ダンガンロンパ ~超高校級の凡人とコロシアイ強化合宿~   作:相川葵

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お久しぶりですが、本話は番外編的なアレなのでそのつもりでお楽しみください。


※本話の投稿に合わせ、ここまでの投稿文を一部修正しています。平並の口調とかを調整した感じなので、本筋に変更はありません。よろしくお願いします。


それでは、どうぞ。


CHAPTER-X いつかあった未来
日常編 修学旅行の夜


 

 弾けるような銃声が聞こえた。

 

「ハアッ、ハアッ、ハアッ…………」

 

 その音の発信源がここからそう遠くない事を悟り、俺はより一層足を早めて路地を駆けていく。角を曲がったところで屋根の朽ち果てた家の残骸が見えたので、その敷地内へと転がるように飛び込んだ。

 

 上がった息を整える暇などない。塀を背にするようにもたれかかって、左手に携えていた武器の残弾を確認する。が、顔をしかめた。あと数発も残っていなかった。

 

「くそっ……」

 

 必死に心臓の鼓動を抑えるように胸を押さえながら、塀の隙間から周囲の様子を窺う。幸い、路地には誰の姿も見えなかった。

 

「今のうちに弾を…………ッ!」

 

 ザッ、と背後から足音が聞こえた。慌てて振り向く。家の角から誰かが飛び出してきた。

 ──根岸だ!

 

「くっ……!」

 

 家の敷地内に先に潜んでいたのだろう。根岸が銃口をこちらに向けてくるのが見えて、慌てて横に飛びのいた。直後、銃声。

 命中はしていない。まともに立ち上がっている余裕はない。倒れ込むような姿勢のまま、俺は路地へと走り出した。

 

「ひ、平並……! か、観念しろ……!」

 

 根岸の叫び声が追いかけてくる。向こうは俺の残弾不足など気づいていないだろうが、姿勢の整わない俺を追い詰めるチャンスだと判断したらしい。

 反撃に転ずるにはこの残弾では心もとない。けれど、このまま逃げ回っていても仕方がない。どうにかできないか、と思いながら曲がりくねった路地を走っていくうちに、ちょうど俺の姿を隠せそうな電柱を見つけた。

 

 そこで閃く。ここで待ち構えて、逆に根岸を返り討ちにすればいい。今度はこっちの不意打ちだ。一人くらいなら仕留められる。

 そう確信して、電柱の影に回り込もうとして──

 

 

「残念でしたー!」

 

 

 そこで、東雲が銃口をこちらに向けて待っていた。

 避ける間などあるはずもない。その姿を認識した頃には、すでに東雲は水色の髪を揺らしてその引き金を引き絞っていた。

 

BANG(バーン)!」

 

 パアンと、スライムの弾けるようなペイント銃の銃声が響く。俺の視界を塗りつぶす、蛍光色のライトブルー。

 

 

 

 

 そして、『GAME OVER』の文字が浮かび上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《近畿県 第三観光エリア:舞鶴区 ホテル宮代 地下遊技場》

 

 ふうと息を漏らすのと同時に、全身の緊張が解けて体が一気に弛緩する。

 ライトブルーの視界に表示された『CONTINUE?』の問いには『NO』の答えを選択して数秒待つ。乱れた呼吸を整えているうちに、ふっと視界が暗転した。

 スリープモードに入った頭部被覆型脳波制御装置(フルフェイスヘッドギア)を外すと、着座式カプセルの中を照らす淡い照明が視界に映った。頭を軽く振って凝った首筋を伸ばしてから、俺はリクライニングシートから立ち上がってIRカプセルの外に出た。

 

 

 偽想現実(Imitated Reality)――通称IR。

 従来の国土の1%程度の面積の人工列島へその土地を移した日本をはじめとして、致命的な土地不足は絶望大戦後の世界的な課題となっていたらしい。そのブレイクスルーとして期待され、そして研究が進められたのが仮想現実(Virtual Reality)を発展させたIRだった。すなわち、新たな土地を偽想空間に作り出し、そこをもう一つの現実とする試みだった。

 もっとも、土地だけでなく人口の方も絶望大戦によって割合で計るのもバカらしいほどに減少したようで、未来機関は偽想現実(IR)の利用はあくまで補助にとどめ、実際に人工列島を開発する方に舵を切った。その結果、日本では偽想現実(IR)は娯楽のためのプラットフォームとして定着したらしい。

 

 

 なんにせよ、そんな技術が開発されたおかげで、俺達は地下遊技場にいながらリアルなサバゲーに興じることができるわけで。科学技術の発展した現代に生まれて良かったと思うのは、俺達世代ではよくあることだと思う。

 

「あーもう! 全然勝てないじゃん!」

 

 ふと、そんな叫ぶような嘆き声が聞こえた。

 視線を向ければ、隣のIRカプセルからそんな嘆きの主……三戦全敗の大天が現れた。チームはランダムに二つに割り振られているから、これは何というか、運がない。けれどまあ、彼女は毎回最初にやられていたはずだから、そういうところがこの結果を呼び込んだとも言える。

 

「大天さんは短絡的なんですよ。あんな動きでは、自分が的だと主張するようなものです」

 

 と、また別のカプセルから現れて彼女をたしなめるのは、今度は対照的に三戦全勝の杉野だ。

 

「私だっていろいろ考えてるんだけど」

「それが読みやすいと言っているんです」

 

 杉野の指摘に、むうと唸る大天。悔しそうに頭をかいて何かを考えている。

 

「アタシからしたら杉野が冴えてるだけだと思うけどね」

「そ、そうだよ……さ、最後に平並を追い詰めたのも杉野の作戦通りだし……」

「私も杉野君の陽動に引っかかっちゃった」

 

 いつの間にかカプセルを降りていた三人……最後の試合で杉野とチームを組んでいた東雲、根岸と、俺達と同じチームだった七原が会話に参加してきた。

 

「僕としては、七原さんの【幸運】で弾を全部よけられたりしないかと不安でしたが」

「あはは……私の【幸運】はそういうのじゃないからね。拾える武器は高ランクのやつが多いけど」

「やっぱアンタのそれ、リアルチートよね。歯ごたえあっていいけど」

「まったくです。それだけで十分脅威ですから、こちらとしても本気で立ち向かわなくてはいけません」

 

 しかしそれは、言い換えれば七原の【幸運】に立ち向かえるだけの作戦を杉野が立案したということでもある。サバゲーに限らず、杉野はポーカーだの人狼ゲームだの、心理戦において相当な強さを誇っている。正直なところ、その手の才能があると言わざるを得ない。ただでさえ【声優】の才能を持っているというのに、だ。天は二物を与えるらしい。

 

「いや、顔もいいから三物か……」

「どうされました、平並君」

「なんでもない。ただの独り言だ」

 

 天が不平等だということは今更拗ねるようなことでもない。どんな形であれ自分にも紛れもなく『才能』は宿っているのだし、そこから目をそらすことに意味はあまりない。

 

「杉野君! もう一回やろ!」

 

 なんとなく雑談が一段落したところで、唸りながら考え事をしていた大天が声を上げた。

 

