幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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天使達は目覚め。

魔王は降臨する。

本当の歪みは何なのか?

それを示す為に。


第百十四話 『天場《テンジョウ》』

 

時間を少々戻し…前回のアル・ワースにて。

 

ドアクダー軍団の第二階層ボス・デス・ゴッドを打ち倒した。

 

それと同時にアル・ワースの戦力バランスを混乱へと導いた。

 

これにより敵の戦線は総崩れとなり暫くの間は睨み合いが続くだろう…

 

一時的な冷戦状態となったアル・ワースを後にし多元地球へと帰還。

 

天使達の目覚めと魔王の復活を手助けする為に私達は動いた。

 

だが、二つの大きな動きの後…あの事件へと繋がっていくのだった。

 

 

******

 

 

地球連邦政府が設立されても世界は変わらない。

 

それは臭い物に蓋をする様な感じにも似ている。

 

不安定な政治にその強硬策を良しとしない小国や紛争地域。

 

力でねじ伏せようとするアロウズの横暴な活動が続く中…

 

アッセンブルEX-10ことクメン王国の内乱。

 

犯罪組織ブランチの破壊工作。

 

次元獣に変わり暴走するルーンゴーレムとアールヤブの混成集団。

 

大元を叩いた事で沈静化しつつあるラマリス。

 

暗黒大陸での戦いを期に活発化したインベーダー。

 

再起を目標とする黒の騎士団の活動。

 

瓦解したソレスタルビーイングの生存。

 

最後に才色兼備で優秀な女性の相次ぐ失踪。

 

これらが陰月での決戦後に起こった主な出来事である。

 

 

~リモネシア共和国・政庁~

 

 

最下層の円卓の間にて待機中のリアクター勢が集結し今後の方針を話し合っていた。

 

鋼龍戦隊は約束通り、アビスの影響が少ない時期に元の世界へと帰還。

 

向こう側で発生している事件を追って貰う形で情報を経由して置いた。

 

勿論、DDコミュニケーターは預けて置いたので話す事は可能である。

 

余程の事が無ければ使わないだろうが念の為だ。

 

 

「ハスミ、ロックオンの状態は?」

「リハビリに専念して貰ってますが、経過は良好です。」

「そうか…あの時はヒヤヒヤしたけどよ。」

 

 

情報共有の為の話し合いによるクロウとハスミの対話。

 

アロウズの前身である強硬派の部隊によるソレスタルビーイングに壊滅後の出来事。

 

ほぼ虫の息だったロックオン・ストラトスが運ばれてきた際のクロウさんの慌て振り。

 

…アレには眼を向けられなかった。

 

お金絡みになると残念な所もあるが、常に冷静な雰囲気を保っていたクロウさんの余裕のない部分。

 

誰だって失う事に慣れるなんてない…

 

大小違えど残された者の心には必ず傷は残るのだ。

 

 

「大体の説明はして置いてありますので、暴走はしないと思うのですが…」

「アイツのハロにも制限掛けてあるし…何かあれば俺から言うさ。」

「クロウさん、引き続きカタロンへのアプローチをお願いします。」

「判った。」

 

 

現在、クロウは次元獣バスター改めデモンバスターとして各地で活動中。

 

新参バスターのエスターにスットコドッコイことカルロスがマネージャーをしているので大丈夫だろう。

 

そんな彼女も黒の騎士団のカレン達と行動を共にする為にアッセンブルEX-10へと向かった。

 

 

「エルーナさんも面白そうって言って便乗しちゃいましたし…(今頃、バニースーツでも着てるのかな?」

 

 

表向きは神聖クメン王国の付近で出現しているルーンゴーレムとアールヤブの殲滅。

 

暫く殲滅行動を現地で行うので、気休めに仲間達と共にクラブファンタ厶に酒飲みに出かけているとの事。

 

まあ、エルーナさんは金髪でチャームポイントも相まって似合ってるし大丈夫だろう。

 

流れでダバラーンさんは安定の鼻血で卒倒は置いといて…

 

手を出した輩の命の保証はしませんが、自己責任って事で。

 

ハイアデス隊のノリが某世界蛇とか特攻野郎〇チーム張りだし。

 

 

「…(セツコはICPOで犯罪組織、ランドは遮断された暗黒大陸へ調査。」

 

 

現在、非公式でイグジスタンスとして外部へ行動に出ているのはセツコ、ランド、クロウ、アサキムの四人。

 

その内の二人、クロウとアサキムは定期報告の為に戻っている形である。

 

他に公式で国連からの依頼をしているのはストラトス姿のエルーナ、ガドライト、ヒビキの三名。

 

外部組は以上の七人、残留組は以下の七名。

 

国防の関係で尸空、バルビエル、ハスミ。

 

同盟国家と言う形でユーサー。

 

ガイオウ、アイムらインぺリウムの監視としてアウストラリスが残っている。

 

代表が外部へ遠征に出るのは稀である事は理解して貰いたい。

 

 

「ユーロ方面の諍いは片付いた訳だな?」

「ジュリアスはルルーシュに戻されてエリア11に帰還…その後の調整はしておかないとね。」

「いずれにせよ、あの連結ちくわ頭の皇帝の慌てぶりを見て見たいですよ。」

 

 

ユーロ方面でルルーシュ達に協力していたアサキムとアイムからの報告。

 

