あっという間に、お別れのお話。
早かったですな~90話。
ロンドンから帰って来て、あっという間に卒業式。
では、どうぞ!!
「どうだったロンドン!?」
「いいな~楽しかっただろうな~」
「しかも向こうでライブやったんだろう」
次の日、教室に着くなり何故かアキや雄二・純ちゃんといったAクラスに関係ない方々も顔をそろえていた。
「はは……すごかったぞ。はい。お土産」
『『『『やった~!!!』』』』
この人数だから大した物は買ってないが、霧島代表・優子さん・愛子ちゃん・純ちゃん・アキ・雄二・竜也・康太・秀吉にお土産を。憂ちゃんは姉がたくさん買っていったみたいだからそれでいいらしい。優花には後で。
「ねえ、ヒロ君。先輩達が来て、明日教室でライブするんだって」
「えっ?」
3-Aの教室で朝ライブをするそうだ。もちろん参加で。このとき周りにいた連中も聞きに来るそうだ。
「うわっすごい」
結構な客の入り様。全然告知してないのに口コミでここまで。さて、早速演奏を。先輩達が受験終わって本格的に練習を始めた曲、要するにまだライブで未公開曲の新曲だ。
「五月雨20ラブ」
澪ちゃんボーカルのこの曲。そして、次の曲は初の試み。
「わたしが歌います。Honey Sweet Tea Time」
ムギ先輩が初めてボーカルを務める。もちろんキーボードもしながら。すごいな~尊敬するよ。
この新出2曲を先に持ってきて、後はおなじみの曲たち。過去に10曲演奏しているが、その中でとっておきのを。やはりふわふわとか。そして、最後にはU&Iを持ってくる。楽しい! 観客の方たちもとっても楽しんでいたようでよかった。
★
「わたしたちのお昼ご飯を買ってきてくれないでしょうか~!!」
「3年生がこの時期にいるのはおかしいからさ」
次の日昼休み、体育の帰りに購買のパン屋の近くを通ったら、先輩方4人がいた。
「分かりましたよ。買って来ます」
「ありがとな梓、ヒロ」
オレと梓ちゃんはジャージのままパンを4人分買いに行った。
「今日朝からずっと部室にいるみたいだね」
「暇人だよね~」
オレたちは買って部室に届けた。相当朝から紅茶を飲んでいるらしかった。最後の最後までHTTとしての大事な役割を忘れてないよな。
「これが先輩達と過ごす、最後の放課後か……」
「何かあっという間だったよね2年間」
「あ、ヒロ君・梓先輩こんにちは」
「優花……」
放課後2人で部室前まで来てドアの前で立ち止まっていたら、階段を上ってきた優花と出会った。よくよく考えれば、こいつ梓のことを先輩って呼んでいるんだから、オレもそう呼べよ。別に強制はしないけど。
「入らないの?」
「あ、いや入るぞ」
「失礼しまーす」
「遅いぞ」
「へっ?」
なんと楽器のセッティングをしていたではないか。
「演奏するんですか?」
「そうだよ。わたしたちの曲を残そうと思って」
「分かりました。早速準備します」
オレと梓ちゃんは急いで準備に取り掛かる。
「それで、何から演奏するんですか?」
「決めてなかった……」
オレたちの準備も完了したところでいざ!と思ったら何も決めてなかったみたいだ。
軽く曲順を決めることに。どうやら今までの曲全て演奏するみたいだからな。アルバムじゃん完全に。
1.ふわふわ時間
2.わたしの恋はホッチキス
3.ふでペン~ボールペン~
4.カレーのちライス
5.いちごパフェがとまらない
6.ぴゅあぴゅあはーと
7.Honey Sweat Tea Time
8.五月雨20ラブ
9.ときめきシュガー
10.冬の日
11.翼をください~HTTver.~
12.校歌~HTTver.~
13.ごはんはおかず
14.U&I
「じゅ、14曲?」
「こんなにしたんだなわたし達」
「わたしがこの部に入ろうとしたきっかけって翼をくださいだったよね」
「そうだな~あの時はわたしたち3人でどうなるかと思ってたな」
