青春と音楽と召喚獣   作:いくや

96 / 100


 修学旅行にやってきた若葉学園。

 もちろん、平和で終わるわけでもなくいろいろと騒動があっていた。

 無傷で乗り越えられるか?

 京都を満喫できるか?

 では、どうぞ!!




#96 京都!

 

 『戦死者は補習~!!』

 そろそろ寝ようかというときに、外から大声が聞こえてきた。あの声は西村先生か?

 

 

 「何があったんだ?」

 「………設置したカメラで様子を見る」

 部屋の前やさまざまなところに康太の隠しカメラ。以前みたいにエロい方で使われなくなったこの技術は、誰にでも尊敬の念を抱かせる凄さだ。

 

 「………見てみるといい」

 康太がそういってPCの画面をみんなに見せてくれた。すると、たくさん人がいて召喚獣もたくさんいた。

 

 

 

 「バカが女子部屋の方に行こうとして先生達に止められたってとこか?」

 「そんなことじゃろうな。じゃが、どさくさにまぎれて数人は突破しておるし」

 「逆に女子がこちらのほうに来ているのも伺える」

 貸し切りホテルの最大の魅力だろうか。他の人に気兼ねなく試召戦争が出来るってのは。オレたちとしてはもう勘弁して欲しいんだがな。

 

 「………みんな逃亡の準備もしくは隠れる準備をしておいたほうがいい」

 「なるほど。やつらの顔が見えるな。コチラの方にいるし」

 姫路や島田が相変わらず手下を連れて男子部屋の方にやってきているのが見えた。おそらくターゲットはこの部屋。

 

 「そもそもこの部屋にいれなければよいのだろう」

 「だけど雄二、この部屋鍵掛けれないよ」

 「秀吉、頼めるか」

 「おぬしらを守るためなれば、やってやるぞい」

 それなら、と雄二は秀吉に作戦を伝える。なるほど、秀吉の真骨頂演技力というのに賭けるんだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何!? 姫路たち以下女子が男子の部屋を狙っているだと?」

 部屋に近づいて来た時に、秀吉が大声で西村先生の真似をした。姫路たちも西村先生なれば躊躇するだろう。

 

 「それはいけませんね。直ちに対策を練らないと」

 次に高橋先生。この2人がいる部屋なんて誰も勝負に入って来れないわ。

 

 「勝手な行動をするせいで、女子全員がこんな人たちと思われたくないだろうな」

 極めつけ、大島先生。もはや近づこうとは思わないだろう。

 

 「坂本、安心してくれ。この部屋だけ特別でな」

 「昨年のようなことが無いようにと、目には見えない施しをしているのです」

 「これに引っかかったらものすごいことになるだろうな」

 

 

 『み、美波ちゃん……』

 『今日はやめておきましょうか』

 『そうですね。先生が3人もいるようじゃお話も出来ません』

 『そもそも、部屋に行かずとも、自由行動のときに行けばいいんだからね』

 『いいですね、美波ちゃん』

 『見つからないように早く帰りましょう』

 

 部屋の外から聞こえてきた女子2人のこんな声。どうやら、秀吉の演技作戦は大成功を収めたようだ。

 

 

 

 

 

 「サンキュー秀吉」

 「うむ。上手くいって何よりじゃ」

 「人選が良かったよ。強敵だね」

 「………姫路たちは西村先生と遭遇して捕まった」

 「何がなんだか分からないだろうな」

 「こんな時間に出歩くのが悪い」

 聞いた話によると、この後消灯時間後に出ていた人間は西村先生による特別補習があったらしい。西村先生お世話掛けます。先生の体力は無尽蔵なんですか……体よく壊しませんね。

 

 

 その日の夜は、こういった騒動もありあまり眠れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、早速フィールドワーク。班で京都を自由に歩き回って良いんだが……オレの班はというと、もちろん同じ部屋の6人組。行きたい場所がバラバラで本当に困ったものだった。

 

 「金閣は行ってみたかったんだよね~」

 「演劇をする上で、清水の舞台には一度は立ってみたいものよのう」

 「二条城はもちろん見たいな」

 「………太秦の映画村で写真を」

 「お前ら三十三間堂に行きたいと思わんのか」

 「銀閣は渋いぞ」

 地図に描いてみたら分かると思うが、京都市内をぐるりと囲む感じだ。Aクラスは何故かバスのフリーパスを渡されるのではなく、班ごとに専用タクシーが着くという……感覚がおかしくなりそうだ。