ルルーシュが行ったのは秘密裏にレイラ・マルカル率いる部隊と協力体制を取る事。

 

彼女らも皇帝の行動に不信感があったらしくゼロの関りをチラつかせたらあっさりと協力してくれた様だ。

 

他にも反ブリタニアの勢力と連携を取り、着実に黒の騎士の再生を図っているルルーシュ。

 

帝国の失墜とマリアンヌの姿を借りたエンデの暴虐に立ち向かう為にも必要な措置だ。

 

戦いの後、ブリタニアは貴族制を廃止し国家解体の後に共和制へと移行する形になるので出来ればその後の協力者を集めている。

 

 

「で、ガイオウは?」

「アル・ワースでの遠征で敵部隊を壊滅寸前まで追い込みました。」

「相変わらずエグいな。」

「長く生き過ぎて腑抜けになった腰抜け連中だ。別にいいだろう?」

 

 

アサキムとクロウの発言もそうだが、当の本人であるガイオウも十分怠惰になっている。

 

円卓の間には彼用の座席を用意して置いたが、現在は端に用意したごろ寝マットで漫画を読みふけっている。

 

ちなみに読書中の漫画は北〇の拳と聖〇士星〇でハスミが前世上の記憶から再生したもの。

 

アウストラリスもお気に入りらしく絶対に汚損&破損禁止と圧を入れている位だ。

 

 

「ガイオウの活動で奴らも立て直しに時間を要するだろう。」

「この隙に多元地球での混乱に対応する形になります。」

 

 

予定通りの流れに持ってこられた。

 

だが、流れは何時も何処かで変わっていく。

 

 

「クロウさん、ロックオンさんがここから飛び出しそうです。」

「は?」

「どうやら病室を抜けて格納エリアに忍び込んだ様です。」

「あの馬鹿!」

「機体には鍵を掛けてありますので動かす事は出来ない…」

「?」

「後の事はクロウさんに一任します。」

「ああ、判ったぜ。」

 

 

クロウはそのまま円卓の間を後にし格納エリアへと急いだ。

 

脱走したロックオンは修復されたMSと共にリモネシア共和国を離脱。

 

それを追ったクロウと合流しゴビ砂漠へと向かった。

 

ハスミは流れで知っていたのだ。

 

止められないのなら好きにさせてしまえばいいと…

 

そしてソレスタルビーイングの復活を示す戦い。

 

ゴビ砂漠の戦いからのアロウズの政敵犯収容所襲撃後の事。

 

戦いを終えたロックオンはクロウと話した。

 

 

「いいのか?」

「俺はもう亡霊だ、新しいロックオンが居るのなら…俺は影で動くさ。」

「そうか…」

「てな訳で、ハロと共々宜しくな?」

「クロウ、ヨロシク、ヨロシク。」

 

 

ロックオンはソレスタルビーイングに新たなロックオン・ストラトスが誕生した事を知り合流を止めた。

 

彼はニール・ディランディではなく亡霊のストラトス…ファントム・ストラトスとして活動すると宣言。

 

イグジスタンスいやクロウと共に着いていく事を選んだ。

 

もう一つの目覚めはここにも起きた。

 

エリア11で彼は宣言した。

 

 

『我が名はゼロ…この誤った形の世界を壊す者だ!!』

 

 

高らかに宣言したゼロと黒の騎士団の復活。

 

エリア11を含めた植民地では奇跡の復活に喜ぶ声。

 

ブリタニア帝国を含めた支配地域では強敵の復活に苦い顔をした。

 

 

「これで私達の仕事も一段落ですね。」

「後は彼次第か…」

 

 

エリア11に作られた街、その人混みの中でゼロの演説放送を見るアイムとアサキム。

 

本来の姿であれば周囲から奇異の目で見られただろうが…

 

アイムの偽りの力で姿を偽っていた。

 

 

「ん?通信ですか。」

 

 

所持していた通信機に応答するアイム。

 

相手はハスミであり、緊急を要しているのか慌てた声だった。

 

 

『お二人共!』

「ハスミ、どうしたんだい?」

『至急、リモネシア共和国へ帰還してください。』

「何か起こったのですか?」

『エンブリヲが行動を起こし…セツコ達が攫われました。』

 

 

二人は急ぎ、リモネシア共和国へと帰還した。

 

 

>>>>>

 

 

常に勝利と同時に敗北も平等に齎される。

 

 

「…私の失態です。」

 

 

ほんの一瞬だった。

 

別の戦線に出撃していたセツコ達が連れ去られた。

 

イグジスタンスは一四名中二名のスフィアリアクターを奪われた事となる。

 

此方の内情を知らない勢力からは只の戦力削りと思われるだろう。

 

調査の結果、あの残滓は残っていた。

 

奴が動いたと言う決定的な痕跡が…

 

私は救助プランを上げてアル・ワースへ向かう事をアウストラリス達に進言。

 

早期に向かえば、奴の行動に障害を与える事が出来ると…

 

この私の焦りは驕りとなって自身の失態を招く事となった。

 

私は何も出来ないままエンブリヲに連れ去られた。

 

その真実が無惨に残ったのだ。

 

 

=続=





奪われた自由。

彼らの怒りは頂点に達する。

向けられる矛先は愚者へと続く。


次回、幻影のエトランゼ・第百十五話『人形《ヒトガタ》』


愛する者は人形となり着飾り踊らされる。
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