幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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来たるこの日。

それはどこにでもいる人の言葉より出たもの。

覆す事は出来ず、ただそれを受け入れるしかない。

現実?

妄想?

いや、人はそれをご都合主義と呼ぶだろう。

これは猫様様な日の出来事。


閑話・伍 『猫日《ネコノヒ》』

二月二十二日。

 

旧西暦時代に猫の日として位置づけられたと記録にあった日である。

 

気まぐれで甘える姿に人々は萌え。

 

時に嫌われ、時に甘えられ、気まぐれな仕草は人々を魅了する。

 

春一番の風が吹くある夜の事である。

 

 

 

「猫なんてメーワクだっ!!」

 

 

 

陽昇町と呼ばれる研究都市の一つにて。

 

夜更けに居酒屋から出て来た一人の男性。

 

先ほど、野良猫に遭遇し脅かされた為に言ってしまった言葉。

 

酒に酔った男性はそのままフラフラと自宅に帰路を進めた。

 

しかし。

 

 

 

「メイワク、メイワク…猫はメイワク…」

 

 

と、その状況を見ていた禍々しい一つ目の黒い球体はそれを聞き逃さず復唱していた。

 

そして翌朝を迎えた。

 

 

******

 

 

「ふぁあああ~」

 

 

私の名前はハスミ・クジョウ。

 

訳あってこの世界に転生した異邦人である。

 

伊豆基地の士官用の寮にある自室にて私は目を覚ました。

 

 

「あれ?何か騒がしいな…?」

 

 

いざ起きてみると寮の外で騒いでいる声が響いていた。

 

大体が『猫が!?』とかが多いのだが、ハスミは昨日の夜に起きた戦闘へ出撃しており未だ意識は虚ろ虚ろであった。

 

室内に設置されたシャワールームで支度を整えているとその状況は如何に拙い事になっているのかが理解できた。

 

 

「…」

 

 

鏡に映る自身の頭にある二つの猫耳。

 

それは飾りなどではなくちゃんと感触が残っている。

 

ご丁寧に尻尾まで付いている。

 

色は髪の色と同じく黒に青みを帯びた色である。

 

 

「無限力、ここまでおふざけするのかよ…」

 

 

呆れを通り越した遠い目をしながら鏡に向かって呟いた。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

「あらん~ハスミちゃんも猫耳がついちゃったのね。」

「そうみたいです。」

 

 

着替えを済ませてATXチームの分隊室に入った所、エクセレン少尉を始めとしたチームのメンバーが揃っていた。

 

状況は皆同じく髪の色に合わせた猫耳と尻尾が付属していた。

 

アカシックレコードで調べた所、どうやらどこかの酔っ払いが陽昇町に潜むアークダーマの一体に『猫はメイワク!』と叫んでしまったのが原因らしい。

 

ちょっとフルボッコして来ていいかな?と思ったりしたり。

 

個人的には猫は好きなので別に構わないが眼の行き場に困る状況であるのは確かだ。

 

閲覧者達よ、大の大人が猫耳と尻尾を付けている状況は人によっては『へー』位で終わるだろう。

 

だが、強面とかオッサンの猫耳はどうだろうか?

 

メディアで調べた所によると地球だけではなく地球圏全域で発生しているらしいのである。

 

敵味方老若男女問わずこの状況が発生していると言う事はもうお分かりだろう。

 

加藤機関曰く『創造しろ』なんてやったら腹筋崩壊、リバース、現実逃避の三パターンに陥るだろう。

 

一例とすればBF団の十傑集にも猫耳が付属されてますと言う事である。

 

うん、後は閲覧者達の創造にお任せしよう。

 

 

「結局、これの原因は何なのでしょうか?」

「解らん、現在も調査が進められているが原因は不明との事だ。」

 

 

ブリットが自分の猫耳に指を差して質問しゼンガー少佐が答えていた。

 

そりゃ、元の原因がアークダーマですからね。

 

原因のアークダーマの発見は勇者チームに任せるしかない。

 

 

「…(原因を知っているけど話し様がないし。」

 

 

今現在も私が転生者でアカシックレコードに介入し放題の状況を隠している。

 

正体を知られる訳にもいかないので今回の原因を知っていても話す事は出来ないのである。

 

半分猫になったせいかホットミルクが異様に美味しく感じていた。

 

オマケに猫舌にもなっているのが辛いです。

 

 

 

「あの、もしかすると私達…魚とかマタタビとか猫が好きなものに反応しやすくなってませんか?」

「そうかも、何だか分からないけど無性に魚が食べたくなったりするものね。」

「まさかそんな…」

「隊長、一体何を?」

 

 

気を紛らわそうと刀の手入れを始めるゼンガーであったが、刀の手入れに使用する打ち粉を見るや否や指先でチョイチョイと弄り始めてしまったのである。

 

 

「む…?」

「…完全に私達、猫化が進んでますよね?」

「そうね。」

「キョウスケ少尉、どうしましょう?」

「原因が分からん以上、何も出来ない。」

「…(まあ、アークダーマの事を知っているドモンさん達辺りが原因を知って動いていると思うから任せるしかないかな?」

 

