それは合わせ鏡の様で違うもの。
伝承はその者の持つ記憶であり。
全てが同じという訳ではない。
今は知らずともいい。
これが『虚億』であり『実憶』と知るのはもう少し未来である。
話は遡り、DG失踪から1日が経過した頃。
この戦いで私は取り返しのつかない失態を侵してしまった。
目覚めたのはメディカルルームの一室、どうやら救出されたらしい。
横で付き添っていたクスハが他の皆を呼びに行った後、医者からは外傷は左腕の傷だけで他に異常は見られないと説明を受けた。
パイロットスーツを着用していなければコックピットの破片で左腕所か体の肉の何処かが抉れていたかもしれないと冷や汗ものの話もあったが、左腕の傷は縫う程の物ではないので出血が止まれは保護フィルムで良いと言われた。
運が良いのか悪いのか不明な感じだ。
******
「ハスミ、私のせいでごめんなさい。」
「そんな事はないよ、クスハのせいじゃないから気にしないで。」
「でも、無事で良かった。」
「うんうん、あそこにいるタレ目の赤ワカメな王子君がハスミちゃんを助けてくれたのよ?」
「誰が赤ワカメな王子君だ…!」
私はATXチームの分隊室で他のメンバーから心配されていた。
もちろん、お義父さんからはしっかり平手打ちを受けて置きました。
心配ばっかりさせてゴメンなさい。
クスハは謝りっぱなし、エクセレン少尉は冗談交じりで新メンバーにちょっかいを出していた。
「あの、そちらの方は?」
「彼はアクセル・アルマー、元傭兵でうちの方で預かる事になったのよ。」
エクセレンの説明を受けてハスミはアクセルに自己紹介を含めて挨拶を交わした。
「助けて頂きありがとうございます、私はATXチーム所属ハスミ・クジョウ准尉です、コールサインはアサルト5です、よろしくお願います。」
「慣れ合うつもりはないが…よろしくな。」
「はい、よろしくお願いします。」
それと同時に独特の赤いマントの男性と女性が分隊室へ入ってきた。
「お~来た来た、ハスミちゃん、今日からこの部隊に参加する事になった…」
「ドモン・カッシュだ、DGの追撃の依頼を受けてしばらく同行する事になった。」
「私はレイン・ミカムラ、ドモンのサポートメンバーよ。」
「お話は伺っています、ご迷惑をおかけしたようで…」
「ハスミだったわね、体調がすぐれなかったりしたら相談に乗るから気軽に声をかけてね。」
「レインは医者でもあるんだ。」
「はい、その時はお願いします。(やっぱりDGと直接接触した一人だからかな?」
「でね、ハスミちゃん。」
「はい?」
「アナタをコックピットから出すのにすっごく苦労したのよ?」
「へっ?」
「だって、触手に巻き付かれたあられもない姿だったのよ?」
「はい?(うわ…まさかの危ない薄い本ネタがぁ。」
「少尉、なっ何て事言うんですか!?」
「だって~滅多に出来ない体験じゃない?」
「…(いや、後に貴方もその餌食になるのですか。」
「大丈夫よ、ハスミちゃんはちゃんと乙女のままだから。」
「あ、はい…(意味は解りましたが、そこでそのネタ振りますか!?」
エクセレンのいつものネタ発言にブリットがツッコミを入れた。
周囲はノリに着いて行けず唖然としている。
呆れた表情でエクセレンを見た後、キョウスケ少尉が話しかけてきた。
「ハスミ、お前のガーリオンだが…」
「やはり、壊れてしまいましたか?」
「いや、修理は終わっているが…機体のスペックがお前に追いついていないらしい。」
「えっ?」
「専属のマーリン博士にも相談をして置いたが、元から改良を加えた方が今後運用するのに支障は無いだそうだ。」
「そんな事が、私にそんな高度な操縦技術を持っている訳じゃ…」
「日頃、お前が地道にシミュレーターで練習を重ねているのは皆が知っている。」
