本来なら合わない筈の欠片。
だが、欠片は変異と言う器に収まった。
あるべき事象を引き起こす為に。
可能性と言うモノは時により様々な事象を引き起こす。
それが吉と出るか凶と出るかは判らない。
気まぐれの様にその顔色を変える。
今回は後者を引いた様だ。
******
前回のBPLでの一件後。
北海道で発生した濃霧は消え去り、BPL製のUMA達も沈黙した。
どうやら定期的に何かの物質を投与しなければ生存出来なかったらしい。
これにより各所で連れ攫われた人々も無事救助された。
事前に医療機関にアルジャーノンへの対抗策も手渡してある。
後は連合軍と防衛軍に任せて置いて大丈夫だろう。
BPLの事後処理を村雨さん達が引き受け、私とロサはホンコンへとUターンする事となった。
と、言うよりはテレポートで戻るだけの事だが…
ごく普通に当たり前の手段を使っていれば間に合わなくなる。
ただそれだけの事だ。
ホンコンでのバイオネット騒動に続き、約一週間でクワスチカ探索、一晩のBPL強制捜査とかいろいろとお仕事やっていたので疲労困憊。
お陰様で精神と体重が減りました。
もはや栄養ドリンクで騙せるレベルじゃなくなっているのは自分でも判っている。
それでも今回の事件を止めなければならない。
無限力の陰謀とか御使いの悪戯とかが刻々と迫っている以上は油断する事はできない。
これから起こるバルトール事件の件もそうだ。
原作の流れは大体この様な形だった。
ヘルゲートを拠点に晴海で行われる筈だった新型機のお披露目と同時に奇襲。
そして地球各所にある連邦軍の基地施設を襲撃し大混乱を引き起こした。
今回の流れと違うのは拠点となった場所と奇襲する時間帯である。
アカシックレコードに因ると今回の拠点は破壊した筈のメンデルを拠点にガンダムファイトが行われているホンコンの会場へ奇襲。
同時に協力者が各所の連合軍並びに防衛軍の基地施設を襲撃する計画らしい。
オマケにODEシステムの欠点を克服する為に新型DG細胞に感染している民間人が拉致される流れだ。
既にホンコン国内に在住する民間人の殆どが新型DG細胞に感染済み。
発症していないのは奇襲と同時に発症させて逃がさない為の措置なのだろう。
不謹慎な言い方だか…
スパロボプレイヤー側で言えばEASYルートからHARDルートへ突入している。
状況打破しても熟練度が貰える訳でもない。
これが現実に起こっているのだから洒落にならない。
「つまり、本来ODEシステムに人間と言う素体は適合しなかったという訳かい?」
『その通りです。まさか今回の方法で欠点が改善されるとは思わなかったのですが…』
「君が教えてくれた情報には感謝するよ。それが無ければ敵の動きも予測が出来なかったからね。」
『いえ、結局後手に回る事になりました…それに例の組織も各地で行動出来る様に待機済みとの事です。』
「判ったよ…それじゃ僕も他のメンバーと共に極東エリアからバルトールの襲撃に備えよう、ハスミ君も気を付けてくれ。」
『判りました、万丈さん。』
私は夜明けを迎えたホンコンの港で万丈さんと連絡を取り、必要な情報を渡した後に通信を切った。
既にブルーロータスの警鐘は鳴らされた。
極東エリアはスーパーロボット軍団。
北米エリアはcross・DCと北米の連合軍の混成艦隊。
南米エリアは連合軍本部の主力部隊。
欧州エリアはリガ・ミリティアを中心にフリーデンの部隊。
ユーラシア北部エリアはエクソダス組とミリシャの部隊。
アフリカ・中東エリアは旧OZに元ジオンやザフトなどの混成部隊。
アジア・各諸島エリアはオーブ等の中立艦隊。
オービタルリングには新生スペースナイツやEDFの部隊。
月・コロニーには連合軍の宇宙艦隊が網を張っている。
銀河の彼方へ旅立った仲間達にも警鐘は鳴らしてある。
もうじき、ここへ再編された鋼龍戦隊がやってくる。
出来得る限りの策は試行錯誤を重ねて転じた。
「後はここだけだ…」
朝焼けの光が眩しいが少し眼を閉じた後、眼を見開いた。
「そろそろ茶番劇に決着を着けよう。」
私はいつもより低めの声で呟いた。
「行くのかい?」
その後ろで帽子を被り直す孫光龍の姿もあった。