 

時間が経つに連れて伊豆基地のみならず各地の猫化してしまった人々が更に猫化が進んでしまい戦闘も行えない状況に陥ってしまったのである。

 

唯一猫化を免れたAI搭載のロボット達が何とか被害を広げない様にしようとするも焼け石に水状態であった。

 

この状況に自らの羞恥を晒さない為に自室に引きこもったり、既に猫化が進んでしまいどうしようもない状況に陥ってしまった者などで基地内は騒然と化していた。

 

 

「そう言えば私…猫化しているけどあんまり被害受けてない様な?」

 

 

考えられる理由とすれば私自身が以前DG細胞に感染した事があるのでその影響を受けにくくなっているのでは?と考えた。

 

それならDG細胞に感染していた経験がある人達も同じ状況なのでは?と思った。

 

その結果だが感染期間が短いと他の人と同様に猫化の影響を受けやすくなっており、やはり感染期間が長い人がこの影響下でも動けるらしかった。

 

 

「どうしようかな?」

 

 

基地全体が機能不全、原因を知っている以上はその原因であるアークダーマを倒しに陽昇町へ行きたいが無断出撃もどうかと思った。

 

まだ幼生態であるなら白兵戦でも倒せなくはないが正体を知られたくもない。

 

 

「成り行きに任せるしかないかな…」

 

 

ちなみに『蒼い睡蓮』も似た様なもので動けないらしい。

 

そもそも邪悪獣って確かスーパー邪悪獣にするにはジャークサタンが必要なのにどう言う訳か大量生産されているのはスパロボマジックのご都合主義なのかな?

 

だから原作で地球防衛組ことライジンオーが勝利出来たのかもしれない。

 

あれだけの物量で掛かったら一溜りもないし。

 

本編ではないので説明する必要はないのだが勇者チームに敵対する勢力の大体は以前話した四大勢力に組するか独自に徒党を組んで侵略活動を行っている。

 

所詮は烏合の衆であるので己の権力を求めて自然消滅よろしくで瓦解するのは目に見えている。

 

問題はその悪意達が『霊帝』の生餌にされかねないと言う点である。

 

取り越し苦労な杞憂であればいいがそれも無理な話だ。

 

『霊帝』ってかなり貪欲だった様な気もしなくもないし。

 

 

「本当に調子に乗ってるよね…奴ら。」

 

 

只今、アカシックレコードの実況中継で問題の邪悪獣がこちらへ向かって来ているとの事だ。

 

その後をライジンオーら動けるメンバーが追跡している状態である。

 

 

「緊急事態だし、いいよね?」

 

 

私はそのままハガネの格納庫へ向かった。

 

 

******

 

 

えーっとどう説明した方がよろしいか?

 

BXまで参入してましたよw

 

デストルークは来てないのでどうなっているか不明ですがね。

 

 

 

「そう言う訳ならあの猫を倒すのに協力させて貰うわ。」

「えっ…でも。」

「奴を倒さないと基地の機能も他の人達も元に戻せないって聞いた以上はね。」

「ありがとうございます…えっと。」

「アサルト5よ、私のコールサインなの。」

「よろしくお願いします、僕達は…」

「互いに名前は止めておきましょう、そちらは知られるとまずいのでしょう?」

「出来る事なら…」

「貴方達の事は機体名で呼ばせてもらうわ、その方が分かりやすいでしょう?」

「解りました。」

 

 

礼儀の良い子達でちょっと感激しちゃった。

 

とりあえず、向こうは名前を知られ訳には行かないので機体名で呼び合う事なった。

 

伊豆の砂浜で対峙するノラネゴン。

 

それと同時に出現するスーパー邪悪獣達。

 

こちらはライジンオー、バーンガーン、マッハスペリオン、ファルセイバー、ブルーヴィクター、ガーリオンC・タイプT。

 

スーパー系五機にリアル系一機のアンバランスな戦力である。

 

その為、ペアで行動する事を提案した。

 

バーンガーンとマッハスペリオン。

 

ファルセイバーとブルーヴィクター。

 

私がライジンオーのサポートに入る事でバランスは取る事が出来た。

 

勿論、単機での行動も考えたが相手が相手の為にこう言った戦法を推薦した。

 

相性の良いペア同士による連携を考えてのこの組み合わせ。

 

先のペア二組は連携攻撃ならぬ合体攻撃で火力に申し分はないだろう。

 

こう言う布陣にしたのでメインであるライジンオーにサポートへ入る事にしたのだ。

 

 

「猫に怨みは無いけれどこればっかりはね。」

 

 

マッハスペリオンとブルーヴィクターの援護攻撃で相手の耐久力を削ぎ、バーンガーンとファルセイバーで止めを刺す。

 

実にシンプルであるが前者達の援護があってこそ後者達の撃破率を上げる事が出来るのだ。

 

前者達の攻撃は相手を攪乱させるだけではなく攻撃力低下などの付与効果もある事を私は知っている。

 

それを狙ったのだ。

 

元々相性のいいペア同士の連携もあったのであっさりとおまけ達が片付いたのはいいが本題のノラネゴンを相手にするライジンオーと私ははっきり言って苦戦していた。

 

