摩耶「私もだ」
鎮守府に異形なものが迷い込んできた。頭にでっかい蟹みたいなのが乗ってるやつだ。
「あらヲ級じゃない。何故ここにいるの?」
「ヲヲ...ヲヲヲ!」
なに言っているか分からない。なにせ"ヲ"だけしか喋れないのだ。しかし犬や猫に比べれば分かりやすい。人の形をしているのならば身振り手振りぐらいはできるからだ。
「あの。そのジェスチャープリーズ」
瑞鶴が身振り手振りでジェスチャーで答えさせようとした。
「ヲ?」
「ダメだこりゃ」
「瑞鶴どうした?」
「あ(よりによって艦載機キラーかよ)。摩耶?スマホ持ってる?」
「残念。お部屋の中」
充電中で宿舎棟の自分の部屋に置いてあった。
「このヲ級がヲしか喋らないから分かんないのよ」
「そんなことか」
「なんでそんなことになるのよ!」
瑞鶴が怒鳴り散らした刹那、摩耶がポケットの中からあるものを取り出した
「テッテレー『ほんやくこんにゃく』。ほれ食え」
「ヲ?!」
摩耶はヲ級に得体の知れないこんなにゃくを口に突っ込ませた。ヲ級は子供が嫌いなものを食べるような表情でコンニャクを飲んだ。
「あんなもんで効き目あるの?」
「まあ見てろって」
ヲ級の口が開き始めた。
「I , are you why here? Did you mean I wonder if has become lost」
「は?」
瑞鶴と摩耶は首を傾げた。
「なんだったのよこの得体の知れないコンニャクは?!」
「分かんねえけど必ずしも日本語にはならないってことみたいだな!」
「摩耶って英語できるの?!」
「残念ながら鎮守府の英語テスト27点だよ!」
「私より低いじゃない!」
口喧嘩が始まった。横でヲ級は止めようとした。
「Please calm down with you two . What happened?」
「あ...アイムハングリー...でいいんだよな瑞鶴」
「知らないわよ。は...ハウアーユウ?」
鎮守府無い定期テスト英語27点の摩耶、同テスト36点の瑞鶴。このフィールドに英語のできるやつはいない。いや来た。
「二人ともどうしたネー?」
「本当助かったぁあ!心の友よ!」
瑞鶴と摩耶が金剛の胸に飛びつく。
「なんでヲ級がこんなとこにいるんデスカ?」
「アイツ。エイゴ。シャベル」
「ワタシラ。ワカンナイ」
「そうゆうことネ」
瑞鶴と摩耶の言葉を納得した金剛がヲ級の方へ歩いて行く。この威風堂々したいでたち。かっこいい...感じに見えるのが戦艦だ。
「Hello.I am Kongo. What's your name?」
「I am WOclass No.8」
「By the way your belonging?」
なに言ってるかワカンナイ。え?ベロンディング?なにそれおいしいの。私分かんない。ってか瑞鶴もわかってないよなこれ...
※
「他のやつで試してみるか」
摩耶は興味がわいた。英語以外に喋れる言語はあるのか...と。
ー後日ー
「瑞鶴。これ実験結果」
「いきなり何よ」
「"ほんやくこんにゃく"の使用結果」
「ふーん....?!....ねえまあラテン語やドイツ語、ロシア語まではまあ分かる。だけどこのスワヒリ語とかズールー語ってなによ。ってかスワヒリ語知ってるの?」
「スマホのアプリで」
「あぁ納得」
あっさり納得してしまった。スマホというものは便利だ。彼女がこの姿のになる前はスマホなんてなかった時代。この時代はありがたいものだった。
「ったく日本語喋るやついないの?!」
「いや...まだ出くわしてない」
まだ日本語を話すヲ級と出くわしていなかったのだ。それも相当いろんなヲ級にコンニャクを食わせても日本語を話せるヲ級がいなかった。
「逆にこれも奇跡ね」
「せやな」
これは瑞鶴の運のせいなのか?そうではないと信じたい。摩耶はそう悟った刹那、甲高い駆逐艦の叫び声が聞こえた。部屋の窓を開けるとそこには迷子になったヲ級が流れ着いていた。下で叫んだのは谷風だったようだ。
「摩耶。行くの?」
「行くけど?今度こそ日本語喋れる奴に出くわしたいからな!」
言葉を部屋に置いていきとっさに出って言った。
※
「ほほう。こりゃまた可愛いヲ級じゃん」
「摩耶の頭おかしいんじゃないの?だってこれは敵だよ?」
谷風が久しぶりにまともな事を言っている。これはこれで不思議なものだった。
「ヲ...ヲヲヲ」
ヲ級が赤面してもじもじしている。敵の割には可愛い。いや襲わない他ない。
「やべえ鼻血出そう...ってかこんな事言ってる場合じゃねえ。テッテレー『ほんやくこんにゃく』。悪いがこれ食ってもらうぞ」
「ヲ?!」
摩耶は思いっきりヲ級の口にコンニャクを詰め込んだ。"今度こそ、今度こそは"と思うこの期待感。くだらない事でテンションが上がるのも摩耶の特徴だった。
「もう!なにするんか?!このコンニャクぶちまずいんじゃが!もうやじゃ。いにたい!この子いびせぇ!」
「日本語...喋ったあ!!イィやったゼェ!」
鎮守府の敷地内に摩耶の歓喜の雄叫びが響く。
「ねえ摩耶うるさいよ!」
「悪い悪い。つい興奮しちゃって」
いきなりヲ級が泣きだし始めた。
「なにこの子...マジでいびせぇんじゃが.......」
可愛い。ダメだここで襲ったらそのデリカシーっていうの?あぁ分からん。でもそんなやべえ奴に見られるよなあ ーーーー
「おーい摩耶生きてるかー?」
「?! 私どうしちまったんだ?」
「A-1宿舎棟の前で鼻血出して倒れてたのを谷風が運んできたのよ」
目の前には瑞鶴と谷風がいるが...ヲ級がいない。
「なあ。あのヲ級は?」
「摩耶が倒れたあと浦風がヲ級をお持ち帰りしちゃったって」
「んでそいつらどこいるんだ?」
「鳳翔さんのとこでお好み焼き作ってる」
よく考えてみれば滑稽なイマジネーションだ。
他人様の店借りてお好み焼きを作ってる?そんな馬鹿げた話があるか?敵の空母と広島弁の駆逐艦だぞ...あ。広島弁...確かあのヲ級も広島弁喋ってたよな。てかあれ絶対に広島弁だって。じゃねえと浦風と話が乗るわけないじゃん。一部は除くけど...遠くから瑞鶴と谷風が私を呼ぶ声がする。あれ私どこにいるんだっけ?ああ夢か?
「摩耶!あんたまた瞑想タイム入ってたわよ!」
「あ。すまん。お好み焼き食べたい。広島風お好み焼き、焼きそば抜き」
「摩耶。それは普通のお好み焼き」
無性にお好み焼きが食べたかった。
※
「あんたってそがぁなこまい体して結構食べるんね」
「このご時世食べにゃぁやってらりゃぁせんよ」
このお好み焼き。めっちゃ美味しかった。
ヲ級と浦風は会話を弾ませお好み焼きを胃袋に入れた。
炭水化物on炭水化物がどうして美味しいと思うのかが意味のわからない"風が吹けば桶屋が儲かる"です。英語って大変ですね。ええはい。まだ2話目ですがやはり文だけでギャグって難しいですね...