大切な仲間の為に。
愛する人の為に。
愚かな新人祖は己の結末を選んだ。
禁忌に触れた者の末路は決まっている。
その時が来ただけだ。
破滅の王による危機は去った。
だが、残された問題がある。
それは…
******
前回の戦闘から数時間後。
事後処理の交代すべく後続の部隊を待つ為にその場に留まっていたノードゥス。
急なブラック・カーテンの出現やガイアセイバーズの残党によるガンエデンの巫女達の拉致。
怒涛の展開と巫女達の行方が不明の状況は続いていた。
後続部隊の到着まで各艦の代表が集まり状況報告を行おうとした時だった。
待機していたノードゥスの艦隊の前に現れた三機。
光龍の応龍皇、カーウァイのアルブレード・カスタム、テンペストのエクスガーバイン・アクスト。
ホルトゥスに下ったSTXチームのメンバーだった。
「つまり、君達はその様子を黙って見ていたと言う訳かい?」
合流した彼らへ状況説明を行った後、開口一番に告げられた言葉。
「光龍、彼らも破滅の王との戦いで疲弊していた……それは判っているだろう?」
「判っているよ、現場に居なかった以上は僕が言えた言葉でもない事もね。」
「カーウァイ中佐、今まで何を?」
「ギリアム…話せば長くなるが、アルテウルいやユーゼスの残した私兵が残存している事を知り…その対処を行っていた。」
「それも陽動だった事に変わりなかったけどね。」
「陽動?」
「ユーゼスの狙いは初めからハスミとイルイの身柄、確実に手に入れる為にノードゥスとルイーナの決戦に密かに紛れ込んでいた。」
「…」
「絶対に避けられない戦いであり、疲弊した瞬間への介入も見通しての奇襲…そちらもこちらもユーゼスの掌に踊らされたって訳。」
話し合いの代表としてギリアムが話を続け、カーウァイと光龍のやり取りが続き…
説明の締めくくりに光龍は『僕でさえ、かなり虫唾は走ったよ?』と低い声で静かに呟いた。
冷静を装っているが沸点を限界までに上げつつある光龍とカーウァイの様子にカイがテンペストに話した。
「テンペスト、お前も同じ意見か?」
「半分はな、だが…ここで功を焦っても何の得策もないだろう?」
「そうか…」
「それにハスミが奴に意図も容易く囚われたとは思えん。」
「それは僕も同意見だね。」
「光龍…」
「あの子は少ない手数で特大の火花を起こす手段を持っているからね。」
「手段?」
光龍の言葉にギリアムはルイーナとの決戦でのハスミの行動を思い出していた。
「…」
何故、あの戦闘で本領発揮を行える念神での出撃をしなかったのか?
クロスゲートの操作と封印を行う為か?
だとしてもイルイの協力があれば負担は軽減する筈?
