長門「といっても赤城並みに食ってるじゃんか」
加賀「赤城さんに負けそうになるのが悔しいです」
長門「食うだけが女性の取り柄ではないぞ」
もう1人の私。この世界の私は自分のいた世界の私と変わらなかった。
「ねえマッキャンベル...私が2人いるんだけど」
「そんなばかな。って...本当だ!でもよーく見たら男だらけね」
たまたま第15駆逐戦隊の係留されているところにアメリカ海軍のとあるミサイル駆逐艦が停泊していた。
「完全にあれってマスティンよね。艦籍番号もマスティンだし...」
船首には89とアラビア数字が描いてあった。
「どうやら祖国があることは確実なようね。でも....」
言葉が濁っていく。そう。気がかりなものがあった。
「あれ。見えるでしょう?」
マッキャンベルが指をさした向こうには水上艦艇とは思えない鉄の城。
「あぁあれ?火星人のUFOなんじゃない?」
「そんなことありえないじゃない。つまらない冗談はやめて」
「まあありえなくはないのよねこれ。」
「誰?!」
そこには海上自衛隊の船員服にによく似た服を着た女性が立っていた。
「私?私は貴女たちをここまでエスコートした駆逐艦の艦長よ」
「はあ?」
その女性はマスティンとマッキャンベルのところに近寄っていった。海の安全柵の向こうには水上艦艇とは思えない物がそびえていた。
「あそこにある軍艦気になるでしょう?」
「ええ...まあ」
マッキャンベルは柵に手をかけながら海を霞んだ目で見ていた。
「簡単に言うとあれは宇宙戦艦よ。細かく言えば航宙戦艦なんだけどね」
「ってことは日本って宇宙人と戦争してるわけ?!」
「うそ...なにこれ怖い」
柵の前で怯えていた駆逐艦の化身に女性が手をかけた。その女性はゆっくりと縦に首を振って。
「宇宙人とはいうけれども同じ人間よ。グレイやタコみたいなものでもないわよ。ついでに私...どこの国の人に見える?」
「日本人でしょう?」
「そう。私たちは私たちと同じ日本人を相手にしてる戦っているのよ」
「なんで!同じ民族で争わなきゃいけないの?!」
マッキャンベルが波の音に負けじと大声を張り上げた。そこにいた女性はその巨声に足を取られた。
「おかしいよこんなの」
「そう。おかしいわね....私たちだって闘いたくないわよ」
「じゃあなんで戦うの?」
マスティンが問うた。
「"軍人"だからよ。その敵も"軍人"だから戦ってる。あるものは戦友のため、またあるものは家族のために戦っているの。残酷だけどこの世界はそんな世界よ」
目の前の女性の声がだんだん弱くなっていった。そして彼女は柵に手をかけていた。
「一つ聞いていい?軍人さん?」
「なにかしら?」
「名前はなんていうんですか?」
マッキャンベルが女性に鋭い目線で顔を向けた。
「橋間涼華。んで私の乗っていた艦の名前は"まや"よ。じゃあアンタたちの名前は?」
「マッキャンベルです。んでそっちが」
「マスティン」
「そう...貴女たちってアメリカ海軍の駆逐艦」
「そうですけど?」
マッキャンベル首を傾げた。それに涼華が首を横に振った。
「ううん。なんでもないのよ。ごめんなさいね。私はこれからミッドウェー南方海域に向かわなきゃならないからここでお別れね」
手を振り涼華は潮の香りのする海岸沿いを後に何処かへ消えていった。
※
「いけません!提督!」
「別に死にに行くわけじゃねえからいいじゃんか!」
大淀が必死に提督の手を掴んでいた。
「大本営から『提督の出撃は許可できない』と言われてるじゃないですか!」
「出撃しない分報酬上乗せだな」
大淀の手が提督に飛んできた。その手は勢いよく提督の頬に吸い込まれていき肌を叩く音が司令室に響き渡った。
「ったくメガネは火力でゴリ押しかよ」
そう言ってそそくさと提督は司令室を出て行った。
「さて。探しに行くか。消息不明の連合艦隊を」
後ろに巨大な背負いもの。左肩には飛行甲板をあしらった艤装。背中から見える巨大な大砲。
腕にはコンソールパネルが付いていた。
「メタ運動野パラメータ更新。フィールド接地圧修正。シリンダー内圧力上昇、縮退炉出力臨界。フライホイール接続、パワーリンゲージ正常。ウォーターポンプジェット及び大気圏バーニア良好。俺氏。出撃する!」
提督は空に舞い上がった。巨大な艤装をつけて。
空から見る海はいつもの感覚と違っていた。そう、脆いガラスのようにキラキラとしている。
「さーってと?ここですかね....連合艦隊がいなくなったっちゅう海域は。...ったくここはバミューダトライアングルかよ」
霧ひとつない快晴の空。海もしけてはいない。
何もかも普通に思えた海だった。そんな時だった。
「アラート?!どこからだ?!」
それは敵機の接近警戒アラートだった。よくよく下を見返してみるとそこににはヲ級を中心にした機動部隊が展開していた。
