青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 もうすぐ、卒業。

 今回は全く伏線を仕掛けてなかったためにあまりにも突然な展開。
 
 けいおん!の映画の話です。

 では、どうぞ!!




#88 計画!

 

 「怪しいですね」

 「な、なんのことでしょう」

 「さあ、早く見せてください!」

 「きゃーやめて~!!」

 バレンタインの日から数日後…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オレたちは、部室で旅行の計画を立てていた。何の旅行かというと先輩達の卒業旅行だ。確かに夏休みの間にそんな話もあったがまさか本当に実行するとは思ってもいなかった。

 それで、何処に行くかを決めていたんだが、みんなバラバラで。海外旅行と言う話なんだが……唯先輩はヨーロッパ、澪ちゃんはロンドン、りっちゃんはドバイかハワイ、ムギ先輩は温泉ということだ。

 

 オレと梓ちゃんは主役じゃないので何も言わなかったが、心の中で突っ込んでいた。ヨーロッパって広すぎ。温泉って日本にあるし。

 とまあ、こんな風に分かれていたからどこに行くか決めるために、「あみだくじ」をした。結果、ヨーロッパに決まったんだが、いささか様子が変だったので梓ちゃんが唯先輩に問い詰めているのだ。

 

 

 

 

 

 「やっぱり……思ったとおりですね」

 と、先ほどのあみだくじ(唯先輩手作り)を見てみる。何処に行っても全部ヨーロッパと書かれていた。いわゆるイカサマだ。

 

 「しまった!」

 「唯~いい加減にしろ~」

 ここは第三者の意見がいいだろうと言うことになって、トンちゃんに決めてもらうことになった。ルールは、それぞれ行き先を書いているティーカップにトンちゃんが触れたところに行くということだそうだ。この決め方、数年前サッカーのW杯で何かあったような気が。

 

 

 

 

 「ロンドンだ!!」

 「澪、よかったな」

 「ロンドン……行ける!! やったー!!」

 日頃、感情をあらわにしない澪ちゃんが大声を出して喜ぶ。相当行きたかったらしい。

 

 「唯もよかったじゃないか」

 「何で? ヨーロッパじゃなかったよ」

 「あのな唯、一つ言っておくが、ロンドンもヨーロッパだ」

 「……………………え?」

 本当にこの方大学合格したんでしょうか。何かのまぐれとかじゃ……

 

 「よかったな梓。ロックの本場だぞ」

 「えっ? わたしも行くんですか?」 

 「もちろんじゃないか。梓もヒロも」

 「来ないのあずにゃん! ヒロ君も」

 ……先輩達の卒業旅行なのにオレたちも行くんですね。でも海外って……

 

 「お邪魔にならないでしょうか?」

 「ぜんぜ~ん!」

 「親に行っていいかどうかを聞いておかないといけないですから」

 と、梓ちゃんは携帯を取り出して電話を始めた。オレも親に連絡しないと。

 電話をすると、初めは冗談かと思われたらしかった。そりゃそう思うわ。ただ、本気とわかってびっくりしていたが、承諾してくれた。よかった~

 それにしてもロンドンかあ。イギリスだもんね……何処に行くんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     ★

 

 「突然わたしたちも行くことになるんだもん。びっくりしたよ」

 「そうなんだ~」

 「いいなあ海外旅行。軽音部うらやましい!」

 「わたしたちがしっかりしないと」

 帰りに梓ちゃんが本を買いに行くと言ったのでついていくことに。途中で憂ちゃんと純ちゃんにも会ったので、そのまま合流した。梓ちゃんが謎の張り切りよう。まあ、あの先輩たち見ていたら分かるけどね。 

 

 「梓ちゃん、ヒロ君。お姉ちゃんのことよろしく頼むね」

 「ね~憂、そのお姉ちゃんなんだけどさ~」

 「え?」

 「何か、わたしたちに隠し事をしてるみたいで。憂知らない?」

 「お姉ちゃんに隠し事なんて出来ないと思うけど」

 梓ちゃんが言っていることも分かる。オレたちが突然現れると先輩達ビックリしているんだよね。でも、憂ちゃんが言っていることも分かる。あの唯先輩がだ。あみだくじの件でも分かったがすぐに嘘は分かるんだよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ★

 

 「いらっしゃいませ~海外旅行のご予約ですか?」

 「はい! ロンドンで5日ほど」 

 次の日、6人で旅行代理店に行く。

 

 「5日って、いつ行くんですか?」

 「期末テストが終わって、5連休だろ?」

 「あ、そうですね」

 そういえば、2年生は期末テスト終わったらちょうどそこから土日を間に挟んで5連休とか言ってたな。1年生は、大学訪問とかあるから普通に土日だけの休み。だから、優花は来れないのだ。この話をしたら、普通にみんなで行って来てみたいな感じだった。そういうのはしっかりわきまえているのだな。それに気を使ってか、この頃部室にも現れないし。

 

 「ロンドンへ、3泊5日ですね」

 「3泊?」

 「往復で1泊するってことよ」

 「なるほど」

 時差の関係上、そうなる。ロンドンと日本って9時間だっけか。

 

 「ロンドン市内だけでよろしいですか?」

 「どうする?」

 「それでいいと思いますよ。たくさん見るところありますし!」

 「じゃあ、そうしようぜ!」

 みんな行きたいところがありすぎて、店の人が個人旅行を勧めてきた。流石にそれは…と思ったが、何なくOKを出す先輩方。さらに梓ちゃんに負担が増えそうだ。オレも手伝わないとな。

 

 

 

 

 

     ★

 

 「ネッシーですか?」 

 次の日、部室で何処に行くか決めていたら突然唯先輩がネス湖にいけないかと言ってきた。

 

