幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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語られた真実。

アナグラムの示す真実に。

物語は停滞する。


第百二十三話『暴獣《エンデ》後編』

 

前回、魔獣エンデに取り込まれていたネバンリンナを救助した一行。

 

ガンエデンの援助を受け、エンデの防御結界を排除し…

 

一気に決着を着ける矢先だった。

 

この戦場を監視していた存在が目処前に現れたのである。

 

 

******

 

 

世界を隔てる境界線を破壊され…

 

今も崩壊の危機を迎えている多元世界。

 

様々な世界から集結した混成部隊によって…

 

倒される筈だった。

 

だが、満身創痍となったエンデを瞬時に消滅させられた。

 

目処前に現れた人物によってものの一瞬の内に…

 

 

「バ、バカナ…!?」

「…」

 

 

それはまるで喜びのアドヴェントを彷彿させる様な雰囲気であった。

 

だが、ハスミはその人物の正体がアドヴェントではないと識っていた。

 

目処前の人物こそ、探し求めていた真の敵であった為に…

 

 

「コソコソと隠れて、何がしたかったのですか?」

「…」

「ハスミ、あ奴が?」

「はい、あの存在こそ…私達が追い求めていた“全世界を狂わせた真の敵”です。」

 

 

アウストラリスも気配で判ったのだろう。

 

ハスミはその答えが正解であると告げる。

 

 

「奴がナルーダ・タトーゲ!」

「始原神ソルの警告にあった人物ね…」

「ドンパチやってりゃいずれは…と思っていたけどよ。」

「ああ、随分と速攻な遭遇だぜ!」

 

 

ヒビキ、セツコ、クロウ、ランドの会話。

 

四人の気配も険しい。

 

御使い…アドヴェント以上の高次元生命体が現れたのだ。

 

警戒心がより強くなるのは頷ける。

 

 

「ハスミ少尉、例の人物か?」

「はい、以前…お伝えした件の人物です。」

 

 

ハスミはイグジスタンスのメンバーとして…

 

鋼龍戦隊のマイルズ司令の質問に回答する。

 

アビスに囚われた多元地球で発覚した真の敵の存在。

 

原初の高次元生命体であり、世界を監視し、人を駒、世界を遊戯盤に仕立て上げた人物。

 

ナルーダ・タトーゲの存在を…

 

 

「負の思念体…バアルすらも危険視する存在、この場に現れた理由を聞かせて貰えませんか?」

 

 

ハスミの言葉に尚も無言を貫いていたナルーダ。

 

だが、前触れもなく…その口を開いた。

 

 

「興味本位とだけ、言って置こう。」

 

 

声色から男性と思われるナルーダは淡々と告げる。

 

世界観測の果てに見出した答え。

 

それはバックアップとリセットである。

 

バックアップは有能な存在の確保。

 

リセットは言葉通り、世界の抹消…終焉の事である。

 

それはまるでプログラムのデータの様な扱い。

 

 

「高次元生命体へのシンカを始めた者達を失うには惜しい…」

 

 

それは誰を指しているのか?

 

心当りのある者達は動揺する。

 

 

「故に最終選択を始めよう。」

 

 

ナルーダは宣言する。

 

十億と二千万年の節目に起こる宇宙の終焉。

 

審判の日を発動すると…

 

 

「残りの時でお前達はどう抗う?」

 

 

前回と同様であれば、人類に残された時間は僅か一年。

 

この一年で奴らの思惑を食い止めなければならない。

 

最悪の展開と共に…

 

 

「シンカへ達していない者達は必要あるまい?」

 

 

ナルーダの手によって、シンカの兆しを迎えていない者達は…

 

全ての次元を凍結させられた。

 

それは求めていた想いの力の欠損。

 

次元と言う檻に閉じ込められ、その存在を凍結させた。

 

シンプルに言うのなら次元凍結と言えるだろう。

 

 

「最小で最大のステージにて相対しよう。」

 

 

ナルーダはそれだけを伝えると去って行った。

 

最大の絶望を残して…

 

次元凍結と言う友を縛る牢獄と呪詛によって私達は…

 

 

「…これがナルーダの策だったか!」

「あの化け物を囮に使うなんて…やられたよ。」

 

 

奴の目的はエンデと言う見逃すには危険な行動を抑え込む為に…

 

混成部隊が集結する事を見越して、罠に填めたのだ。

 

人類の戦力の大部分を削ると言う策。

 

気付いた所で遅い。

 

ある程度、戦術予測を立てられていたユーサーとエルーナ。

 

彼らも自身に落ち度があったと遠回しに答える。

 

 

「もう人類は眼を逸らす事は出来ない。」

「そうだな…」

 

 

冷静に答えるアサキムと尸空。

 

 

「エタニティフラットより余計にタチが悪いぜ。」

「かもしれないよ。」

 

 

何も出来ずにただ世界が滅んでいく様を…

 

何も知らずに消えていく事を定められた。

 

ガドライトとバルビエルはかつて前世で起こった事象の名を告げる。

 

 

「けっ、胸糞悪いがまだやれる事はあるだろ?」

「その通りです。」

 

 

解決策は抗う意思の力。

 

ソルが示した意志の体現。

 

それらを束ねて行使するのは鍵達の意思。

 

諦めないと余裕の意思を見せるガイオウとアイム。

 

 

「ナルーダ・タトーゲを…奴を倒す。」

「終焉の日を乗り越える為に。」

 

 

アウストラリスとハスミは最終目標を告げた。

 

私達は真実を晒された。

 

世界の終わりが何故始まったのかを?

 

たった一人の存在から始まった。

 

人類は一握りの抗いの力だけで…

 

最後の結末を決める選択は迫られた。

 

 

 

=第六章・完=

 





物語の停滞。

それは未来の停滞。

明日を求める為に。

世界の中心を目指す。


次回、幻影のエトランゼ・第七章『終焉ノ詩篇』


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