幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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奇跡を巡った縁。

これもまた一つの出逢い。

在り得たかもしれない出逢い。

運命は変えられるのだと思えた。

だが、同時に変えられない運命もある事を実感する。


第四十九話 『刀船《ソーディアン》前編』

前回、ハスミが真実を告げ…記憶保持者達の協力者として決意した頃。

 

異世界、スダ・ドアカワールドが存在する宇宙の何処か。

 

そこに暗黒のオーラを纏った巨城が浮遊していた。

 

名をダークアイアンキャッスル。

 

いずれ戦地となる場所である。

 

 

******

 

 

城内の謁見の間にて。

 

 

「どうやら失敗して逃げ帰って来た様だなぁ~!」

 

 

嫌味たっぷりの笑みをしつつ大爆笑している存在。

 

名をデブデダビデと言う。

 

古代のファラオの様な風貌に半分が石像と言う謎の風貌を持つ。

 

ちなみに先の発言と同様に絶対に上司に向かないタイプである。

 

 

「ナレーション!一言余計だぞ!!」

「誰に向かって言っとんのや?」

「放ッテ置ケ。」

 

 

スダ・ドアカワールドの英傑の国ミリシャの侵攻に失敗し撤退を余儀なくされた同僚のスカルナイトとクリスタル・ドラグーンを嘲笑していたが謎のナレーションにツッコミを入れた事で罵倒大会は一旦流れを逸れた。

 

 

「まあ、確かにワイらが失敗したのはハッキリしておるしな…そこは言い訳せえへんで?」

「ダガ、アノ国ニハ容易ナラヌ気配ガアッタ…撤退ノタイミングハ間違イデハナイダロウ。」

「ああ、今のワイらでは手が出せへん…様子見をするしかないやろうな。」

「どういう事だ?」

「要はあの国はダークアイアンキャッスルを動かす為のエネルギー収集には向かへんって事や。」

「ふむぅ~つまり逆のエネルギーに満ちていると言う訳かぁ?」

「確か…『龍脈』って言うらしいで?気配もこっちが嘔吐する位綺麗すぎて気持ち悪くなったわ。」

「な~るほどぉ?なら~俺様が襲撃したラクロア王国の方がエネルギー収集に向いていると言う訳かぁ…」

「そう言えばデブ公…ワイらを罵倒したって言う事はそっちに収穫でもあったんか?」

「無イトハ言ワセンゾ?」

「フフフ、ガハハハッ!!俺様はあの騎士ガンダムを始末し手駒と成る人材を手に入れたのだ!」

「ほー。(どうせ、騙し討ちやろ?」

「フン。」

 

 

一人勝手に高笑いするデブデダビデを他所に二名は遠い目で傍観していた。

 

 

「で、その人材って言うのは誰や?」

「名はアムロ・レイと言う奴だ。」

「アムロ・レイ?」

「…どうやらそいつは転移でこの世界に飛ばされて来た一団の一人らしい。」

「転移?まさか…」

「恐らくロアの関係者と踏んで捕らえたのだが大当たりを引いたのだ。」

「つまり、ソイツはロアと接点を持っているという訳か?」

「しかし…奴もしぶといのでな、俺様特製の拷問で吐かせたのだ!」

「うわ…(相変わらずえげつないわ。」

 

 

サディスティックな表情でコンソールを弄り、モニターでその様子を映し出した。

 

 

『…』

「ふん、薬を入れ過ぎたか…まあいい。」

 

 

映像に映された人物は両手両足首を拘束され、長い間に電流攻めから何かの薬品攻めなどを受けていたらしく意識は飛んでいた。

 

電流の影響かパイロットスーツは所々焦げと破損が見られ拷問がより過酷だったと認識させた。

 

本人も眼光の終点が定まっておらずブツブツと何かを呟いている状態だった。

 

首元には青紫に変色した針負けの跡が痛々しく残っていた。

 

 

「俺様が見た所、いい腕の戦士と見ている…このまま俺様の手駒として使ってやろう。」

「まあ勝手にせえや、ワイらはワイらで動くんでな。」

「先ノ戦イデ大量ノラマリスヲ失ッタ、ココデ増強シナケレバ…」

「そう言う事で戦力供給はこのままデブ公に任せるで?」

 