どうやらテレポートで後追いして来た様だ。
「解っていると思うけど、このまま進めば戻れないよ?」
「…判っています。」
これから向かう場所には奴らが待ち構えている。
それは奴らに私がガンエデンである事を認めさせてしまう事に繋がる。
「ハスミ、後悔はないのかい?」
「無いとは言い切れない、それでもいずれは知る事だから…」
「そうかい。」
「若しくは早まり過ぎたと捉えるべきなのかもしれません。」
「僕は一向に構わないよ、君が進むべき道がどんなものなのか見せて貰うつもりだから。」
「相変わらず孔明さん張りの策士ですね。」
「いやいや、あの腹黒君と一緒にされちゃ困るよ。」
「あーそうですか。」
どう見ても似た者同士だと思いますけどね。
「ハスミ、いいの?」
「うん…今回は仕方がないよ、既にバラルにも私の正体は知られているし。」
「そっか、ハスミは決めたんだね。」
「心配しなくていいよ、ロサ。」
私は心配するロサに心配しなくていいと答えた。
「それじゃあ、行こうか?」
私は他の二人と共に昇る朝日を背にホンコン首相官邸へと歩みを進めた。
住民の姿は見えず、港では既に船出を済ませていた。
今日はガンダムファイト決勝リーグ最終決戦。
ランタオ島での戦いの日。
観光客や国民の危険察知能力が薄れる時。
呪いが芽吹く前に事を済ませよう。
♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱
一方その頃。
ハガネ艦内、グリーフィングルームにて。
「それじゃあアルフィミィも私達の部隊に?」
「そうなのよ、やっとミィちゃんも私達と動ける様になったのよ。」
「よろしくお願いしますの。」
クスハがアルフィミィの処遇を聞き、エクセレンがそれに応対していた。
表向きの戸籍上はエクセレン少尉の妹と言う事で通している。
その為、彼女の名前はアルフィミィ・ブロウニングとなった。
また、アインストの影響を受けている機体を所持と言う事でATXチームで預かる形になっている。
「では、ゼンガー少佐は正式にクロガネ隊へ?」
「ああ、エルザムがクロガネの艦長として動くに当たって部隊の戦闘指揮を執る者がいないのでな。」
「そうですか…」
「キョウスケ中尉、ATXチームの隊長はお前に任せるぞ。」
「了解しました。」
「ウォーダンに関してはこのままクロガネ預かりとなった。」
「うむ。」
ブリットの質問に答えるゼンガー。
その横でキョウスケとウォーダンが会話に混ざっていた。
「逆に私がATXチームの整備兼アドバイザーになったって訳。」
「レモン、お前も覚悟を決めたのか?」
「ええ、貴方が決めた道を見る為に私も出来る事をしようと思ってね。」
「そうか。」
今回の作戦から正式に参加する事となったレモンもアクセルとの会話を進めていた。
「そう言えば、ハスミとロサの奴はどうしたんだ?」
「二人なら一足先に先行してホンコンに居る。」
「どういう事だ?」
「数週間前に国際警察機構の任務でホンコン支部に赴任していたんだ。」
「相変わらずの二束草鞋も大変だな。」
「義親父さん達もアビアノ基地からこっちに合流したって言ってたし最初は一緒に来ると思っていたんだけどな。」
「ま、あっちの仕事じゃしょうがねえか…」
北米テスラ研での戦いで合流したマサキがリュウセイと会話をしており、ハスミの動向を聞き出していた。
「ギリアム、テンペスト、例の件だがどうだった?」
「カイ少佐…やはり、ブルーロータスの警告通りでした。」
「…!」
「近日中…いや、すぐにでも警告通りにバルトールによる襲撃が予想される。」
「大連の工場で行方知れずとなったバルトール数機が何者かに奪取された時点で事件は続いていたと思われる。」
「今回はオブサーバとしてユルゲン博士に同乗して貰っているが何処まで抑えられるか…」
「輸送中のミロンガを奪取した例のアンノウン機の事も気になる。」
「確か…一方はトールギスⅡだったらしいな?」
「パイロットまでは判らないが機体を目視したリュウセイ少尉の話ではそうだったらしい。」
「またブルーロータスの奇跡とでも?」
「かもしれません。」