「僕は別にかまいませんけど……多分結果は変わりませんよ」

「そんなのやってみなきゃわかんないじゃん!」

 

 と吠えながら大天がIRカプセルへと乗り込んでいき、杉野もその後に続いた。根岸と東雲もまだ遊び足りないようで、それぞれIRカプセルへと舞い戻っていく。

 

「七原はやらないのか?」

「私はちょっと疲れたから観戦しようかなって……平並君は?」

「俺はもう十分だ。土産物屋が閉まる前にちょっと覗いてくる」

「そっか。じゃ、またね」

「ああ。おやすみ」

 

 また、と七原は言ったが、今日はもう各々遊んだ後は部屋に戻って寝るだけだ。だから、彼女にはそう言葉を返して歩き出した。

 

 

 

 

 地下遊技場の奥にあったIRカプセルの密集地帯を離れて入り口を目指すと、年代物のアーケードゲームにいそしんでいるスコットの姿があった。いわゆる落ちものパズルと呼ばれるもので、上部から降り注ぐ色とりどりのピースをきれいにレバーで捌いている。ゲーム開始から相当時間がたっているようで、正直俺の目ではもう追えない速度になっていた。

 それにしても、最新型のIRカプセルとは打って変わってずいぶん年季の入った機械だ。もしかするとこいつは戦前からの生き残りかもしれない。

 

「ああっ! 引っかかった!」

 

 ぼうっと画面を眺めてとりとめのないことを考えていると、スコットがそんな声を上げた。そして、もはやそんなミスを許すゲームスピードではない。あっという間にピースが積み上がって、ゲームオーバーになった。

 

「悪い、邪魔したか」

「ん? いや、オマエのせいじゃない。ピースの形を見誤ったせいだ」

 

 ぶつぶつと小声で唱えながらノートに何かを書き込んでいく。どうやらレベル毎の攻略メモのようだ。どうせメモをしたところであの速度では見る余裕なんてないだろうが……まあこうすることで頭に入るのかもしれない。

 ノートと当人の様子から、どうもスコットはこのゲームのスコアアタックを繰り返しているらしい。目標として世界記録がノートに書き込まれているが……今夜中にそこに到達するのはいくら超高校級といえど難しいだろうと思った。【超高校級のゲーマー】なんてものがいれば、あるいはやってのけるのかもしれないが。

 

 ノートから視線を離して廊下をはさんだ向こうの空間を見る。そこにはいくらかのマッサージチェアと卓球台が置かれていて……そして、蒼神と城咲が熱戦を繰り広げているところだった。

 温泉卓球と呼ぶには二人ともずいぶん気合いが入っていた。こんなところに投げ置かれている卓球ラケットなんてろくに整備もされていないだろうに、高速ラリーを繰り返している。

 城咲の方はともかくとして、手足も長くスタイルもいい蒼神がそれほど激しく動くものだから、彼女の浴衣の胸元ががはだけそうになって……「危ない!」と一瞬声を上げそうになったが、蒼神は浴衣の下に普通にTシャツを着ていた。

 

 ……慌てた俺がバカみたいだ。

 

「あ、そういえば」

 

 降ってわいた煩悩を振り払ったところで、あることを思いだした。

 

「どうだった、()()

 

 眼下のスコットにそう尋ねる。それだけで意図は伝わるだろう。

 

「……」

 

 スコットは、ゆっくりと首を振った。……ダメだったらしい。

 

「……そうか」

 

 なんと言うべきか悩んで言葉に詰まっていると、しかし、と彼は続けた。

 

「別に、オレが恋愛対象として見られなかったとか、他に好きな相手がいるとかそういう訳じゃない。ただ単に、今は恋愛にうつつをぬかす気はないと言われただけだ。まだ可能性は十分にあると言っていい」

「……それって、お前を傷つけないようにそういう言い方をしたんじゃないのか?」

 

 自分を納得させるかのような口ぶりのスコットに、つい思ったことが口からこぼれてしまった。

 するとスコットはムッと俺をにらんで、

 

「本当にそう思うか?」

 

 と、問いかけてくる。その視線から逃げるように再び卓球台の方を見た。ちょうど城咲のスマッシュが蒼神の側を突き抜けたところだった。その様子を曖昧に眺めながら、少し考える。

 

「いや……邪推だな、これは」

 

 希望ヶ空の仕組み上通常の高校と授業形態が大きく異なるとはいえ、半年以上同級生として過ごしていればこういうところで嘘をつくかどうかくらいはわかる。俺から見ても二人の相性は良さそうだし、スコットの展望もあながち間違いでもないかもしれない。

 

「悪かった」

「別に謝らなくていい。オレも正直疑った」

 

 そう苦笑して、スコットはゲームの筐体にコインを投入して再びゲームを開始した。

 最終的にはまだ希望はあると結論づけたとはいえ、一世一代の告白を断られたのだ。彼がハイスコアアタックに執心しているのは、そのショックを紛らわすためかもしれない。

 

 そんな胸中を察して、そっとスコットの側を離れる。カコカコと響く卓球の音を耳にしながら、俺は地下を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 《ホテル宮代 土産売り場》

 

 ホテル一階の開けたロビーの一角に、土産売り場がある。お世話になってる先生に配るお土産でも物色しようと中に入ると、聞きなじみのある声が聞こえてきた。

 

「ねえねえ、心理テストしようよ!」

『心理テストぉ? なんでそんなもんやらなきゃいけねえんだよ。あんなの、適当なこと言ってるだけだろ』

「えー、当たるかもしれないのに。とりあえず一問だけ、ね?」

『まったく、しょうがねえなあ……』

「じゃあ問題! あなたは今、真夜中の真っ暗な公園を散歩しています。すると突然、あなたの目の前に稲光が! さて、何本の稲光が見えたでしょう!」

『真夜中の公園ねえ。うーん、オレは一本かな。柱は?』

「え? ボクもやるの? ……稲光って何?」

『雷のことだぜ!』

「ああ、ならそう言ってよ。うーん……五本、かな……」

『柱は五本な。で、翡翠。答えは?』

「えーと、『今あなたが片想いしている人の人数を表します』だって。え! 琥珀ちゃん、好きな人いたの!」

『ぎ、ぎくーっ! 別に良いじゃねえかよ、好きな人がいたって!』

「ちょっと待て! それだとボクが五人も好きになってるみたいじゃないか! そんなにいるわけないだろ!」

「別に翡翠、悪いなんて言ってないよ。ヒューヒュー! 青春だね!」

「おい! 聞けよ!」

「あんまりいじめてやるなよ、露草」

 

 軽快にトークを飛ばす露草(と黒峰)がずいぶんと楽しそうではあったが、顔を真っ赤にする新家がかわいそうになってきたので助け船代わりに口を挟むことにした。

 

「凡一ちゃん、誤解だよ! 翡翠、いじめてなんてないからね!」

「どうせ、その心理テストもでまかせなんだろ?」

「それは今関係ないと思うな」

 

 この返答を聞くに、やっぱり適当にしゃべっていたらしい。

 

