幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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それは誰の為の拒絶。

己自身か?

仲間の為か?

それでも涙は止まらず流れ落ちる。

拒絶を選んだ以上、その涙を流す事すら許されない。



第七十一話 『拒絶《キョゼツ》前編』

エクアドル基地での一件から数日後。

 

鋼龍戦隊は大統領直々の証言もあり軍上層部の指示にて罪状を撤回された。

 

但し、汚名返上の名の元でガイアセイバーズ追撃の任務に就く事となった。

 

その一環としてノードゥスと合流。

 

前回のクスハ達との再会とブリット達の奪還はその最中に起こった出来事だった。

 

復活した龍虎王と共に再度戦線復帰したかと思いきや…

 

クスハとブリットは今までの行動もあった為に暫くの間、謹慎処分の命令が下った。

 

これは謹慎処分を受けた本人達も納得の上で受けている。

 

そしてハスミの手によって鋼龍戦隊に合流したイルイと言う少女と本人から齎された情報の件でノードゥスは一時の混乱が舞い込んでいた。

 

 

******

 

 

伊豆基地・執務室。

 

基地司令であるレイカーと副官のサカエ、鋼龍戦隊の艦長であるテツヤとレフィーナが招集されていた。

 

そして最も近くに居た人物としてカイとギリアム、エルザムも招集されていた。

 

 

 

「「「「「…」」」」」

 

 

イルイを通してノードゥスに齎された情報。

 

それは現在の戦乱を根本から変えてしまうものだった。

 

 

「では、情報が正しければ南極の遺跡にあるゲート…クロスゲートは開けてはならない扉だったと?」

「はい、彼女に寄ればホルトゥスはその遺跡を創ったとされるフューリーと接触し得た情報との事です。」

「ルイーナの発生源…『破滅の王』と呼ばれる存在を封印する扉であり遺跡自体も警告を示す為に創られたそうです。」

「司令、やはり…」

「うむ、彼女はかなりのやり手の様だったな。」

「どう言う事でしょうか?」

「そのフューリーが昨日…地球政府へ謁見し同盟を認可された。」

 

「「!?」」

 

「いくら何でも話が早すぎます!?」

「…この件に関しては既に空白事件後より交渉が行われていた。」

「そんな頃から…?」

「円滑に事を進めようとしたのだろう、惑星ラドリオやバーム星を含めた他星系からの火星並びにコロニーへの植民地入りが始まった頃から受け入れを徐々に進めていたと報告がある。」

「だが、フューリーには例外が発生している。」

「例外?」

「フューリーの一部は既に地球人との間に子を成している…あの剛博士の様に。」

 

 

レイカーより告げられた情報、それは史実を覆す言葉。

 

数十年前からフューリーの民の一部は既に地球へ溶け込んでいた。

 

それは共存が可能である確かな証でもあった。

 

 

「えっ!?」

「そんな事が…」

「異星人同士の子が存在する事は我々にも共存の道が歩める証でもある。」

「これにより政府は新たな同盟国家としてフューリーの民を受け入れる決定を下しました。」

「…」

「しかし、この様な状況で…」

 

 

早すぎる決断なのかもしれない。

 

だが、彼らの様に温厚な異星人達も存在する事を忘れてはならない。

 

一方的な悪意を広めてはならない。

 

そう戒める為の手段だと伝えた。

 

 

「そしてハスミ・クジョウ少尉…元少尉がガイアセイバーズが秘密裏に捜索していたマシヤフの一人である以上は保護もしくは捕獲の指示が上層部より通達が来ている。」

「やはりですか…」

「同じく元少尉の協力者であるカーウァイ中佐並びにSTXチームのメンバーにも同様に確保の指示が出ている。」

 

 

覆せない命令。

 

彼女達は今まで世界を護る為に動いていた。

 

だが、大元を返せば一軍人が勝手に行った軍法を多く反した命令違反。

 

そしてそれが知られればその力を手に入れようと野心に満ちた者達によってその生死を脅かされるだろう。

 

 

「彼女らには数多くの戦乱が阻止され…その過程で多くの命が救われた、上層部も非人道的な処罰を下さないだろう。」

 

 

非人道的行為は起こさない。

 

それは建前である事はその場に居た誰もが理解している。

 

最悪な形であれば一生軍の飼い犬同然の扱いを受けるだろう。

 

 

「…(結局は彼女が鎖に繋がれるのは変わりはない。」

 

 

それでも彼女は修羅の道を選んだ。

 

どう転んでも最悪の結末に至ろうとも…

 

ギリアムは無言を貫いていたエルザムとカイと同様に無言を貫いた。

 

 

>>>>>>

 

 

