何故、彼女は人間を捨てたのか。
魔『おーい、アリス。遊びに来てやったぜ。』
いつもの様に、霧雨魔理沙が来た。
彼女は人間であるのに、魔法使いで…。
いや、魔法使いであるのに、人間なのだ。
ア「…そう。」
魔『おいおい、つれないな~っ。笑顔だよ、笑顔!』
そう言って私の頬を引っ張る魔理沙。
この状態じゃまともに話せる気がしないので、
私は変わらない表情で魔理沙を見つめ返す。
すると、魔理沙はきょとんとした後、
少し顔を赤く染めて、慌てて手を離した。
こういうところは人間らしいな、と思った。
魔『なっ、なんだよ…。』
ア「何よ。」
魔『きゅ、急に見つめ返してくんあ、いや、くんな!』
ア「噛んでるし。」
魔『くっ、なんだよ!ふん。』
魔理沙は私と反対の方を向いた。
…どうやら、「拗ねてるから謝れ」と言う事らしい。
面倒臭い生き物だなあ、本当に。
ア「…悪かった、とは思ってないけど、謝るわ。」
魔『思ってないのかよ!』
ア「だって、怒られることしてないし。」
魔『いやだって…う?…ないな。』
ア「でしょ。」
魔『ん~あぁ~!!何なんだよ、全く。』
ア「なに?何か言いたい事があるの?」
…ここまで、ほぼおんなじことの繰り返しだ。
ここからさっきの会話から全然関係ない話題とか、
私への愚痴とかに変わったりしなかったりする。
魔『なんかさ、アリスって昔の人間らしさとか捨てちゃったのか?』
ア「…は?」
予想外だった。まさかこんな質問してくるなんて。
動揺するほど焦ったりしないけど。
とりあえずここは適当にかつ冷静に対応しないと。
魔『?…いや、アリスは元人間だろ?』
ア「…何が言いたいの…?」
魔『いや、だってさ~、私みたいに感情をこう…出さないから。』
ア「ああ…私はね、魔理沙。」
魔『おっ?なんだ?』
ア「人間を止める事で、感情から解放されたの。」
魔『はあ?』
ア「嫌だったのよ、人間が。」
魔『…じゃあ、アリスが魔法使いになったのは…。』
ア「私は…」
___人間から、逃れたかったのよ。
魔『…そんなに、笑ったりするのが嫌いか?』
ア「そう言う意味じゃないわよ。…なに?鈍感って言いたいの?」
魔『?…そうネチネチすんなって。』
ア「ネチネチなんてしてないわ。…私はね、辛かったのよ。」
魔『辛い?…どういうことだ?』
ア「…私は、始めは私の実力が知りたくて、魔法使いになろうと思った。」
魔『…。』
ア「…だけど、徐々にね、人間と言う…何とも情の深い生き物から逃れたいと思った。」
魔『…情の深い者は嫌いか?』
ア「嫌い、ね。」
魔『…じゃあ、アリスは私の事、嫌いだな。』
ア「?…どういう事?」
魔理沙は黙ったままだ。
…だが、その表情は、いつになく真剣だった。
魔理沙はしばらく止まったままだったが、
急に動き出し、私の肩を掴んだ。
___お前が、可哀想だって、思ったから。
魔理沙は、今にも泣きそうだった。
私は、彼女をそっと抱きしめた。
…すると、彼女の肩は少し震えているようだった。
ああ…全く。だから、だからなのよね…。
私は、この幸せから、逃げたかったんだ…。
閲覧、ありがとうございます。
彼女は、一体この幸せから逃げて、何を手に入れたかったのでしょう?