幻影のエトランゼ   作:宵月颯

34 / 236
戦う為の力とその力を背負う覚悟。

試練は苛烈であろう。

知っているからこそ、その手は鈍るのだ。

睡蓮よ、己はまやかしであれど愛すべき者の姿をした虚像を断ち切れるのか?

だが、真実の視る眼は曇っていない。

全てはこの先の災厄から世界を守る為に力を振るうのだ。



第十話 『少女《マジックナイト》』

こんにちは、ハスミ・クジョウです。

 

前回の話を遡り、向こう側で起こった出来事を話したいと思います。

 

当時の私達はセフィーロと呼ばれる惑星が存在する異世界に飛ばされております。

 

月の絶対防衛戦線奪還作戦終了直後に飛ばされてから早三ヵ月。

 

この苛烈で人外クラスに足を踏み入れるようなサバイバルに慣れつつあります。

 

つい最近はイノシシ型の魔獣を狩猟致しました。

 

お供にネコが居たら色々とツッコミたい気分です。

 

 

******

 

 

本日は近くの果実園から果物を採取し、森の奥にある一軒家に帰宅。

 

 

「只今戻りました。」

「おかえりなさい。」

 

 

家主の名はプレセア。

 

この世界で創師と呼ばれる鍛冶職人の様な職業をされている方である。

 

つい三ヵ月前までは酷い衰弱で倒れていた人であるが、体調も落ち着いてきており通常生活には支障がない位に回復しています。

 

この世界に飛ばされて半分訳分からん状態の私達を救助してくれたのも彼女である。

 

その恩返しとして彼女の身の回りの世話を行っていました。

 

例のフラグは何とか回避しました。

 

 

「果実園の方はどうだったかしら?」

「先週よりも魔物が増えて来たみたいです。」

「そう…」

 

 

家のダイニングルームで収穫して来た農作物を確認しながら私はプレセアに現状報告を行った。

 

現在の生活圏となっているこの森林地帯では結界によって魔物の類が侵入出来ない様になっていたのだが…

 

ここ最近になってその結界が緩み始めてしまい、安全とは言えなくなってしまったのである。

 

この理由を話す為には私達が飛ばされた三ヵ月よりも前に遡る。

 

この惑星セフィーロは『柱』と呼ばれる一種の人柱の様な存在によって守られた星である。

 

特性として人々の想いが力となる星であり、その力が最も強い存在を柱と呼称されるのだ。

 

そしてその柱の祈りによって星のバランスが保たれている。

 

要するに喧嘩も戦争も出来なければ、柱の結界によって武力による侵略もないと言うものだ。

 

その為、セフィーロは平和な時を過ごしていた。

 

しかし。

 

そのセフィーロに異変が起こった。

 

現在の柱であるエメロード姫が神官ザガートによって攫われたのだ。

 

その為、柱の継続に不備が生じ魔物が出現すると言う事態に陥った。

 

星に伝わる伝承では柱を救う為に異世界から魔法騎士(マジックナイト)と呼ばれる存在が召喚されるらしい。

 

だが、柱によって召喚された筈なのだが未だ音沙汰がない。

 

周辺に住む村人達は姫が召喚に失敗してしまったのではないかと噂をする状況に陥っている。

 

その人々の不安は更に魔物を呼び寄せる要因となってしまっていた。

 

余りにもお粗末な顛末である。

 

正直に言えば私はこの物語の結末を知っている。

 

そもそも柱システム自体が異常すぎるのだ。

 

そんなものが無くても私達の世界は混乱の最中ではあるが生きていられる。

 

前へ進む事、自分自身で立ち上がる事、それらをたった一人の姫に押し付ける考えは異常だと私にも理解出来る。

 

話はさておき。

 

問題はどうやって魔法騎士となる予定の少女達に接触すべきかと言うものである。

 

アカシックレコードからは何の音沙汰がないので動く事を控えている。

 

ただ闇雲に動くのではなく、待つ事も大事であると言う事を隊長達に教え込まれた結果だ。

 

その内に『空から女の子が!』のフレーズが似合う召喚のされ方で落ちて来るのでロサには現地点を中心に周辺の地域を偵察して貰っている。

 

連絡がないのでその予兆がまだないのだろう。

 

私とすれば、なるべく早く彼女達と同行してこの先の森の奥にある伝説の泉『エテルナ』に向かいたい。

 

理由は母の形見である『詩篇刀・御伽』をこの世界で発見からである。

 

しかも無事ではなく刀身は折れてしまい現状では使用出来ずにいる。

 

プレセアの見立てではかなりの年月を掛けて使い込まれた武器である為に生半可な鉱物で修復してもすぐに折れてしまうらしい。

 

解決案としてエテルナにある希少鉱物エスクードを採取する事を勧められた。

 

勿論、入手出来ればこれ程心強いモノはないだろう。

 

ただ、その試練に勝利する事が出来るのだろうか?

