変異した結末。
新たな生命を守る為に。
前回の件から更に一時間弱の経過。
次元領域に隔てられた島で巨獣と次元将のバトルが繰り広げられていた。
因みに島の北部に位置する荒地はある意味でリングと化している。
「熱線をその様に使うとは…知恵が回るな?」
「…」
「だが、その程度で怯む俺ではない!」
尻尾による叩き付けの攻撃を耐え、その尻尾を掴んで投げ飛ばしたアウストラリス。
だが、地面に叩き付けられる前に先程の熱線をジェット噴射と同じ原理で使用し衝撃を和らげた。
「まだ終わりではないぞ?」
「…」
この状況にアウストラリス自身は楽しんでいるが…
当のゴジラは暴走しているものの本能なのか怒りとドン引きの表情をしていた。
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引き続き、ピラミッドから観戦するガドライト、アサキム、ハスミの一行。
ゴジラVSアウストラリスの様子に各自が感想を告げていた。
「怪獣にもドン引きされるって…」
「ハハッ、面白い光景だね。」
「特技のドロップキックが出てない所を見ると長期戦に持ち込む様子ですね。」
暫く双眼鏡で観戦を続ける中、ガドライトがハスミに話しかけた。
「あのゴジラ、ちょっかい出されて相当怒ってるぜ?」
「まあ、そのゴジラには申し訳ないのですが…暫くはアウストラリスの鬱憤晴らしになって貰います。」
「ハスミ、お前…随分と会わねえ内に腹黒くなってねえか?」
「色々とありましたので。」
「色々って…」
「勿論、言葉では語り切れない色々です。」
ハスミは笑みを浮かべて答えるが後光から漏れ出す怒りの思念が尋常ではない事をガドライトは肌で感じていた。
「…(こいつは地球で言う『触らぬ神に祟りなし』って奴か?」
「さてと、アウストラリスがゴジラの相手をしている間に調査を再開してきます。」
「調査?」
「どう言う事だい?」
「あのゴジラの全長や暴走する事に違和感がありましてね……何か理由があると判断しました。」
「そう言えば、君はあのゴジラの事を知っている様子だけと…?」
「それを説明するにはかなり膨大な量になりますけど…聞きますか?」
「出来れば簡潔に頼む。」
ハスミはガドライトらにゴジラの誕生から戦歴と後の結末を説明。
可能性がある部分を解り安く丁寧に説明した結果。
簡潔にしたものの膨大な量である事には変わらず、静聴していた二名はゲッソリと顔を青くしていた。
「ゴジラの情報は以上ですが、何かご質問は?」
「わりぃ、俺はもういい…」
「僕も…まさかそんなに情報があるなんて。」
「こちらのご説明でゲッソリしている所で悪いのですが…アウストラリスの見張りを頼みます。」
離れる際にハスミは『このまま放置すると羽目を外し過ぎて島を全損させそうな勢いなので。』と付け加えて置いた。
~数十分後~
ピラミッドから離れて北部に隣接するエリアへ足を運んだハスミ。
地上は先程の巨大昆虫や食人植物と言う名の吸血植物の温床だったので密林の太い枝を伝って移動していた。
道中で巨大昆虫や食人植物に出会わなかったのでは念動力で索敵し避けていた為である。
この能力も相まってハスミは過去にギリアム少佐率いる諜報部隊で重宝されていた。
「妙な気配がするのはあの岩山か…」
私はアウストラリスがゴジラと交戦を始めた頃、島の北部で妙な気配を感じ取っていた。
それが今まで感じ取った事のない気配。
その気配を感覚として表現すれば力が沸き上がる様な気配を思わせた。
恐らくは何かのエネルギー物質の影響ではないかと思い、足を運んだのである。
本来のゴジラの全長は大体50mが私が知る設定上の大きさなのだが…
あのゴジラは胸部の異常発熱と発光に三倍から六倍の大きさになっていた。
放置すれば、この島がゴジラのメルトダウンに巻き込まれて崩壊する。
それだけは阻止しなければならない。
この島があの島であると確証出来る要因と出会えたのだから…
「待ってください。」
「…貴方達は?」
「私達はこの島を守護するモスラと共に生きる者…」
北側の山に点在する洞穴に入り込み、奥へと進む。
その道中で出会った二人の妖精の様な存在。
彼女らから経緯聞く事となった。
~数分間のかくかくしかじか説明後~
「成程ね。」
モスラと共に生きるコスモスと呼ばれる二人の小美人。
二人の話によると地殻変動でインファント島の北側に隣接する様に荒地の島が出現。
因みに三式機龍を所持する特生自衛隊との諍いの件だが、三式機龍はゴジラと共に日本海溝に沈んだ筈だった…
所が何かしらの影響で復活したゴジラがミニラとゴジラが親代わりとして卵から孵った双子の幼生ガルドラスを引き連れて島に上陸。
ちなみにこのガルドラスは異常変異で幼生でもミニラと同サイズ。
暫くの間は何事も無く平穏に暮らしていたとの事。
所がある日、地震と共に現れた紫の結晶体が荒地の島に出現。
それに触れたゴジラは突如巨大化し暴れ始めてしまった。
暴走に巻き込まれそうになったミニラと双子のガルドラスを守る為にモスラを呼んだものの…
力の差は歴然でミニラと双子ガルドラスを逃がす道中で傷を負い、ここに不時着した流れである。
流れとして…この島のモスラは二体存在し双子の姉弟で姉の方は産卵期を迎えて動けないとの事。
「その結晶体はまだ残っていますか?」
「はい、島の一部に自生するかの様に。」
「残っています。」
「…もしかしたら、その結晶体の事を知れるかもしれません。」
