マッキャンベル「私見たんですよ!」
ベンフォールド「何を?!」
マッキャンベル「空飛ぶ巨人!」
ベンフォールド「つまり巨人が立体機動装置をつけてるってことか?」
マッキャンベル「いや。なんか背負いものしてた巨人が巨大なソードで相手の腹をぶち抜いて大爆発起こしてた」
ベンフォールド「それ。フリーダムガンダムとインパルスガンダム...」
ここは硫黄島。かつて日本軍とアメリカ軍が激戦を繰り広げた島...今では日本連邦国防海軍と国防空軍の飛行場基地兼国防海軍の軍港になっていた。その基地の南東1km周辺海域には国防宇宙軍の第参航宙艦隊が駐留していた。そんな中、異例な訪問者がやってきた。
「なに?大日本帝国海軍の連合艦隊に....そこにアメリカ海軍第7艦隊の一部の部隊だと?」
軍港の執務室で硫黄島の最高司令官が電話越しに問うた。
「ほう?乗組員は各艦につき少女1人...と?6年前の真珠湾の時も似た事案があったな...。
.......まあいい。こちらは受け付ける。ただ49隻も入るかは分からん。補給は第参航宙艦隊にも手伝ってもらう。それでいいか?...分かった。では」
受話器を置いた。飛行場では増援部隊として配備されていたF-3と異様な形の戦闘機が滑走路に並んでいた。
「ったくどうなってんだ?連合艦隊。連合艦隊に米海軍の第7艦隊の一部の戦力?...」
「どうなってるもこうなってるも作戦艦から一報が入ったのなら現実だと思いますけど...」
「戦争中にとんでもない刺客だよ。ただでさえここには厄介な宇宙軍の連中もいるっていうのに...」
赤崎は部屋の端にあるポットからお湯を出しドリップコーヒーを入れ始めた。執務室にはコーヒーの香ばしい香りが広がり戦争中の執務室とは違う空気を作り出し始めていた。
「一つ気になったことがあるんですよ...」
「なんだ?言ってみなさい」
「そのコーヒー豆って何処産なんです?」
「いい質問だ!」
赤崎はコーヒーを自分でドリップしている。そのコーヒーは秘書にも分けてもいた。この国防海軍でコーヒーの入れ方が上手い人で赤崎の右に出るものは居なかった。
「エチオピアのモカ・シダモとドミニカのバラオナだ。まあ私はフルーティなやつが好きなんでね」
「でもドミニカって結構地味じゃないですか?」
「まあそうかもな...」
赤崎は野真渕にドリップしたてのコーヒーを渡した。
「ん...美味いです」
「だろ?名付けて赤崎スペシャルブレンドだ」
満足気な表情を窓に移し飛行場の戦闘機を眺めていた。
「そういえば人間の発明するものって怖いよな....戦闘機から人型に可変するような戦闘機まで作ってしまうんだからな...」
「あの零式人型汎用機動兵器のことですか?」
赤崎は窓の外を霞んだ目で見ていた。
「いや。機動兵器もそうだし...なにせ第二次世界大戦が終わって立ったの20〜30年で人間は宇宙に行ってしまった...それどころか地球の周りにコロニーを作って太陽系外惑星にまで手を出してしまったのだからな...」
「人間というか、アメリカとロシアの宇宙開発競争、さらにかつてのナチスドイツの技術力相まってこのような結果になったのだと思います」
棒読みで言葉を返していた。赤崎はまだ飛行場を眺めていた。野真渕には大きな背中がうんちくを垂れているように見えた。
※
「ねえ。わしら何処に行くんかのぉ?」
「周りについてけばなんとかなるんじゃないかな?」
「たぶん...あそこじゃないかしら?」
陽炎が指を指した方向には島があった。
「島の左隣にあるいなげなもんは何なん?」
さらに浦風が付け足すように言葉を盛ってきた。
「何だあれ?豪華客船か?」
