幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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語られるは駄文の如き裏の話。

彼らは何処から来たのか?

それを知るにはまだ早いのか?

ここは庭園で起こった一時の出来事。

そして世界に関わった記憶以外の記憶を持つ者達は静かに歩みだす。

蒼き睡蓮は大嵐の緊急の知らせを知る。


第六.五話 『影話《カゲバナシ》』

これはDGによるDG細胞感染者達の集団失踪事件発生後の事である。

 

あるエリアにて。

 

 

******

 

 

「おい、どう言う事だよ!」

 

 

執務室を思わせる場所にて自動ドアから脅しにも聞こえる声を上げて入ってくる二人組。

 

二人組と言っても叫んでいるのは相方の方であり、もう片方は無言のまま入って来た。

 

 

「どういう事…とは?」

 

 

それに応対するのは執務室にあるデスクの席に鎮座する『蒼い睡蓮』ことブルーロータスであった。

 

相変わらずその姿を悟られぬように全身に蒼鎧、白いローブと仮面を付けていた。

 

 

「あのデカブツの事だよ!あんな大物が居るって知ってて黙ってたのか!?」

「海動、止せ。」

「真上だってあいつと戦いと思わないのか!」

「堕天使君、彼には説明をしたのでは?」

「こいつが素直に話を聞くと思うのか?」

「…そうでしたね。」

「あ!?」

 

 

堕天使こと真上の言葉にブルーロータスは肯定した。

 

その言葉に不満を隠さず、海動は堂々と威嚇していた。

 

そしてブルーロータスは再度説明を言い渡した。

 

 

「そう言う訳で…あのDGは今後の戦いに必要不可欠な力なのです。」

「んで、JUDAのおっさんらを向かわせたって訳か?」

「言葉通りですよ。」

「けっ…あのヒキガエル顔のオッサン(ハザード・パシャ)をぶっ飛ばしたのはいいけどよ、こっちは腕が訛ってしょうがないぜ!」

 

 

ブルーロータスは彼らの性質を知った上でエージェントとして仲間に引き入れたが、余りにも扱いにくいと言う事を改めて痛感していた。

 

内心、彼らを指揮していた中間管理職の方達はさぞや胃を痛めただろうと合掌した。

 

 

「では、次の仕事を与えましょう。」

 

 

ここで彼らの鬱憤を解消しておかないと後々の行動に支障が出ると判断したブルーロータスはある任務を言い渡した。

 

 

「貴方達には雷王星へ向かって頂きます。」

「雷王星?たしかSTMC(宇宙怪獣)共の巣になる予定になると話していた惑星だな。」

「正確にはその調査ですけど、場合によっては数減らしをお願いしたいと思います。」

「へっ、何だろうと関係ねぇ…俺は暴れられればそれでいい!」

「了解した。」

「但し、引き際を見誤らない様に…」

「解っている。」

 

 

STMCは扱い方によって恐るべき武力になる。

 

何処にも属さず己の欲望のまま突き進む。

 

無限力が生命体に架した生存の為の試練と言うがこれは余りにも不憫だろう。

 

しかも厄介な事に銀河大戦と呼ばれる戦乱で行われるバスターマシン三号による作戦を切っ掛けに奴らは後の多元世界に転移してしまい多大な被害を与えてしまっていた。

 

その転移に加担したのが『御使い』であるのも『彼女』からの進言で理解している。

 

それを防ぐ為にもここで奴らの数を削減をしなければならない。

 

 

「出来る事なら雷王星ごと奴らを始末出来ればいいのですが…」

「俺達もそうしたいのは山々だがSKL-RRが修理中では出力不足だ。」

「おまけに由木達も怪我でぶっ倒れたまま…ウイングルやアイアンメイデンもぶっ壊れたままだしな。」

 

 

現時点で彼らが搭乗しているマジンカイザーSKLは翼と乗馬を失った状態である。

 

理由とすれば彼らがこの世界に転移して来た事から話さねばならない。

 

ある日、彼らは突然この世界に現れた。

 

彼らは満身創痍で敗北と言う屈辱に塗れた惨い状況だった。

 

『彼女』からの予言でブルーロータス達は彼らの救助に赴いた。

 

後に事情を聴くと彼らの世界が何者かによって滅ぼされた事が語られた。

 

神が起こした破滅から平和を手に入れた世界に訪れた突然の終焉。

 

その光景は誰もが予想も出来なかったものだったらしい。

 

これで『彼女』の予言通りであれば新たな転移者も現れるだろう。

 

そして、いずれはこちら側にもやってくる災厄に立ち向かう為に彼らを仲間に引き入れたのだ。

 

 

「アンタには感謝している、こうやって再び立ち上がる事が出来るのだからな。」

「おうよ、掛けられた恩と売られた喧嘩はキッチリ返さねえとな!」

「…(悪魔君、貴方のさっきの怒りは何処へ?本当に単純ですよね。」

 

 

ふと、真上は『彼女』の事をブルー・ロータスに訪ねた。

 

 

「所で例の『彼女』からは何も連絡は来ないのか?」

「前に話した通り…全てを語るにはまだ力不足、そしてその時ではないとの事です。」

「けっ、勿体ぶりやがって…」

「余程、情報漏洩を危惧しているのだな。」

「そうですね、話を戻しますが貴方達の出撃に関してですが…」

 

 