 

 「早く行かないと時間なくなるわよ~」

 「分かった優子。今から俺たちも行く」

 優子さんから電話が掛かってきたと思われる雄二。向こうの班もおなじみ6人組。今回はアキたちがこの女子6人を巻き込んで、大移動に付き合ってもらうことに。

 

 「早く下に降りるぞ。既に待ってるようだ」

 「分かった!」

 一応、班長は雄二(女子のほうは優子さん)である。

 

 

 

 

 

 

 「ほらほら、早く早く」

 既にタクシーの前で待っていた女子の方々が手招きしていた。急がないと。

 

 「遅い!」

 「すまんすまん、明久の野郎が寝坊しやがって」

 「おいっ! 僕だけのせいか?」

 「「「そうだろ」」」

 「そこまで声をそろえなくても」

 ギャーギャー騒ぐアキをなだめ、それぞれタクシーに乗り込む。男子6人女子6人別のタクシーに乗り込むかと思いきや、3:3で乗ることに。新幹線の組み合わせの4人に秀吉・代表を付け加えた6人だ。

 

 

 

 「出発~!!」

 「オオー!」

 遅くまで寝ていたと言うから元気だけは人一倍にあるな。

 

 「まずは、二条城にお願いします」

 「了解!」

 専用のタクシーの方に行き先を告げる。ホテルから程近い場所にある二条城。歴史で出てくる一番大きなことっていうと大政奉還の舞台かな。他にもたくさんあるけども。

 

 「うんうん……何ともいいかな」

 「何だ~気持ち悪い」

 代表と雄二が同じ空間にいるというだけでも凄いことだ。雄二の大きな進歩だな。

 

 「霧島が本当に改心してそれが行動に出ておったからのう」

 「雄二のトラウマも消えていったっていうわけね」

 「2人がまた話せるようになってよかったよ」

 4人は同じことを考えていたらしく、2人に言った。

 

 「………雄二、本当に嬉しい。また話せるようになって」

 「ああ……出来ればもうちょっと手荒な真似はやめて欲しかったけどな」

 「………ゴメン。でも、それで気づいた。わたしはこれじゃダメだって」

 「それはいいことだ。今後のお前のためにも重要だぞ」

 代表はちょっと感激したか目が潤んでいた。雄二に褒められたっていうのがどのくらい久しぶりなのだろうか。おそらく、あったとしても小学生の頃以来か? 雄二が代表より上に立ったってのはそのときくらいだろ。でも、あの神童が人を褒めるなんてこと似合わないけどな。

 

 

 「着いたよ。皆様方」 

 「はやっ!」

 本当に近所だったんだな。別に歩いてきてもいい距離だぞ。

 

 

 「よ~っし ー 」

 「アキ、お前子どもに戻った?」

 「何を失礼な。こういうときはせっかくだからはしゃがないとね!」

 「まあそれはいいが、二条城内では静かにしろよ」

 「うぐいす張りだっけか?」

 「床だろ。康太、気にならないか?」

 「………挑戦してみる。音がならないかどうか」

 二条城の廊下を歩くと、音が鳴る仕組みになっているため、曲者が入ってきたときに対処がしやすくなる。それを康太は音を鳴らさずに歩こうというのだ。普通は出来なさそうだが康太なら出来そう……

 

 「………無念……」

 「そりゃあ無理だろ。お前人間だからな」

 そもそも、忍者対策だから忍者だとしても音が鳴るんだろ。無理だよな~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「次は、太秦映画村に」

 ほんの少し滞在してすぐに次の目的地へ。西側に離れた場所にあるこの場所。意外と人気スポットらしいが……

 

 「せ、設備メンテナンスのため休村……」

 「………俺に恨みでもあるのか」

 「いや誰も無いから……運が悪かったということだろう」

 「………くっ…」

 まさかの休みとはな。そりゃあ休みがないとやっていけないだろうが、ちょうど修学旅行と被るとはな。康太が本当に落ち込んでいるじゃないか。ただでさえ先ほど二条城でやられているんだからさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「次行くぞ」 