「いや...違うと思うんだけど」
浜風が割って入る。刹那、航空機が飛んできた。
「何だああれ?」
谷風が空を見上げた。蒼いそらにロービジ迷彩に塗装され翼には紅々しい日の丸を掲げたジェット機が空を舞っていた。数機は戦闘機だが何か普通の戦闘機とは違った戦闘機が上空を通過していった。
「見たことのない戦闘機じゃった....」
戦闘機の後ろには脚みたいなのが生えていた。しかしその脚は人間では考えられないような曲がり方をしていた。
「もしかして...巨大ロボット?...そんなワケないよね...」
浜風は空を見あげていた。巨大ロボットなんてアニメやマンガの世界に出てくるようなものだと思っていた。しかしここは元の世界ではない。
「やっぱこの世界はおかしいんじゃない」
艦娘からは何かずれている世界。
目の前にそびえる硫黄島を艦娘は見た。
※
「へいへい!分かってやすよ!とりゃえず!捜索中なんで下手に口ださんといてくれます?!」
執務室に提督の怒号が響く。仮秘書艦に就いていた磯風が迷惑そうな表情をしていた。
「司令。いい事を教えてやろう。弱い犬ほどよく吠える。まさにお前だ。」
「なんだって?ええ?はい。なんとかしますから」
磯風の言葉は提督の耳の中を通り超していった。
「あの...司令」
「あんたがどれだけ上の立場だろうが俺はここの指揮官だ!てめえにつべこべ言われたかねーよ。あ?口が悪いだってか?...もう切っていいですか?こっちもこっちで忙しいんで!」
乱暴に受話器を置いた。その受話器ががしゃんと音を虚しく響きわたらせた。
「んで磯風。なんか言った?」
「『弱い犬ほどよく吠える』と言いたかったのだ!なのに提督は!!」
「お前も吠えてるじゃん。じゃあ同類だな。弱いもの同士。てかコーラでも飲むか」
「...すまない」
冷蔵庫から瓶コーラを取り出した。そのコーラには白い文字で"CocaCola"と書いてあった。
「こんな時代でも瓶コーラが出回ってるとわな...司令。栓抜きを貸してくれ」
「あいよ」
栓抜きが投げ渡された。磯風は少し手を伸ばしその栓抜きを受け取った。
「司令」
「なんだ?」
「その王冠くれないか?」
「いいが...なぜだ?」
「まあその。コレクションだ」
目の前の司令...他の艦からは提督などと呼ばれている今の表情はキョトンとしていた。
「意外だな...お前のイメージ的に刀とかコレクションしていると思ったぜ」
「生憎だが刀には興味がない。ただあれば便利だな。特に天龍のビームソードみたいな感じの」
そう言って磯風はコーラを一気飲みした。
「天龍のビームソードっぽい奴ね...てっきり
「一つ目。聞き取れなかった。すまないがもう一度ゆっくり言ってくれ」
「や・ま・が・ね・づ・く・り・は・も・ん・ひ・る・ま・き」
「全く分からん」
「日光二荒山神社に所蔵されてる大太刀だ」
磯風は複雑な顔をして執務室のソファに腰をかけていた。刹那、彼女が口を開いた。
「私なんだと思っていた?私の事を"男勝りの女"なんかと捉えていたのか?」
「いや...そんなことはないっすけど」
「私はこう見えても乙女だ。可愛いものや面白いものには興味がある。ただ昔の武具などは興味が湧かぬ」
「いや...見た目は乙女だが口調は武将だよな。今度豊富秀吉の甲冑でもつけて出撃してみたらどうだ?かっこいいぞ〜」
「司令...失望しないうちにつまらないジョークはやめような。」
興奮した提督を磯風の冷たい言葉で感情を刺した。提督は一気に気分を落とし机に収まった。
「...そうか。そうだよな。ははは...ちょいとコンビニ行ってくる。この部屋の留守よろしく」