『まったく、よく言うぜ。柱をからかって遊んでたくせによ』

「そうだそうだ! でまかせ? か何かは知らないけど、少しくらいボクの話を聞け!」

「……お前、よく黒峰の言葉に便乗できるな」

「え? なんで?」

 

 その黒峰を動かしてるのが露草本人だから、とは、新家の目を見ては言えなかった。なんというか、純粋なんだよなコイツ。腹話術だってことは知ってるはずだが……。

 

「いや、別になんでも……」

 

 どう答えたものかと悩んで首をひねると、土産売り場の壁にいくつかのパネルが飾ってあるのが目に入った。このホテルの歴史が周囲の建造物とともに語られている。オープンは三年前だが前身となる旅館が舞鶴区一帯の開発当初から存在しており、地域に根付いたホテルなのだそうだ。

 このホテルのすぐ近くにある宮代神社のパネルもある。結構有名な神社だったはずだが、残念ながら今は建て替え中により今回の旅程からは外れることとなった。

 

「あ、その神社の建て替え、ボクも関わってるんだぜ」

 

 言葉を返すのも忘れてなんとなくパネルの文章を目で追っていると、新家も俺の視線に気づいたらしい。さっき返事をはぐらかしたことなど気にする様子もなく、話しかけてきた。

 

「そうなのか?」

「希望ツリーを建てる時にこの辺の宮大工の組合と縁ができて。そのときにボクも助けられたし、今度はボクが手伝う番ってわけ」

『へえ、やっぱそういう横のつながりがあるんだな』

「なるほどな……」

 

 と、相槌を打ちながら宮代神社のパネルに目を通す。旧日本時代に破壊されたかつての宮代神社を、新日本の開発に併せて建て直しをしたらしい。無残な姿になってしまったご神体を当時の関係者が懸命に修復して、この人工列島にお引っ越し(奉遷というらしい)をしたとのことだった。

 

「ここ、見てくれよ」

 

 パネルの説明を見終わったところで、新家が写真を指さす。神社の屋根についた大きな花のような意匠だ。

 

「これ、旧日本の頃の宮代神社にもあったやつでさ、見てわかるかどうかわからないけど、相当作るのが難しいんだよ」

「そうなのか?」

 

 目をこらしてその意匠をよく見てみる。意匠の彫りは写真越しでも細かく仕上げられているのが分かった。それが良いものであるのは間違いないが、俺にわかるのはそこまでだ。

 

「きれいな模様だね!」

『しかもメチャクチャでけえし』

「確かに難しそうだけど……プロなら作れる、ってものでもないのか」

「案外ね。はじめに宮代神社が建てられた時に、超スゴウデの職人が作ったらしくて……だからこっちで作り直すってなった時に復元は不可能とまで言われたんだよ。けど、話を聞きつけたその職人の弟子が駆けつけてなんとかなったんだってさ」

「ふうん……じゃあ、今回もその人が?」

 

 何ヶ月か前に宮代神社は燃えた。理由は確かテロだったか殺人事件の証拠隠滅だったか……とにかく、そのせいで今は建て替え工事中だったのだ。

 

「いや。その弟子の人ももう死んでるから、頼みたくても頼めなかったんだよ」

「じゃあ、今回は一体誰が……」

 

 と、尋ねつつパネルから目を離すと、ドヤ顔でこちらを見る新家と目が合った。

 ああ、なるほど……。

 

「宮代神社を建て直すのにどうしてもそれの修復は欠かせなくてさ、だからそれを直せるだけの腕を持つボクに……あの……矢? が飛んできて……」

「白羽の矢?」

「そう、それそれ」

 

 白羽の矢は『飛ぶ』というより『立つ』だと思うが。

 

「まあとにかく、そんなわけで手伝うことになって。まだ工事は終わってないけど、このシンボルをきれいに再現してきたんだよ」

 

 誇らしげにパネルを見る新家。けれど、少ししてその表情が曇ってしまった。

 

「? どうしたの、柱ちゃん」

「え? あ、いや……たいしたことじゃないんだけど……」

 

 そんな言葉とは裏腹に、気落ちした様子で新家は口を開く。

 

「その建て替え工事に顔を出したときにさ、昔一緒に修業してた先輩がいたんだよ。兄弟子……って言うんだっけ? 色々責任者とか任されるようになってあちこち飛び回ってたから数年ぶりに会ったんだけど……久しぶりに会ったってのに、挨拶もまともにしてくれなかったんだよ」

『挨拶も? そいつ、兄弟子だったんだろ?』

「うん……昔はもっと優しい人だったと思うんだけど……」

 

 寂しそうに、首をかしげる新家。

 

「……嫉妬、じゃないのか」

 

 そんな新家の様子を見て、そんな言葉が漏れた。

 

「え?」

「お前の兄弟子がどんな人間かは知らないけど、弟弟子のお前が希望ヶ空からスカウトを受けて、超高校級の肩書きを持って戻ってきたわけだろ。思うところの一つや二つ、あってもおかしくないんじゃないのか」

 

 それを言葉にしてから、その中にトゲが含まれていることに気づいた。見知らぬ兄弟子に自分を重ねて、才能ある人間の無自覚さを咎めている。八つ当たりだ、これは。

 

「うーん……先輩だって実力があるし、そんなこと思うとは思えないけど……」

 

 幸い、新家は俺の言葉の攻撃性に気づいた様子は見せず、その兄弟子のことを思い返してまた首をひねっていた。

 

「今度、きちんとお話してみたらいいんじゃないかな?」

『嫉妬かどうか知らねえけど、どっちみちそのままだとお前もすっきりしないだろ』

「ああ、そうしてみるよ。体の具合が悪かったのかもしれないし」

 

 ……そんな新家の言葉を聞いても、その兄弟子が新家に対して暗い感情を持っていないとは、俺にはどうしても思えなかった。だって、新家に再現できた例の意匠が、新家曰く実力のあるという彼には再現できなかったのだから。

 

 才能のある彼らに才能のない人間の気持ちなどわからない……とは言わない。それは友人たる彼らに対しての侮辱だ。むしろ彼らは他人の心情の機微に鋭いと思わされることもあるし、何より皆、優しい。

 けれど。それでも、彼ら天才と俺達凡人には決定的な違いがある。それを何より、俺達が無視できないのだ。

 

「…………」

 

 だめだな。今のは今のでその兄弟子への侮辱だ。他人を勝手に凡人の枠に落としこんでいる。この劣等感は俺が抱いているだけだ。このありきたりな劣等感を。

 

「平並? どうした?」

 

 新家の声にはっとする。嫌なことを考え込んでいた。

 

「いや、なんでもない。意匠に見とれてただけだ」

 

 と、ごまかす。

 もうしばらくすれば、新しく入ってくる21期生の【才能】も明らかになる。いつまでも劣等感に溺れているわけにはいかない。また無意味な嫉妬に苦しむ羽目になる。

 

「そっか。良いだろ、これ。皆で来れるかはわからないけど……工事が終わったら、直接見に来てくれよ。写真じゃ伝わらない迫力が味わえると思うよ」

「ああ、いつかな」

『にしても、随分自信があるんだな。誰も再現できなかった意匠なんだろ?』

 