「それが徐々に実ったって話よ。」
「いえ、私は自分に出来る事をしているだけで…(でなきゃ即死でしょ、普通。」
「もう~お姉さん感動しちゃう~。」
本音を他所に謙虚な発言をしたのだが、エクセレン少尉に捕まり某龍玉のスケベな亀様の様な状況に陥ってしまった。
いつもの通り、呆れた表情でブリットが話をしていた。
「ふえっ!?」
「少尉、ハスミが窒息しますよ。」
「可愛い子はモフモフするに限るでしょ?」
「わふっ!?(く、くるしい。」
「兎に角、次の行き先であるトリントン基地でお前の機体は改修作業に入る、改修作業が終わるまではゲシュペンストmk-Ⅱに乗って貰う。」
「りょ、了解しました。」
「ゲシュペンストmk-Ⅱは地上での戦闘が主だ、ガーリオンとはモーションパターンや戦術が違ってくる、カイ少佐がシミュレーターでの講義してくれるそうだ。」
「カイ少佐が?(あーこれってまさか?」
「隊長はエルザム少佐やテンペスト少佐と共に前回のAnti・DCの戦力を調査中だ。」
「例のですね、たしかAnti・DCの戦力の他にジオン軍、見られない機体がありましたね。」
「ああ、以前にもアーガマ隊とSRXチームが遭遇した集団に酷似しているそうだ。」
「確かにMSとはちょっと違う感じはありましたね。(まだ決起の様子がないけど、きっとギガノス帝国と名乗りを上げる筈だ。」
「だが、機体に使用されていた素材は地球圏で採取される素材だった、この意味は解るな?」
「…察しました。」
確かに前回もAnti・DCはジオン公国軍と同盟を結んでいる事は連邦も知っている。
実際、地球に偵察程度でバッタやカトンボを放っている木連や個々出しで戦力を出撃させているギガノス帝国の事もある。
似たり寄ったりな異星人連合やDrヘルに恐竜帝国等の異形勢力は特機な彼らに任せるとしよう。
アクセルさんが出て来た以上、Aのシナリオも入って来ているだろうな。
ラミア・ラヴレスと敵対する可能性もあるけど、今はOGの状況だし。
まだ動きはないとは言え、ちょっと心配だな。
出来る事ならWシリーズの人達も救ってあげたい。
問題はあの緑ワカメがこっちの説得に乗るかだけど、場合によってはご本人単体システムXNでエンドレスフロンティア送りにしちゃおう。
ご趣味の闘争真っ盛りの世界だし、一石二鳥でしょう。
あれ、ちょっと待てよ?
Aのシナリオが入って来ていると言う事はそろそろあのドラグナーの三馬鹿トリオに接触する筈だよね?
また記憶持ちって訳じゃないと思うけど、何だかややこしいな。
まあ、傲慢な態度を取っていたら修正しよう。
その方が彼らにとっていい薬だろうし。
まったく『この世はさながら戦国』ですかね。
♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱
アイドネウス島での事後処理を終えた後、私達はオーストラリアのシドニー基地を経由し内陸のトリントン基地へ向かう事となった。
二日程度の巡航である。
途中で敵部隊の交戦もあったが、新規参入したソウルゲインとシャイニングガンダムの敵ではなかった。
むしろ敵が可哀想な位の悲惨な迎撃を受けていたので。
水上メインの戦闘時はハガネの艦橋でライジングガンダムの射撃を見る事が出来た。
やはりレインさんの射撃の腕はいいが、接近戦では躊躇いが見られた。
今回は原作と違い、早期参入してくれたので時間は掛かるが腕を磨く経験は詰めると思う。
そして私自身に問題が起きていた。
DG細胞の感染だ。
感染の傾向は原作よりも遅いがそれも時間の問題だろう。
今の所、破壊衝動に飲まれる様な危険性は感じられない。
寧ろ静かな方だ。
そして次にDGに接触した場合どうなるか不明な所だ。
私は正気を保っていられるだろうか?