 

知っているからこそ、その手は鈍るのだ。

 

 

「!?」

「どうしたの?」

 

 

ダイニングルームに響くアラートの電子音。

 

どうやらその時が訪れた様である。

 

 

「ロサからの連絡です、しばらくここを留守にします。」

「判ったわ、気を付けてね。」

「はい。」

 

 

私は家を出るとガーリオンカスタム・タイプTで上空待機中のロサと合流した。

 

 

******

 

 

「ハスミ、ここが問題の不安定エリアよ。」

「確かに歪の様なモノが出ているわね。」

 

 

ロサと合流した私はロサの案内で問題のエリアへ訪れていた。

 

空にぽっかりと開いた謎の穴の様な歪は違和感と同時にある気配がこちらへ落ちて来るのを感じ取れた。

 

セフィーロの空は美しいがこれも虚像である。

 

空は海の色を写しただけの巨大な鏡の様な結界が張られている。

 

その為、この世界が重大な危機に見舞われている事をごく少数が知る程度である。

 

 

「…(この結界の先に彼女が囚われているのは知っているけど、今はどうする事も出来ない。」

「ハスミ、歪から生体反応…数は3です!」

「運命は動き出すか…」

 

 

歪から閃光と共に落ちて来る少女達。

 

一人はピンク色のおさげの赤い制服の女の子。

 

一人は水色のストレートヘアーの青い制服の女の子。

 

一人は薄茶のセミロングヘアーの緑の制服の女の子。

 

流石にこの状況が飲み込めず、悲鳴を上げながらパラシュート無し空中ダイブを現在進行形でやっているのだ。

 

それは一部を除いて誰でも驚くだろう。

 

正直に言うと生身でカタパルトから射出されるのとどっちかマシかと悩む位である。

 

私は空しい考えをしつつAMの操縦桿を握りしめ、落下する彼女達を保護した。

 

 

『貴方達、大丈夫?』

「た、助かったの?」

「そうみたいです。」

「良かったわ…危うく水風船みたいにペッシャンコになる所だったわ。」

「それにしてもここは?」

『とりあえず、地上に降ろすから詳しい話はそこでしましょう。』

「お願いします。」

 

 

途中で羽を付けた巨大な魚に出遭い、その後に着いて行く形で地上に着陸した。

 

私達も彼女達への自己紹介を兼ねてAMから降りた。

 

 

「助けて頂きありがとうございます。」

「無事で何よりよ、貴方達こそ怪我はない?」

「はい、大丈夫です。」

「貴方は連邦の兵士さん…よね?」

「私は地球連邦軍極東方面伊豆基地所属、戦艦ハガネ配備隊ATXチーム所属ハスミ・クジョウ准尉。」

「私はサポートロボのロサです。」

「私は鳳凰寺風と申します。」

「私は龍咲海よ。」

「私は獅童光。」

「風、海、光ね。」

 

 

互いに自己紹介を終えた後、これまでの経緯を整理した。

 

 

「では、クジョウさん達は三ヵ月前にここへ?」

「ええ…私達は部隊の仲間と共に月面で作戦行動中だったの、作戦は終了したけど…」

「その直後に私とハスミはここへ飛ばされてしまったの。」

「私達は他校交流の一環で見学ツアーに参加してましたの、丁度オービタルリングの衛星タワーへ上っている最中でしたわ。」

「最近物騒になってきて本当は東京タワーだったけど、治安の関係で衛星タワーに変更になったのよね。」

「確かに地球防衛軍の駐留部隊が警備しているから安全と言えば安全ね。」

「私達、偶然一緒の見学コースになって一緒に回る予定だったんだ。」

「それで、巻き込まれたと言う訳ね。」

 

 

どうやらこの三人は私達が居た世界の同時刻、日本の衛星タワーに居たらしい。

 

ここまで変異が続くと何やら何やらだわ。

 

 

「クジョウさん、お聞きしたい事が…」

「ハスミで構わないわ。」

「では、ハスミさん…この世界は一体?」

「話すと長くなるのだけど……ここは地球ではなく、セフィーロと呼ばれている惑星よ。」

 

 

私はプレセアから聞き出す事が出来た情報を分かりやすく説明し彼女達に伝えた。

 