 俺も少し気になっていたことを、黒峰が新家に尋ねた。

 

「影は薄くても腕だけはあるからな」

 

 胸を張って、誇らしげに彼は答える。

 

「あれを直したのがボクだってこと、ほとんどの人は知ろうともしないし、知ってもすぐに忘れるだろうけどさ。ボクの作ったものがこうしてまた残るって思うと、やっぱり、なんかアレだね」

「アレ……感慨深い、って言いたいのか?」

「そうそれ。……べ、別に伝わればいいだろ! テストじゃないんだから!」

 

 彼は、どうにも影が薄い。多分、業界でも広く名が知られるタイプではないんだろう。けれど、新家が作ったものはこの世界に残る。誰もが知る、荘厳たる建築物として。

 

「そっ、そういえばさ!」

 

 指摘されたのが恥ずかしかったのか、新家は話題を変えようと慌てて黒峰の方を向いた。

 

「黒峰、お前の好きな人って誰なんだ?」

『……お前、アレ信じてたのか』

「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

《ホテル宮代 土産売り場前》

 

 新家と露草(と黒峰)がまた話し始めたので、俺はそっとその場を離れた。新家はまた息を切らしながらツッコミを入れていたが、あの状態の露草はそう簡単には止まらない。こっちに矛先が向く前に、新家を犠牲にして離脱することにしたのだ。

 

「聞くところによると、このホテルの西に幽霊の出る廃墟があるらしいであるぞ」

「あァ? 幽霊だァ?」

 

 入り口の付近に並んでいる温泉まんじゅうの箱詰めを見定めていると、会計を終えたと思しき遠城と火ノ宮がやってきた。

 

「うむ。なんでも、数年前に起きた爆破事件で亡くなった霊が夜な夜なうめき声を上げているとの噂である」

「爆破事件……覚えてねェけど、事件なんざどこでだって起きてるだろォが。なんでそこだけ幽霊がでてくんだよ」

「なら、どこにでも幽霊がいるという話であろう。その廃墟に関しては目撃証言も聞いたであるぞ」

「目撃証言?」

 

 何やら面白そうな話だったので、温泉まんじゅうから目を離して口を挟んだ。

 

「あァ? 平並か」

「話が聞こえてきてな。で、目撃証言なんてどこで聞いたんだ」

「夕食前に行ったこのホテルの展望フロアである」

 

 展望フロア……そういえば何人か向かったって聞いたな。

 

「で? そこで盗み聞きでもしたのかよ」

「失礼なことを言うのはやめてほしいである。今の平並と同じく聞こえてきただけなのであるからな」

 

 と、前置きしてから遠城は言葉を続ける。

 

「大学生らしき集団が話していたのであるよ。その中の一人が以前その廃墟に立ち入ったことがあると話しておったぞ」

「不法侵入じゃねェか」

「まあまあ……」

 

 廃墟探索は肝試しの定番ではあるが、実際にやろうとすると法に触れる。とはいえ、見ず知らずの大学生を警察にチクるほどのものでもない。……火ノ宮は腑に落ちない顔をしているが。

 

「そやつが罰せられるかどうかは公権力に任せるとして……とにかく、そやつは廃墟で苦痛にあえぐ女の絶叫を聞いたそうであるぞ」

「よくある話だな」

 

 というのが率直な俺の感想だった。

 

「チッ。どうせ鉄骨のきしみや隙間風の共鳴音だかを聞き間違えたんだろ。くだらねェ」

「お主は夢がないであるな」

「幽霊話のどこに夢があるっつゥんだ。むしろとっとと全員成仏する方が夢があんだろ」

 

 それも結局死後の世界をどう捉えるというかという話になるわけで。深掘りしてもあまり実のある話にはならなそうだ。

 

「それにしても、幽霊ねえ。科学全盛のこの時代にする話じゃないぞ」

「まったくである。怪談なんて久方ぶりに聞いたであるな」

「誰も信じてねェし興味もねェってことだろ」

「キミ達の考えには落丁があるな!」

「うおっ」

 

 急に台詞が差し込まれた。明日川だ。

 

「なんだいきなり! 異論でもあんのかァ!?」

「フッ。ボクを誰だと思っているんだい?」

「変態じゃねェのか」

「猥談家であろう」

「耳年増だろ」

「ボクを何だと思っているんだい?」

 

 明日川は口の端をひくつかせたが、ため息をついてからやれやれと大仰に肩をすくめた。

 

「割と妥当な評価だと思うけどな」

「ボクが言いたい(書きたい)のは、噂話をするならボクの右に出るものはいないと言って良いという話だ」

「んなもん誇るな」

 

 しかしまあ……そこについて異論はない。

 

「で? 話の流れからして、なんか怪談を知ってるってことだよな」

その通りだ(推敲なしだ)。しかも、希望ヶ空学園の怪談だぞ」

 

 その台詞を聞いて、俺達は顔を見合わせる。

 

希望ヶ空(うち)の?」

「ああ。キミ達が望むなら全国津々浦々に伝わる怪談話を用いてここで百物語を開くのもやぶさかではないが……そんな苦虫をかみつぶしたような顔をするな。それはまたの機会にさせてもらおう」

 

 その内容と言うよりは彼女の台詞の長さに火ノ宮が顔をしかめる。が、わざわざそれを口にはしない。すれば余計に長い台詞が返ってくることを俺達は経験則として知っているからだ。

 

「さて、件の怪談話だが……諸君はボク達の教室(舞台)のある東校舎に開かずの部屋があるのを知っているかい(読んだことがあるかい)?」

「開かずの部屋? 三階の北の端にある教室のことか?」

「ああ、それだ。近くに理科実験室があるから皆よく目にすることだろう」

「何が開かずの部屋だ。使わねェ資料や教材をしまいこんでカギかけてるだけだろォが」

「そう思っているのならその認識を改めない方が良い。間違っても、その扉を開けようなどとは思わないことだ」

「あァ?」

 

 眉をひそめる火ノ宮。その反応に明日川は満足げに頷いた。

 

()()からだ。その部屋を使っている存在がね。根拠をあげるならば、窓際で揺らめく影、動かされた椅子、積もらない埃……消えていたはずなのにいつの間にかついていた電灯、なんてものもある」

「てめーのでっちあげだろ。そうじゃなきゃ……誰かが休み時間に忍び込んでくつろいでんだろ」

「その不審な目撃情報の多くが深夜でなければ、そういう言い訳も立ったかもしれないね」

「…………」

「……誰であるか、そやつは」

「希望ヶ空に入り損なった少年の霊さ」

「入り損なったって……スカウトを受けられなかった、とか?」

「いいや? むしろそっちの方が救いのある話だっただろうね。なにせ、そうだったなら彼は一人じゃなかったはずなのだから」

 

 そして彼女は一拍の意味深な間を挟み、台詞を続けた。

 