DGのDG細胞の感染の恐ろしさは画面越しや書籍、ゲームなどで理解している。
だからこそ私は立ち向かわなければならない。
解り合えずに何も知らずにただ復讐に囚われる人を見ているのは嫌だから。
******
「ハスミ、ちょっといいかしら?」
「はい、何でしょう?」
「お仕事中だったかしら?」
「いえ、丁度作業が終わった所だったので時間はありますよ。」
私は自室でカイ少佐へ提出予定のレポートの作成を行っていた。
ゲシュペンストmk-Ⅱのモーションパターンや戦術指南を受けた後、自分なりに戦う方法をレポートに纏めて提出と言われた為である。
ガーリオン・タイプTに装備されたストライク・アキュリスは取り外しが可能なのでゲシュペンストmk-Ⅱに装備された状態での戦法も含まれている。
予想していた通り、『究極ゲシュペンストキック』のモーションパターンの入ったOSを頂きました。
はい、今度叫んできます。
丁度作業を終えた所でレインさんが訪ねて来たのだ。
「調子はどう?」
「もうすっかり、クスハドリンクを飲んだせいかもしれません。」
「ああ、あのドリンクね。」
「はい、あのドリンクです。」
2人そろって遠い目で思い出しました。
私が病室から出られる様になり分隊室で団欒している時にクスハがクスハドリンクを携えて現れたのだ。
その場に居た三人から同情の視線を受けつつ飲み干しました。
文字通りで半日程、病室送りになりましたが現在は快調です。
「あのドリンクって不思議ね?」
「ええ、どう言う訳か味は兎も角…効力が凄まじいですからね。」
「ドモンやアクセルも飲んでいたけど、よく耐えたわね。」
そう言えば地獄を見て来たかの様な姿で二人とも青ざめていたな。
あれに耐えきれる人って結構少ないんだよね。
特例としてエルザム少佐他数名以外はね。
「大体は必ずと言っても倒れるのですが、中には無事な人もいるんです。」
「そ、そうなの。」
「一例としてエルザム少佐とか…」
普通は驚きますよね。
あのブクブクと泡立ってジャリジャリしててコッテリでドロドロの紫色のスライムみたいな飲み物を飲んで無事で居られる人って何でしょうかね。
「あの…それで本題の話とは?」
「ええ、貴方に伝えておきたい事があって…」
「はい。」
「実は前の戦闘での事なのだけど、何か変わった事は無い?」
「変わった事?」
「例えば今回の様に急に調子が良くなったり感覚が鋭くなったりとか?」
「体調は良くなりましたけど、他はどうかと言われると…」
「そう、ならいいのよ。」
恐らくDG細胞の研究結果が出たのかな?
相当ヤバい状況になってきているみたいだね。
「実はUGいえDGと呼称される様になったのだけど厄介な事が分かったの。」
「厄介な事?」
「ええ、UG細胞と呼ばれる環境再生システムなのだけどあれが誤作動を起こしてDG細胞に変異した事は知っているわね?」
「はい、先日レポートの方は目を通させて頂きました。」
「そのDG細胞に生物への感染の事例が出たの。」
「えっ、生物にですか?」
「実験用のマウスに回収されたDG細胞を投与した結果、凶暴性を発揮して周りにいた未感染のラット次々に襲って感染させてしまったの。」
やっぱり、原作と同じ結果になった訳か。
治療法が見つかっていないから実験用ネズミちゃん達は処分されちゃったんだろうな。
「もしも貴方にも感染の傾向が出始めたらすぐに教えて欲しいの。」
「私が直接DGに接触した人間の一人だからですか?」
「ええ、感染経路はまだ判明されていないけど直にDGと接触しているのなら考えられるとライゾウ小父様から通信が入ったの。」
「そうですか、あの…もしも私が感染したらどうなってしまうのですか?」
「一時的に隔離をお願いする事になるわ。」
「…(ですよね。」
「小父様の研究が進めば治療法が見つかるかもしれない、それがいつになるかは今後の研究次第なのだけど。」
「判りました、何か変化があれば相談します。」
「ええ、今の所感染の様子も無い様だから念の為と思って頂戴。」
「いえ、ご心配をお掛けして申し訳ないです。」
その後、レインは軽い検査をハスミに行った後に部屋を離れていった。
「…」
話すべきだったのかもしれない。
でも、話せる状況じゃない。
私は解り合いたいと願ったのだから。
******
その頃、ATXチームの分隊室の一室にて。
キョウスケ、アクセル、ドモンの三人がその場に集まっていた。
ゼンガー達は引き続きAnti・DCの戦力の調査。
エクセレンとブリットは偵察任務で不在、クスハはメディカルルームで仕事中、ハスミはレインとハスミの自室で話している最中であった。
「俺達の今の状況を話を纏めるとこう言う事になった。」
内容が長いので箇条書きで説明。
※この場に居る俺達は全員過去の記憶を持って復活?転生したらしい。