「旧OZの旗頭だった機体、またややこしい事にならなければいいが…」
情報部のギリアムとテンペストの調査で判明した真実。
この真実が後に新たな波乱を呼び寄せるのではないかとカイもまた言葉にした。
『総員、第一種戦闘配備!繰り返す…総員、第一種戦闘配備!』
艦内アナウンスで第一種戦闘配備の命令が下った。
各員はそれぞれの機体に搭乗すべくグリーフィングルームを後にした。
最後に出ようとしたテンペストはカーウァイに呼び止められた。
「テンペスト。」
「カーウァイ中佐、どうされましたか?」
「妙な胸騒ぎがする。」
「…どういう事でしょうか?」
「何もなければいいが、恐らくは…途轍もない何かが起こるのかもしれない。」
「…それは自分もです。」
「やはりか…ハスミの影響なのかもしれないな。」
「そう思います。」
義理の父親二人もまた、待ち受ける戦いの不安な気配を感じ取っていた。
ナニカが起こると…
******
数時間後。
ホンコン首相官邸内・執務室にて。
執務室の入り口である中央の扉が爆発したかの様に破壊された。
その影響で瓦礫と共に切り刻まれた小機人の兵らも交じっていた。
それを行った相手が室内へと入って来たのだ。
「やれやれ、珍しい客人がやって来ましたね。」
「ホンコン首相ウォン・ユンファ、貴方にはバイオネット並びにアマルガムとの癒着と反政府活動による大規模反乱行為で逮捕状が出ています。」
「ほぅ、国際警察機構も目利きが早いですね。」
「ついでですけど、後ろに隠れている刺客さんとやらともお話を願えるといいのですがね?」
「ホッホッホ、漸く現れましたか…ハスミ・クジョウ様と……まさか!?」
ウォンの座するムーブ型座席の背後から現れた禁牙。
だが、空間に現れた気配で彼の顔は恐怖に陥った。
「久しぶりだね、禁牙?」
「そ…孫光龍様!!?」
「随分と派手にやってくれたね、そんなに天仙になりたかったのかい?」
「ひっ!」
「光龍、それだと奴らに問い正す前に気絶しますけど?」
「おや、これは失敬失敬。」
「はぁ…まあ、いいでしょう。」
大量の草でも生やしたくなる様な笑顔の光龍に呆れた表情で溜息を付いたハスミ。
「さてと、拘束の前に今回の事件のお話でもしましょうか?」
念の為、ハスミは執務室内に結界を張って離脱不可にしてから話を始めた。
「今回の真相はこんな感じでしょうかね…」
まず、大連の事件。
これはウォン…貴方が手引きし自らの領地内に隠蔽した。
そこで並行してODEシステムと新型DG細胞の研究を進めていた。
二つを合わせれば自らの忠実な下僕が出来上がるからです。
そしてバルトールと専属研究員の消失。
元々、ODEシステムの欠点は情報の並列化がコアである複雑な人間の脳では不可能。
だから、自己増殖、自己修復、自己進化を行えるDG細胞が必要だった。
DG細胞で脳まで感染させてしまえば進化理論を持つDG細胞がODEシステムの情報並列化がしやすいからです。
そしてコアとなる人間の脳の破損を抑える事も可能だからでしょうか?
まあ、貴方の事なら既にジジ・ルー達はバルトールのコアにされているのでしょうけどね。
しかもDG細胞感染なしで……口封じとはよく言ったものですね。
オマケにBPLでの研究にも加担していた様ですけど…こちらとしては良かったですよ。
一足遅ければ貴方もアルジャーノン化で今回の事件を立証出来ませんでしたからね。
それに関してはそちらのバラルの技術と言った所でしょうか?
アルジャーノンの正体は生体死滅インパルス・プリオン蛋白による脳内の書き換え。
それらが完了するとアニムスの花が咲く。
この行為は地球が自らを害する物を駆除する為の自然摂理。
ダイブインスペクションの出資者の一人であるウォン貴方には更なる罪状が付きますよ。
それは置いといて、ランタオ島でガンダムファイトを行い出場選手全てを新型DG細胞に感染させて手駒にするなんてよく出来たものですよ。
島周辺に集まった民間人らを強制的に新型DG細胞で発症させ、増産されたバルトールの部隊で拉致する手筈だったのでしょう?
出場選手らの逃げ道を塞ぐ為に。
でも、残念でしたね?