「厄介なお客様なことだ。こちとら消失した自艦隊探してるっちゅうのによぉ?」
主砲が回転し海面を移動しているヲ級に照準を合わせた。周辺には防空護衛なのだろうか駆逐艦がヲ級2隻を取り囲んで航行している。
「主砲、エネルギー回路接続。撃ち方始め」
主砲から青白い光の束が収束し2隻の敵空母に向かい吸い込まれていく。
「ヲ?!」
助けを呼ぶ時間もなく脳天を突かれヲ級2隻は海面下に消えていった。周辺にいた駆逐艦も旗艦が沈んだことによって指揮が取れず陣形がばらばらになっていったところに追い打ちをかけるように光柱が駆逐艦に襲いかかっていった。その無慈悲な光柱は海の上の構造物を根絶やしにしていった。
「下手にここを通るからいけないんだぜ。本当。運悪いよなお前ら」
※
太陽が海に沈みかけていた。まるで太陽が海の底に沈没していくようだ。光は海を揺らしまばゆい橙色の空が広がっていた。
「わたしたち帰れるのかしらね」
「それは分かりませんが....」
大和と霧島が途方にくれ缶コーヒーを飲んでいた。窓越しに見る情景は悲しかった。ただ海と空があるだけ。そして雲が浮かんでいる。
「ったく。なんで顔を背けてるの?別に知らない所に飛ばされたんなら仕方ないじゃない!」
「はあ?何言ってんの?」
話に割り込んできたレーガンに霧島が突っかかっていった。睨む目がレーガンの顔を凝視する。レーガンは引きつってバランスを崩し床に倒れた。
「ねえ。私を突き倒したっていいけどさ。私からすれば異世界のに繋がっている別の異世界にいることになってるだよ。確かに帰れないのはやばいけど私だって極東に私の大事な仲間がいるの。それだけは覚えておいて」
服についた埃を落とし夕陽のさす廊下から消えていった。
「ねえ霧島さん....」
「分かってますよ...今回は結構抑えた方ですから」
「少しだけ休んだら?」
「ではお言葉に甘えて休憩を頂戴させていただきます」
「どこに行くの?」
「自艦に戻ります」
大和は疲れた霧島を見た。逆光で霧島の影が黒く見える。
「そうだ。ちょっと待ってください」
「なんです?」
言葉で引き止めた。ここの廊下には大和と霧島のほかは誰一人いない。ただそこに夕陽が差し込んでいるだけだった。
「巨人」
「は?何言ってるんです?」
「本当に見たんですよ巨人!空を飛んでたんです」
霧島はわけが分からなかった。巨人、そんなものは存在しなかった。彼女らのいる世界では。
「巨人ってどんな巨人なんです?某巨人アニメに出てくるような巨人ですか?」
「いいえ?」
「じゃあ人型決戦兵器人造人間?」
「いいえ?」
「じゃあマクロスみたいなものですか?」
「...ええニュアンス的には合ってますね」
「からかってます?」
「いいえ」
なぜ私にそんな話を持ちかけてくるのか?分からずじまいだった。しかし言えていることは滅多に嘘をつかないことを言う大和がジョークじみたことをあたかもあったかのように話している。
「何を言いたいんですか?」
「わたしたちはアレと戦うことになるんでしょうか?」
「聞きたかったのはそれだけなんですか?」
「もしあんなものと戦ったら絶対にやばいことになるかな〜って思ったものなんで」
「で?」
「え?」
話が行き詰まっていった。手に持っていた缶コーヒーも空だった。気まずい空気がこの場を支配した。
「まずは帰れる方法考えないと」
※
海面には船が航行したような白波のあともない。ただ光が反射しているだけの海面。何にもない。提督は焦燥に駆られた。
「っち。あいつらどこ行ったんだよ。平行世界とか言わんでくれよ...」
平行世界。信じたくないモノだったがあのアメリカ海軍第7艦隊は提督からすれば平行世界から来ていた。結局周辺海域は探せるだけ探したが手がかりは何一つなかった。しかし言えたことはあの出撃の日は雨と濃霧が発生していたということ。
「まさかあの霧が...んなわけないよな。だいたいそうゆうのってよくありがちなテンプレだし。嵐に巻き込まれるのも...ってそりゃあれか」
平行世界を信じたくなくても平行世界からの書籍も入ってくる。嵐に巻き込まれ昔に飛ばされた護衛艦とその乗組員の物語。
「ジパングにちょい似てるが....時間軸を移動してたらだいたい基地内のデータベースに残るはずだよな...」
しかしこの世界での技術で時間を自由に飛び回ることは不可能だった。ただ別の世界から来訪者が来たりしたということが事実ならば平行世界には行けなくもなかった。確認されていることは霧が発生して後、連合艦隊はいなかったこと。霧の中で一体何が起きたのだろうか。
提督は海を見た。
ごめんなさい。この後の展開考えてないです。(正直言えば自分で考えてる物語の世界に近いパラレルワールドとクロスさせるんじゃなかった....