ハガネ艦内・独房にて。

 

 

「では、この子も?」

「はい、ハスミと同様にガンエデンの巫女とされている子です。」

「…」

「ハスミの話ではまだ『禊』を行っていないので正式ではないと聞いています。」

「そうか。」

 

 

独房に入っているクスハに話し掛けるキョウスケとエクセレン。

 

その横にはイルイが連れ添われていた。

 

同じくブリットも独房入りだが…

 

現在はメディカルルームで定期検査を受けている為に不在である。

 

 

「えっと…」

「イルイちゃん、どうしたの?」

「ハスミお姉ちゃんから伝言を預かっているの。」

「伝言?」

「また近い内に顔を出すって。」

 

 

イルイは少し心配した表情でその場に居た者達に答えた。

 

 

「あら、如何言う風の吹き回しかしらね?」

「俺にも解らん。」

「私にも…」

 

 

今まで対面する事を拒絶していた当人からの再会すると言う伝言。

 

その意図が不明なまま、別の話題へと話は切り替えられた。

 

 

「そう言えば、クスハちゃんとイルイちゃんは例の天鳥船島だったかしら…そこの位置が判るの?」

「いえ、私も所在は判らないんです。」

「…」

 

 

クスハは解らないと答え、イルイは首を横に振って答えを示した。

 

 

「何故だ?」

「ハスミは島自体が移動船の様なもので同じ場所には停泊していないって話していました。」

「移動拠点か…」

「通りで他の方で探して貰っても見つからない訳ね。」

「敵に察知されず人知れず行動するなら利点のある拠点だろう。」

 

 

其処がハスミがガンエデンとして所持する拠点。

 

最悪の形で接触する機会が無ければいいが…

 

 

「そう言えばキョウスケ、ハスミちゃんの愛しのダーリンがボスの事を助けてくれたんでしょ?」

「ケイロン・ケシェットの事か?確かにそうだが…」

「ハスミちゃんのパパトリオは当然として、そのダーリンさんとも鉢合わせするかしらね?」

「可能性はある、修羅の乱でも奴はハスミの事を気に掛けていた。」

「まあ、ボス以上に無自覚発言主だった事にドン引きしちゃったけとね。」

「その分、ハスミがフォローしていただろう?」

「あの時のハスミちゃん、顔真っ赤にして普段見れない位に慌ててたものね。」

「それを面白がっているのはお前位だ。」

「まあ、ハスミちゃんの素顔を見れたのはその時位だもの。」

「どういう事だ?」

「L5戦役の頃からずっと張り詰めた感じで日頃から作り笑いだったのよ?」

「…」

「あれだけの事を隠していたならそんな表情だったのも解る気もするわ。」

「エクセレン。」

「こう言うのを水臭いって言うのかしら?」

「水臭い?」

「もっと早くに打ち明けてくれたらなって思っただけよ。」

「もしも…打ち明けられない理由があったとしたらどうする?」

「どう言う事?」

「もしもだ、ハスミ自身に打ち明けられない理由があったとしたらどうする?」

「そうね、その理由が解消されるまで待つって事位しか出来ないわね。」

「そうか。」

「あら、勿論勿体ぶりをしたハスミちゃんにはスリット抜群のチャイナドレスとセクシーバニーちゃんのお仕置きが待ってるわよ?」

「…相変わらずですね。」

 

 

二人の会話に苦笑いをするクスハ。

 

その後もキョウスケの内心を他所にエクセレンのお節介話が延々と続いていた。

 

 

「お姉ちゃん…?」

 

 

イルイの呟きも知らないまま。

 

 

******

 

 

同時刻、某所。

 

 

「クシュンっ!」

「風邪か?」

「いえ、多分…噂でもされているのだと思います。」

 

 

エクセレン少尉、相変わらずですよ。

 

チャイナとバニーってどんな羞恥拷問ですか?

 

絶対に拒否します。

 

 

「では、今回の作戦を今一度ご説明します。」

 

 

今回の目的は伊豆基地に潜入しているガイアセイバーズの斥候の排除並びにクロノの崇拝者達の摘発です。

 

そして秘密裏にナシムのマシアフの護衛を第一としてください。

 

さり気無く程度でいいです。

 

預け先でも十分警戒して頂けているので。

 

 

