幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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凍る世界。

何もかもが閉ざされた。

戦士達は残された力で抗う。


終焉ノ詩篇
第百二十四話『凍結《トウケツ》』


 

エンデ戦から一週間後。

 

高次元生命体であるナルーダ・タトーゲ。

 

彼によって大打撃を受けた人類。

 

次元凍結を受けた人類は“シンカ”の力を得ていない者達以外…

 

あらゆる生物の生命活動が停止。

 

それは御使い達の星…

 

命の輝きを失った“エス・テラン”と同様の光景に変貌していた。

 

 

******

 

 

中央シベリア高原東部。

 

そこに巨大な建造物が設置されていた。

 

知る者はその建造物の名を答えられただろう。

 

 

ラース・バビロンと…

 

 

~ラース・バビロン皇居内~

 

 

「…」

 

 

過去に視覚した事のあるエス・テランと同様の空模様。

 

それを皇居のテラスから眺めるハスミの姿があった。

 

あの戦いの後、影響を受けなかった者達を転移させ…

 

体制を立て直している最中であった。

 

 

「…(サクリファイのこんな気持ちだったのかな?」

 

 

かつて、命無き星となったエス・テラン。

 

その地を御使いの一人である悲しみのサクリファイが眺めていた。

 

同じ光景と同様の動作をハスミがトレースしていた。

 

 

「…(いや、早々に人類を見限った時点でありえないか。」

 

 

巡り巡って、彼女は再度人類に希望を見出したがアドヴェントによって吸収された。

 

 

「…(それに、ゼ・バルマリィとのいざこざが終わっていない以上は油断出来ない。」

 

 

あの時と同様に“終焉の銀河”で戦うべき存在と接敵していない。

 

 

「…(戦力が低下した状況で地球圏の絶対防衛戦線が破られたのなら、遠慮はしない。」

 

 

皇居を守護する絶対防御障壁“スヴェル”に必要な霊子が不足しているが、私が不足分を補えばいい。

 

まあ、まだ使う事がないのならそれでいいけど。

 

 

「ハスミ、ここに居たのね?」

「セツコ。」

 

 

ハスミが物思いに耽っていると彼女を探しに来たセツコが声を掛けた。

 

 

「アウ…ヴィルダークから全員招集命令よ、今後の行動を議論するって。」

「判ったわ。」

 

 

ハスミはセツコと共にテラスを後にした。

 

 

~皇居内・玉座の間~

 

 

エンデ戦から救助されたノードゥスの一部メンバー。

 

孫光龍より一通りの事情は伝わっているのだが…

 

一連の騒動から再び疑心暗鬼が発生。

 

玉座の間で重い空気のまま話し合いが始まった。

 

 

「全員集まったな。」

 

 

開口一番、アウストラリス改めヴィルダークが答える。

 

 

「まず、今までの非礼を詫びさせて貰いたい。」

 

 

謝罪の言葉を告げた。

 

 

「今となっては遅いかもしれんが、我らがノードゥスと共に戦う事を許して貰いたい。」

 

 

かなり遅い援軍であるが、今の状況では猫の手も借りたい状態である事は確かだ。

 

 

「例外以上の例外が出た以上は彼らの協力は心強いと思うが?」

「そうだな、では…其方が得た情報を共有して貰いたい。」

 

 

ニュータイプ代表でアムロとシャアが返答する。

 

 

「ハスミ、今の状況の説明を頼む。」

「判りました。」

 

 

ヴィルダークの指示で説明に入るハスミ。

 

玉座の間の中心にある独特なディスプレイを表示。

 

現在の地球圏の状況を告げた。

 

 

「現在の地球圏並びにエンデの影響を受けた他の多元地球は次元凍結の影響下にあります。」

 

 

次元凍結。

 

その名の通り、次元を凍らせる様に認識された存在の刻を止めてしまう現象。

 

現在も次元凍結は進んでおり、ラース・バビロンの周囲を覗いて安全地帯が狭まれつつある。

 

この状況を解除するにはナルーダ・タトーゲの軍勢に奪われた…

 

他の地点にあるターミナルベースを解放する必要がある。

 

無論、メインベースであるラース・バビロンが落とされれば敗北は必須。

 

拠点を守りつつベース解放のプランを立てていく必要があります。

 

 

「防御結界スヴェルの作動には私とイルイが交代で行っているのでご安心を。」

「うん、大丈夫。」

「その代わり、私達の戦闘への参加は制限されます。」

「拠点防衛には致し方ないだろう。」

 

 

ガンエデンの巫女であるハスミとイルイの二人がスヴェルの霊子結界を現状で作動させていた。

 

だが、制限もあり交代制で結界を維持している状態が続いている。

 

その事はヴィルダークも承知していた。

 

 

「以前使用された“点と線の戦略”を逆に利用する日が来るとは…」

「色々と経験したしもう驚かないよ。」

 

 

多元地球よりゼロことルルーシュとスザクの二名の会話。

 

 

「それで、先ずは何処を解放するの?」

「選ぶ場所によっては危険度が変わってきますので。」

 

 

アル・ワースよりアンジュとサラマンディーネの質問。

 

 

「次元凍結の影響でアイツらとヤリ合わなきゃならねぇからな。」

「助けられるのなら助け出したい。」

「ナルーダの影響で奴らの手駒になった彼らを救うにも、ベース解放が必要と思われるわ。」

「やっぱり、奪われたベースが原因?」

「ええ、ベース自体がアンテナにされている可能性があるのよ。」

 

 

ガドライトとヒビキの言葉通り。

 

次元凍結を進行だけではなく、次元凍結の影響を受けた仲間達を操っている可能性が出ている。

 

 

「嫌な気配も滲み出ているし…只の解放戦にならないと思う。」

 

 

ハスミは魔力的観点からも注意する様に伝えた。

 

 

「だが、今の人員では一つのベースを解放するのが精一杯だろう。」

 

 

ギリアム少佐の言葉も最もだ。

 

強力な仲間達が今最大最悪の障害に成り果てている。

 

一筋縄ではいかないだろう。

 

 

「やるしかあるまい…あ奴の指定した日数までの時間は残り少ない。」

 

 

奴の指定した地球時間の一年。

 

365日から退いて7日間が過ぎている。

 

終焉の日まで残りの時間は358日だった。

 

 

=続=

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