彼女達も半分程コンヒュ状態になっていたが、付け加えでリアルなRPGとファンタジーな世界と解釈した方が良いとだけ話した。

 

 

「と、言う訳だけど…理解出来たかしら?」

「何だかすごい事になってて…」

「私も何が何だか…」

「???」

 

 

流石にこの状況下では混乱するのは当たり前だろう。

 

原作の彼女達はこれからその手を血で染めなければならないのだから。

 

14歳の少女には余りにも過酷すぎるかもしれない。

 

それを言うとシンジ君達の方がもっと理不尽すぎるので考えない事にした。

 

私自身も戦場に出て一体何人の命を奪って来たのか見当もつかない。

 

いや、知ろうと思えば知る事が出来るがアカシックレコードがそれを拒絶するのだ。

 

私が壊れない様にする為に。

 

私は誰かを救いたいが故に誰かを傷つける覚悟はしていた。

 

私はせめてもの贖罪の証としてエゴイスト達から蹂躙されつつある世界群を救う事を決めた。

 

それが私に出来る償いだ。

 

 

「私が集められた情報はこの位かしらね。」

「いえ、色々と参考になりましたわ。」

「月でそんな事をがあったなんて…」

「恐らくは民間への混乱を避ける為に行った措置よ、後日にでも正式に情報開示が行われると思うわ。」

「確かに私達が混乱しても何の得策にもなりませんものね。」

「ハスミさんは戦ってて怖くなかったの?」

「そうね、怖いと言えば怖いけど…何も出来なくなるよりはマシって考えたらどうにでもなったわ。」

「要は慣れって事かしら?」

「そこまで慣れなくてもいいけど、踏み入れれば平穏に戻れないって言うのがあるかな。」

「ハスミさん。」

 

 

これは戦場に出ている者なら誰でも成りやすいPTSDの一種だ。

 

研ぎ澄まされた神経は平穏な世界に戻ると一瞬の内に恐怖へと変わる。

 

何処かで誰かが狙っているのではないのか?

 

戦わなくてはいけない、そんな感覚に陥るのだ。

 

 

「ハスミさん、私達…元の世界に戻れないの?」

「残念だけど、私にも判らないの。」

「そんな…こんな、デリーズやハールンナッツのない世界になんてぇ!!」

 

 

海の叫びにはごもっともである。

 

某大手ファミレスや有名ブランドアイスがないと言うのは女学生にとっては苦痛だろう。

 

後ゴメン、私はフリーズストーン・クリーミィのアイスの方が好きなのよ。

 

氷点下まで冷えた大理石の上で色々とミックスされるアイスって見ているだけでおいしそうだから。

 

昔は体重計に乗るのが怖かったけど、こっちに転生してからか太りにくい体質になってくれたのは良い。

 

その代わり、食べた栄養が胸に行くのはどうなんだろう。

 

クスハじゃないけど最近胸が大きくなった様な気がして重い気がするのは気のせいだろうか?

 

これ以上、サイズが大きくなるとブラの買い直しやパイロットスーツの変更をしないといけないから困るんだけどな…

 

クスハも制服のボタンが跳ねちゃってとんでもない事になっていたから他人事でもないのよね。

 

エクセレン少尉が成長期の継続かしら?って言ってたし。

 

またクスハと一緒に揉まれそうで気が気でない。

 

 

「ちょっと光、どこ行くの?」

「ウサギさんがこっちに来てって!」

「ぷぷっ!」

「まあ、ふくよかな可愛らしいウサギですね。」

「ウサギと言うよりマシュマロっぽい感じもするわね。」

「ウサさん、可愛いです。」

「長い耳もあるしウサギでいいよね。(あれはモコナ、と言う事は呼んでいるのか?」

 

 

一瞬ウサギを見た時、某チョリーッスって声の黄色い毒舌ウサギを思い出したのは気のせいだろうか?

 

私達はそのウサギ?の後を追う事にした。

 

その奥の遺跡跡地で待っていたのは杖を携えた威厳を持つ美少年だった。

 

 

「よく来た、選ばれし魔法騎士達よ。」

「魔法騎士?」

「私の名はクレフ、導師をしている者だ。」

「クレフさん、私達がここへ来た理由を知っているのですか?」

「そうだ、それについては説明をしなければならないが…大方の説明はその少女より聞かされたので全てだ。」

 

 

クレフは杖の先をハスミに向けた。

 

彼はプレセアを通して今までの経緯を知っていたらしく、大体の説明は終わっていると推測していた。

 

 