※差異はあるものの『あの戦い』を知っているのは俺とアクセルのみ。
※ドモンはとある世界で『調律された世界に現れた怨念を司る存在』に世界を破壊された記憶を最後に転生した。
※一例としてドモンが既に明鏡止水を会得している様に転生者は前回の能力を引き継いでいる。
※この世界は俺達が関わった複数の記憶にある様々な世界が入り混じり混濁した世界である。
※この時期に発生している筈の事件や死亡者の死亡が未然に防がれてしまっている。
※現時点で不明であるが新たな組織の存在と居る筈の無い存在が存在している事。
※少なくとも転生者は他にも存在する可能性がある事。
「要約するとこうなった訳だな、これがな。」
「ややこしいな。」
「それよりもお前達は何処まで記憶を持っている?」
「三度目位までなら覚えている。」
「俺も三度目だ。」
アクセルとキョウスケが転生の際に覚えていた転生前の記憶は三度までだった。
そしてドモンの方へ顔を向けると指折りで確認しているドモンの姿があった。
ドモンは申し訳なさそうに顔を背けるとボソリと呟いた。
「俺は十二度目位…かなり曖昧だが。」
「「!?」」
「何だ、その出鱈目な記憶量は!?」
「転生前の記憶を持つ者に差異があると言ったのはお前達だろう!」
「否定はしないが…」
「流石に多すぎだろう!」
「一番多い記憶が師匠と殴り合いしていた事ばかりだ。」
「あの爺さんか。」
「そんな事もあったな。」
ドモンの保持している記憶数にツッコミを入れるしかない二人。
二人の発言に正論を問うドモンであった。
ふと、キョウスケはある提案を思い出しドモンに話を進めた。
「ドモン、覚えている限りで良い…今からある人物達の名前を上げる。」
「名前だと?」
「今から話す人物に出会った事のある奴は居るか確認して欲しい。」
「分かった。」
キョウスケは転生前の世界で仲間であった存在達の名前を幾つか上げた。
そしてその幾つかにヒットしたのである。
「ラウルとフィオナ達、ヒューゴ、アクア、トーヤ、カルヴィナ、三人娘、リュウセイ達SRXチーム、キョウスケ、エクセレン、アクセル、ラミア、マサキ達と奴等と縁のある敵勢力も知っている。」
「他には?」
「この世界でまだ会った事は無いがイルム、リンの二人とゾヴォークのゲスト三将軍も転生前の何処かの世界で出遭った事がある。」
「そこまで関わりがあるとは…」
「出会った事があるとは言え、そちら側と若干情報が違う様だ。」
「そうだな、かなり差異がある。」
「兎に角、今後現れるだろう敵勢力の存在も知る事が出来たが…」
「問題はそれをどうするかだ。」
ドモンが知る転生前の記憶から数多くの戦いとそれに関わった勢力について情報を得る事が出来た。
差異がある記憶はトーヤが紫雲統夜と言う名前で呼ばれていたり、三人娘が純粋な地球人で幼少期よりフューリーに拉致された事、ラウル達が元々居た時代からデュミナスとの戦闘が原因で5年前の戦いに時間移動してしまった事、ヒューゴ達と戦ったAI1やリュウセイ達と共にゼ・バルマリィ帝国のユーゼスとラオデキヤ率いる第8艦隊と交戦した事が判明したのだ。
そしてキョウスケとアクセルの転生前の記憶に残るアインストとシャドウミラーとの戦いも覚えていたとの事だった。
「ざっくり話すとその位だ、お前達の知るインスペクターいやゾヴォークが今後こちら側に侵略を開始するのがいつ頃なのかは分からない。」
「そうだな、現状ではゼ・バルマリィのはぐれバルマーが侵攻してきているのは予想は着いているが…」
「今後の展開は俺達にも不明だ。」
「何分、俺達の知らない勢力もこの戦いに姿を現している様だからな。」
「いずれ現れる敵勢力の事もな…」
「一つ気になる事がある、ブルーロータスを知っているか?」
「ブルーロータス?」
「例の神出鬼没のハッカーの事か?」
「ああ、俺はあのブルーロータスに情報を貰いUGいやDGの誕生に遭遇した。」
「やはり、ドモンお前もか…」
「キョウスケ、どういう事だ?」
「ブルーロータス、経歴は不明、神出鬼没の凄腕ハッカーもしくは情報屋と呼ばれている存在だ。」
「そんな奴が存在していたのか?」
「その情報収集能力を手に入れようとしてブルーロータスの正体に近づくものはその名の通り破滅する。」
「破滅だと?」
「レインに聞いてみたが蒼い睡蓮の花言葉は『滅亡』を意味するらしい。」
「なるほどな、だから
「情報も使い方次第では身を滅ぼすと言う事だ。」
「現にゴースト小隊にアラド達スクールのメンバーや他の実験体が捕らえられている実験施設の情報を流した位だ。」
「奴らを?」
「どうも、何かしらの条件で協力している様だ。」
「キョウスケ、アクセル…少しいいか?」
「どうした?」
