我が鎮守府の艦娘暴走せり!   作:風が吹けば桶屋が儲かる

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摩耶「高雄が『私ってカオシュンなの?』って言ったその日から高雄姉の呼び方がカオシュンになりそうで複雑な気分なんだけど」
鳥海「まあ間違ってないけど...カオシュンって台湾よ」
摩耶「あぁ。そんぐらい私でも知ってるよ」
高雄「你好!」
鳥海、摩耶「?!」


#13 SURVIVE

 

深海棲艦が消えた。

 

艦娘が濃霧の発生とともに消えた。

 

「一体何が、起きたんだ」

その後、妙高から聞いた話。

 

眩い神々しい光とともに深海棲艦の姿は消えていった。

では、何処へ?

 

提督は机に目を落とし考え込んでいた。執務室にはジャズが流れていた。静かなメロディが提督の耳を突く。なんだって一人しかいない部屋。執務室の棚には趣味で作ったロボットの模型や艦船模型、キャラクターモデルが置いてある。その模型は何も言わず執務室を傍観していた。

「ったく。この世界はどうなってんだよ。勝手に敵も味方も消えるしさ。もう散々だ」

デスクチェアを回転させ窓の外を見た。何も普通な海だった。

執務室のドアが鳴った。

「誰だ?」

「大淀です」

「入って」

大淀の腕にはレポート用紙が収まっていた。

だいたい10枚程度だろうか。

「提督。これに目を通していただけませんか?」

「ん?何これ」

「艦隊が消えた原因をまとめたレポートです」

応接室の机に無造作に置かれたモニターシート。

「空間の捻じれ...これまたとんでもない怪奇現象じゃん」

「えぇ...それでですね。ここなんですよ」

シートには深海棲艦の基地らしき航空写真と得体の知れない物体。

「なんだこれ」

上から見るとラフレシアの花のような形をした物体。

「おそらく深海棲艦の多次元空間相転装置なんじゃないかと...」

「多次元空間相転装置?」

「私が勝手につけた名前ですけど」

異次元へ行ける鍵なのか。それともただのオブジェなのか。もし彼女の言っていることが本当ならば即刻破壊しなければ我が艦隊は壊滅するかもしれないという最悪も考えなければならない。それとも異次元に消えた連合艦隊を見捨てて新たに艦隊を編成するのか....

 

「消えた連合艦隊を信じるよ。あいつらなら絶対に帰ってくるはずだ」

 

 

「ったく敵さんも懲りないねえ」

「本当まったくだ」

妖精はキャノピー越しに新たに現れた深海棲艦の群れを見ていた。

刹那、眼下から深海棲艦の航空機の群れが上昇してきた。

「こちら203飛行隊、状況開始する。全機エンゲージ、さっさと敵さんを片付けるぞ」

「「「了解」」」

F-3疾風が二手に分かれ舞い上がる。

「なんて速さだ!」

「おい見ろ!あいつらジェット推進だぞ」

「ほう?面白くなってきたじゃねーか!」

隊長機が空対空誘導弾を放ち機体を右に旋回させ敵機を追いかけ回す。他の機体もドッグファイトを繰り返しながら敵機を確実に追い込んでいった。

「人様の間合いに入るからこうなるんだぜ!」

「私語は慎め。左からも来るぞ」

左翼に展開していたエレメントがカブトガニに似た物体の群れへ吸い込まれていく。一方、右翼に展開していたエレメントは正面から左へ回り込み敵機を追った。敵機の群れは左翼に展開していた疾風の真上を通過し散開していった。速力では疾風の方が上だったが数は圧倒的に深海側の戦闘機が上だった。

「つーかこれさ。弾薬足りんのこれ?」

「さあな。まあ弾薬尽きたらメリケンとか122飛行隊とかに任せるさ。敵機が散開した!回り込め!」

疾風の照準が敵機に狙いを定める。

「堕ちろ...」

ウェポンベイに収納されていた空対空ミサイルが火を吹いてカブトガニに向かって飛翔する。刹那、"ミサイル発射警報"と合成音声の女性の声が聞こえた。

「おいα03!後ろだ!」

「え?」

もう遅かった。ミサイルはエンジンに直撃して機体は爆散した。至近距離でミサイルを撃ち込まれたのだ。しかしインジェクションシートを作動させたおかげで中の妖精は無事だった。

「っく...α03がやられたか...」

「どうすんだよ!隊長!」

「こちらα01!空母加賀へ、増援を要請す!」

 

(こちら航空母艦加賀、了解しました。出せる航空隊を出すわ)

 

ヘルメットに内蔵されたヘッドフォンの音声が途切れた。

「ったく相手は何機いるんだ?これじゃ無理ゲーじゃねーか!」

「もし自分の乗ってるこの機体がデルタカイならファンネル撃ちまくって落としまくってますよ!」

文句を垂らしながら敵機を追っかけひたすら狙っては撃ち狙っては撃ちを繰り返したいた。そのうちにウェポンベイに収納していた誘導弾もつき母艦に帰投するときだった。

「よお203の若僧ども!あとは俺たちに任せな」

「遅えんだよ....ったく。補給が済み次第援護する」

疾風の横をスーパーホーネットの群れが通り過ぎて行った。

 

「Comeooooon!」

無線越しに怒声と気迫が耳に入ってくる。

 