「君達二人はエメロード姫の手でこの世界に招かれたのではない、何かの理由でこちらに転移したのだろう。」

「つまり、私達は魔法騎士ではないと言う事ですか?」

「いや、イレギュラーな存在ではあるが…魔法騎士の資格を持つ者として見てもいいだろう。」

「…」

 

 

はい、原作崩壊の危機です。

 

アカシックレコード様、本当にごめんなさい。

 

 

「それじゃあ…私達が魔法騎士となって姫を救う事が出来れば、元の世界に戻れるんですね?」

「その通りだ。」

 

 

少し変わってしまったが、経緯は原作と同じか。

 

少し話し終えた後、クレフは私達の名前を聞き終えた後に魔法と防具を授けてくれた。

 

ご丁寧に私とロサも頂きました。

 

連邦の制服にあの初期甲冑を付けていると思ってください。

 

ロサは小さなシールドが二つ程ロサの周囲に浮いている形になっている。

 

 

「その防具と魔法はお前達の成長と共に進化するものだ。」

「RPGで言うレベルアップの様な物ですね。」

「?、それと同じかは判らんが、必要な時にその力を発揮するだろう。」

 

 

原作通りなら光は炎の魔法、海は水の魔法、風は風の魔法だけど…

 

 

「ハスミ、ロサ、お前達は見た目に反してかなりの修羅場を潜り抜けた様だな…」

「まあ、元の世界で軍人をしていましたから。」

「そうか。」

 

 

付け加えてクレフは私達の魔法のヒントを授けてくれた。

 

私は太陽と月がその先を指し示す、ロサは命の尊さを知る事で目覚める。

 

何となく理解出来たので、後は実践あるのみである。

 

クレフとの会話の後、アルシオーネと言うザガートの刺客を一度退け。

 

彼と別れてAMにてプレセアの家へと移動。

 

プレセアから武器を借り、その足でエスクード採取へと向かう事となった。

 

道中でフェリオと言う少年に出遭い、エテルナまで同行する事になった。

 

そして…

 

 

「泉に引き込まれる事は知っていたけど、まさかここまでとはね。」

 

 

海曰く妙な泉エテルナに引き込まれた私達は離れ離れになってしまった。

 

何もない空間を当てもなく彷徨う事になりそうだったが展開と言うものは早い。

 

 

「成程、私の相手は貴方か……ケイロン。」

 

 

私はプレセアから借り受けた刀の形状をした剣を構えた。

 

 

「私の志は折れない!」

 

 

******

 

 

同時刻。

 

光は愛犬の閃光、海は自分の両親、風は自分自身と戦い始めた頃。

 

 

「ハスミは言っていた、エテルナは試練の場であり自分が最も苦手とする姿で虚像が現れるって。」

 

 

ロサの目処前に現れたのはサイズダウンした自分自身の前身であり忌むべき姿。

 

 

「解ってる、私が悪魔だった頃の事を忘れる事はないわ。」

 

 

ハスミは泉に向かう前に光達に助言をした。

 

もしも虚像であっても自分の大切な人と戦えるか?

 

そして大切な人が自分達を傷つける事があると思うか?

 

三人は納得出来ずにいたが、ハスミの助言を心に留めて置く事にした。

 

その意味を理解した。

 

 

「よくも閃光の姿で現れたな!!」

 

「私のパパとママはこんな事をしないわ!」

 

「私の事は私自身が一番良く知っています!」

 

「知っているからこそ…その手は鈍る、だけど私が揺らぐ事ない!!」

 

「自分の犯した罪は背負っていきます!」

 

 

己の心の強さと共に魔法を放つ。

 

 

「紅い稲妻!!」

 

「蒼い竜巻!」

 

「碧の疾風!」

 

「月の嘆き!」

 

「大地の叫び!」

 

 

それぞれの虚像が倒されると各自その場でフェードアウトした。

 

彼女達は無事に試練を乗り越えてエテルナの入口へと戻って行った。

 

 

「皆、無事の様ね。」

「プレセア!」

「どうやら戻ってこれた様ですね。」

「エスクードは?」

「頭の上に浮いているのがそうじゃないかしら?」

「これですよね?」

 

 

プレセアによるとエテルナの上で浮いてる事は試練を乗り越えた証らしい。

 

早速、武器を作って貰うのだが今回は5人分になる。

 

プレセアの負担はかなり大きい。

 

その為、ロサの武器だけは彼女の双子の妹であるシエラの助力で創る事となった。

 

アニメ版がごっちゃになってますよね。

 

詩篇刀・御伽は一から作り出すのではなく修理の過程なのでシエラにやり方を教わりながらエスクードを精神力で刀に取り込む工程を始めた。

 