「ど、如何言う事でしょうか?」
「貴方が抑えていたメンデルとウルカノス、今頃スクラップになっていますからね?」
ハスミは動揺するウォンに対してニコッとブリザードスマイルで答えた。
その答えにウォンのサングラスが崩れた。
「多分…何処かの正義の味方と地獄の化身が黙っていなかったのでしょうね。」
不利と悟った禁牙がその場から脱出しようとしたので途中で拾った小機人の斧を念動で奴の貌擦れ擦れに投げつけていた。
「ひっ!?」
「まだ、話は終わってませんよ?」
今の彼女は沸点が最大に上がって一気に氷点下まで下がった所だ。
連日徹夜を繰り返した人間のストレスは時によって暴発する。
ハスミの場合は溜めに溜めこんだ末に一気に暴発したと言った所だろう。
それはタチが悪いとも捉えられる。
「ここまでの行動を貴方達だけでは出来ない筈です、恐らくは他の協力者でもいるのでしょう?」
「それを私が話すとでも?」
「いえ、察しが付いてるのでお構いなく。」
「…」
「アマルガムお抱えのウィスパードが例のモノリスモドキを差し向けた連中でしょうかね?」
「そこまで推測が付いているのなら何故?」
「いえ、あくまで察しですよ…ご本人様から直接回答が聞けるとは思ってませんでしたから。」
「謀ったのですか…!?」
「ええ、恐怖の余りに冷静さが欠けましたか?」
禁牙は退路を断たれた状況の中でウォンとハスミのやり取りを傍観していた。
彼は前回の遭遇でハスミは念動の力が優れているだけだと思っていた。
だが、今回の事ではっきりしたのだ。
彼女は間違いなく光龍の娘であると言う事を。
僥倖だったのだろうか若しくは災厄を呼び寄せたのだろうか。
その答えは禁牙の今の心境では測れない。
彼もまた目処前の恐怖によって判断力が鈍っているのだ。
「そうなると連鎖的に浅草で騒動を引き起こした例の勢力とも繋がりがありますね。」
「ハスミ様何故そこまで…やはり、貴方様は!」
「…さあ、何故でしょうね?」
「これ以上、彼女を怒らせない方が身の為だよ?」
「あら、私ってそんなに節操がありませんかね?」
「いや、彼らに対する忠告だよ…もっとも君はもう許すつもりはないのだろうけどね。」
「まあ、大体は当たりですね。」
「まさか私達を…!」
「いえいえ、某組織の様に暗殺までは致しませんよ…彼らも火星でお忙しいでしょうからね。」
「…」
「当てが外れましたか?そっちには華麗に事を済ませたい方達が出向いていらっしゃいますので。」
残して置いた数ある退路が一つずつ崩落していった。
彼女は数ある全ての逃げ道を塞いでいたのだ。
「もう一つ、HOS開発者である故・帆場暎一を使って極東エリアの攪乱を図ろうとした事も既に無駄ですので。」
ハスミは日の本を護る警察官達と四人のむせる方達が終わらせましたのでと告げた。
「以上です、これだけの罪状なら死ぬまで豚箱は確定ですね。」
ハスミが告げた彼らの罪状。
その全てが明かされた。
「一応忠告しますが…ここから無事に逃げても無駄だと思いますよ、九大天王の方々も動いていますので。」
「ぷっ、あっはっはは…見事に悪辣だね。」
「失敬ですね、私…これでも優しくご説明と弁論したつもりですけど?」
腹部を抑えながら抱腹絶倒する光龍とジト目でその様子を見るハスミ。
「ちなみに禁牙。」
「は、はい…」
「変身しても構いませんよ、その時は容赦なく細切れに出来ますので。」
「…」
退路を塞がれた状況で悪足掻きなど出来るのだろうか?