「行ってらっしゃい」
この蛍光灯の冷たい光と散らかった書類山の中で磯風は心を落ち着かせた。しかし落ち着かせようにも落ち着かない。提督の執務室があるこの本棟A-1は築60年のコンクリート構造物だった。建て替えのために事務所関係はプレハブに移設されたが提督は書類の整理もしないままこの棟に残り続けていた。ここ2ヶ月くらい立ち退くように言われていたが提督は動こうともしなかった。おかげでこの本棟A-1に残ったのは執務室と大量の書類と埃をかぶった廃墟同然の部屋だった。そんな建物中に1人で磯風はこの本棟A-1に居た。
「これはこれで...寂しいな。こんな時でも馬鹿騒ぎができるアメリカ艦が羨ましい」
時刻は2322。自分しかいないこの建物。建物の中にいるだけで異常な不気味さを感じる。そんな事を感じた刹那、ドアが開いた。
「だ...誰だ?!」
「っひ?!...提督見ませんでし..たか」
酷く怯えていた磯波がいた。彼女の目は出るか出ないかギリギリだった。足はガクガクに震え何かこの世のモノではないものを見たような表情だった。
「大丈夫か?」
「だ...大丈夫ですぅ...うぅ」
何か怖いものでも見たのだろうか...磯波は執務室の入り口で泣き崩れた。彼女の鳴き声は誰もいない建物中に不気味なほどに反響した。すかさず磯風は磯波を抱きしめた。
「大丈夫だ。怖くない。そうだ...怖くないんだ。私らは駆逐艦だろ?それに磯波の方が先輩だろ?」
「怖いものは怖いんだもん!」
磯波が磯風のお腹を強く抱きしめてくる。
「仕方ない先輩だな」
磯風は息を抜いて磯波の髪の毛を撫でた。
「怖かったよ...怖かったのよぉ!!」
磯波の顔がぎょっと磯風の目の前に近づいた。目が赤かった。顔が黒かった。
磯波は磯風を嗤った。
や...やめろ!やめろっ!
誰だこの暖かい手は...
「大丈夫だったか?お前。うなされてたぞ」
「大丈夫だ。気にするな」
「何言ってんだ。お前。わんわん泣いてたぞ」
赤面を提督の軍服に抑え込んだ。怖かった。なんだったんだあれは。深海棲艦でもないエイリアンでもない。
「私は狂った磯波を見た。彼女は嗤いながら涙を流していた。あいつに何があったんだ?」
黙り込んでいた。提督は何も言わずそのまま磯風を抱きしめ続けた。
「なあ司令」
「あぁ...今この基地にいる磯波は見たことあるな?」
「あぁ。少しだけあいつと世間話したことがある」
「そうか...」
ソファに腰をかけ表情のない顔を磯風に向けた。
「あいつは。2人目なんだよ」
「どうゆうことだ」
「1人目はこの建物が半壊してるところに立ち入って瓦礫に埋もれ...助けが来ないままスクラップになってしまったんだ。これは俺の責任だ。だから彼女に寂しい思いをさせないために俺はここに残ってるんだ」
「最低だな。お前は。駆逐艦1隻をそんな事故のために亡くすとはな。司令の頭にはここに所属している艦の安全管理っていう言葉を知らないのか?悪いが今日で秘書艦を辞任させていただくぞ。秘書が欲しいのなら夕張にでも明石にでもアンドロイドロボットを作ってもらえ。私からは以上だ」
扉が激しく閉まった。
「言わない方が良かったか...あれは」
時刻は0643。今日もあの消えた連合艦隊の捜索から始まる。それにあのアメリカ艦はどうしているのだろう。彼女らは彼女らで頑張っているのか。
暑い光が執務室に入る。
※
この微妙に狭い感じの基地には全艦収まりきらなかった。硫黄島周辺200〜300mあたりで全艦係留された。
「こちらミサイル駆逐艦まや艦長橋間だ。乗組員は迎えのカッターに乗船させ埠頭に集合させろ。以上」
