そして…
境界は消え…
全ては始まる…
今はただ…
限りある命を救うべく…
希望を胸に新たな時代へ動き出す…
ある日の事…
「ゼンガー少佐、レポートお持ちしました。」
私が室内に入ると屍が3名ほど出来上がっていた。
「ど、どうしたんですか!?」
「あ、ハスミ。」
そこには看護服を着たクスハが例のドリンクをトレイに乗せて持っていた…
「クスハ、少佐達が…ってまさか?」
「うん、いつもの栄養ドリンクを作ってあげたら…」
「……(あ、察し」
「ハスミの分もあるんだけど?」
「私はいいよ!これからトレーニング行くから何か入れちゃうと動けないし。」
「そう?」
クスハドリンク(オレンジジュース割り)を正論でスルーした後、ある意味で屍と化してしまった3名に心から合掌した。
ちなみにゼンガー少佐は某ボクシングアニメな真っ白に燃え尽き、エクセレン少尉は受け狙いのセクシーポーズで倒れ、ブリットは耳から紫色の煙を出しながら俯せに倒れている。
皆さんネタキャラ乙。
「あれ?キョウスケ少尉は?」
「ああ、少尉もトレーニングに行くって言って出て行ったばかりよ?」
「そっか、とりあえず少佐達を医務室に運んでおこうか…」
「うん…皆さん相当疲れていらっしゃったんですね。」
「そ、そうね……(違う、違う、そう言う事じゃなくてー!!(泣)」
内心、私はクスハ汁の脅威に怯えていた。(いくら乾燥ムカデが漢方薬でも飲めません!)
この騒ぎに駆け付けた他の隊員の手(ジャータ達)を借りて3人を医務室に運んだ。
その後の処置を勤務医とクスハ達に任せて私は医務室を後にした。
† † † † †
「本当に済みません、こちらでも気を着けていたのにとうとう犠牲者を…」
「気にするな、俺も何かあると思って飲まなかった。」
先程の騒動から一時間後、ハガネ艦内に設けられたトレーニングルームのランニングマシンでランニングするキョウスケとハスミの姿があった…
「それにしてもよく気が付きましたね、今回はオレンジジュース割りだったので判りにくいと思ったのですが?」
「かすかに匂いがな、分の悪い賭けだったが…」
「流石クスハ汁……(オレンジジュースの香りすら退けるとは!」
「恐らくは俺の方に原液が少し多めに入っていたんだろう…そのせいだ。」
「はぁ…(余計にベッドの住人期間が長引きますよ、それ」
「…それでゼンガー少佐に用事があったんだろう?」
「少尉、実は少佐がその件で倒れてしまったのでレポートを提出するのが遅れてしまうのですが。」
「後で俺の方から渡しておこう、トレーニングが終わったら俺に渡してくれ。」
「了解しました。」
******
幕張での戦いから2週間が経過。
私とクスハがATXチームに配属されハガネに乗艦。
訓練とその他諸々の勤務をこなしつつ懲戒任務に従事し、しばらく経ってからの事だ。
リュウセイ達はヒリュウ改に乗艦し別ルートから遊撃隊として参加する事となったのだが、合流予定だったヒリュウ改はジオン公国の強襲を受け、その翼を折られる事となった。
その為、急遽地球圏へ帰還予定だったアーガマへ配属となったらしい。
リョウトとリオも同戦艦に配属される予定だ。
ネルガル重工や獣戦機隊の存在は電子雑誌やネットのメディアで確認済みでだったので…
ヒリュウ改の代わりにナデシコやガンドールがその代わりを担うと思ったが少し違ったようだ。
民間企業の所有戦艦と動力炉に難のある母艦では不備があるだろう。
ちなみにサバイバルイレブン中だったガンダムファイトの急な中断や完成式典を行ったオービタルリングとアルゴス号の出港の情報もあったのでJかWの設定も混じっているのかもしれない。
DCはビアン博士の謎の失踪を切っ掛けに内部分裂が発生し穏健派と強硬派に別れてしまった。
ビアン博士の失踪に関しては心辺りがあるが、それは後に話す事にします。
そう言えばあの人って邪神とかの問題をどうしたんだろう?