「彼はスカウトを受けていたのさ。それどころか、それを本人も受け入れて希望ヶ空への入学を心待ちにしていたんだ。ボク達の良き友人として、ともに学園生活を過ごせていたはずさ。……彼が、入学を前にして命を落とすことさえなければね」

「……!」

 

 俺達は一斉に目を見開く。おそらくその理由は同じはずだ。

 聞いたことがあったのだ。その、入学式の前に死んだ少年の存在を。

 

「奇しくも希望ヶ空に通うという夢を絶たれた彼は、それでも諦めることができずに霊として希望ヶ空を漂っているというわけだ。誰にも存在を認知されない、孤独な存在としてね」

「……」

「だから、たとえ冗談でもあの開かずの部屋の扉に手をかけるのはやめておいた方が良い。もしも何かの間違いでその扉が開いてしまえば……きっと彼は喜んでキミ達を仲間にすることだろうからね」

 

 そんな言葉で、彼女はこの怪談を締めくくった。希望ヶ空での生活を前に命を絶たれた少年の孤独を、嫌が応にも俺達に想像させる形で。

 

「……はっ。怪談としちゃ上等な話じゃねェか」

 

 最初に口を開いたのは火ノ宮だった。

 

「信じるかどうかは別にしてだけどよォ」

「そもそも怪談とはそういうものだろう。何もそれが真実だとキミを説き伏せたい訳じゃない」

「しかし明日川よ。別に嘘だと断じたいわけでもないのであるが、今の話、例の死んだ新入生の噂が元ネタであろう?」

 

 と、遠城からの指摘。同じことを俺も思っていた。

 怪談話の信憑性を議論するほど馬鹿馬鹿しくて無意味なことはない。とはいえ明確に元ネタがあるのならば話は別だ。そこをつつきたくなるのも人間の(さが)というものだろう。

 

「死んだ新入生の噂か。確かに俺も聞いたことあるけどこんな話じゃなかったよな」

 

 アレは確か、スカウトを受けたはずの高校生が直前になって入学が取りやめになって、その原因が実は不幸にも事故か事件かに巻き込まれて命を落としたからだ……というだけの話だったはずだ。

 

「誰が言い出したか知らねェけどな。気づいたら誰もそんな話、しなくなっちまったしよォ」

 

 誰から聞いたのか、は俺も覚えていない。誰が話すでもなく一瞬だけ学園内に広まり、そしてすぐに沈静したのだ。

 

「噂なんてそんなもんだろ」

「とにかく、その死んだ新入生の噂を聞いてお主が尾ひれをつけて怪談に仕立て上げたのであろう? そう考えればよくできているとも思えるが」

 

 そんな風に総括をして遠城が明日川を見ると、彼女はわかりやすく肩をすくめて首を振った。

 

「やれやれ。まるでボクがこの話を創作した(書いた)と言いたげな口ぶりだな」

「……違うのか?」

「ああ、違う(誤植だ)とも。この話はボク自身も他のキャラクターから読んだ話を君たちに語り直しただけにすぎない」

 

 俺達は顔を見合わせる。だったら、一概に作り話と断じるのもナンセンスかもしれない。

 

「なら、てめーは誰から今の話を聞いたんだよ」

 

 そう火ノ宮が尋ねると、彼女はたっぷりと間をとってからニヤリと告げた。

 

「古池君だ」

 

 ……じゃあ嘘だろ。

 

 

 

 

 

 

 

《ホテル宮代 一階ロビー》

 

 怪談話の出典のオチに俺達がそろってため息をついたところで、明日川は、

 

「そうだ。スコット君に告白編の顛末を語ってもらわねばならないんだった。うかうかしていられないな」

 

 なんてことを言い出した。スコットが地下遊技場にいたことを俺が告げると明日川はそそくさと階段を駆け下りていった。野次馬根性を丸出しにした遠城もその後を追いかけていった。……俺も先に話を聞いてなかったらついて行っただろうから、人のことは言えないか。

 彼らが消えていった階段の先を何を思うでもなく眺めていると、声がかけられた。

 

『おっ、凡一に範太じゃねえか。そんなところで突っ立って何やってんだ』

 

 一通り楽しく騒ぎ終えたらしい露草と新家がやってきた。

 

「別に何も……ちょうど話が終わったところだ」

「話?」

「明日川から怪談を聞いてただけだ。結局嘘だったけどなァ」

 

 親切に、火ノ宮が一連の怪談をかいつまんで二人に話してあげていた。情報源が古池だからどうせ嘘だ、とまで告げていたが、露草は黒峰とやいやい話しているし、新家は顔を真っ青に染めていた。明日川も、こいつら相手だったら話し甲斐があっただろう。

 

 なんとなく明日川に申し訳ない気持ちになりながら階段の方へ目を向けると、ちょうどそのタイミングで上階から降りてくる人物がいた。

 

「……なんだお前達。そんなロビーの真ん中でたむろして。他の客に迷惑だぞ」

 

 その長身を浴衣に包んでいた、岩国だった。その正体が一瞬誰だかわからなかったのは、いつもの男装姿ではなかったからだろう。……いつもと違うシルエットから目をそらすのに必死で、まともに返事ができない。

 

「あ、ああ。悪い」

「琴刃ちゃん、今からお風呂?」

 

 壁の方に歩きつつ、露草が彼女に声をかけた。

 

「ああ。今なら大分空いてるだろうしな」

「あれ、皆と一緒に入らなかったのか。露草がしつこく誘いそうなもんだけど」

「人が多いのは苦手だから遅らせたんだ。……それに、アイツと一緒に風呂に入ったらろくなことにならないのが目に見えてるだろ。さすがに本人の前では言わなかったがな」

「アイツ?」

「あの変態だ」

 

 ……明日川か。普段の様子を見ていれば、女子風呂で彼女が何を言うのかは想像がつかないでもない。岩国が時間をずらしたのも頷ける。

 

「うん、それで正解だったと思うよ。棗ちゃん、すごかったし……」

『おいおい、何したんだよ』

 

 顔を赤く染める露草の様子を見るに、想像通り明日川は大暴れしたらしい。なんというか、幸せそうなやつだ。

 

「そういうわけだ」

「あ、待って! 琴刃ちゃん!」

 

 話を切り上げて立ち去る岩国を、露草が慌てて呼び止めた。

 

「……なんだ」

「翡翠も一緒に入ってもいい?」

「お前、もう入ったんじゃないのか?」

 

 と、俺が尋ねると、人差し指を振りながら露草は答える。

 

「わかってないな、凡一ちゃん。お風呂はね、何回入ってもいいんだよ!」

 

 ……まあ、別にダメとは言わないが。

 

「それに、せっかくだから琴刃ちゃんともっとお話ししたいし」

「……バスの中で散々話しかけてきただろ」

「あれじゃ物足りないよ! ね、いいでしょ!」

 

 目をらんらんと輝かせる露草の勢いに押され、岩国は少し逡巡してからため息をついた。

 

「……はあ。好きにしろ」

「やった! ありがと、琴刃ちゃん! 先に行ってて!」

『おい、翡翠! 走ると転ぶぞ!』

 