最初、唯先輩を除く3人が軽音の初期メンバーだったらしいが、あと1人入らないと廃部になるといって必死で部員集めしたら当時バリバリ初心者の唯先輩が見学に来たらしい。その当時からティータイムはあってその誘惑に負けたりして、最後は3人による翼をくださいの演奏で入ろうと決意したそうだ。
「こんなにあるんですから早くしないと」
「そうだな」
「じゃ、優花は録音係ということで」
「分かった。みなさん頑張ってくださいね」
こうして始まった、『放課後ティータイムアルバム』作戦。あわせて何時間かかっただろう。つかれた~
「先輩達すごいです。こんな演奏していたなんて驚きです。ヒロ君が何も楽器弾けないのに軽音部に入ろうと言い出したのか分かりました!」
そっか。オレたちの演奏本格的に聞くのって初めてだっけ。ま、オレも今となっちゃこの方達と同じメンバーとして演奏できて嬉しい限りだ。
優花よ。お前がどんな理由で軽音に入ったかは知らんが(ある程度は推測できるけど)、生半可な気持ちでこの先輩方を引き継ぐなよ。分かっているだろうな。
★
「とうとう今日で先輩ともお別れか~」
「うん……」
Aクラスを出て、講堂に向かう途中に当たり前のようにDクラスの純ちゃんとFクラスのやつらと合流する。Dクラスといえば、久しぶり清水さん見たな。一生懸命働いてるんだろうな。
『大変、遅刻だ~!!』
聞き覚えのある声が。ああ、予想通り唯先輩だ。その周りには軽音部の先輩が4人。は~最後の日までなにやってるんだろう。
「さっすが軽音部だね。ギリギリで生きている感じ」
なにやら謂われも無いことを純ちゃんに言われた気がする。
「あいた!!」
「大丈夫梓ちゃん!」
「ちょっとよそ見していたら」
壁に頭をぶつけていた。こりゃ血は出てないけど一応保健室に見せたがいいな。
「おかえり梓ちゃん」
「ううっ。卒業式にこんなに……」
おでこにガーゼ?を貼っていた。気が乗らないんだよね。
「大丈夫、前髪で隠れて見えないから」
「それにしても、卒業式無事に終わるかな」
「平気平気。もう何も無いから!!」
あ~終わるかな……何かしらやらかしそうなんだよね。憂ちゃんのフォローもちょっとむなしい。
「ってか、あの常夏卒業するのかね」
「まだ学校に居たのかな?」
「停学だったからいるんじゃない?」
懐かしい名前を聞くものだ。あの悪巧みに参加したやつら、卒業式居辛いだろうなあ。自分達がしてしまったことなんだから責任取らないといけないけど。
「これより ー 」
講堂に全員が入ると早速卒業式が始まったんだが……な~んも覚えてない。上の空だった。ずっとこれからのことを考えていたんだよな。先輩達がいなくなった軽音部。対立しているような雰囲気の女子2人。考えるだけでも気が重くなりそうだ。
★
「あずにゃんとヒロ君がわたしたちに翼をくれたんだよね」
「そうだな。わたしたち軽音部に」
「放課後ティータイムとしてね」
「2人はわたしたちをたくさん幸せにしてくれた天使なんだよ」
「そうかもしれないな」
4人は卒業式後、屋上で空飛ぶ鳥を見ていた。その中で後輩達に送る曲のフレーズを思いついたみたいだ。
「この曲もあずにゃんとヒロ君の羽になるかな」
「気に入ってくれるといいな」
「2人と後優花ちゃんもわたしたちのこの曲で羽ばたいてほしいね」
「そうだな」
先輩として最後に出来ることは無いか。それを思いついたあの日から練りに練ったこの形。軽音部として最高の贈り物「曲を贈る」ということで4人は一致していた。それを渡すまで後もう少し。
★
「わたしはジャズ研の部室に行って来るから、しっかりしなよ」
「あ、うん……」
ぼーっとしていた梓ちゃんに純ちゃんが一言告げて教室を出て行く。既に2-Aの教室は人が少なくなっていて、オレたちとアキや雄二たちだけとなっていた。
「梓ちゃんも部室に行くんでしょ」
「うん。憂は?」
「わたしは家に帰ってお祝いの準備をしないとね」
「そうなんだ。わたしもお祝いしなくちゃね」
「うん!」