よく判らないけど人類史上最凶の迷子君と一緒にいたんだよね。
分裂を起こしたDCは強硬派であるAnti・DCがジオン公国と結託し穏健派であるcross・DCが連邦と繋がりを持つ事となった。
この世界の連邦軍のティターンズ設立を止める為に『蒼い睡蓮』を使い、色々と裏で手を回して関係のある存在達をブタ箱へ放り込む手筈を整えて置いた。
切っ掛けは些細なものだが、同じ様に設立を阻止しようと動いていた存在達も居た様で、手を出せない部分はその存在達に任せる事にした。
結果的にティターンズに組み込まれる筈だった犠牲者達を救う事が出来た。
連邦軍特殊独立部隊ロンド・ベルのメンバーに組み込まれた様だ。
ちなみにこの肩書は誤字ではなく未来が変わった為の誤差である。
そんな中で気になったのは…
イングラム少佐によるリュウセイ達の監視の為だろう。
私もクスハも一緒にアーガマに配属される筈だったが…
ギリアム少佐の伝手で私達だけはATXチームに配属と言う形で遠ざけられてしまったのだ。
気になって後から少佐に問いただしてみたが、困った様に苦笑してスルーされてしまった。
『すまない、君達の為なんだ。』
察しては居たものの…
私はそれらの行動が確定出来る内容を聞いてしまった。
ギリアム少佐とリュウセイの話を…
******
『それが本当ならば…イングラム・プリスケンは…』
『間違いない…俺は奴の念を視た。』
『…』
とある個室でギリアム少佐と話しているリュウセイ。
その表情はとても複雑な思いを持ち合わせていた。
ちなみに上下関係上の事もあり、あのリュウセイが敬語だったのが吃驚だった。
『信じられないですよね…俺だって驚きました。』
『同一人物への逆行、実際に眼にしたのは初めてだが…』
『俺にも分からない事があります、前の世界には居なかった奴も居れば…』
『君の言う様に存在した者も居た、そして生き残らなかった者も…か?』
『そう言う訳で俺が説明出来る情報は一部、曖昧な部分を多いから確実な情報だけになってしまいます。』
『証明させるとは言え、私の正体を知っている以上放っておくつもりはない。』
『…(やっぱ、ヘリオスは図星だったか?』
『二人だけだが…クスハ・ミズハとハスミ・クジョウの配属先だけはこちらの方で何とかしよう。』
『分かりました、リョウトとリオは?』
『君の話ではまだ彼らが能力の片鱗を見せた訳ではない様だったな、狙われる危険性はまだないだろう。』
『俺と同じ配属先になるのは免れねえか…』
『問題はイングラムが今後どう動くかだ。』
『恐らくは残りのSRXチームと合流してSRXを完成させる為に動く筈です、エアロゲイター、いやバルマーへの手土産代わりに…!』
『それが奴の目的か?』
『はい、それでクスハは兎も角、問題はハスミです。』
『クジョウ君がどうかしたのか?』
『俺はハスミの人生が今後どうなるか知らないんです、この世界で初めて出会ったかので…』
『そうだな、何かあるのを防ぐ為にもイングラムの監視下から逸らした方がいい。』
『頼みます、アイツ…結構無茶するんで…』
『彼女らしいな、前と全然変わっていない。』
『えっ?』
『ハスミ・クジョウはホーカー少佐の養女でね、戦技教導隊に居た頃は一緒に暮らしていた事あるんだよ。』
『あの人の?』
『思う所があるだろうが、彼女は心配しなくてもしっかり場を良く弁えているよ。』
『そうですか。』
『先程、君に貰った情報は有効に使わせて貰うよ。』
******
やはり、この世界のリュウセイは逆行していた様だ。
α設定かOG設定か新設定か何処の記憶でどこまで知っているのか?
ギリアム少佐の正体を知ると言うのは『ヘリオス・オリンパス』としてか『仮面の総統アポロン』としてかは不明だが…
リュウセイの様に逆行を起こしている者達が居るのか?
そして私と同じように複数の情報を所持しているのかとアカシックレコードに問いただした所。
アカシックレコードからは正解であるが一部間違いもあると返答された。
逆行者は他にも存在する。
これは正解。
逆行者は情報を所持しているがどの世界の記憶に基準するかは不明である。
これが間違いの理由だ。
恐らく逆行者達の覚えている記憶の基準が一作品までの記憶しかないと言う事だろう。
その推理でいけば、この世界の逆行リュウセイの記憶はOG基準と言う事になる。
そうでなければ幕張の時にあそこまで冷静な判断は出来ないだろうし…
バーニングPTの大会で優勝する事は無かった。
だからこそ、ガンダムやマジンガーを始めとした版権の機体をメディアに放送された際に踊る勢いで喜んでいた。
そんな感動は初めて見た時しか味わえないだろう。
そもそも日頃から口走っている情報がOG基準のものばかりなのも理由だが…
あ………!?