「俺の他にブルーロータスと直接接触した事がある奴が居る。」
ドモンの驚愕発言に再び驚く二人。
「何だと!?」
「誰だ…そいつは?」
「キョウスケお前なら知っている筈だ、ロム・ストールの名を。」
「ロムが!?地球圏に来ていたのか?」
「ああ、俺がギアナ高地で修業をしている時に再会した。」
「もしや記憶を持っていたのか?」
「転生前の記憶で覚えていたのはお前と同じく三度程度、地球圏に向かったのもそれが最良と考えた末だったらしい。」
「今は何処に?」
「縁あって、とある財閥の家に厄介になっていると話していた。」
「まさか破嵐財閥か?」
「いや、そこまでは…家主との約束で教えて貰えなかった。」
「おい、二人だけで話を進めるな。」
「すまん…」
蚊帳の外にされかかっていたアクセルの発言にドモンは転生前の世界でのかつての仲間であり異星人であるロム・ストールの事を話した。
「成程な、で…そのロムが接触したブルーロータスとはどんな奴だった?」
「外見は白いローブに睡蓮の絵を入れた仮面を付けていたらしく性別も不明だったそうだ。」
「だろうな…」
「ロムも人としての気配を感じ取れなかったと話していた、恐らくアンドロイドか何かで遠隔操作していたかもしれないと…」
「余程の秘密主義か、奴は何故ロムに接触を図った?」
「地球圏外の外宇宙の情勢を知る為と言っていた。」
「外宇宙でも拙い事になっているのか?」
「拙い所の騒ぎじゃない、下手をすれば地球圏を侵略されかねん勢いだぞ…!」
「!?」
「さっき話したゼ・バルマリィ帝国の他にゾヴォーク、ズール・ムゲの星間連合、バッフ・クランの四大勢力による抗争、ゼントラーディの巨人軍に宇宙怪獣、地球圏に接触していないがアインスト、ガルファにラダム、イバリューダーが無作為に行動しているらしい。」
「聞き慣れん勢力もあるが、かなりの脅威である事は判る。」
「他は兎も角、俺はゼントラーディの巨人軍とイバリューダーについては何も知らない。」
「俺は主に後半部分から既に解からん。」
「とりあえず俺達が気をつけるべきは地球圏に飛来している勢力並びに反勢力だな。」
「そうだな、以前コソコソとしているが木連やギガノスの行動も放って置けば厄介な事になる。」
「ああ。」
行動すればするほど、変化があればあるほど抱え込む厄介事は増えるばかりである。
やはりこの世界は何かがおかしいと思う三人であった。
「俺はその場に居なかったがドモン、アクセル、DGの誕生現場に居合わせていたな?」
キョウスケは先の戦闘で起こったDGの誕生現場の件について聞こうとした。
「…何があった?」
「前と同じ様にウルベの奴が外部の協力者を募ってDGの格納庫に爆発物を仕掛けていた。」
UG稼働実験の最中、突然起こった爆発から父さん達を護るのが精一杯だった。
そしてその爆発が原因でUGのUG細胞に誤作動が起きてDGへと変貌してしまった。
そしてそれを期にウルベは父さん達を反逆者としてDGを接収しようと現れた。
だが、ウルベを追っていた国際警察機構の村雨が現れた。
村雨とウルベに脅されていたものの内部告発をしたミカムラ博士の話でウルベのAnti・DCとの密約があった事が判明し、軍上層部の権限でウルベの権限を凍結並びに逮捕する筈だった。
所がAnti・DCに協力していた木連の北辰によって奴はまんまと逃げ果せてしまった。
俺とアクセルは奴らの伏兵から父さん達を護るのに精いっぱいだった。
そしてDGを止めようとした兄さんがDGに取り込まれてしまい取り逃がしてしまった。
真実を告発したミカムラ博士は父さんを庇ってウルベに撃たれてしまい今も治療中だ。
「それが全てだ。」
「…」
「俺ももう少し助力出来れば良かったが…すまん。」
「いや、兄さんは死んだ訳じゃない…今度DGを見つけて取り戻して見せる。」
ドモンは全てを話し終えた後、必ず兄を救うと心に決めた。
「しかし、木連までAnti・DCに協力していたとはな。」
「烏合の衆って奴だろう。」
木連の出現に少し不安な面を語る二人。
「この場に居ないが村雨の奴には感謝しきれない、ミカムラ博士も…俺は必ずウルベの奴を仕留める。」
「協力するぞ、ドモン。」
「乗り掛かった舟だ、これがな。」
「キョウスケ、アクセル…すまない。」
「とりあえず、俺達がすべき事はどうするか?」
「これまで通り戦い…その最中で俺達と同じ様に転生の記憶を持つ者達を探す事だ。」
「そうだな。」
この場の三人が決めた決意はいずれ未来を変える礎となるだろう。
=続=
月夜の下で白き忍者は忍びなれど忍ばない。
そして折り鶴に従えられた獅子、鳳凰、青竜、巫女はそれに続く。
そして睡蓮は紡がれた外伝の奇跡を目の当たりにする。
次回、幻影のエトランゼ・第四話『月下《ツキノシタ》』。
満月の空で紡いだ軌跡は真の奇跡。