洞窟の奥に自生する結晶群。
透き通るような紫色の色彩を煌めかせていた。
「これは…」
「この結晶をご存知なのでしょうか?」
「ええ、これはガルバストーンと呼ばれるエネルギー鉱石の一種です。」
ガルバストーンとはファイターロアの出身世界であるニューコンパチネイションに存在するモノ。
その世界の銀河にある惑星ガルシアでのみ産出される鉱石だった。
だが、ガルバストーンを掌握する為に惑星を支配しようとダダとその意思に賛同したゴロツキによって争いが激化。
バトルフォースの一員であったロアと惑星ガルシアで知り合った有志らと共にダダを撃破し協力関係にあった宇宙海賊とゴロツキを逮捕。
復活したガルドラスを倒し、惑星ガルシアは再び平穏を取り戻した。
それが私が知るガルバストーンにまつわる物語である。
「恐らくゴジラは…このガルバストーンを取り込んだ事によって過剰なエネルギー暴走を引き起こしたと思われます。」
「では、このままゴジラを放っておけば…」
「暴走したゴジラのメルトダウンに巻き込まれて島諸共壊滅します。」
「そんな事になったら島もモスラと卵も…」
「今も私の仲間がゴジラを抑え込んでいます、この事を仲間に伝えなければ…」
「判りました。」
「それと…傷ついたモスラにガルバストーンの欠片を持って行ってください。」
「何故です?」
「ガルバストーンは扱いを間違えなければ生物の傷ついた体を癒す事が出来る筈です。」
「そんな事が…」
「最後にこの事は誰にも口外してはいけませんよ?」
「はい。」
コスモスらはモスラに似たフェアリー呼ばれる生物と共にガルバストーンの欠片をモスラへ届ける為に別れた。
私もこの事を伝える為に洞窟を後にした。
>>>>>>
引き続き、島の北部にて。
ゴジラとの戦いを継続しているアウストラリス。
そのゴジラはお得意の熱戦を何度も吐き続けてゼイゼイと息切れを起こしていた。
何度かのエネルギー消費で胸部の発光が若干薄れてきている。
「そろそろ終りか?」
「…」
「ない、と?」
「…」
「だろうな、貴様は怪獣とやらの王だろう?」
貴様がここで引く事など在りはしない。
それがお前の闘争心。
強き者がより強い者に立ち向かう様。
貴様の本能と呼べるものがそうさせている。
「俺はまだまだ戦える…さあ、続きを始めるか?」
「…」
一方で一匹と一体の戦闘を監視するガドライトとアサキム。
「なあ、アサキム?」
「何だい?」
「アウストラリスの奴、ゴジラとフツーに会話が成立してやがるんだが?」
「見た感じそうだね。」
「…もうツッコむ気力もねぇよ。」
「彼女曰く、気にしたら負け…だろうね。」
引き続き監視を続ける二人であったが、双眼鏡越しの目処前の光景に『もうドウニデモなれ。』な様子でドン引き顔を披露していた。
そんな中で調査に出ていたハスミが戻ってきた。
「遅くなりました。」
「ハスミ、戻ったか。」
「はい、それと原因が判明しました。」
~かくかくしかじか説明中~
「つまり、そのガルバストーンってのが原因だったのか?」
「大まかに言うとそう言う事です。」
「それで解決策は?」
「取り込んだガルバストーンを切り離すか、使い切るかのどちらかです。」
後者に関してはゴジラの取り込んだガルバストーンの容量が不明な為。
下手に消費させるとゴジラの命が危うい。
「後者はゴジラの負担が大きいので前者のガルバストーンを取り除く方が賢明だと思います。」
「取り除くにしてもどうするんだ?」
「ゴジラは機械ではなく生物です。」
「と、言うと?」
ハスミは戦闘中のアウストラリスへと叫んだ。
「アウストラリス!ゴジラの腹部に五割強で打撃をお願いします!!」
「招致した!」
一撃必殺。
アウストラリスの一撃がゴジラの腹部に直撃。
その衝撃でゴジラはガルバストーンの欠片を吐き出したのだ。
「これが奴の怒りの原因か…」
衝撃で足元に転がったガルバストーンの欠片をアウストラリスは踏み砕いた。
戦闘後、ゴジラはガルバストーンを吐き出した後に元のサイズへと縮小した。
様子に気が付いたミニラ達も出てきて気絶したゴジラに集まり大音響で泣いていた。
コスモスらに頼んで事情を説明して貰った所、何とか納得。
この一件でゴジラに関しては『ガルバストーン恐怖症』になったとか…
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その後、無事にピラミッドから出てきた零児らと合流した私達。
彼らも行方が掴めなかった仲間達と無事に合流出来たとの事だった。
その後、島が転移する事を知った私は急いで離脱用の転移の準備を整えた。
ピラミッド周囲の様子を遠くからゴジラとミニラ、双子の幼生ガルドラス、復活したモスラが見守っていた。
問題を解決したこの島は元の世界に帰るのだろう。
私達はクロスゲートの転移で島を後にした。
転移の瞬間に彼らの雄叫びが聞こえる。
いつかまた出会えるだろうか?
=続=
平凡な日常を暮らす者達。
これは夢ではなく現実。
語られる物語は彼らに受け入れられるだろうか?
次回、幻影のエトランゼ・第七十九話 『潜者《ビルドダイバー》』
想像の力は波乱の呼び水と化す。
=その後のインファント島=
平穏を取り戻した島でモスラの卵が誕生し暫く経過した頃。
漸く、卵が孵り双子の幼生モスラが誕生。
そのモスラが成虫になった時、羽の色が紫色になっていたのはまた別の話。