全てを喰らい尽くす為に。
獣は動き出す。
止まる事のない永劫の暴食。
前回、ブリタニア皇帝の崩御と共に本国へ強制帰還したブリタニア軍。
ブリタニア軍はシュナイゼルの指示の元、命令あるまで全ての戦闘行為を停止と指示された。
国のトップが亡くなった以上は国の方針が変化する。
超合衆国も敵意の無くなった国を攻め入る事はしないとゼロから指示を受けた。
あるのは目処前の光景にどう対応するか?である。
******
エリア内乱終息から数日後。
大規模な次元震が発生し、アル・ワースだけではなく別世界の地球も出現した。
その地球こそ私ことハスミの故郷である新西暦の地球だった。
エンデはアル・ワースだけではなく多元地球と新西暦の地球ごと取り込もうとしている。
奴の暴食は止められない。
ならば、喰らい尽くす前に仕留めなければならない。
~アルワース・エンデの大樹・領域内~
アルワース各所へ殲滅行為を行う魔従教団を止めるべく、エクスクロスは教団本部へ向かっていた。
だが、エンデの奸計とバアルの力によって包囲網が敷かれていた。
そこへ…
「そう言う小細工は無しで結構ですよ?」
エクスクロスを包囲したエンデの配下達を一掃する軍団が現れたのである。
魚、鳥、獣と女性が組み合わさった蒼き軍勢。
アシュラヤー・ガンエデンの配下であるショメルの軍勢だった。
その中心に陣取る白と黒のコントラストを残す紫の魔神。
念神エクリプスもその姿を晒していた。
「ハスミ!?」
「マサキ、エクスクロス…ギリギリの所で悪かったわね。」
「こっちに接触したって事は何かあったのか?」
「…かなり拙い状況である事は確かよ。」
通信からもかなり深刻な表情をするハスミに対してシュウが求めている答えを告げた。
「では、その件のご説明を願えますか?」
「そのつもりです。アウストラリスからもその件で了承を得ています。」
あくまでアウストラリスからの使いと言うスタンスを崩さないハスミ。
だが、自身の対バアル戦用の軍勢を動かした以上は相手はバアルである事は明白だった。
~戦艦に乗艦し状況説明後~
「…以上が私が調査した状況です。」
アルビオンから各戦艦に通信を送り、状況を説明したハスミ。
彼女の告げた状況は危機的状況に陥っていた。
別世界より現れた遊撃部隊・天駆と彼らと敵対していたガーディムの独立躯体・ネバンリンナの一件。
西暦世界に出現し一騒動の末、和解に至ったものの…
深手を負ったエンデはネバンリンナを拉致し新たな依り代である鋼鉄の器を作り上げようとしていた。
力を戻したエンデは溜め込んだバアルの力を使用し各世界の境界を崩壊。
現在、剥き出しにされた各世界の地球並びに同列惑星が融合崩壊を起こそうとしていた。
エンデは崩壊と同時に発生する膨大な負念を取り込もうとしている。
それを阻止する為に各世界の遊撃部隊が着々と準備を進めているとの事。
「このまま放置すれば、アル・ワースどころかエンデの認識影響を受けた世界群が喰われ崩壊するでしょう。」
真実を告げたハスミの表情は痛々しい程に苦悩していた。
「結果的にこの状況を招いた責任があります、申し訳ない。」
真実を知っても力が足りないせいで今回の結末に至ってしまった事に対して謝罪を行った。
だが、周囲は被害を最小限に食い止めようと動いていた事を理解していた為にバッシングは無かった。
「謝罪云々の前に貴方はそれらを此方へ報せると同時に…この状況を止める為に訪れたのでしょう。」
「その通りです。」
「まず、その方法を聞かせて貰えないでしょうか?」
シュウの質問にハスミは答えた。
「アシュラヤー・ガンエデンでエンデの防御結界を破壊します。」
ハスミは山羊座のスフィアとガンエデンの力を合わせる事でエンデへ衝突させ結界を破壊する作戦を提案した。
「防御結界を破壊後、エンデに囚われたネバンリンナを別動隊が救助し、その後…リアクター勢で総攻撃を仕掛けます。」
かなりの大盤振る舞いの作戦であるが、此処で使わなければ肥大したバアルに対抗出来ないと…
アウストラリス達も判断し行動に移したそうだ。
現在、イグジスタンスの他のメンバーは西暦世界や多元地球へ来訪しこの作戦を提示、各方面に協力を仰いでいた。
既にノードゥスメンバーにイグジスタンスの真実は浸透しているので隔たりはないが…
今回が初の足並みをそろえる時である事は間違いない。
「私達もアル・ワースの平和を守る為に協力します。」
エクスクロスの代表としてアマリが宣言し、エクスクロスの協力を得られた。
目指すは魔従教団の本拠地であるエンデの大樹。
最終決戦の火蓋は切られつつあった。
=続=
打ち破られし結界。
それは破滅へのカウントダウン。
だが、破壊からの再生もまた必然である。
次回、幻影のエトランゼ・第百二十三話『暴獣《エンデ》中編』