幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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道化は嘲笑う。

何も出来ずに藻掻く様を。

英雄に試練として与えた。

道化は道化らしく世界を欺こう。


愉の付箋

引き続き、ヘブンゲートでの出来事。

 

光龍の発言によって周囲の空気がガラリと変わった。

 

 

「…どう言う意味だ!」

「言葉通りだよ、いい加減後手に回る癖…直した方が良いんじゃない?」

 

 

付け加えて『今まであの子が苦労して情報を集めて君達に流していたのにね。』と語った。

 

 

「あの人が今まで私達に情報を流して頂いていた事には感謝しています。」

「その様子なら彼らに無事会えたようだね?」

「はい、アキトさんもユリカさんも相変わらずでした。」

 

 

ルリの脳裏で『じゃーん、アキトとお揃い♪』といつものノリで能天気な発言をするユリカの様子を思い出していた。

 

ついでにアキトが同じ衣装(黒の王子版)を纏ったユリカの様子に呆れているシーンも含まれている。

 

 

「お二人ともまだ危機が終わった訳ではないと言って去って行きましたけどね。」

「ま、そうだろうね。」

 

 

大元が全部が片付いたわけじゃない。

 

何処かで繋ぎ合わされてまた災禍となる。

 

ややこしい終わり方をするしかないと言っていたあの子の苦労も解るよ。

 

 

「孫光龍、貴方はこれからどうするつもりだ?」

「ブライト艦長、僕はホルトゥスのメンバー…今回の命令は完遂したし古巣に戻るだけの事さ。」

「…」

「そっちに出頭して話を聞きたい…何て甘い考えは止めておいた方が良いよ?」

 

 

光龍は『場合によっては君達と一戦交えてもいいって許しは貰ってるからね。』と静かに答えた。

 

 

「状況を打開するならこちらと共に…」

「協力しろって?軍の飼い犬の様に首輪をまたあの子にさせるつもりかい?」

「それは…」

「今の状況じゃあ軍上層部はあの子の力を喉から手が出る程欲しがるだろうね。」

「…」

「それにあの子が君達の元から去った理由をもう少し考えるべきだね。」

 

 

結局はこうなる訳か。

 

あの子の言う通りだった。

 

彼らは混乱する情勢に対応しきれてない。

 

だからこそ目処前の強い力に惹かれる。

 

彼女の時も使うだけ使い古して用済みとした。

 

僕は彼らをまだ許せていないよ。

 

クロノの甘声に乗せられた連中をこの手でズタズタにするまでね。

 

 

「それとも君達はあの子の力がなければ何も出来ない無能者の集団だったのかい?」

 

 

光龍は最後に彼らを更に炎上させる言葉を告げた。

 

 

「そんな訳ねえだろ!」

「リュウ。」

「ハスミの親父さん、アンタが俺達を無能扱いするのは構わねえ…だけどよ、俺達も諦めた訳じゃねえ!」

「だったらどうするつもりだい?」

「辿り着いて見せるさ、アイツが…ハスミが伝えたかった真実に俺達は!」

「…(どうやら反旗の炎は消えていなかったみたいだね。」

 

 

彼はいいとして…

 

問題はアムロ・レイか…

 

あの子の言う通り、デブデダビデの精神攻撃が今も彼を蝕んでいる。

 

この様子だとシャア・アズナブルも危険か。

 

セフィーロでの治療で辛うじて繋ぎ止めているけど何時爆発しても可笑しくない。

 

早い内に回収した方が良いかもね。

 

 

「だったら精々足掻きなよ、この混沌とした世界で抗って貰おう。」

 

 

僕はもう間違えないよ。

 

あの子が指し示してくれた未来の為に。

 

過去の記憶に縛られるのは止めた。

 

前世の記憶にもなかった道筋を歩かせて貰うよ。

 

 

 

「抗いを見せた君達に助言だよ、ルイーナは各レイラインを拠点としている。」

「レイライン…!?」

「後は君達への宿題だよ…じゃ、再見。」

 

 

光龍はヒントを伝えると応龍皇と共に転移していった。

 

 

=続=


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