 「金閣だね」

 金閣寺、ではなく鹿苑寺金閣。本物は昭和年間に消失してしまい今は復元されているものだがまあ輝かしいもので。

 

 「うま~い!!」

 「お前は自分で金閣行きたいって言ったんじゃなかったか?」

 「そうだけど、ここの八つ橋美味しいんだよ~」

 花より団子ならぬ、名所より八つ橋in京都。ってか。まあ美味しいけどさ。

 

 

 

 「もういい。次行くぞ。後がつっかえてるんだ」

 「え~」

 アキの反対を抑え、次に向かう。次は金閣の近所にある龍安寺。ここの石庭は是非とも見るべきであろう。ということで女子からのリクエスト場所である。

 

 「1、2、3、……何回数えても14だよ~」

 「悔しいが15は見つからないな」

 ここの石庭、不思議と回廊の何処から見ても本当にある数、15個の石より1つ少ない数しか見えない。

 

 「作成者の美のセンスが凄いわ」

 「落ち着くね~」

 もはや数えることを諦めている方々は、日本伝統のわび・さびの雰囲気を味わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「銀閣か~銀じゃないね~」

 次もわび・さびを感じる場所、銀閣。正式名称:慈照寺銀閣。金閣が金だからといって、銀閣は銀ではない。

 

 「あっちが東求堂か。よくお目にかかるな」

 「本当ね。……って、もう飽きが来ている人がいるし」

 この年でわび・さびを理解しろとは言えないが、みんな感慨に浸っているんだからもうちょっと一緒になって見て欲しいものだ。

 

 

 

 「お腹空いた~!!」

 「お前は大丈夫だろ。何回も試食食べていたじゃないか」

 「八つ橋はお腹の足しにはならないよ~」

 「ったく……まあいい。昼飯にするか」

 昼ご飯を食べるのに何処に行こうか迷っていると、運転手の方が近くでオススメの店を案内してくれた。値段と美味しさがバランスいいらしい。

 確かに、運転手さんが言うとおり、いい食事が出来たと思う。時間は限られているので、あんまりゆっくりしている暇は無い。その次は、清水寺に向かった。

 

 

 

 

 

 

 「ここが、清水か。高いのう」

 「噂で、清水の舞台から飛び降りても死なないとかあったけど」

 「こりゃ、死ぬよな…」

 「あながち諺もバカに出来ないわね」

 清水寺で滞在した後は、参道を通り麓まで降りる。その道中、アキが懲りないんだ。八つ橋試食コーナーを食べ荒らすっていう。味で本当に美味しかったところは買っていっているから文句は言えないんだな。

 

 

 

 

 「次は三十三間堂か」

 「長いな~!!」

 「ここで弓道の大会があっていると言う噂は本当なのか?」 

 「どうだろうな。この端から端まで届くのか?」

 とても長い建物だ。そしてこの噂の真相を知りたいものだ。

 

 「千手観音キタ~」

 「うるさいよアッキー」

 「ごめんなさ~い」

 「神々しい……」

 目が痛くなるな……ものすごい数。京都ってすげー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これで、京都巡りは終わったかな」

 「時間も少し余ったみたいね」

 「上手く時間配分できたんだ」

 「お願いがあるんやけど、最後に1つ行きたいとこが」

 オレはみんなに頼みごとをする。行きたかったんだけどな。今は大して見るところが残ってないからみんなが賛同してくれるかどうか。

 

 「何処なのヒロ君?」

 「本能寺に行きたい」

 「「敵は本能寺にあり!!」」

 「お前らテンションがおかしいぞ」

 その本能寺なんだが、今は別の場所に移転している。

 

 「オレが行きたいのは今あるほうの本能寺じゃなくて、その当時あった場所に行きたい」

 「何もないんじゃないの?」

 「確か碑だけが残っていたはず」

 「そうなんだ~それって時間間に合う?」

 「ホテルの近くだし大丈夫と思う」

 「それじゃあ、いいじゃん。ねえみんな」

 梓ちゃんがみんなに聞いてくれる。みんなうなずいていた。ありがとう。

 