彼女に足掻きを見せた所でそれらが無駄であると理解した。
いや、女子の皮を被ったバケモノと比喩しても可笑しくはないだろう。
「さてと、そう言う事なのでおとなしく捕まって貰えますかね…!?」
勝機の空間に広がった一瞬の気配。
「成程、奴らもまた捨て駒だったって事か…」
「そうですね、ここまで用意周到にやられたのは初めてですよ。」
この時、首相官邸に対して攻撃を仕掛ける者が居た。
『役目ご苦労だったよ禁牙…だが、失敗続きの君にはもう用はない。』
女性的であるがハスキーな声が脳裏に響いた。
『裏切り者や邪魔者と共に朽ちてくれたまえ。』
そして首相官邸最上階に位置する執務室が爆発に飲まれた。
その様子を頭上の雲に隠れた機影が見物していた。
爆発と共に崩落した首相官邸を見届けた機影はそのまま転移した。
「ゲホゲホっ、派手にやってくれたわね…」
気配を隠し機影が去ったのを確認した後、瓦礫の一部を破壊し脱出したハスミ一行。
「全くだよ、夏喃め…とうとう本性を晒したみたいだ。」
「…囚われていた人達の脱出が終わった後で良かったです。」
私は話を長引かせて首相官邸地下に囚われていた人達の救助をロサに頼んでいた。
既に脱出済みで人的被害は出ていない、ただ一人を除いては。
爆発の中心に居た禁牙は跡形もなく消し飛んでいた。
済んでの所で事件首謀者であったウォンの確保だけで精一杯だった。
当の本人は気絶していたので拘束だけはしておいた。
「それよりも…」
ハスミは光龍の脇腹からにじみ出した赤い跡に眼が行った。
先程の攻撃から自身を守ってくれた結果だった。
「例の超再生とやらはどうしたのですか?」
「うーん、本当なら僕の目覚めはもう少し先だったんだけどね…君の事が心配だったから早めに起きちゃったんだよ。」
「つまり、第二次世界大戦前のオーダーとの戦いの傷が癒えていない不完全な状態で目覚めたという訳ですか?」
「…そう言う事だね。」
倒れつつある光龍の身体を支えたハスミ。
「あの時の傷の治療も無理していたんじゃないのですか?」
「アハハ…流石に隠せないよね。」
「いえ、泰北の結界崩しを見抜けなかった私のミスです。」
不安が入り混じりつつある感情の中でハスミは涙を流した。
父親の危機にただ言葉を告げた。
「…御免なさい、お父さん。」
「泣かせるつもりはなかったんだけどな…」
傷口から漏れ出す念。
ハスミは治療魔法の併用と共に彼の念の流失を何とか抑えていた。
ある程度の応急処置を済ませた後、ハスミはエクリプスを召喚した。
その手に光龍を拾い上げた。
「もう隠せない。」
駆けつけた国際警察機構のエキスパートにウォンを引き渡し、囚われていた人達の避難の完了を終えたロサと合流。
今も戦いを続けている仲間達が居るランタオ島を目指した。
♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱
島を覆い尽くそうとする新型DG細胞とそれに囚われた人達。
島に囚われたガンダムファイター達と乱入者達。
島への侵入を試みる鋼龍戦隊の姿があった。
だが、鋼龍戦隊は何者かによって差し向けられたバルトールの軍勢に阻まれていた。
「艦長、こちらへ向かってくる機影が二つ……エクリプスとエザフォスです!」
ハガネ艦内で信号をキャッチし艦長であるテツヤに報告するエイタ。
「二人に通信を繋げられるか?」
「判りました。」
通信を繋げようとしたが、既に繋がっていた。
『艦長、民間人二名の乗艦許可を願います…内一名は負傷しています。』
「二名だと…?」
『一名はキョウジ・カッシュ、もう一名はアラン・ハリス…現在負傷中です。』
「艦長、どうされますか?」
「許可する、エイタ…急ぎ格納庫に救護班を回せ!」
「了解。」
「ハスミ少尉、急で申し訳ないが民間人の誘導後…ロサと共に戦列に加わってくれ。」
『了解しました……』
二機は乗艦し二名をハガネに輸送した後、再出撃した。
『艦長……アランを…お父さんをお願いします。』
ハスミは意味深い言葉を残してロサと共にランタオ島へ向かっていった。
その言葉に唖然とするブリッジクルー。
「お、お父さん…?」
「一体どういう……」
アズキとエイタが混乱する中で言葉を呟いた。
「訳はこの戦闘が終わってからだ!各員GGGの援軍が到着するまで持ちこたえるぞ!!」
テツヤが活を入れてクルーを戦場へと戻した。
=続=
修羅の宴。
引き起こされた戦い。
数奇な巡り遇わせ。
次回、幻影のエトランゼ・第四十七話 『乱舞《ランブ》』。
それは起こるべくして起こった戦い。