 

スカルナイトはモニター越しではあるが、気絶したアムロに少なからず同情していた。

 

 

「…(堪忍なぁ、今回は運がなかったって事で諦めてくれや。」

 

 

逆にモニター先の拷問室で拘束されたままのアムロは変わらずブツブツと呟いていた。

 

 

「シャア…後は頼んだぞ。」

 

 

これから自身に起こる事を予想しながらも希望を捨てずにいたが…

 

アムロ自身は目処前で倒された騎士ガンダムの姿に絶望し、薬の影響で心は闇に飲まれていた。

 

救えなかった後悔と共にアムロは涙を流して意識を失った。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

所変わって元の世界、何処かの場所の何処かの一室にて。

 

巨大な機影が座する空間。

 

空間への扉が開閉すると一人の少年と三人の少女が入室して来た。

 

 

「デュミナス様、例の者をお連れしました。」

「ご苦労様です。」

 

 

三人の少女の内の一人は虚ろな眼をしており、薬品か何かで意識が奪われている状態だった。

 

 

「デュミナス様、コイツが例のお宝を動かせる存在なんですか?」

「ええ、試して見なければ判りませんが…」

「では?」

「はい、早速…エミィ・アーマーを彼女に。」

 

 

二人の少女と一人の少年が虚ろな眼をした少女にエミィ・アーマーを渡すと…

 

アーマーが反応し少女へと装備されていった。

 

 

「これって成功したって事?」

「そうみたいね。」

「デュミナス様、次の指示はどうされますか?」

「この者と彼の者達らで出撃しオーバーゲートエンジン若しくは時流エンジンの確保を。」

「判りました。」

 

 

少年達はアーマーを着込んだ少女と共に室内を後にした。

 

 

「私は真実を知りたい…私が求める『答え』を…」

 

 

機影はそう答えると再び沈黙した。

 

 

******

 

 

補給艦と合流しテスト機の受け取り後、宇宙へと上がった私達。

 

特に目立った戦闘はなく、空いた時間にテスト機のパイロット達と友好関係を築いていた。

 

 

「私、ステラ・ルーシェ。」

「俺はアウル、アウル・ニーダ。」

「スティング・オークレだ…よろしく。」

 

 

三人の階級は曹長。

 

元々はアクタイオン・インダストリー社のオーブ支社でアルバイトで働いていたが、パイロット技術を見込まれてテスト機のデータ収集の仕事をしていた。

 

しかし、バルトール事件でテスト機を動かせる人材が負傷した為に急遽三人が選出されたのである。

 

原作と同様にステラがガイア、アウルがアビス、スティングがカオスの担当を務めている。

 

ラトゥーニ達と同じ出身であると言う事もあって歳の近いリュウセイ達が応対していた。

 

 

「確か、三人ともラトゥーニ達の知り合いだったよな?」

「うん、皆ここに居るって聞いて会えると思った…」

「ごめんな、ラトゥーニ達は前の再編でヒリュウ改に移動になっているんだ。」

「ううん…大丈夫。」

「じゃあ、アラドとゼオラのいつものアレも見られないって事か。」

「止めとけよ、アウル。」

「ケンカする程、仲がいいのは相変わらずだったけどね。」

「ハスミ、ロサ…どうしたの。」

「あ…」

 

 

ロサの名前を出された私は正直にステラ達に答えた。

 

 

「ロサは…別の任務に就いていて今はいないの。」

「そうなの…?」

「ごめんね、きっとステラ達に会いたがったと思うけど。」

「…うん、判った。」

「ハスミ。」

「気にしないで、ロサが任務なのは本当の事なんだから。」

 

 

ステラに悪気はないだろうが、いつも傍に居てくれたロサの喪失。

 

それは私には堪えた様だ。

 

リュウセイも声を掛けてくれたが、私は大丈夫と答えておいた。

 

残りの談笑をリュウセイ達に任せて私はその場を後にした。

 

 

「ハスミ。」

「クスハ、どうしたの?」

「ロサの事で無理してるでしょ?」

「クスハには誤魔化せない、か…」

「判るわよ、何年貴方の幼馴染をしていると思ってるの?」

「そうだよね。」

 