「すげえ気迫なことで...これより補給に向かう。残存する203飛行隊の各機は母艦に帰投」

「「了解」」

 

 

「うえうえ!敵機直上!」

「うるせえ!分かってる!おとしゃあいいんだろ?!」

「ねえ摩耶!横からミサイルくるよぉ!」

「はあ?!こっちは上で手えいっぱいなの!自分で何とかしろ」

対空便利屋番長になっていた。摩耶は上からくる爆弾の嵐を対処するためCIWSを上に向けていた。迎撃ミサイルも出せないわけではないが命中率は悪くなる。そしてチャンセラーズビルの撃ち漏らしたミサイルが真っ直ぐ摩耶に向かって飛翔して行った。

「って...私に来るのかぁ?!!ちょっと待て。ヤバいよヤバいよ!....っちこれでも喰らえ!」

増設装備として足につけていた魚雷発射管から魚雷を一本取り出しミサイルに向けて投擲した。魚雷はミサイルのごとく自分に向かって飛翔していたミサイルめがけて飛んで行った。

「摩耶!あれで本当に当たるの?!」

「知らんわ!本体の方は手一杯だから足につけといた魚雷を投げるしかねえんだよ!」

「何でもっと効率のいい対空火器の回し方しないの?!」

「おぉ?っしゃあマークインターセプトぉ!」

鳥海の話に聞く耳持たず甲板上でガッツポーズをしていた。それでも対空砲火の雨を止めることはなかった。

「どうだ!これが摩耶さまの実力だッ!」

そして対空砲火の音に負けないくらいの雄叫びを発していた。遠目から見ていたチャンセラーズビルは変な物を見るような目で摩耶を見ていた。

「日本の重巡ってちょっとネジ抜けてるのね...」

「あのね摩耶はちょっとネジが抜け過ぎてるの。ただそれだけ」

鳥海の冷たい声がチャンセラーズビルに入ってきた。

「へえ...そ、そうなの」

 

 

凄まじい轟音とともに戦闘機の編隊が自分に向かってきているのが分かる。加賀は自らの飛行甲板に赴き艦載機の着艦を待っていた。

 

「こちら第203飛行隊。順次着艦する」

 

次々と疾風の編隊が着艦していく。

 

刹那。船体に大きな振動が走った。それは航空機が甲板上で爆発したものとは違う感じ、大きな波を乗り越えたわけでもない。

内部からの爆発だった。

「何が起きたの?!」

「加賀さん....Youの船体に穴が空いてるよ...」

「うそ...でしょ?」

信じたくない感情もつかの間、船体内部から爆発音や振動が伝わってくる。

「まさか...私......対艦ミサイルに被弾したの?!」

 

「加賀さん!加賀さん!!聞こえて!!こちら大和!大丈夫なの!今そっちに行くから待ってください!」

 

「いいのよ...別に。しかも結構重要なところやられて速力でないのよ。しかも下手したら核爆発が起きると思う....だからこっちに来ないで」

加賀がインカムに向かって叫んでいた。結局戦場に出れば誰かが沈むことは覚悟していた。でもそれが自分だとは思わなかった。せっかく仲良くなれたアメリカ空母とも分かれることになると思っていた。

 

「なんで...私なの。なんで私がこうならなくちゃいけないの?!なんでよぉ!!」

 

空母の叫びが紺碧に吸い込まれた。

 

 

死にたくない。

 

死にたくない。

 

しにたくない。

 

シニタクナイ。

 

Shinitakunai。

 

I don't want die。

 

ーーーーーーあんたたち。シニナサイヨ。

 

「は?!.....私....沈んだはずじゃ....」

「いいえ。加賀さんは生きてますよ」

見渡せばいつも使っている宿舎の部屋。畳が敷かれた15畳の座敷、窓から見える埠頭、そして無造作に置かれたテーブル類。左を向けば赤城がいた。

「....アメリカ海軍の空母たちは?」

「はて?誰のことですか?」

「いえ。知らなければ別にいいのだけれど」

加賀は立ち上がりテーブルの上に置いてあった白い封筒を見ていた。そこには英語で文字が書かれていた。

 

"To Kaga"

 

「何かしら....」

 

"赤城には私たちがいなくなったことを秘密にしてもらっていたのよ。貴女が悲しくなると思ったから。でもね、帰らなくちゃいけなくなったの。というのも私たちがここに来てしまったのはたまたま。作戦行動中にこの世界に来てしまったわけなの。本国の国防総省の叔父様にご心配をかけたくないし私たちにも家族同然の仲間がいるの。だから帰ることに決めたの。その...黙っててごめんね。貴女の提督が多次元空間相転装置?なんか凄い機械で元の世界に転送してもらうことができたの。また会えるその日まで...... Good bye.

From USS Ronald Reagan"

 

加賀はその手紙を見つめていた。

「家族....ね。英雄は孤独なものだと思っていたわ」

加賀はすっと笑いその手紙を自分の机の中にそっとしまった。そして窓の外を見つめていた。

「赤城さん。間宮さんのところで食事でもしましょうか?」

「ええ。そうしましょうか」

 

加賀と赤城は部屋を後にした。その部屋には虚しく夏風が吹いてきた。

 

 




展開が無理矢理になったのはつっこまないでね...
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