精神力=念動力である。

 

かなり神経の居る作業であるが、元に戻したいと言う願いが届いたのか無事詩篇刀は再生する事が出来た。

 

プレセア達は近隣の村人達と共により安全な場所を求めて森から出ていく事が決定。

 

そして伝説の武器を手に入れた私達は三体の魔神探しの旅に同行する事となった。

 

AMは武器完成後に追撃して来たアルシオーネの裏工作によって背部分のバーニアが破損してしまい飛ぶ事が出来なくなってしまった。

 

歩行は可能だが、ENの残りも数少ないのでモコナのお腹に一時的に預かってもらう事にした。

 

本当に便利な能力よね。

 

ここから先が長い話になるのだが、大部分を省く事にする。

 

理由とすれば話せない部分が多いのもある。

 

無事三体の魔神と念神、機神を手に入れた私達はザガートの空中居城へ侵攻。

 

私とロサが魔神ザガートの相手を務めている間に光がエメロード姫から真意を聞き出して説得。

 

エメロード姫が柱制度の廃止を願った事で今回の戦いは終わりを告げた。

 

代償としてセフィーロの結界は崩壊、柱制度の廃止により姫への罵声が多かったが…

 

私とロサが事の弁明と今回の事件の要因を説明した事で民達は納得した。

 

これからはエメロード姫を中心とした魔導士達によって国家再建が開始されるとの事だ。

 

光達はその手伝いをしたいとの事でセフィーロに留まる事になった。

 

しかし、私とロサは元の世界に戻る事を告げた。

 

理由は元の世界の危機が去った訳ではないので早急に戻りたいと話した為である。

 

手に入れた魔法と武器、防具はセフィーロを救った御礼としてありがたく授与した。

 

そして姫達の力で元の世界に戻る道中で『揺らぎ』に巻き込まれた。

 

特別閉鎖区域・渋谷に落とされた私達はそこで出会った森羅のエージェント有栖零児と小牟に出遭い、彼らと同行。

 

そのまま九十九事件に巻き込まれる形となったのである。

 

前世でシナリオ看破していたおかげか道中は困る事は一切ありませんでした。

 

但し、ゾンビと恐竜とカタパルトと駄洒落は二度と相手にしたくありません。

 

後、たろすけ…今度会ったら絞める。

 

何とか九十九事件を解決したものの後にエンドレスフロンティアでの事件もあるので気が気でないのもある。

 

詩篇刀に収められた記憶と力、母の遺言の事もあるし更にやる事は多そうだ。

 

 

******

 

現時刻。

 

 

「もうすぐ地球か…長かったな。」

「そうだね。」

「さてと、諸々の戦いもあるけど…梁山泊での戦いは本気で行くわよ?」

「了解です。」

 

 

境界線のズレは更なる戦いを生み出す。

 

 

=続=

 




迫る三つの争い。

介入者達の影。

次回、幻影のエトランゼ第十.五話『進言《シンゲン》』


二つの睡蓮は何を問うのか?


=今回の登場人物=

※獅童光
都内の公立女子校の生徒。
天真爛漫ではあるが、エテルナでの一件の後にかつての記憶を取り戻す。
セフィーロでの事件が終わった後、復興の手伝いをする為に他の二人と共にセフィーロに残る事を決める。

※龍咲海
都内のお嬢様御用達の女子校の生徒。
フェンシングの使い手。

※鳳凰寺風
都内の名門女子校の生徒。
弓道を嗜む。

※ハスミ・クジョウ
今回の事件でセフィーロにて詩篇刀・御伽の回収、光と闇の魔法、念神■■■■を手に入れる。
報告書に念神の一件は記載せずに置いてある。
セフィーロから九十九事件後に元の世界に戻った際は甲冑も所持していたが、セフィーロ製の物は手甲の宝珠の中に全て収納されている。
再生された詩篇刀・御伽は他人が触れると睡蓮を模した刃が突き出して拒絶する。

※ロサ・ニュムパ
今回の事件でセフィーロにてロサ専用の銃剣、地の魔法、機神■■■を手に入れる。
ハスミの報告書では機神の一件は記載されていない。
セフィーロから九十九事件後に元の世界に戻った際は甲冑も所持していたが、セフィーロ製の物は手甲の宝珠の中に全て収納されている。
ちなみにロサの銃剣は他人が触れると砂となってしまう。

次の章に移る関係で見たい話。

  • エンデ討伐
  • アンチスパイラル戦
  • オリ敵出陣

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。