 「それじゃあ、本能寺跡だね了解!」

 2人のタクシー運転手が、その話を聞いていたらしくにっこりと笑顔で運転席に乗り込んだ。

 

 

 「でもどうして跡地の方に? 見る場所無いんでしょ」

 「梓ちゃん、見る場所は無いかもしれないけど、そこに行くことに意味があるんだよ」

 「ふ~ん……そういうもの?」

 オレの持論がどうも分からないらしかった。う~ん……そういうものだと思うけどなあ。

 

 「例えばさ、イギリスに行ったときに行けなかったけど、リヴァプールね」

 「うん、ビートルズの生まれた場所だね!」

 「そうそう。そのリヴァプールに今は無い、彼らが育った場所があったら」

 「行きたいね!」

 「その感覚と一緒だよ」

 音楽に直すと分かってくれたこの気持ち。地味に嬉しいものだ。

 

 「なるほど~理解したよ!」

 「優子も理解した?」

 「まあ、なんとなく、ね」

 「歴史ってやっぱり男子の方がロマンを感じるんだろうな~」

 オレと雄二は少し物思いにふけっていた。

 

 「いや、ワシもおるぞい。忘れるでないぞ」

 「あ秀吉。秀吉は分かるの?」

 「なんとなくじゃな」

 「曖昧だな~」

 「………わたしも分かる」

 「その本能寺の跡地に着いたよ」

 おっ。お待ちかねの場所。オレたちは下車し、碑の前に立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ねえヒロ」

 「何だ」

 「これだけ?」

 「うるさいな~ちょっとは想像させてくれよ」

 「それは想像じゃなくて妄想 ー 」

 アキが何か言っているがちょいとだけシャットダウンさせてもらいますよ。

 この地にて、中世の世を終わらせた風雲児織田信長の一生が終わったんだな~最大の反逆者とまで言われた明智光秀はどのような気持ちでココを襲ったんだろうか。いろいろと黒幕の説が出ているが未だ解決していない戦国史上最大、いや日本史上最大の謎「本能寺の変」はロマンだな。

 

 「そろそろ出ないと間に合わないわよ」

 「だそうだ、ヒロ。続きは車の中」

 「…………分かった」

 しぶしぶ、車に乗り込む。この地に何万もの兵がいたんだな。今じゃ考えられない……

 

 「本能寺の変に関しては、人によって取り方が全く違うもんな」

 「ああ。それがまた面白いところだ。会話しててここは違う。ここはそうだとか言うの」

 「ゴメン……アタシたちはついていけそうに無いわ」

 「ワシは興味あるぞい!」

 男子勢にしか分からないんかな~この気持ち女子にもわかってもらいたいものだけど。

 

 「最後を良い形で終わらせてくれてみんなに感謝だ。ありがとう」

 「そこまでよかったんだ」

 「考えてみると、ムッツリーニが可哀想だな」 

 「確かにのう。アヤツの行きたい場所だけが行けぬというの」

 車の中は程よい雰囲気であった。あっちはとても騒がしいだろうな~康太と憂ちゃんが大変だろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「帰ってきたか。ギリギリだな」

 「満喫してきましたからね」 

 ホテルに着くと、ロビーで西村先生が待っていた。チェックポイントではないが、ここを通過してちゃんと帰ってきたことを先生達に報告しないといけない。

 

 「昨日は騒がしかったが今日もそうなるだろう。俺たち教師も全力を尽くすがお前らも十分警戒しておけ」

 とのこと。それは言われるまでも無くそのつもりだ。オレたちはそう思いながら部屋に帰っていった。

 

 




 京都懐かしいですな~

 今から3年半前に中学時代の修学旅行で行ったっきりですわ。
 その時、銀閣が工事中で金払ったのに見れないという出来事が一番印象的でした。

 八つ橋の試食食べ荒らしは同級生がたくさんしてましたね~
 学生の特権? 店員も半ば呆れと諦めがあるでしょうね。

 本能寺の跡地を見てみたかったですよ。
 いや、これマジで。
 ヒロじゃないけど、いろいろと想像したかったものです。

 あ、自分をお気に入りユーザーにしてくださっている方が50人を超えました♪
 いつもいつもありがとうございます!
 今後ともよろしくお願いしますね!! 

 コメント・感想・評価、
 お願いしますね♪
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。