 なんて言葉を言い残して、露草は階段を上っていった。着替えを取りに行ったんだろう。

 そんな様子をあきれたように眺めていた俺達だったが、いち早く気を取り直した岩国が俺達を一瞥する。そして腕で体を隠すようにしながら口を開いた。

 

「覗くなよ」

「「覗くわけない(ねェ)だろ!」」

 

 俺と火ノ宮がステレオで反論すると、ふっと笑って岩国は翻した。

 

「冗談だ」

 

 そう告げて、背中越しに手を振りながら風呂場の方へと歩いて行く。その背中を見送りながら、俺は火ノ宮に語りかけた。

 

「なんかあいつ、丸くなったな」

「ああ。ンな冗談言うとは思わなかった」

 

 当初は刺々(とげとげ)しい反応を見せ、クラスからやや浮いていた岩国が、今となってはあの様子だ。もしかすると、彼女も旅行気分で浮かれているのかもしれない。

 

「いやあ、良い話を聞けた(読めた)

 

 ふいに、地下から明日川が上がってきた。スコットの事情聴取が終わったらしい。そのまま階段を上に上っていく。

 

「部屋に戻んのかァ?」

「ああ。替えの装丁を取りに行かねばならないからね」

「……? 何かこぼしたのか?」

「いいや。浴場に行くのさ(場面転換するのさ)。そろそろ岩国君が風呂に入っている(のサービスシーン)だろうからね」

 

 顔を見合わせる俺と火ノ宮。

 

先程(前章)は岩国君とともに風呂に入り損ねたからな。行かねば(読まねば)なるまい。クラスメイト(主要登場人物)の一糸まとわぬ(カバー下)を見るチャンスなど、そうそう無い(絶版に等しい)のだからな!」

 

 そんな台詞を残して、明日川は上階へと消えていく。

 

「……抜け目のないやつだ」

 

 おそらく辱めを受けることになるだろう岩国のことを想像して、心の中でそっと手を合わせることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 《ホテル宮代 506号室(男子部屋)》

 

 その後、お土産を適当に見繕ってから男子部屋に戻った。カギが開いていたので先に戻った火ノ宮と新家がくつろいでいると思ったのだが、靴を脱いでふすまを開けるとなぜか部屋の電気は消えていた。

 

「いないのか……? でもカギは開いてたし……」

 

 疑問に思いながら畳の上を歩いて部屋の電気をつけようとすると。

 

「んだよ。今度はお前か」

 

 と、暗闇から声が聞こえてきた。やはり誰かいる。

 その声につられて窓の方を向けば、確かにそこに彼がいた。

 

「古池。何やってるんだ、電気消しっぱで」

「……何もしてねえよ。だから暗くても別に問題ねえ」

 

 電気の消えた部屋の「広縁」……旅館によくある窓際の小さな板張りのスペースで、古池が椅子に体を預けながら月明かりを浴びていた。一人で空を眺めていたらしい。

 

「火ノ宮達は? 先に戻ったはずだけど」

「荷物置いてソッコー出てった。IRで遊んでくんだと」

 

 その声は、随分と投げやりだった。

 そのトーンでわかる。嘘をつくような気分ではないらしい。

 

 ふうん、と生返事をしつつお土産をおろした俺は、そのまま古池の対面の椅子に腰を下ろした。電気は消したままだった。

 

「……なんだよ。お前も遊びに行けば?」

「もう遊んできたんだよ。十分満足した」

「あっそ」

 

 古池は、窓から空を眺めながら興味なさそうにそう声を返した。なんとなくそのリアクションは想像がついていたので、気にせず声をかけた。

 

「随分機嫌が悪いな。せっかくの修学旅行なのに」

「……悪いに決まってんだろ。行かねえっつってんのに無理矢理連れだしやがって」

 

 じろり、と俺をにらむ古池。その言葉通り、古池はこの修学旅行を欠席することを早々に告げていた。理由は当然、彼の【才能】だ。

 

「散々謝っただろ」

「謝って済むかよ! いきなり叩き起こされて無理矢理バスに連れ込まれたんだぞ! ……そういや聞きそびれてたけど、どうやって部屋のカギを開けたんだよ。戸締まりはちゃんとしてたはずだぞ」

「カギはスコットにピッキングで開けてもらった」

「アイツ、そんな経験あったのか?」

「まさか。見よう見まねでやってたよ」

 

 どこからか遠城が見つけてきたピッキングの動画をお手本にしていた。探そうと思えばいくらでも見つかる世の中に感謝だ。

 

「あっそ……いや、まて。カギが開いてもドアガードで引っかかるはずだ。アレはどうした」

 

 ドアガード……U字型のロックのことか。

 

「アレなら明日川が開けた。うまいやり方を知ってるって言ってたけど、実際どうやったかは知らない。見えなかったから」

「……戸締まりの意味がねえな」

 

 俺をにらみつけるのをやめて、椅子に体を預けて天を仰ぐ古池。

 

「…………よくそんなやり方に皆同意したな」

「それだけ皆お前と修学旅行に行きたかったんだよ。スコットだって、ピッキングなんかこんな目的じゃなきゃ金輪際やらないって言ってたしな。あ、火ノ宮には合鍵を持ってたってことにしてあるから話を合わせておいてくれ」

「…………」

 

 あきれを隠そうともしない顔でしばらく黙り込んだ古池は。

 

「……死にたくねえのかよ」

 

 と、つぶやいた。

 

「俺の才能を嘘だと思ってる訳じゃないだろ。皆希望ヶ空にいるんだ。才能なんか疑う方がバカだ」

「……死ぬ気が無いんだよ。お前の才能を疑ってないのと同じように、七原の【幸運】だって誰も疑ってないんだ」

 

 吐き捨てるような古池の言葉。それに答えを返すのならば、俺が告げるべきはこの言葉だと思った。古池が才能に呪われているのなら、それを打ち砕けるのも才能しかない。

 

「お前を修学旅行に連れて行くか皆で話し合ったときにさ、あいつが言ったんだよ。『私が誰も死なせない』って。……だから、大丈夫だろ。実際、今日だって色々あったけど無事にホテルまでついたわけだし、お前を連れてきたことが原因で俺達が死ぬんだったら、とっくの昔に希望ヶ空で全滅してなきゃつじつまが合わない」

「…………」

 

 ぽかん、と口を開けたまま固まる古池。

 

「……おい、なんか言えよ」

「いや、なんつーか……お前、そんなに彼女のこと好きだったのか」

 

 思ってもみない返答だった。

 

「は!? ち、違う! あいつは別に彼女とかじゃ」

「え? まだ付き合って無かったのか?」

「まだとかそういう話でもない! 大体、七原の【幸運】を信じたのは俺だけじゃないんだぞ!」

「別にそっちはどうでも良いけどよ……」

 

 慌てて否定する俺に対して、冷たい視線を向ける古池。何が気に食わないんだ。

 

「七原がお前を好きなのは、普段の様子を見てたら明白だろ。そこんとこ、どう思ってんだ」

「どうって…………そんなの、お前の気のせいだろ。あいつは……皆に優しいだけだ」

「ふーん…………」

「な、なんだよその目は! それより、お前の方はどうなんだよ! 好きなやつとかいないのか!?」

 