 

そのまま、私の後を追いかけて来たクスハと話を始めた。

 

 

「龍王機の方はどう?」

「うん、最近は龍王機の気持ちも少し判る様になってきたわ。」

「そう、良かった。」

「でも、どうしてか…ハスミと連携を取ろうとすると不機嫌になるの。」

「それは私にも…(きっと、私が光龍の娘って判ったから昔の因縁込みで執念深くなっているんだろうな。」

 

 

私は龍王機と虎王機が威嚇している様子を想像しながらクスハの話に応対していた。

 

 

「ハスミのお父さんの事、エルザム少佐から聞いたわ。」

「アラン・ハリスが私の実の父って事?」

「うん。」

「私も国際警察機構経由で知って…向こうでの任務の合間に数える程度しか会わなかったけど。」

「テンペスト少佐達はこの事を?」

「ちゃんと話して置いた、今でもテンペスト少佐達は私の義父に変わりないもの。」

「そう、良かった。」

 

 

ごめんクスハ、エルザム少佐達がお父さんの本来の姿の事を話さなかったのはきっと遺恨を残すと思う。

 

それでも真実に近づき過ぎる事を危惧した少佐達の判断をどうか恨まないで欲しい。

 

今はまだ知るべき時ではないから…

 

 

「っ!?」

「ハスミ!」

「ええ、何処かで戦闘が起こっている。」

 

 

ガンエデンの巫女であるハスミと徐々に念者として覚醒しつつあるクスハは戦闘の気配を察知した。

 

それと同時に艦内に第一種戦闘配備のアナウンスが入った。

 

 

>>>>>>

 

 

ハガネが到達した宙域では既に戦闘が起こっており、ザフトの新型艦と謎の幽霊戦艦が戦闘を続けていた。

 

ザフトの新型艦の名はミネルバ。

 

そのブリッジにてオペレーターより艦影接近の通達が行われた。

 

 

「艦長、この宙域に接近する艦影があります。」

「所属は?」

「地球連合軍です。」

「まさか例の艦と?」

「在り得るわね、メイリン…所属がハッキリするまで警戒を怠らないで。」

「了解しました。」

 

 

彼女達の会話後、宙域に現れた艦。

 

その姿に覚えのあった艦長らは声を上げた。

 

 

「アレは!?」

「鋼龍戦隊のハガネね、かつて連合軍・独立遊撃部隊ノードゥスの旗艦の一つ。」

「あれがL5戦役と空白事件の立役者…」

「彼らが来たと言う事は何かあるわね。」

『こちら地球連合軍極東方面伊豆基地所属艦ハガネ、応答されたし。』

「艦長、どうされますか?」

「繋げて頂戴。」

「了解。」

 

 

メイリンが応対し通信を繋げた。

 

 

「こちらザフト所属、戦艦ミネルバ…私は艦長のタリア・グラディスです。」

「自分はハガネ艦長、テツヤ・オノデラです。」

「そちらの要件は?」

「我々は現在、軍上層部の命令でこの先の宙域に出現した建造物への調査で赴きました。」

「では、あの艦の事は?」

「そちらは国際警察機構からの情報でテロ行為をしているブルーコスモス派の残党艦と情報が入っています。」

「残党艦ですか?(ハガネか…彼らなら連合軍の中でもこちらとの話が通じる相手、信用してもよさそうね。」

「はい、MS強奪の件はこちらにも通達が入っており…テスト機を出資したアクタイオン本社からも回収が不可能であれば破壊も矢も得ないと答えを貰っています。」

「判りました、元はこちら側の不徳ですが…助力を願えますか?」

「そのつもりです。」

「ご協力感謝します。」

 

 

その後、ミネルバ隊とハガネ配備隊との合同戦線が敷かれた。

 

同時に出撃したハガネ配備隊の中に自分達が追っていた機体の姿にミネルバ隊のパイロット達は驚きを隠せていなかった。

 

 

「ちょっと、あれって?」

「強奪された機体の二号機と情報が入っている。」

「紛らわしいわね、と言うより二号機なんてあったの?」

「恐らく地上での戦闘データを取る為のものだろう。」

 

 