彼女はアカシックレコードへのアクセスでペルフェクティオの動向を探る事によって弱点を見出した。
その後の采配や処置も手早かった。
もしや…
「光龍、ハスミの目的はユーゼスを表舞台に引きずり出す事か…!?」
「正解、但し厄介な相手と戦う事に変わりないけどね。」
「厄介な相手?」
「奴はL5戦役の頃に一か所だけらしいけど、別世界に転移する方法を手に入れたらしくてね…その成果とご対面しなきゃいけない。」
「成果?」
「そ、奴が手に入れたのは先史文明期に生み出され…既に廃棄されたクロスゲートの失敗品とガンエデンの成り損ないさ。」
光龍の告げた情報。
それは更なる決戦への掲示。
「バラルの園と天鳥船島に安置されたガンエデンの神体に動きが見られない所を考えると奴は前者を使う事にしたのだろうね。」
「…」
「それと…奴が使っていたとされる廃棄施設にある情報が残っていたよ、例のイングと言う少年に関するデータも発見する事が出来た。」
「彼の情報?」
「その少年は君達に潜り込ませ成長させる事で人造マシヤフに仕立てる為の人の手で生み出された念動者。」
君達が彼に接触した時…記憶がなかったのは元から記憶なんて組み込まれていないまっさらな状態だった。
そして君達と共に過ごす事で個を獲得し、ある意味で扱いやすい念動者として覚醒を促していたのさ。
で、今までの戦いで彼は成長しマシヤフと化す事の出来るレベルになった。
ただ、奴の命令を聞く事はないのを見通してあのジ・エーデル・ベルナルの残したバインド・スペルを彼に組み込んでいたって訳。
何処で接触したかは不明だけど恐らくは空白事件最中。
このせいで彼…イングも奴の被害者であるのは変わりないけどね。
「そんな絡繰りが…」
「ハスミの事だ、彼と接触した時にそれが視えていたのだろうね。」
全ては最初から決まっていた事。
L5戦役と言う戦いから進化を促す為に戦い続ける事。
それは切り離せない条件。
戦う事で生きる意志を未来を守る為に。
ノードゥスとユーゼスの戦いは延長戦と言う形で密かに続いていたのだ。
「兎も角、奴の居所はこちらでも判っていない。」
「光龍、ハスミ少尉達の気配を辿る事は出来ないのか?」
「話通りなら念動力を使い果たしている以上、その残滓すら今は感じられない。」
「奴もハスミ達の念動力が回復するまでは動かないと見ても?」
「恐らくはね、ガンエデンの成り損ないでも動かす為には膨大な念動力を要するし。」
「動けんのは双方同じと言う訳か…」
現在もペルフェクティオとの戦いで疲弊したノードゥスも動く事は出来ない。
その多くはファートゥムとの戦いで機体を損傷させある者は負傷もあり動けない者も出ている。
今の状態で部隊を再編成しても先の戦力の半分が動ける程度だろう。
「奴に時間を与える事を前提で部隊を整えるが今出来る最善の策だろう。」
「後手になる事は判り切っていた事ですが…」
「それにそっちもそろそろ真実とやらを知りたいんじゃないのかい?」
「真実?」
「そ、ハスミが何故君達と合流を拒んだのかを…ね?」
「話して貰えるのか?」
「潮時だからね、ちょっと位ならハスミも解ってくれるさ。」
今回の戦いが始まった少し前、STXチームにガイアセイバーズからの異動命令が下ったは知っているね?
グランド・クリスマスへの移動の際にSTXチームの乗ったダウゼント・フェスラーは狙撃されて墜落。
一部は何とか生き残ったけど、残りは狙撃の影響で死亡。
僕らを含めて邪魔者は最初から暗殺される事を前提で異動命令が出たって訳。
そこからはハスミも僕らも出し惜しみ無しでホルトゥスとして行動を開始したのさ。
このまま死んだって事にしておけば、色々と動きやすかったからね。
ハスミがアシュラヤーとして本格的に動き始めたのはその頃。
ガイアセイバーズを始めとした他の敵勢力は大目玉だったろうね。
なんせ、目の敵にしていた組織が表舞台に現れた。
更にこちらの介入で大規模な敗走を奴らは余儀なくされた。
それだけ影響力は凄いのさ…ホルトゥスはね。
