幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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元凶と現象。

疑心暗鬼が飛び交う中。

今一度、繋ぎ直す為に。



第百二十五話『元凶《ゲンキョウ》前編』

 

ラース・バビロンを拠点に次元凍結現象への対策に着手するノードゥス。

 

前回の話し合いから五日ほどが経過した。

 

ナルーダによって差し向けられた軍勢と対峙、奴らの行動パターンが判明してから…

 

この五日間の間に、ある作戦を決行したのだった。

 

 

******

 

 

ラース・バビロン、工廠区画。

 

 

「アルト、バナージ、無事か?」

 

 

確保された機体から救助されるアルトとバナージ。

 

作戦に参加し、確保に当たったヒビキが二人に駆け寄った。

 

 

「…ヒビキか?」

「え…ヒビキさん?」

 

 

ヒビキ自身、彼らと直接接触するのは今回が初である。

 

それはアルトとバナージが記憶を持っていたから出来た事であり…

 

初対面であれば、『誰?』と言う感覚に陥っていただろう。

 

 

「俺達はエンデと戦って…」

「後が…思い出せない。」

「…その後に色々とあったんだ。」

 

 

積もる話もあるが、彼らの体調も良くはない。

 

先ずは静養すべきと判断を受け、医療班によって搬送されていった。

 

 

「ヒビキ。」

「ハスミさん、何かありました?」

「想定通り、彼らの戦線復帰は少し先よ。」

「…やっぱり、スヴェルと同じ現象が?」

「ええ、彼らから感じた…ナルーダもそれを踏まえて解放させたのでしょう。」

 

 

でなければ、彼らを手駒として残しておく筈。

 

それをしなかったのは、それ以上の存在を手に入れたか…

 

或いは必要なしと判断したのだろうとハスミは告げた。

 

 

「どうしますか?」

「予定通り、あそこへ放り込む…荒治療だけど仕方がないわ。」

「…や、やっぱり。」

 

 

ハスミがある場所へ放り込むと言う発言に対し…

 

青褪めるヒビキ。

 

ヒビキ自身も体験しているが故の反応なので、余りにも恐ろしい場所である事は確定である。

 

 

「…(アルト、バナージ、俺には止められない。」

 

 

心の中でヒビキは二人に謝罪した。

 

 

「ただ、厄介なのがナルーダが動き出した事でアレも動き出した件よ。」

「アレって?」

「それについてはヴィルダークから招集を受けているから…全員集まったら説明するわ。」

 

 

ナルーダと言う高次元生命体が動き出した事で、新たに動き始めた存在。

 

それもまたこの戦いに影響を与える存在である事は確かだ。

 

更に新たな敵勢力が現れた事で混戦状態が続いている。

 

争い合う事で負念は更なる力を得てしまう。

 

 

「「あ。」」

 

 

ヒビキ達が話し合っている最中。

 

何かを感じ取った。

 

それはハスミが生み出した結界内での力と力の衝突。

 

先にその餌食になっている者達が地獄を味わっていた。

 

 

「ハスミさん、本当に大丈夫なんですか?」

「言ったでしょ、荒治療だって…返答出来るなら死んだ内に入らないわよ。」

「あ…そう、ですか。」

 

 

これには反論出来ないヒビキ。

 

実際に効果抜群であると判明しているので、余計に止められないのである。

 

後に放り込まれるであろう仲間達が無事に戻って来られる事を祈るしかない。

 

 

 

 

=続=

 




現在発生中の現象について。


※次元凍結

その名の通り、認識された事象を凍結させた現象。
現象後の光景は惑星エス・テランの様な命を失った光景に近い。
現在、新西暦地球で発生し現象は継続中。


※咎纏い

次元凍結の影響を受けた対象の状態。
本来は次元凍結の影響で動けない状況が続いているが…
ナルーダの次元力で一部対象を動かす事が可能。
咎纏いを受けた対象は特定の位置から動く事が出来ない。
この為、点と線の戦略を利用する事で解放が可能。


終焉の日まで残りの時間、353日。
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