ミネルバ隊のルナマリアとレイの会話から始まり、無言のまま様子を伺っていたシンにルナマリアが話しかけた。

 

 

「…」

「シン、どうしたのよ?」

「いや、ちょっと…」

 

 

通信で声の主が判ったハスミがシンに話しかけた。

 

 

「その声、やっぱりシンか…」

「もしかしてハスミさん!?」

「空白事件のオーブ以来だね。」

「お久しぶりです。」

「キラから貴方がザフトに入隊したって聞いたから驚いたけど…立派になったわね。」

 

 

しかしルナマリアは不機嫌になりシンに悪態を付いていた。

 

 

「知り合い?」

「ああ、オーブに居る友達のお姉さん。」

「ふうん…」

「な、何だよ?」

「別に。」

 

 

同じ様にステラ達も通信で話しかけていた。

 

 

「シン、また遭えたね。」

「その声はステラ…ステラなのか!」

「ステラだけじゃないぜ。」

「俺達も居るよ。」

「スティング、アウルもか!」

「もしかしてシンの言ってた友達?」

「ああ、三人ともオーブにいた筈じゃあ…」

「その話は戦闘の後で、ちょっとややこしい事に巻き込まれちゃってね。」

 

 

オーブで暮らしている筈の三人が戦場に出ている事に不安を持ったシンだが、ハスミの助言で一度は落ち着いた。

 

 

「あの艦…ロゴス所属のガーディ・ルーで間違いないわね。」

「ロゴス?」

「死の商人達の名称で一部の連合軍将官に賄賂を送って私腹を肥やしている連中よ。」

「そんな奴らが…!」

「国際警察機構でも行方を追っていたけど、連中…また戦争を起こしたい様ね。」

「くそっ、アイツらのせいで…」

「気持ちは解るけど、まずは連中の戦力を無力化して捕獲しないと…」

 

 

ハスミ達は一度話を切り上げて戦闘へと突入した。

 

 

******

 

 

同時刻。

 

地球のランタオ島にて。

 

先の新型DG細胞とバルトール事件の事後処理を行う一団が居た。

 

UGの開発者であるライゾウ博士とODEシステムの産みの親であるユルゲン博士。

 

そしてEOT機関の技術師団の一行である。

 

休止状態になったODEシステムのコア内部の状態を調べる為に現在も調査を続けていた。

 

コアにはライゾウ博士の御子息らが取り込まれている以上、細心の注意を払ってである。

 

 

「やはり二人…いや、三人は内部に取り込まれたままの様だ。」

「休止状態になったのも何か意味があるのでしょうか?」

「かもしれない。」

「父さん、ドモン達は…」

「キョウジ、やはり…コアを切り離してアイドネウス島に回収したいが無理に動かすのは危険だろう。」

「ドモン。」

「ホンコン本土で選手達の新型DG細胞の除去治療が旨く行っている分、こちらの解析が進まない…一体何が原因なのでしょう?」

「判らない、何か見落としている部分があるのかもしれない。」

「博士、別の方法で調査を行ってみます。」

「判った、カイル君…次の調査の準備を始めてくれ。」

 

 

ODEシステムのコア周辺に繋がった電子器具で内部調査を行う博士達。

 

原因不明のまま調査は難航するばかりであった。

 

そんな博士達の状況に突然の来訪者が現れた。

 

 

「ふうん、ソレの調査が遅れているんだ…だったらアタイ達が貰い受けるよ。」

「君達は…?」

 

 

コアの前に現れた三人の少年少女達。

 

容貌から察するに年齢は12~4位だろう。

 

 

「そう言うのは知らなくてもいいんじゃない?」

 

 

ニヤニヤと嫌味な笑顔をしていたピンク色の髪の少女。

 

彼女らは突如機体を呼び出してコアを奪取せんと破壊活動をおこなったのだ。

 

 

「テュガテール!」

「ヒュポクリシス!」

「来てエレボス。」

 

 

三体の戦機人形の出現により周囲は混乱状態に陥った。

 

 

 

「キョウジ、早く退避するんだ。」

「父さん、このままではドモン達が…!」

 

 

 

コアを奪取されれば内部に取り込まれたドモン達がどうなるか判らない。

 