「確かにホルトゥスの介入で被害は最小限にし、こちらの後手を覆す事が出来ている。」
「ちなみに言うけど、何故君達は毎回の戦闘で後手に回ると思う?」
「情報伝達の遅れでは?」
「いや、そう言う風に仕向けられているんだよ…君達ノードゥスはね。」
「仕向けられているだと?」
「可笑しいと思わないかい?君達と言う独立精鋭部隊を作り上げて置きながら必要な情報が瞬時に回ってこない事を?」
「確かにこちらに情報が送られてくるのが事が終わってからのモノも含まれていた。」
「…まさか!」
「所々で妨害されているのさ、危険な状況にならない程度に君達の行動を制限するかの様にね。」
「そんな事が…!」
「僕らが介入しなきゃ危機的状況に陥っていたと思うよ?」
オルファン浮上に置ける津波の被害を避ける為に特殊な金属繊維の防波堤を各所に設置。
ミケーネの各方面への侵略に対しての迎撃ネットワークの設置と対策。
外宇宙からのスカルムーン連合に対する追い打ち。
木星帝国とザフトへの監視。
政府間の誤情報による指揮系統の混乱の鎮圧。
ブラックカーテンことアートルム・エクステリオルの解除。
ルイーナの戦力増強の妨害。
各レイライン奪還の為の助力。
「やる事は多かったけど、君らへの被害は少なかったんじゃないかな?」
「…」
「勿論、この間にもガイアセイバーズの動きは監視していたよ?」
「その多くに陽動も含まれていたが、捨て置けばお前達への障害になっただろう。」
「そしてノードゥスを狙っていたのはガイアセイバーズだけではなく、別の存在もいた事を承知していてくれ。」
「別の存在?」
「その件に関しては口止めさせて貰うよ、この件はハスミから絶対に話さない様に念押しで言われているからね。」
「光龍、そろそろ…」
「判っているよ、これで僕らが話せる事は説明しきった。」
「ハスミ達の居場所はこちらでも捜索する、お前達は体制を立て直しこちらからの連絡を待ってくれ。」
出来る限りの経緯を伝えると三名は行動不能となっていた蒼雷とケイロンを回収して去っていった。
ケイロン自身は会話の中で無言のまま静聴していたが、その表情には微かに焦りの気配が存在した。
ちなみにロサとピートは引き続きノードゥスに残留。
ノードゥスは後続部隊と合流し引継ぎを終えた後に一先ず伊豆基地経由でオービット・ベースへと向かう事となった。
戦うべき相手、ユーゼスとの決着を着ける為に。
>>>>>>
数日後。
各艦、各機体の修復と改修作業が終了した頃。
待機場所であるオービットベース内では連日各艦の艦長と部隊の代表者達が会議を続けていた。
それは今回の戦乱で各方面で起こっていた不可解な出来事に関してだ。
どの方面でも何者かの暗躍があり、今回の戦乱が肥大化した原因である事を理解していた。
ホルトゥスはその暗躍していた存在を追っていた事が先の光龍の説明で判明された。
その存在とは一体何者なのか?
正体を知る敵陣営の代表者らは死の間際に口々に答えた。
『人類がどう足掻いても勝てる相手ではない。』
何に対しての答えなのかは未だ判っていない。
それを知るのは幾多の記憶を所持する者達だけだろう。
「やはり、あの人達が話していた『次元力』に関係している存在なのでしょうか?」
ルリの発言から始まり、ブライト、テッサ、マリューらが話し合いを続けていた。
「その可能性は否定できない、アサキムやジ・エーデルの発言にあったスフィアの事も気がかりだ。」
「残り十のスフィアにも何か理由があると思いますし。」
「十二の星座と十二の感情を元にスフィア創られたと話していましたね。」
「そしてスフィア争奪戦は我々の知らない所で未だ行われている。」
「ランドさんの『傷だらけの獅子』、セツコさんの『悲しみの乙女』、判明しているスフィアはその二つ。」
「残りのスフィアは牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、天秤座、蠍座、射手座、山羊座、水瓶座、魚座。」
「何れも人の感情を象徴し代償と共に次元力を操る術となる、か…」