悲しんでいる場合じゃないということだな。それを聞くとみんな安心したかのようににっこり笑って教室を出て行った。後はオレと梓ちゃんの2人きり。
「行こうか」
「そだね!」
最後の部室。最後の部活動に向かう。
部室に入ると、既にムギ先輩がお茶を淹れ始めていた。
「すいません。今日くらいはわたしがお茶淹れようと思ったんですけど」
「ダメよ。わたしの仕事だもん」
ムギ先輩は最後までムギ先輩らしいな。
「梓、軽音部の今後のことなんだけど」
「大丈夫です! わたしとヒロ君で何とかしますから!」
「ええ。先輩達に負けないように」
「ヒロ、結局先輩って言い方から抜け出さなかったな」
どういう意味だろう。
「最後くらいは同じ18歳としてな」
「いや、もうこの学年で慣れましたし」
「そうか。そうだよな」
「その代わり、今日が終わったらみなさんOGなんですから先輩って呼ばないかも知れませんよ」
「いいな、それ」
「期待してるぞ」
えっ……冗談だったんだけど…
「絶対に廃部にしませんから」
「そうです。あ、それとわたし。みなさんにちゃんとしたお礼を言ってなかったと思いまして、手紙に書いてきました」
と言って、手紙を4人に渡す。さっき書いてたのはこれだったのか。
「先輩方、ご卒業おめで ー 」
……バックをみんなと同じところに置こうとしたときに梓ちゃんが固まる。目線からして卒業証書入れだな。
「どうした梓?」
「卒業しないでください…もう部室片付けなくても、お茶ばっかり飲んでてもいいから…卒業…しないで」
梓ちゃんはそういうと泣き出した。こらえていたんだろうな~ずっと……オレも泣きそうだ。人前では泣かないと決めているからそれは絶対しないけど……今後自分達だけで軽音部が成り立っていくんだと決心しても、やっぱり先輩の後姿だけは残ってしまう。
「すいません……お祝いなのに……泣かないつもりだったのに……笑って見送ろうと思ったのに」
隣にいるオレは声を掛けれない。今声に出すと泣き出しそうなのがすぐに分かってしまうからだ。
「梓、ヒロ。2人に聞いてほしい曲があるんだ」
「「……へ?」」
オレたちはソファのほうに誘導されて先輩方がセッティングするのを待っていた。
「やるか」
りっちゃんのスティック音で始まった。ボーカルは唯先輩だけでなく、みんなが歌うようだ。
隣見てみると、梓ちゃんがずっと涙を拭いていた。自然と涙がこみ上げてくるようだ。あっという間に終わったこの曲。放課後ティータイムとして最後の曲であろうこの曲は15曲目にして「天使にふれたよ」という題名らしい。
ロンドンに行く前からずっとオレと梓ちゃんのことを思いながら、書き上げた歌詞だそうだ…………本当にこの方達が先輩でよかったよ。ねえ梓ちゃん……
「あんまり上手くありませんでした!」
『えっ!』
「でももっと聞いていたいです。アンコール!」
梓ちゃんも最後まで梓ちゃんなりに先輩達を送り出そうとしているんだな。
「あ、さわちゃん」
「優花も」
あの顔を見ると、さきほどからのやりとりを全て聞いていたみたいだな。入って来ればよかったのに。遠慮なんてせずに。
「わたしも先輩方に負けないように頑張ります。もちろん絶対にヒロ君には負けません!」
「おおーっとヒロ、キーボードの座とられないようにしておけよ」
「大丈夫ですよ。ムギ先輩もいたから」
結局卒業式の放課後もみんなで演奏して終わったな~。楽しかったよな2年間。あっという間だったけど。
「音楽って最高だな♪」
今度はオレたち3人からの再スタートだ!
いや~感動して泣けましたよ。
けいおん最終回。
いや、マジで。
これで、最終話 ー
と思いましたか?
違いますよ!
3年生になってからの話もします。
伏線もいくつか回収してませんし。
けいおんhighscoolに入って行きます。
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