最悪の結末が引き起こされる可能性が脳裏を巡ったキョウジはコアを護りたいと願った。

 

自分には弟達の様に戦う力はない。

 

 

「…(また俺は守られているだけなのか。」

 

 

彼の悲痛な思いに答えたのかコアが再起動を開始したのだ。

 

 

「…ドモン?」

 

 

一瞬であるが内部に取り込まれた筈の弟の声が彼の脳裏に過ぎったのだ。

 

そしてコアはあるモノを生み出したのだ。

 

 

「あれはUG!?」

 

 

コアから排出される様に出現したUG。

 

そのUGがティスらが搭乗する戦機人形に攻撃を仕掛けたのだ。

 

一度、彼女達を島の外へ引かせるとUGはキョウジに近づきコックピットのハッチを開けた。

 

 

「俺に乗れと?」

 

 

そう囁いたかの様にUGの頭部は軽く頷いた。

 

 

「判った。」

 

 

キョウジはUGの意思に従い、コックピットへと乗り込んだ。

 

 

「キョウジ、大丈夫か?」

「父さん、俺が援護するからユルゲン博士達と避難してくれ。」

「だが…」

「俺もただ守られているだけじゃない、俺も自分の意思で決めた。」

「判った、だが…無理はするなよ。」

 

 

キョウジはそのままUGに搭乗しティス達に応戦する構えを取った。

 

自分の戦闘経験は無に等しい。

 

それでも科学者の視点で奴らと戦える方法はある筈だと意志を強く持った。

 

 

「全く、機体を手に入れたからって調子に乗っちゃってさ!」

「ティス、どうするの?」

「このままアイツを潰してあの機体ごとコアを奪っちゃおうよ。」

 

 

子供とは思えない発言をするティスにデスピニスは不安な気持ちになるものの彼女の意思を尊重した。

 

 

「ふん、懲りずにまた現れおったか!」

 

 

同時に現れた黒い機影。

 

 

「その声はマスター!?」

「キョウジよ、自身の弟を護る意志は認めよう…だが、無謀な行動をドモンは求めて居らん事は理解しておけ!」

「は、はい。」

 

 

無謀な行動をする素振りがあったキョウジにマスターは叱咤を加えた。

 

 

「げ!またあの爺さん!?」

「ひっ!」

「ど、どうしよう…」

 

 

ティスらはバルトール事件が起こる前に一度マスターと対峙しており、完膚無きまでに干されていた。

 

その驚異的な戦闘能力に太刀打ちできない事は身を持って理解していた。

 

 

「さて、ワシの可愛い弟子に手を掛けようとした輩よ…覚悟は出来ているな?」

 

 

マスターの駆るマスターガンダムの背後に強大なオーラが漂っていた。

 

東方不敗・マスターアジア。

 

彼の逆鱗に触れた三人が敗走と言う名の撤退を余儀なくされたのは宣戦布告から僅か五分後の事である。

 

笑い声と共に三機を翻弄しマスタークロスで投げてはぶん殴りの連続拳ラリーをやってのけていた。

 

正に千切っては投げて千切っては投げての理屈である。

 

三機ともその連続拳ラリーから逃れられる筈もなく機体を損傷させるしかなかった。

 

その惨状にキョウジは「ドモン、よくあの修行に耐えていたな…」と心の中で呟いていた。

 

 

******

 

 

所変わって宇宙では。

 

ハガネ隊とミネルバ隊の合同作業でロゴス艦を鎮圧。

 

奪われた機体は破壊と言う形で幕を下ろした。

 

諸々の取り調べはプラントと国際警察機構からの出向者らで行う事となり、生き残りは合流したザフトからの後続艦に連行されていった。

 

戦艦ミネルバはギルバート議長からの指示でハガネと行動を共にする事が決定。

 

二艦は出現した建造物の調査へと向かった。

 

 

=続=

 




撤退を余儀なくされる一行。

だが、新たなる来訪者と共に世界は大きな揺らぎに巻き込まれる。

標と成る彼女達の瞬転もまた無限力の嘲笑。

次回、幻影のエトランゼ・第四十九話 『刀船《ソーディアン》後編』。

この旅路も未来を変える為の旅路。

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