今回の戦乱の折に遭遇する光龍らが時折話していたスフィアと次元力の関係性。
そしてそれを狙う組織と存在。
敵勢力の中にもその存在の事を知る者がいた事。
ハスミとケイロンが話していた一万と二千年の周期で訪れる宇宙崩壊とシンカの時代の流れ。
スフィアが絡んだ事件は空白事件から始まり、その全てが解決に至っていない。
いずれ訪れる全生命体の生存権を掛けた終焉戦争。
その戦いにはスフィアと伝承に在ったガンエデンが絡んでいる。
「事の真相を突き止めるにもハスミ君達を助け出す必要がある。」
「マックス艦長、彼女が話してくれるといいのですが…」
「残念ですが、それには無理があると思います。」
「テッサ艦長、どう言う事だ?」
「恐らく彼女は真実を知る事で私達が標的になる事を避けていると思われます。」
「避けている?」
「その存在は様々な敵陣営に暗躍し用済みと成せば意図も容易く壊滅に追い込んでいる…この事から今の私達だけでは太刀打ち出来ない相手ではないでしょうか?」
「馬鹿な!?連合軍でも選りすぐりの精鋭が揃っているのだぞ?」
「ナタル、もしかしたら軍の内部にその存在に協力する関係者がいるかもしれないわ。」
「確かに孫光龍の言葉通りなら内通者の存在も否定できないが…」
「マリューさん、軍だけではありません…恐らくは政府内にも。」
「そこから導き出される答え…私達の状況をいつでも引っ繰り返せる場所にその存在は居るのだと思います。」
深まる謎と導き出された答え。
真実は平行線の向こう。
今は知るべき事ではない。
抗う為の力が目覚めぬ限り。
「確かにザフトでもデュランダル議長に正体不明の内通者が居たとレイが話していたわね。」
「ネオジオン内部にも反逆分子を先導する存在の噂は耳にしていた。」
「…やはり、他の組織でも同様の事が起こっていたのか。」
「政府すら揺るがす存在…」
「ハスミ少尉いえSTXチームはその存在を知ってしまった事で雲隠れを余儀なくされたと考えても?」
「可能性はある、今までの行動と我々への極力接触を避けている点からそう取らざる負えないだろう。」
一時期、敵対関係を取らざる負えなかったタリアやハマーンが例の存在に対する噂を耳にしていたと語る。
前世の記憶を所持するシャアは該当する存在を知りつつも今は知らぬ存ぜぬで話を進めた。
「今はホルトゥスからの連絡を待つしかない状況か…」
締めくくりにブライトが一言語ると静聴していた他の艦長達も同意。
情報が定かではない議題をこれ以上長々と話す事は出来ないと結論だった。
戦いは一刻一刻と迫っている。
今は情報が入るまでに自分達の体制を整える事が先決。
それはこの場にいる面々も待機しているメンバーらもまた理解していた。
******
一方その頃の天鳥船島。
主無き玉座の間では当主の代理を務めている光龍ら三名とケイロンが会議を行っていた。
「流石に奴も用意周到だったね。」
「と、言うと?」
「ユーゼスは亜空間とも言える場所…そこにハスミ達が囚われている。」
「亜空間だと?」
「恐らくはジ・エーデルの置き土産も含まれているかもしれないけど、クロスゲート・パラダイム・システムの恩威である事は理解出来るよ。」
「そのシステムで疑似的に亜空間を生み出したと言うのか?」
「だろうね、前に説明した通り失敗作のクロスゲートで出来るのはその程度位だと思うよ。」
「この数日間でハスミ達の念の気配を感じ取れる様になった…頃合いだと思うが?」
「そうだね、野蛮に言うなら殴り込み時かな?」
「ノードゥスにこの事は?」
「僕らが出た後でいいだろう、先にやる事はやっておかないとね。」
「…」
「ケイロン、君はどうする?」
「…言われずとも答えは決まっている。」
「じゃ、決定だね。」
光龍達はブルーロータスにノードゥスへの情報伝達を任せると一足先にある場所へと向かった。
空白事件における戦乱の地の一つ、南米のUNの施設跡地。
そこにユーゼスらが潜む亜空間への道が隠されている。
同様に光龍らの出撃を終えた後、ブルーロータスはノードゥスに緊急連絡を送り指定した場所への座標を告げた。