雷王星調査に彼らだけではなく、エージェント数名と共に同行し調査を進めて欲しいと話した。

 

勿論数減らしが可能であればそれも行い、あわよくば殲滅も視野に入れて欲しいと再度付け加えた。

 

 

「だが、JUDAのメンバーは『将軍』と『想像者』を除いて今だ動けん状況だろう?」

「ええ、貴方達の世界が消滅した時に負った傷と転移時の衝撃でファクターはほぼ活動停止状態に追い込まれました、ファクターではないアルマ搭乗者達を守る為とはいえ発見時は酷い状況でした。」

「けどよ、俺らもそうだったがアイツらも唯じゃすまなかっただろ?」

「ええ…(そもそもファクター以上の自然治癒能力を発揮する貴方達が悪魔じみているのですが?」

「表社会に忍ばせたJUDAコーポレーションとGreAT社、地球内部の海域で隠密活動を続ける竜宮島、外宇宙で調査を進めるクトゥルフと最凶の魔術師、アンタの事だろうが他にも隠し玉を数多く持っているのだろう?」

「どうでしょうね、必要あらばっ……!?」

 

 

その時、ブルー・ロータスの着席するデスクに置かれたディスプレイにメールが一件着信された。

 

 

「どうした?」

「少々失礼する。」

 

 

ブルー・ロータスはメールの内容を見ると仮面越しでその場の二人には解らなかったが、その表情は動揺しつつあった。

 

 

「オイオイ、何なんだよ?」

「失礼した、先程『大嵐』から伝言がありましたので…」

「例の『巫女』と行動しているエージェントか?」

「ええ、前回の任務の調査結果の件でね。」

「例の骨太とニョロニョロお化けだったか?」

「海動、正確には『アインスト』だ。」

「話を戻しますが…早速、二人には先の任務に着任して頂きたい。」

「調査は俺達二人の他に誰を組ませる気だ?」

「不本意ではありますが『霧』達を選出しておきます。」

「げっ、奴らかよ!?」

 

 

『霧』と言う言葉に反応した海動と真上はその表情に苦みを見せていた。

 

 

「彼らもこのまま放置して置けば何をしでかすか判りませんからね。」

「それは同感する、アンタが秘密裏に続けたこの行動を奴一人の行動で全てぶち壊す可能性もあるからな。」

「へっ、空気を読めなさは相変わらずだぜ。」

「…(貴方も人の事は言えないと思いますが?」

「そいつらの御守りもしながら任務を遂行しろと言う訳だな?」

「手間をかけると思いますがよろしくお願いします。」

 

 

任務を受領した二人は室内を後にした。

 

 

「やはり『彼女』の言う通り、世界の終焉は着実に進んでいるようですね。」

 

 

そう、『彼女』は語った。

 

この宇宙は終焉へと続く最後の人の世。

 

ここで破滅を迎えれば人類は永久に決められた生と死の無限ループに陥る。

 

そこは創造も破壊もない中間の世界。

 

たった一人の存在によって作り上げられた遊戯盤の世界として成り立つ。

 

その一人の手に誰もの生死が握られ弄ばれる。

 

その一人の存在が飽きるまで続けられる希望も絶望もない。

 

それこそ人の理解すら超えた真の意味で終焉の世界に代わるだろう。

 

それを止める為に様々な意思達がこの宇宙へ集結しようとしている。

 

その存在はそれを良く思わないが故に抹消させようとしている。

 

以上の経緯を『彼女』は生命の記憶から教えられた。

 

 

「だが、『巫女』は『悪魔』に囚われたままだ。」

 

 

念の為に『大統領』、『将軍』、『新郎』を向かわせたがどうなるか。

 

『彼女』の言う奇跡は起こるのだろうか?

 

それはまだ誰にも分からない。

 

 

「道化もまた現る、そうバラルの復活か…」

 

 

ブルーロータスはデスクに置かれた資料に目を向けた。

 

そこには武器商人アラン・ハリスと記載された白人男性の調査資料とレンジ・イスルギの心臓発作による変死事件の経緯資料が置かれていた。

 

 

=続=

 




動き出す存在達。

地下迷宮で再会する仲間との戦い。

遂に睡蓮はその牙を剥く。

そして蒼い睡蓮は新たな同志を送り込む。

全ては呪われし眼が仕向ける遊戯。

次回、幻影のエトランゼ・第七話『呪眼《ジュガン》』

新たな物語は交差する。



「初めまして、猫日に登場したファルセイバーだ。」
「同じくブルーヴィクターだ。」
「本編に登場してないのに何故次回予告に出て来た、と?」
「理由は簡単だ、作者曰くネタが思いつかないからだそうだ。」
「そんな理由で?」
「理由は兎も角、そもそもファルセイバーはネタの宝庫だろう?」
「は?」
「BXでは『お前は保護者』かと言わんばかりにユキに過保護だっただろう?」
「そ、それは…」
「過保護も道を外れればユキの成長を妨げる、度の過ぎた発言は控えるべきと思うが?」
「う…」
「同じ保護者仲間のデッカードやバーン達からも過保護すぎて周りへの影響も考えるべきだと苦情まで言われたのだぞ?」
「済まない。」
「そう言えばバーンガーンの声の事何だが…」
「どうした?」
「バルギアスに似ているのは気のせいか?」
「他人の空似じゃないか?」
「浜田君からは中の人とかどうとか?」
「はあ?」

ハヨ、オワレ。

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