"了解です。しかしカッターの迎えは不要です。私達は自力で埠頭へ行きます。お気遣い有難うございます"
受話器からは甲高い少女の声が返ってきた。何しろ乗組員と言ったって彼女らしかいないのだ。
「よく通じましたね...しかも本当に大和で良かったんですか?」
「いいのよ。いかにも旗艦って感じじゃない?それとねあの大和に無線を繋げることができたのはね通信科の皆のおかげよ。あらかじめ引率している時にあの艦隊から発せられる電波を調べとけって言っといたから」
「そうなんですか」
涼華は艦長席を立ちデッキに出た。海の湿った風が涼華の風に当たる。
「ねえ。この世の中はどうなってるのかしらね」
※
2041年12月13日ミッドウェー南方周辺海域は快晴が広がっていた。そしてその中に2つの国の艦隊が交わろうとしていた。
「日本海軍が動き出したか...戦闘飛行隊を空に上げとけ。『発見し次第撃滅させろ』と言っておけ」
司令長官は環境の中で複雑な顔をしていた。もう終わりだ。これが最後の水上艦隊だった。まだ宇宙軍はいるが宇宙軍は宇宙軍で日本やアメリカ...さらにロシアをも相手にしていた。
「艦長。我々は我々と同じ日本人と闘う必要があるんだろうか」
「できれば闘いたくはないですよ。しかし上からの命令ならば任務を全うするのみです。それが軍人なんですから」
そこにあったのは軍人としてのプライド。アメリカの犬ではない日本人としての意地。
「我々はここで負けたとしても必ず将来にかけて勝たなければならないな。我々の子供たちにも」
海面はいつしか波を立て踊り始めていた。
※
大和は驚いていた。
"我々は我々と同じ日本人を相手にして闘っている"
全く知らない世界に飛ばされたと思いきや...こんなにぶっ飛んだ世界にきてしまったのだと思った。
「君は周りから"大和"と呼ばれてるそうじゃないか。なぜ大和なんだね?」
「私は大和だからです」
「苗字は?」
「苗字はないです。私はしつこいようですが大和です。あの簡単に言えば戦艦大和の化身ですから」
「解せぬな。ふざけたことを言うでない」
タバコを吹かしながら応接室のソファに深く腰を座っていた小太りの中年男性が明快ではない表情を浮かべていた。
「まあ信じられないでしょうが事実私は大和です」
「あぁこの話はもう分かった。とりあえず燃料補給と食料の補給はしておく。ただし。各艦1人2ヶ月分だ」
大和の話をいきなり遮断するように小太りの中年男性が補給の話を振った。
「赤崎さん。一ついいですか?」
「なんだ?」
「なぜあなた方は同じ日本人を相手にして闘っているのですか?」
「それはな。彼らの独立を阻む利権が絡んで戦争になったんだ。彼らは遠い異星の地で開拓を始め半世紀以上日本の利権で彼らを苦しめてきた。そして彼らはキレた。そしてこの戦争になってしまったってこと」
淡々と長々しく応接室の空気に言葉を入れた。
「この世界は残酷なんですね。失礼しました」
言葉を一つ据え応接室を出て行った。大和は小太りの中年男性を悲しい目で見た。
新規登場人物
赤崎宗児(あかさきしゅうじ) 65歳 中将
...日本連邦国防海軍硫黄島基地司令。小太り
野真渕葵(のまぶちあおい) 32歳
...硫黄島基地司令秘書。
次回の展開まだ考えてない。まあどうなるかは俺にも分かんない。
そろそろ第7艦隊に活躍させよっかな。
んでもってそろそろ俺の考えたガンダムのお話でも投稿しよっかなって思ってるところ。
ネタバレすると実際この迷い込んだ世界世界は俺の考えてるガンダムの世界に一番近い平行世界なんですよね。でもここであえてMSとかは言いませんしキャラも微妙に名前を変えてるってことなのですよ...