 「オカルト研の人に写真撮って来るっていったからさ」

 「先輩、ネス湖のネッシーって伝説ですよ」

 「実際にいないわね」

 「そ、そんな! あれはオカルト研のジョークだったんだ!」

 唯先輩のがっかり度は半端じゃない。さわちゃん先生も久しぶりに部室に現れたと思ったら呆れているし。

 

 「他にどこか行きたいところありますかね?」

 「先輩方!」

 「どうしたヒロ?」 

 「1つだけ見てみたいところが」

 梓ちゃんも特に希望出していないみたいだけど、どうしてもイギリスといったら行きたい場所が。

 

 

 「言ってみろ」

 「実は、全く音楽に関係ないんですけど」 

 「構わんさ」

 「ウェンブリースタジアムに行ってみたいんですよ!」

 サッカー好きならば一度は訪れたいと思う『サッカーの聖地』。アメリカに行くならば『ヤンキースタジアム』に行く感覚だね。こちらは野球だけど。

 

 「うぇんぶりー?」

 「はい。サッカー場です。試合は流石に見れないですけど、どんなところかは」

 「いいんじゃないか?」

 「ありがとう!!」

 「じゃあ、そのウェンブリースタジアムも候補に入れておきますね」

 梓ちゃんに結局任せっきりになってるじゃん。オレも仕事しないとね。道順とか調べたり英会話出来るようになったり。

 

 「頼んじゃって良いのか?」

 「こういうの好きなんです。気にしないでください」

 「悪いな」

 「わたしは帰ります」

 今日はやけに早い帰りだ。オレもそれについていくから帰る。

 

 「みなさんは帰らないんですか?」

 「帰る ー 」

 「わたしたちもう一杯お茶して帰るわ。梓ちゃん」

 「気をつけて帰れよ。ヒロ」

 ん~やっぱり梓ちゃんが気にかかっているのは間違ってないよな……何か隠しているような。

 

 「じゃあ、お先に失礼します」

 「また、明日な~」

 部室を後にする。

 

 

 

 「ねえ梓ちゃん」

 「やっぱり先輩達何か隠してるよね」

 「気になるけど、いつか言ってくれるまで待とうよ」

 「そうだね。それに期末テストも近いし、スケジュールも立てないといけないから」

 いろいろと大変だ。あ、優花があまり姿を見せないのもテストが近いって言うのもあるのかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

 

    ★

 

 

 「そうか、曲だよ!!」

 「梓ちゃんもヒロ君もわたしたちの演奏を聞いて入部してくれたものね」

 「なんで今まで思いつかなかったんだろう……」

 「いいじゃんそれ!!」

 「先輩が後輩に送る曲。いいよね!!」

 3年生4人は、卒業する前にお世話になった後輩に何かプレゼントを考えている最中だった。

 

 「忘れ物を取りに ー 」

 そんなときに、梓が帰ってきたのだ。

 

 「わわっ。あずにゃん!?」

 「いつからそこに!!」

 「今ですけど」

 「あ、そうだね。むったん忘れてたんだよね。忘れちゃダメだよ」

 「あ、はい。それでは失礼します」

 何とかごまかしたような感じだが、梓や後ろで見ていた弘志は疑いの目をしていた。なぜなら、見たことの無いくらい先輩4人が真面目な顔をしていたからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    ★

 

 「お前らマジでロンドン行くのかよ!?」

 「あ、ああ。卒業旅行ってかたちでな」

 「いいな~ボクも行きたいや」

 「無理よアタシたちじゃ。そもそもパスポート持って無いでしょ」

 「お土産よろしくな。絶対だぞ!」

 久しぶりに雄二やアキたちがAクラスに現れたと思ったら、どこからか情報を仕入れてたらしくオレたちに詰め寄ってきた。これで約10人分のお土産を買うことが決定したな。忘れないようにしないと。

 

 「ロンドンっていうと、ホームズのいたところじゃなかったか?」

 「シャーロックホームズ?」

 「ああ。ベイカー街221Bってロンドンじゃなかったっけ?」

 「覚えてない。近く通ったら見てみるわ」

 「他にもロンドンっていったらたくさんあるわよね」

 みんな自分達が行くみたいに盛り上がっていた。こりゃこいつらの分まで楽しんで来ないとな。早いな~期末テストもあっという間に終わって、明日からロンドンだよ。何とか梓ちゃんと2人で行程は決めたけど、言語も通じないしこの通りに行くか心配だな。

 

 「英語は大丈夫なの?」

 「本場だからね……不安が残るけど。優子さんがいたら通訳頼むのに」

 「ふふ…そこは自分達で何とかしなさい」

 「聞き取れなかったらどうしよう」

 リスニングとかで聞くのよりレベルが違うんだよな、速さが。6人も行くんだ。それに一応、曲がりなりにも全員「Aクラス」。誰か分かるだろう。

 

 「楽しんできてね。みんな」

 「先輩達にもよろしく言っておいてね」

 「は~い」

 アキたちと話していたら、入り口の方に優花が立っているのが見えた。全然入ってくる気配が無かったが、あいつが伝えたい意思は分かった。お土産を楽しみに待っているのだ。そりゃ忘れないと思うぞ。

 さて、明日から異国の地か。飛行機乗るのも初めてだな……楽しみだ。

 

 





 ウェンブリースタジアムだけでなく、オールドトラフォードにも行きたいなあ。
 サッカー好きの作者です。

 それに、リバプールに行って、ビートルズと同じ空気を吸ってみたい。
 イギリスって凄いと思う。

 ご飯はあんまり美味しくないらしいけど。

 今回の旅行、優花は事情により参加が出来ない。
 さて、旅行中・帰って来てから、どうなることでしょう。

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