「俺達は誘い出した奴らをぶっ倒せば言い訳だな?」

「そう言う事です。」

「割に合わないわよ、オマケでもあるの?」

「そうですね…この間、所有鉱山で発見したダイヤの原石で良ければ?」

「それ加工したので手を打つ!」

「…はは、相変わらずだね。」

「何よ、貰えるものは貰っておかないと損でしょ!」

「十分だと思うよ、僕らの衣食住まで賄ってもらってるし。」

「そうですね、私達の世界にも警鐘を送ってくださったのですから。」

「そうですよー!元の世界でも先輩達や後輩達が頑張ってくれてるんです!俺達がここで踏ん張らないと!!」

「アンタは暑苦っしいから黙って!」

「そ、そんな~」

「ま、俺達に喧嘩を吹っ掛けたクロノの奴らを燻り出すのも悪くねえ。」

 

 

伊豆基地を見渡せる場所。

 

監視エリアの外れでハスミは引き連れたメンバーと作戦の再確認を行った。

 

その内の個性豊かな六人組から色々と言われていたもののやんわりと返していた。

 

 

「クロノの連中もそうだが、ガイアセイバーズの特殊部隊の連中にも鉢合わせたいぜ。」

「ああ、ここの所…トカゲ連中と化け物共で腕が訛っていたからな。」

 

 

十分腕慣らしの連中なのですが…恐竜帝国の兵士とミケーネ兵って。

 

流石、このダイナミック系の地獄組…全く容赦ないですわ。

 

 

「そう言えば大将は如何しているんだ?」

「あの人は別の場所で別件を受け持っています。」

「別件?」

「はい、彼自身…やって置きたいと願ってましたので。」

 

 

そちらは頼みましたよ、ケイロン、光龍お父さん。

 

 

♰ ♰ ♰ ♰ ♰ ♰

 

 

次の作戦に向けてそれぞれがパワーアップを兼ねて所属基地へ帰還したり独自に修行を積む中。

 

ギアナ高地で修業を続けていたシャッフル同盟、ロム一行、ダイモスメンバーなどのノードゥスの格闘家達が集結していた。

 

今回はスペースナイツの旧メンバーと電童の二人組が参加している。

 

二人組に関しては更なる強敵との戦いに備えての実地指導との事だ。

 

残り少ない時間の中で修業がモノになる所で…

 

横槍と言うものは入るのである。

 

 

=???=

 

 

「いや、どうもお久しぶりだね。」

「お前は孫光龍!?」

 

 

中国の山脈を思わせる光景。

 

例の如く、限仙境の結界である。

 

その崖の一つから見下ろす様に結界に迷い込んだゲスト達を見下ろす光龍。

 

各自、周囲の状況から鋼龍戦隊の報告にあった結界に巻き込まれたのであると推測した。

 

 

「簡単にこっちの策に乗ってくれて大助かりだよ、ま…君達が修行で集まっていたのが功を為したって方が正しいかな?」

「孫光龍、俺達を結界に閉じ込めてどうするつもりだ?」

「正確には僕自身が用がある訳じゃないんだ。」

「何だと?」

「彼がね、どうしても君達と一戦交えたいって事でお膳立てしたまでだよ。」

 

 

光龍の言葉に反して答えたドモン。

 

だが、光龍はいつもの姿勢を崩さす特別ゲストを登場させた。

 

足音と共に現れた褐色の偉丈夫。

 

 

「お前はケイロン・ケシェット!」

「兄貴、アイツって…」

「ケイロン・ケシェット…鋼龍戦隊に在籍していたSTXチームのメンバーだ。」

「STXチーム…では。」

「奴も最初からハスミの仲間だったと言う事だ。」

「修羅の乱後、鋼龍戦隊との連携は殆ど取っていなかった…奴自身の素性も正確には解っていない。」

 

 

ドモンの発言に反応するサイ・サイシーとジョルジュに説明程度に話を進める一矢。

 

 

「戯れ言は終わったか?」

 

 

ケイロンの言葉に周囲の空気が一気に切り替わった。

 

 

「ケイロン、一戦交えると言ったな?」

「言葉通りだ、今の貴様らでは相手にならぬがな…?」

「如何言う意味だよ、それ!」

「待て!」

「あ、兄貴。」

「…(確かにそうだ、奴に関しては万丈からも危険視されていた…その意味を今知る事になるとは。」

 

 

周囲を射抜くような視線と殺気。

 

それは紛れもなく生死を掛けた戦いを望む意思。

 

どの様な相手でも立ち向かう意思の表れ。

 

 

「…(ハスミの言う通り、奴らならば目覚めが早いかもしれんな。」

 

 

ならば、見極めさせてもらうぞ。

 

お前達もまた真化に至る存在である者だとな?

 

 

=続=

 




拒絶の意味。

世界に隠された真の真実。

人類は月に到達した時点で支配されていた。

それを阻む為に戦い続けてきた存在達がいた事を知る。


次回、幻影のエトランゼ・第七十一話 『拒絶《キョゼツ》後編』
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