ライジンオーの戦術は前世の記憶で知っているので邪魔にならない様に援護はしていたが、あのノラネゴンはどうも様子がおかしかった。

 

止まない攻撃に戦艦の支援すらままならない状況。

 

オマケに補給を持つ機体が居なかったのもネックだ。

 

修理は昨日の戦闘で外し損ねていた修理機能を持つ私の機体が担当したが、燃費が良くてもいずれはEN切れになるだろう。

 

そろそろ決着を付けたい所だ。

 

なので。

 

 

「五分でいい、奴の動きを止めておけるか?」

「何をする気だ?」

「考えがある、合図をしたら奴をおびき寄せて欲しい。」

「…分かった。」

「いいのか?ファルセイバー。」

「アサルト5に策があるのならそれにかけてみよう。」

「俺達も賛成する。」

「僕達も賛成するよ。」

「解った、なるべく早く合図する。」

 

 

私はその場を離れ、ある場所に向かった。

 

 

「確かこの辺に……あった!」

 

 

破棄された大型温室を構える果実園。

 

度重なる戦闘で所々脆くなっているがお目当ての物が無事だったのでそれを一か所拝借し戦闘中の彼らの元へ急ぎ戻った。

 

 

「準備は整った。」

「解った!」

 

 

彼らにノラネゴンを街から引き離して貰い、被害が出ない様に海岸沿いへおびき寄せた後、例の物を奴の顔面目掛けて投げつけた。

 

その後。

 

 

「ゴロニャ~ン♪」

 

 

その様子に一同は。

 

 

「えっ?動きが止まった。」

「どういう事何だろう?」

「アサルト5さん、あの猫に投げつけたのって…?」

「あれは破棄された果実園から拝借したキウイの木よ。」

 

 

「「「「「「キウイの木!?」」」」」」

 

 

「何でキウイ?」

「キウイはマタタビ科に属する植物なのよ。」

「そっか、だからマタタビに反応した様になったんだ。」

「さっき奴の動きを見ていたら猫と同じ仕草が残っていたからもしかして…って思ってね。」

「成程。」

「それと用心の為にっと。」

 

ノラネゴンがキウイの木で油断している所で私がストライク・アキュリスで足止めした。

 

 

「今の内に止めを!!」

 

 

そうしている間に彼らに攻撃を集中する様に指示を出した。

 

 

「エリアルスパーク!」

「エクスプローシブピアース!」

「インペイルノヴァ!!」

「フェニックスストーム!!」

 

 

四機の必殺技が炸裂し最後の一撃はライジンオーの必殺技が決めた。

 

 

「ゴッドサンダークラッシュ!!」

 

 

強大なエネルギー攻撃を喰らったノラネゴンは爆発四散した。

 

 

「絶対無敵っ!ライジンオー!!」

 

 

お決まりの名台詞を聞く事も出来たので旨みは取れました。

 

その後、彼らと別れて無事に元に戻った伊豆基地へと帰還した。

 

私は軍用機の無断使用並びに無断出撃の一件で呼び出されたが正当な理由と情報を持ち帰った事で相殺された。

 

ちなみにリュウセイにライジンオーやバーンガーン達の雄姿を写した映像記録を渡した所、すっごいオタク踊りを見れたので腹筋崩壊しそうになった。

 

こっちはこっちで猫化によって醜態をさらしてしまった人達の写真をゲットする事が出来たので後々に利用させて貰います。

 

猫だけにニャンともいい日かな?

 

=続=




<今回の登場人物>

※ノラネゴン
原作では猫の鳴き声を嫌がって生まれた邪悪獣であるが、今回は夜中に野良猫に驚いた酔っ払いが猫を迷惑がった事で生まれた邪悪獣。
原作では動物を操る力を持っていたが、今回は産まれた経緯が違う事と未来改変の影響で人間を猫化させてしまう能力に変異した。
猫だけにマタタビに弱かった様でハスミの機転で破棄された大型温室を持つ果物園よりキウイの木を拝借し投げ付けて無力化し撃破した。

※地球防衛組
地球防衛軍に所属となったエルドランに選ばれた小学生達。
選ばれた期間が早かったので現在小学4年生である。
ノラネゴンを追って伊豆基地へ訪れた。

※VARS
元々は私立防衛組織だったが連邦軍強硬派の手から逃れる為に地球防衛軍へ参入した。
戦闘要員は二名であるが、戦力になるのか不明な三人目も居る。
戦闘要員である二名は謎の転移に巻き込まれアストラギウス銀河にあるウドの街から帰還したばかりだったので猫化を免れた。
その為、地球防衛組に付き添って伊豆基地へ訪れた。

※ファルセイバー
GGGへ参加したスーパーロボット。
現状で動けない機動部隊に代わって活動している。
今回は地球防衛組と共にノラネゴンを追ってやってきた。
理由は不明だがブルーヴィクターと共に現れた為、記憶所持者と思われる。

※ブルーヴィクター
GGGへ参加したスーパーロボット。
同僚であるファルセイバーと共に戦地へ赴いている。
経緯は不明だが合体は出来ない様子。
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