逆行者が居る時点で気がつかなったが、他にも逆行者が居ると言う事はこの世界の改変は彼らの行動に寄るものだろう。
その内会う事もあるだろうが、今は自分の成すべき事をするだけだ。
まずはこの世界に存在するホワイトスターを叩く為に。
そして…
世界で見え隠れする奴らを倒す為に。
有無言わずに出てくるでしょうけど。
そろそろ新作の執筆でも始めますかね。
=続=
混乱の世は変わらず世界は一歩ずつ戦乱へと向かう。
次回、幻影のエトランゼ・第二話『嵐声《アラシノコエ》』
横浜に巨人が唸りを上げ、大いなる祈りが勇者の嵐を呼ぶ。
<今回の登場人物>
≪ATXチーム≫
ハガネに配属されているPT隊。
ゼンガー達を含めた6名が配属されていたが志願兵としてクスハとハスミが配属された為、大所帯化しつつある。
アサルト4がクスハ、アサルト7がハスミ、5、6は別行動中の為、不在である。
特機が2機、PTが3機(内1機は空中戦型)、AMが1機のバランスが取れた部隊である。
※キョウスケ・ナンブ
階級は少尉、ATXチームの副隊長、コールサインはアサルト1。
アインストとの本格的な接触を果たしていない様子。
この世界では配属された順番が違うせいかアサルト4ではなくアサルト1になっている。
冷静であるが博打に似た戦法は相変わらず。
エクセレンを観る眼がどことなく違う事から何か複雑な経緯を抱えている模様。
乗機は納機されたアルトアイゼン。
※エクセレン・ブロウニング
階級は少尉、ATXチームの一員、コールサインはアサルト2。
アインストとの本格的な接触は果たしていない様子。
チームのムードメーカー、志願入隊したクスハとハスミで遊んでいる。
いつも通り、お姉さまか姐さんで呼んでと話しているが立場上の事もあり双方少尉で定着している。
乗機は納機されたヴァイスリッター。
※ブルックリン・ラックフィールド
階級は曹長、愛称はブリット、ATXチームの一員、コールサインはアサルト3。
グルンガスト弐式に搭乗したクスハに一目惚れし密かにアプローチし続けている。
エクセレンに弄られている姿を観たハスミから『もしかしてあだ名ってひよこですか?』と言われた際、入隊当初の古傷だったらしくかなり落ち込んでいた。
乗機はマオ社より納機されたヒュッケバインmk-Ⅱ。
※ゼンガー・ゾンボルト
階級は少佐、ATXチーム隊長、コールサインはアサルト0。
原作とは違い、DCへの離脱が無くなったので引き続きATXチームを率いている。
ハスミとは旧戦技教導隊時代からの知り合い。
乗機はグルンガスト零式。
※クスハ・ミズハ
階級は曹長、ATXチームの一員、コールサインはアサルト4。
幕張の一件で志願兵として配属する。
通常時は看護兵として働いているが有事の際はパイロットとして戦う。
ブリットから密かにアプローチを掛けられているが本人は気づいていない模様。
乗機は幕張で搭乗してしまったグルンガスト弐式。
※ハスミ・クジョウ
階級は曹長、ATXチームの一員、コールサインはアサルト7。
物語の主人公、クスハと同じく幕張の一件で志願兵として配属される。
ブランクはあるものの旧特殊戦技教導隊の戦闘データと渡り合える技量を持つ。
隠しているがれっきとしたチート級念動力者。
乗機はATXチームに納機予定だった試作ガーリオンに取り付け予定だったパーツを加えて完成させた正式採用型ガーリオン・タイプT(カラーリングはホワイトだがヘッドとウイング部分にアイリスグリーンが塗装されている。)。
≪SRXチーム≫
ヒリュウ改に配属予定だったイングラム・プリスケン少佐の指揮する特殊PT部隊。
『念動力』を利用した戦術兵器SRXの開発並びに搭乗者の育成を行っている。
現在はアーガマに配属され行動している。
※イングラム・プリスケン
毎度お馴染み『フフフ…』の人。
リュウセイ、リョウト、リオを引き抜いてアーガマに配属となった。
後続で同部隊のライ、アヤと合流している。
リュウセイ曰く現在はゴッゾォの枷に操られている模様。
乗機はビルドシュバイン。
※リュウセイ・ダテ
ハスミが確認できている逆行者。
バーニングPTの優勝者、幕張の一件で志願兵となり階級は曹長。
原作の様な突貫する癖は無くなり、状況を冷静に判断してから行動する。
趣味の特撮、戦隊、ロボットアニメのフィギュアその他諸々の収集は相変わらず。
主人公がテンペストの養女だった事に驚いている。
乗機はR-1。
※ライディース・F・ブランシュタイン