 これ以上話しても旗色が悪いと判断して、無理矢理話題を古池に押しつける。

 

「好きなやつぅ?」

「特定の誰かじゃなくても、好きなタイプとか、初恋の人とか。何でも良いからさ」

 

 眉間にしわを寄せる古池に、ここぞとばかりにたたみかける。実際、気になる話ではあるし、今の古池なら珍しく本音で答えてくれるかもしれないと思ったからだ。

 

「せっかくの修学旅行だし、定番の恋バナってやつだよ」

「自分は話をそらしたくせによくそんなこと言えるな」

 

 確かに都合の良い事を言っているな、とは思った。

 やれやれと肩をすくめながら、いつの間にか前のめりになっていた体を再び椅子にもたれさせる古池。

 

「良いだろ、俺とお前の仲じゃないか」

「『才能に呪われている者同士』ってか? お前も相当自虐的だよな」

 

 才能の集う希望ヶ空。その20期生において、俺と古池だけは少し事情が異なっている。俺達は才能を()()()希望ヶ空に来たのだ。

 結局、その願いは二人ともまだ叶っていないけれど。

 

「…………」

 

 そんな事情があるものだから、俺達の間には他の人とも少し違った縁がある。そんな古池も窓の外を見ながら黙り込んでしまったので、俺もしばらく沈黙に身を任せていた。

 

 

 

「初恋くらい、俺にもあるんだよ」

「……!」

 

 前触れもなく、古池が口を開いた。

 

 

 

 古池は、変わらず窓の外を見たままだった。まるで、独り言のようだった。

 

「……飛行機事故から何年か経って、さすがに俺が【才能】に気づいてから……中学のクラスメイトを全員死なせてからは、卒業までずっと引きこもってた。頼る親戚も死んでたけど、そのせいで保険金だけは大量にあったから適当にアパートを借りて住んでた」

「…………」

 

 前に、研究者の誰かから聞いたことがあるような気がする。中学を形だけ卒業した古池は、教養と暇つぶしのために通信制の高校に自宅から通うことにした、とかなんとか。そのおかげでスカウト対象になったとその研究者は喜んでいた。これは、それ以前の話、ということのようだ。

 

「買い物も通販で済ませてたから一歩も外に出ることなんか無かった。だから、唯一、ベランダだけが俺と外とがつながる場所だった。

 ……引きこもって一年くらいした頃に、ずっと空き家だった隣に一家が引っ越してきた。その中に中学生の女子がいて……今思い出しても変な女だったよ」

「変な女?」

20期生(ウチのクラス)にいても馴染めるくらい」

「……クラスメイトを変さの基準にするなよ」

 

 一部否定できない所もあるからリアクションにも困る。

 

「でも大体想像つくだろ。そういうきな臭いヤツだったんだよ。……それに、押しつけがましいのもお前らそっくりだったよ」

「…………」

「家から出る気はねえって言ったのをどう受け取ったか知らねえけど、何かにつけて俺をベランダに呼び出して話しかけてきやがってよ。オチのある話ならともかく知らん友達の話とか聞いてらんねえっつーの」

「……でも、楽しかったんだな」

「…………」

 

 月が雲に隠れる。光が遮られて、古池の顔が窺い知れなくなった。

 

「…………いつの間にか、話をするのが一方的じゃなくなった。俺の方からあいつに話しかける事もあった。つっても外に出ない俺に話せることなんかほとんどねえけど、それでも何が楽しいんだか笑いながら聞いてくれたよ。

 ……それが三ヶ月続いたくらいか。近所の自然公園に街を見渡せる絶景ポイントがあるってあいつが言い出して、話してるうちに週末に二人で遊びに行く約束になった」

「……家の外に連れ出そうとしたのか」

「俺が引きこもってる理由を言ってなかったからだろうな。散歩くらいはした方がいいと思ったんだろ」

「…………」

 

 投げやりな、古池の声。このテンションでこれだけ長い間話す古池は、初めてだった。いつも嘘をついている時のような軽薄さが、全く感じられなかった。

 

「……それで。どうしたんだよ」

「夜逃げした」

「は?」

 

 素っ頓狂な声が出た。

 

「夜逃げって……その子が?」

「俺に決まってんだろ。向こうが逃げる理由なんか無え」

「なんでそんなこと!」

「死んでほしくなかったから」

「……!」

 

 古池の声のトーンに変化はない。つまらないマンガのあらすじを読み上げるような声だった。

 

「一緒に連れ立ってどこかに行けば、どうせまた俺はそいつを死なせちまう。なら、こうするしかねえだろ」

「……それがわかってたなら、どうして約束なんかしたんだよ」

「…………さあな。んなの、とっくに忘れたよ」

 

 ……嘘だ、と指摘することは、俺にはできなかった。

 

「…………」

「……それが、お前の初恋なのか」

「…………後から振り返って、そうだったんじゃねえかと思ってる」

「……話してくれて、ありがとな」

「…………別に。……あ」

 

 沈黙に耐えかねたタイミングで声を発する、そんなギリギリの会話を交わしていたところで、急に古池が妙な声を出した。

 

「どうしたんだよ」

「いや、思い出したんだ。もっと前に初恋があった」

「……なんだそりゃ」

 

 だとしてもさっきの話がなかったことになるわけではないとはいえ、こっちはそのつもりで聞いていたから肩透かしを食らった気分だ。

 

「そういうなよ。俺だって今思い出したんだからさ」

「……じゃあ、ホントの初恋はどんな感じだったんだよ」

「つっても別に面白みのある話じゃない。小三の時の保健室の先生だよ」

「保健室の先生……か」

「かわいらしいもんだろ? 校内でも有名な美人だったからな。擦り傷だとか微熱だとか、適当に理由つけて通いに行ったのはオレだけじゃない」

 

 確かにその話自体にはあまり面白みがない。けれど、古池がかつてそんなことをしていた、ということにはなかなか面白いものを感じる。

 

「例えるならまさに傾国の美女! って感じだったんだぜ。生徒どころか先生達まであの人のトリコだったんだからな! 国はともかく、学校はマジで傾いてたかもしれねえな。なんせ、バレンタインの時には男女問わず誰もがあの人にチョコを渡してたんだぞ!」

「ふうん……うん?」

「まともに渡してたら他と差がつかねえからって自分自身にリボン巻いてるアホも数人いたし。オレ? オレはちゃんと渡したに決まってるだろ? ちゃんと合成カカオから作ったでござるよ! 三段重ねの特大チョコケーキをねえ!」

 

 話の規模が大きくなってきたあたりで顔をしかめていたが、ここまで聞いてようやく古池のテンションが異常に上がっている事に気がついた。口調もおかしい。

 

「…………あ、嘘か!?」

「さすがにここまでやれば気づくか。あー、急に叫んだから喉がいてえ……」

 

 さっきまでのハイテンションがどこへやら。いつものけだるげな声になって、古池はやれやれと首を振った。

 