此度の戦いに置ける決戦が始まろうとしていた。
~数時間後~
南米のUNの施設跡地。
空白事件の戦いの後、継続して使用されていたが修羅の乱に置ける戦いの余波で破損。
現在は別の場所へ移設されている。
そこへ部隊編成を終えたノードゥスが選出された艦隊で到着した。
ノードゥスの全艦隊を導入する事は出来ないのもあり、今回もいつもと同じ少数精鋭である事は間違いない。
理由は南極での戦いで疲弊した今の戦力に穴を開ける事は出来ない。
一部の戦力を導入し残りは防衛戦線に参加せよと上層部よりお達しが在った為である。
どちらにせよ認める事は出来ない命令であったが、事を起こせは首を絞められる事は理解していた。
「UNの管理施設、奴らの隠れ蓑の一つになっていたとは…」
「戦乱のドサクサで跡地となったからこそ隠れるには都合がいい場所だったのは確実だ、これがな。」
到着したノードゥスの一行。
ハガネよりキョウスケとアクセルが苦虫を噛み潰した様な言葉を告げた。
「ブルーロータスの説明ではこの施設の地下に奴らが秘密裏に接収したとされるクロスゲートが存在する。」
「私達はそのゲートを通過しユーゼス・ゴッツォの潜む空間に転移します。」
テツヤとレフィーナの説明を簡潔して言えば『心してかかれ』と言う意味合い。
L5戦役から密かに続いていたバルマーとの闘い。
その決着を着ける為に。
「ロサ、ゲートを動かせる人物が待っていると連絡を受けているが?」
「はい、こちらの姿を見せれば取り合ってくれるとの事です。」
「まさか、ハスミ少尉とイルイちゃんの他にゲートを操作する事が出来る人物が他にも居たなんて…」
ゲートの件で会話を続けていたテツヤ達だったが、突如…UN跡地の敷地内に一人の青年が姿を現した。
「待っていたよ、ノードゥス。」
「君は一体…」
「僕はBF団の代表……ビッグ・ファイアと呼ばれるもの。」
青年の語った言葉にノードゥスは動揺していた。
L5戦役の後、ぷっつりと活動が途絶えていた組織が表舞台に再び現れた。
それはある意味で更なる戦いを予兆させていたが…
「僕は君達と敵対する為に此処へ訪れた訳じゃない…あの存在が待つ扉の先へ向かうのだろう?」
敵対する為に現れた訳ではない。
倒すべき敵は同じ。
言葉だけの証拠も確証もない説得。
「此処であの者にアシュラヤーとナシム……妹達の子孫を渡す訳にはいかない。」
「妹!?」
「さあ、行くんだ…戦うべき相手が君達を待ち構えている。」
ビッグ・ファイアはUN跡地の地下施設に設置されたクロスゲートを起動させるとノードゥスの艦隊を亜空間へと転移させた。
「ゲベル、アシュラヤーとナシムの答えはこの戦いで決まる……君はどんな決断を下す?」
ビッグ・ファイアはバビル・ガンエデンとしての顔で今は銀河の果てに居る弟へ言葉を告げた。
届くかも判らない切なる願いを…
>>>>>>
「ここまでとは…」
亜空間に点在させた戦力。
たった四機の奇襲によって全てが鉄屑と化していた。
怒り心頭の彼らを誰が止められるだろうか?
「雑魚を集めた所で俺達を止めることは出来んぞ。」
「ガイアセイバーズの残存戦力を集めた所で意思なき戦力は烏合の衆に過ぎない。」
「…」
「さて、僕らを此処まで怒らせた事…後悔させてあげよう。」
一触即発。
触らぬ神に祟りなし。
龍の逆鱗に触れる。
どの言葉も正しいだろう。
「フ、倒せるのか?」
「何が言いたい?」
「実の娘を手に掛けられるのかと尋ねただけだ。」
「御忠告はさておき、僕らがその程度で動揺するとでも?」
「…そうだったな。」
覚悟を決めて敵地に突き進んだ。
戦うべき相手を容赦なく捩じ伏せる為に。
「戯れ言は此処までだ、ユーゼス…貴様の目論見もこれまでだ。」
「…それはどうだろうな?」
目覚める新たなる人の祖。
それは偽りの体現。
願うは…
=続=
語ることは出来ない。
私は既に此方側。
今はただ従うだけ。
次回、幻影のエトランゼ・第七十五話『人祖《アダマトロン》後編』
私は戻れない。
それが未来を護るための選択。