SRXチームの一員、階級は少尉。
ゲームの腕でスカウトされたリュウセイと反りが合わず突っかかって行く様子は相変わらずだが二週間の行動で少し軟化した模様。
理由とすれば実戦と同じ装備可能範囲の武装でコテンパンにやられた事を根に持っていたがリュウセイの真意とこれからの行動を観察した上での軟化と思われる。
連邦軍内に父親、兄、従妹が存在するが『エルピス事件』が切っ掛けで疎遠になっている。
乗機はシュッツバルド。
※アヤ・コバヤシ
SRXチームの一員、階級は大尉。
原作と同じくリュウセイのサポートに回っている。
過去に特脳研の事故で妹のマイを失っている。
乗機は量産型ゲシュペンストmk-Ⅱ・タイプTT。
≪???≫
※ブルー・ロータス
裏社会で有名な所属不明の謎のハッカー。
その正体を知ろうとした者はその名の花言葉通りに「滅亡」する。
<今回の登場勢力>
※Anti・DC
内部分裂を起こした強硬派のDC。
アードラ・コッホやアギラ・セトメなどの性根のひん曲がった曲者達が集まる。
その多くは人体実験や戦いを遊びの様に思う連中が揃っている。
cross・DCと同様に元はコロニー統合軍だったが、最強の兵士を造る研究や実験が出来なくなる理由からそれらが公認されてしまっている現在のジオン公国と接点を持つ。
※cross・DC
内部分裂を起こした穏健派のDC
ビアン博士の意思を継いだブランシュタイン家を筆頭に宇宙規模の災厄に立ち向かう姿勢を持ち、また自身の汚点であるAnti・DCの壊滅に力を注いでいる。
Anti・DC同様に元はコロニー統合軍だったが連邦政府内の大きな改革を切っ掛けに賛同する様になる、現在は連邦政府と接点を持つ。
一部の管轄は民間の研究機関と共にメテオ3の管理も行っている。
※ジオン公国軍
α基準だがアイドネウス島(南アタリア島)に落下した『マクロス』の一件で『一年戦争』は停戦状態になった、その7年後にAnti・DCと同盟を結んだ事により活動を再開した。
前回と同じくザビ家が主な指導者だがお飾り状態であり、真の黒幕は別に存在している模
様。
尚、風の噂ではザビ家はミネバ・ラオ・ザビを残して一族全員が処刑されたとされる。
※連邦政府
α基準だが、かつての強硬派やその権力で軍部を牛耳っていた存在達を謎の一斉検挙を期に新たなに統合された、現在は連邦軍内の穏健派を筆頭に太陽系規模の戦乱の収拾に力を注いでいる。
その為、連邦軍特殊独立部隊ロンド・ベルには独自の権限と現場での独自の行動を許されている。
ちなみにエゥーゴがその部隊を組み込む連邦軍内の独立組織であり、穏健派の支持の元で他の遊撃部隊の派遣などを行っている。
また、エゥーゴは民間の研究機関や企業などのバイパスを数多く持っている。
<今回の登場用語>
※クスハ汁
知る人ぞ知る、飲めば体力並びに身体の不調を回復させるが一度は気絶を余儀なくされるクスハ特性のドリンク。
通常時の材料はセイヨウサンザシ、ホンオニク、ローヤルゼリー、ナルコユリ、グレープフルーツ、ドクダミ、ウナギ、マグロの目玉、梅干、セロリ、マソタの粉末、ムカデ、イモリ、マムシ、コラーゲン、柑橘類…
強化版としてこれにアガリクス、冬虫夏草、紅茶キノコ、スッポン&オットセイのエキス、ローヤルゼリーを2倍。
飲みにくい場合はオレンジジュースか烏龍茶で割って飲むらしい。
リュウセイとハスミの話に寄るとかつての改悪版はアスファルト臭や紫の煙が立ち昇ったものもあったらしい。
学生時代、双方ともに服用した後は仲良く保健室に担ぎ込まれたと青ざめた顔に遠い眼で語っており。
学園の料理研究部で完成版に近い状態の物を目にしたハスミはムカデなどが含まれているのでやたらに口にしない方が身の為と同級生だった兜甲児らに呟いた後に学園の調理室で食中毒?発生の騒ぎが起きたらしい。
その時のドリンクの色は『テケリテケリー』と声を発する物体が出てくるような状態だったとの事。
※白野睡蓮
ハスミが小説を出版する際に使用しているペンネーム。
女性向けや御伽話風のファンタジー小説の執筆が多い為か女子学生から若い世代を中心に人気を得ており、読みやすく心に残るとコメントや支持を受けている。
以下は出版済みの小説タイトルである。
※紅い騎士と星の悪魔。
※不器用な君が貴方を好きなるのは…
※弱虫な僕は君を護りたい。
※魔法使いは願いの杖を振るう。
※白雪姫に恋した黒い死神。
※神様の悩み事は些細な事で…
※勇者と英雄の違い。
※暗い心にさようなら。