もう帰るのか」
「そうね。これ以上ココにいたって2人のご迷惑」
「ボクたちは、さっきのが見れただけでも幸せだから」
「じゃ~ね」
「おい、ちょ!!」
やつら、帰るって思いたってから行動に移すまでが早すぎだろ。引き止める暇も無かったぜ…
「ね、ねえ……ヒロ君」
「どうしたの?」
全員を玄関まで見送った後リビングに帰ってきたら……
「って、竜也確信犯か」
ツイスターゲーム置いていっているのだ。オレたちがいない間でもどうぞ遊んでくださいといわんばかりに。
「やりたいの?」
「梓ちゃん、あいつらの作戦に呑まれるのはもうやめよう。それこそ思う壺」
「あっ…………きゃっ!!」
ツイスターゲームにまたもや足を滑らす梓ちゃん。汗がまだ結構残ってたのか。
いろいろなものが散乱する音が。
……………………
一瞬の間に何があった。
「ご、ゴメンヒロ君!」
梓ちゃんってここまでドジっ子だったっけ。足を滑らせ、避難させていたケーキの方に突っ込む。
「べたべただね……」
「うん」
オレもべたべたなのだ。梓ちゃんが余りにもいい転びっぷりだから、オレまで被害を受けているのだ。
「どうしよう……」
「梓ちゃんが先にお風呂入ってきなよ」
「ええっ! わたしのせいで、こんなになったんだし、ヒロ君が先に」
「それはまずいよ。だって、今日は梓ちゃんの誕生日でしょ。祝ってるんだからさ」
「でも……」
「じゃあ、一緒入っちゃう?」
すいません、調子に乗りました。ツイスターゲームで気がおかしくなってしまいました。
「……………………………………そうする?」
「えええええええええええっっっっ!?」
オレは、自分自身で取り返しのつかない扉を開けてしまったようだ。
あはは……
続きとても期待してますか……?
誕生日話は、これで終わりですよ!!
久しぶりに暴走しましたね。
えっ?
いつも暴走してるって?
そんなバカな。
普段は平常(なはず)
そろそろネタがつきてきた。
1話1ヶ月単位で飛ばしていこうかな。
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