すいません、遅れました~
今日オープンキャンパスに行ってまして帰りが遅かったもので。
よかったですわ~
そのよかったことと対比して残念なニュースが。
ウチの高校の野球部が決勝で負けてしまいました。
あと一歩で初の甲子園。
よくぞ公立であそこまで勝ち上がった。ということでした。
さて、話のほう。
一気に時系列は飛び、5月に。
では、どうぞ!!
「今日から、京都だ!!」
学園名のように若葉が覆い茂っている5月に入ってからのこと。
「耳元でやかましい」
新幹線を待っていると、アキがすぐ後ろで騒ぐから耳が痛くなった。あ、因みに今日から若葉学園は京都へ修学旅行。Aクラスは最高クラスの席で新幹線移動らしい。Fクラスは学校のバスで昨日の夜から行っているとのこと。西村先生お疲れ様です。
「お土産忘れないようにしないとな~抹茶八つ橋に、ハッカの八つ橋、いちごの八つ橋に ー 」
「お前どんだけ八つ橋好きなんだよ」
「京都って言ったら八つ橋でしょ」
「そうだけども……他にも何かあるだろ」
「何かって?」
そう言われたら出てこないけどさ。
「去年の強化合宿みたいにならないよね」
「そう願っておきたいものだな」
「先生に任せよう。無理ならばAクラスで抑えるしかない」
「………去年はごめんなさい。今年はそうならないように」
「アタシも全力を注ぐわ」
雄二やアキの不安は、Aクラス代表霧島と生徒会長優子さんによってかき消されたのかどうか心配なところではある。
「 ー みなさん、この新幹線に乗ります」
最小限度のことをAクラス担任の高橋先生が言った。気をつけてくださいね~とか言うまでもないということ。それがAクラス。Fクラスなれば、注意したところで聞かない気がする。
「どう座ろうか……」
仲いい人同士が近くに座っていくが、オレたちはいささか人数が多い。
「1組が4人でしょ」
新幹線の座席を向かい合わせということで4人1組か。
「面倒くせえ。適当に乗り込もう。もうすぐ動くぞ」
雄二の言葉にみんな賛同して、自然と2人組ずつ作って座っていく。
「よろしく」
「雄二たちなら騒がしくならなくて済むな」
『どういうこと~ヒロ。それは僕たちがうるさいってことかな!?』
後ろの座席から聞こえてきたアキの声。もうその声がうるさいっていうのを自覚して欲しい。
「ドアが閉まります。ご注意ください」
このアナウンスが流れてすぐにドアが閉まり発車する。背後の方では小学生と間違えるくらいはしゃいでいるヤツがいるが出来るだけ気にしない方向で行きたいと思う。
「そうだ。あれから軽音部はどうなの?」
オレたちのグループは梓ちゃん・雄二と優子さんで出来ている。奇しくも優子さんだけが軽音部ではないため、状況を知りたかったのであろう。優子さんは生徒会で忙しいだろうから軽音部には誘えなかった。
「いい雰囲気だぞ。後輩のドラムの進歩度合いがすごい。なあお2人さんよ」
「確かにそうだよね。ドラムにばっちりあってたんだと思う」
「基準が分からんから何とも言えん。ドラムは雄二が一番知っているだろ」
「へ~そうなのね。楽しみだわ軽音部の躍進が」
躍進と言われましても外部の大会に出るわけではないので……
「憂はギターの飲み込みが異常だし」
それは姉妹似ているということだろう。
「優花ちゃんは流石にヒロ君に追いつけ追い越せとやっていただけあって上手いし」
よかったな、部長殿に褒められているぞ優花。
「奥田さんも既に1曲作り上げたし。みんなよくやっているよ」
『あれ、わたしの名前が出てこなかった~』
「はいはい。純も上手いですよ」
『やった』
横の方から聞こえてきた声。純ちゃん嫉妬かな? 多分そんな気持ちも無いだろうけど。純ちゃんの実力はもう折り紙つきだったからね。あのジャズ研で激戦区のベースを勝ちあがっていたんだからな。
「一つ気になるのがね~優花ちゃんのことなんだけどさ」
「優花ちゃんってあの弘志君の従兄妹の?」
「そうそう。優花ちゃんがちょっと何かわたしと距離を取っているって言うか」
梓ちゃんも気づいていたか……オレもそう思っていたんだけどな~確証は無かったから突っ込んで聞いたことは無かったけど。
「確かにな。嫉妬してるんじゃないか?」
「嫉妬?」
「俺にもよく分からん」
「アタシはその現場を見たこと無いから良く分からないけど、優花ちゃんは弘志君を尊敬できるライバルみたいに思っているってことで間違いないよね」
「え? 尊敬してるのか? ライバルは間違いないだろうけど……」
アレのどこに尊敬の念があるのか。
「ヒロ君がやっているから自分もする。これって憧れの気持ちが入っていないと普通しないよ」