「あのなあ………………ちょっと待て。どこからだ。どこから嘘だった? まさか最初から――」

「さあな。めんどくさいから自分で考えな、白波(しらなみ)

「……俺の名前は平並だ」

 

 真面目にそう返してやると、待ってましたと言わんばかりに古池は笑い声をあげた。

 

 

 

 

 

 《ホテル宮代 廊下》

 

 すっかりいつもの調子にもどった古池を男子部屋に残して、俺は廊下にやってきた。渇いた喉を潤すための飲み物を買いに来たのだ。

 

「結局、どこから嘘だったんだか……」

 

 自販機のある休憩スペースに向かいながら、さっきの古池の話を思い出す。保健室の先生の話の後半は明らかに嘘だ。話し方のノリを考えると、初恋を思い出したってところから嘘だったかもしれない。

 そもそも、アイツが本当の事を話してくれたことなんてほとんど無い。本当の事だと思っていてもいつの間にか煙に巻かれてしまうのが常だった。

 

 けれど。

 

「全部嘘とは、思えないんだよな……」

 

 修学旅行に無理矢理連れ出されたことにキレてたのは、多分本当だ。……その後の、引きこもっていた頃の初恋の話も、本当なんじゃないかと思う。その子がどんな子だったかはさておき、その話は彼女を死なせないために夜逃げしたところで終わっていた。古池は、そういう寂しい嘘はほとんどついた事がないはずだ。

 だから、その後の保健室の先生の話が古池の照れ隠しだったんじゃないかと思う。何を思ったところで、答え合わせなんてできないだろうが。

 

「っと、あったあった」

 

 舞鶴区の夜景が見渡せる大きな窓を備えた休憩スペースにたどりついて、目当ての自販機を見つけた。指先を空中でさまよわせてから、なんとなくサイダーのボタンを押した。

 ガコン、とボトルが受け取り口に落ちてから、ピピピピピと軽い電子音が響く。

 

「ん、当たり付きか」

 

 数字がそろえばもう一本、のアレだ。たまに見かけるタイプだが、こんなもの当たるはずがない。所詮はただのおまけだから……ではない。俺が【超高校級の普通】だから、だ。このルーレットが外れる事が、俺が俺であることの証明になる。

 その【才能】を確かめるように、ルーレットがずれた数字で止まるのを待つ。

 

 

 ピピーッ!

 

「……えっ」

 

 

 けれど、予想に反してそのルーレットは「7777」でピタリと動きを止めた。

 ありえない。あり得るはずがない。何度も試せばたまに当たることくらいある、なんて揺らぎを許さないのがこの【才能】だ。仮に当たるとしても、それはもっと試行回数が積み重なってからでなければおかしい。それなのに、一体どうして……。

 目をこすっても、その表示は変わらない。早く追加の商品を選ぶようガイド音声に催促されて、呆然としたまま適当にボタンを押した。ご当地モノらしいミックスジュースだった。

 

「…………」

 

 二つのドリンクを手に取る。なぜ、俺なんかに、【超高校級の凡人】たる俺なんかにこんな"幸運"が……。

「あっ。平並君!」

 

 思考を引き裂くように、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。その声の主の姿を見て、手元の謎に答えが出た。

 

「あー……七原。部屋に戻るところか?」

「うん。平並君は?」

「喉が渇いたから飲み物でも、と思ってな。……これ、いるか」

 

 そう言って、俺は"当たり"のミックスジュースを差し出す。

 

「えっ? 良いの?」

「ああ。たまたま当たったんだ。どうせ、二本も飲めないし」

 

 それに、これはきっと七原が飲むのがふさわしいだろうとも思った。

 

「じゃあ、貰おうかな。ありがとね、平並君」

「どういたしまして」

 

 ジュースを受け取った七原は、窓際の……舞鶴の夜景を一望できるベンチに腰を下ろした。

 彼女を残して部屋に戻ることはできたけれど、なんとなく、俺も隣のベンチに座ることにした。

 

「…………」

 

 【超高校級の幸運】、七原菜々香。この才能の集う希望ヶ空学園に、クジで選ばれて入学した女の子。けれどそれは普通を代表する一般人なんかではなく、嘘偽り無く【幸運】の才能を持った天才の一人。

 

 そんな彼女が持つ優しさを、俺は知っている。思い出すのは、さっき交わした古池との会話。七原が俺に好意を抱いていると、古池の目にはそう見えるらしい。実際、教室でも七原と一緒にいる時間は少なくは無い、と思う。

 けれど、七原は誰とでもすぐに打ち解けるタイプだし、誰に対しても心を砕いて親身になるような人間だ。だから、そう見えたのならそれこそが彼女の優しさを証明している。

 

 そう、頭では理解している。そう思い込んでいる。そうでなくては理屈が合わないと、必死にうぬぼれを心の奥に押し込めている。

 でも、もしも。

 

「……なあ、七原」

「ん? どうしたの?」

 

 勢い余って、名前を呼んでしまった。

 

「……いや、なんでもない」

 

 まさか本人に真相を聞けるわけもない。適当な話題も思いつかず、うやむやにごまかすしかなかった。

 

「?」

 

 と、七原は俺の様子に疑問符をうかべつつも、やがて視線を窓の外へ戻した。

 

 ……色々な事を一旦置いておくとして、実のところ、俺自身が七原をどう思っているかもわからない。さっきの古池のように明日川にも何度もからかわれているが、良きクラスメイト以上の想いを彼女に抱いているのか、自分自身でもまだ答えが出ていない。

 

 けれど、確かなことがひとつだけあった。

 

「見て、満月。……きれいだね」

「ああ。良く晴れてる」

 

 七原と言葉を交わして、七原とともに時間を過ごして。そうした後には、いつも俺の心に特別な何かが残る。他のクラスメイトとじゃ味わえない、言語化できない想いが、確かにここにある。それが、何かを意味しているんじゃないかと、思う時がある。

 

「私、希望ヶ空に来れて良かった」

 

 そんな曖昧な思考に身をゆだねていると、七原が唐突にそんなことを口にした。

 

「それは……皆で旅行ができたからか?」

「ううん。それもだけど、そうじゃなくて」

 

 言葉を切って、こちらを見つめる七原。その視線を感じて、俺も彼女の顔を見る。

 

「平並君に会えたから、だよ」

「……恥ずかしいこと言うなよ」

 

 その微笑みに耐えきれず、俺は窓の外へ視線を逃がす。

 彼女の言葉に込められた意味を、あえて考えることはしなかった。少し考えればすぐにその答えを知れただろうことはわかっていた。けれど、それを知ったところで新しい謎を生むだけなのは明白だったし、それ以前に、その答えに向き合う勇気も持ち合わせてはいなかった。

 

 

 それからしばらく、俺達は何もしゃべらずに夜景を眺めた。俺の逃避を許す七原の優しさが与えてくれた沈黙を、俺はありがたく受け入れた。

 

 

 

 そうして、修学旅行の夜は更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の心の奥に渦巻く、まだ形を持たない感情。けれど、その正体を知れる日がいつかきっとやってくると、なぜか不思議とそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 




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