「アタシもそう思うわ。ただ何かするってなら普通1つに情熱を注ぐものじゃないかしら?」
「タイミングよく弘志がやっているものに変えているってな」
「それは、オレと常日頃対戦したいからじゃないのか? 前も言ったと思うが ー 」
「ヒロ君のフィールドで勝ってこそでしょ」
「そうそう。それ」
「取り方を変えれば、そこで勝たないと、弘志君に認めてもらえないと思っているのね」
どこかで聞いたことある話のような気がするが。う~んイマイチピンとこんな。
「そこら辺はオレが聞くより他の誰かが聞いたほうがいいだろう」
「わたしもダメだよ。距離取られているし」
「俺かよ? それはダメだな。そういうのは俺の仕事じゃない。第三者に聞いてもらうのが一番だ」
「ってことはアタシ? 最初のとっかかりが無いわよ」
「放送で呼び出すのはどうだ? 生徒会からって言って」
「あのね、生徒会はそういうものに使うものじゃないの」
「生徒会は生徒の悩み相談は解決してくれないのか」
「うっ…………仕方ないわね。それとなく聞いてみるわよ」
「ありがとう、優子ちゃん!」
地味に雄二のきつい言葉もあったが、これを解決しないと本当に軽音部として一体化できないと思ったのだろうな。
『あれ、富士山じゃない!?』
『ホントだ~!』
『大きい~』
後ろの騒がしい組が珍しくいいことをいったので、オレたちも窓の外を見る。
「写真撮っておこう」
「記念だね」
突如写真会が始まったのは言うまでも無い。康太が反則的なまでに高性能なカメラを使おうとしたために、みんなが卑怯だと言い、勝負には外された。もちろん写真を撮るのは個人の自由だから別に強要しない。
「誰が一番良い角度で撮れるかな?」
おいおい……みんな参加しなくて良いんだぞ。現にオレはカメラ持ってないし。
「疲れた。ちょっと京都に着いたら起こしてくれ。寝たい」
「あ~オレも寝たい。よろしく」
雄二とオレは疲れて寝た。他はどうなったかは知らない。気づいたら京都駅~というアナウンスが流れていた。急いで、バックを持って外に出る。危ないな~起こしてくれよ。
「起こしたんだよ。返事もしたからもういいのかなって」
梓ちゃんがちょっとバツが悪そうにこう言った。オレは寝ながらそんなことをしたのか。雄二もどうやらそうだったらしい。無意識って怖い。
「まず、今日は平等院鳳凰堂まで行き、そこからホテルに戻ります」
まだ昼くらい。市内からは少々遠いらしいが、夜までには帰ってこれるんだろう。だからスケジュールに組み込んでいるんだろうしな。
あ、Aクラス待遇。高級バスが用意されている。どこまで凄いんだ……
★
「疲れたね~」
宇治から帰って来て着いた若葉学園が貸し切りにしたらしいこのホテル。まあまあ普通のホテルだな。高級なホテルじゃなくてよかったよ。そればっかり続くと感覚が鈍りそう。
「それでは、各自部屋に戻り、夕食があるまでひとまず待機をしておいてください」
と高橋先生が言ったので、女子と別れて自分達の部屋に向かった。
「去年は特別な形だったけど、今年は全員一緒の部屋だね~」
Aクラスでも雑魚寝が出来るのはよかった。昨年:強化合宿の折、Fクラスは雑魚寝というのは理解できた(オレは特例としてこいつらと一緒の部屋だったから)からいいものの、懐かしいな。
「今年こそ何もあって欲しくないな」
「その件については何も言わない方がいいじゃろう」
そういえば久しぶり秀吉の声を聞いた気がする。演劇全国大会に向けてたくさん練習しているんだろうな。
「………一応、警戒はしておく」
とそれなりの道具を持ってきて、セキリュティを独自で行うこの部屋。改造をするわけではないので別にかまわないだろう。康太の技術を乗り越えられるものはいるのか……
「それじゃあひとまずトランプしよう!」
「アキ、お前に面白いトランプを見せてやろう」
オレは自分のバックからトランプを取り出す。
「歴史トランプ? こんなのあるの?」
「いろいろ書いてあるから見てて面白いぞ。基礎知識だけどな」
「遊びながら勉強になるってやつだね」
「そういうこと」
早速いろいろなゲームをやった。しばらくやっているとアナウンスが入り夕食、そして入浴、そして就寝。あっという間にそんな時間になるが、この部屋が消灯の時間で静かになるわけが無い。疲れをおして、やつらのテンションについていった今日1日であった。
2章でも出てきたこの時期の修学旅行話。
特に面白くなりそうも無いので、軽音部の人間関係のほうにフォーカスを当てていきたいなと考えているところです。
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