幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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迫りつつある白き魔星との決戦の影。

睡蓮は進言する。

この戦いの行く末を決める戦の駒を動かすのだ。


第十.五話 『進言《シンゲン》』

月~地球近海にて。

 

私達ノードゥスは地球へ降下後、予定通り伊豆基地でリュウセイ達と別れる事となった。

 

理由は前回に語った事と原作通りと同じく、Rシリーズの修理とアヤ大尉のメンタル回復の為である。

 

イングラムの裏切りの後、何度か目覚めている時にも情緒不安定でエクセレン少尉が胸ハグで慰めていたのを見てしまった位だ。

 

リュウセイとは独房越しではあるが、会話する事が出来た。

 

 

『ハスミ、お前が何を考えているのか判らねえけど…俺は信じてるぜ。』

 

 

正直、胸が痛んだ。

 

話せない事は無いが、今はまだ話す時期ではない。

 

話せてしまえば楽になるのかもしれない。

 

だが、私は楽になりたくて話すのではない。

 

知られてはいけないから話さないのだ。

 

どこでその歯車が外れるのか判らないから。

 

奴らの眼はいずれここへと向けられるのだ。

 

 

******

 

 

「久しぶりです、ブルーロータス。」

『ハスミ、連絡がないと思いましたが…』

「前回話した例の転移で色々ありましてね。」

『…そうでしたか。』

「次の動きについて分かった事がありますので報告します。」

 

 

前回と同様に私はブルーロータスへ連絡と取り、今後の件に関して作戦会議を行った。

 

欧州を中心に展開されるザンスカール帝国所属モドラット艦隊による『地球クリーン作戦』。

 

戦艦アドラステア級汎用戦艦を用いた作戦である。

 

大体原作を知っている方はご存知であるがDのシナリオと同様に巨大なバイク戦艦によって地上のあらゆるものを押し潰すと言う荒行であり、非人道的行為でもある。

 

ダ・ガーン達辺りが見過ごす行為ではないが、軍事介入は避けられない状況だ。

 

流石の私やブルーロータスも出し惜しみは無しと言う考えで度肝を抜かせる戦力を投入する事に決定した。

 

斥候として『加藤機関』を向かわせる事となった。

 

そして敵侵攻ルートの民間人の救助を地球防衛軍に依頼する形で体裁を取り繕うと言う方向だ。

 

Dシナリオではかなりの苦渋な想いをさせられたのだ、一撃で戦艦を落とされる屈辱を味わうがいい。

 

次は恐竜帝国による極東進撃作戦である。

 

正式な名称はない、恐竜帝国の地上制圧作戦の最終決戦と言える。

 

地上制圧に動く度に他勢力からの横槍や同盟による瓦解によってその侵攻作戦は停滞していたのである。

 

向こうも痺れを切らしたのだだろう。

 

漸く『地獄』の復活に目処が立ったので本当の地獄を見せてあげようとブルーロータスが呟く。

 

貴方も容赦がないですな。

 

そして最後はバイストン・ウェル軍との決戦。

 

こちらは原作とは事なり北米エリアの制圧を行おうとしている。

 

その為、オーラバトラー対策の為に竜宮島のメンバーに向かって貰う事となった。

 

こちらの手の内を見せる様であるが、致し方がないとブルーロータスが話していた。

 

OZ瓦解のドサクサで『隠者』達には要人護衛に出ている。

 

他のエージェント達も今後の活動に備えて動いている為、動かせる戦力はそこまでと語った。

 

 

「所でプラントの動きはどうなっていますか?」

『今の所、何の動きもない…寧ろ静かすぎると言った方が正しい。』

「そうですが…小父様がロゴスとゼーレの動きを監視している以上は大きな動きがあれば、こちらにも連絡が入るでしょうし。」

『貴方が監視対象にしているアクシズ、リクレイマー、ミケーネ、バラル、BF団などはこの先の未来で事を起こす可能性があると言いましたが…何故ですか?』

「そう言うシナリオの予定だからです。」

 

 

可能性としてその前にシャドウミラーからの刺客、修羅の到来、闇脳野郎の暗躍などが起こる。

 

それもフラグの一つだ。

 

アクセルさんの早期合流やラウルさん達の発見もその兆しだろうし。

 

捨て置く訳には行かない。

 

異常な介入をした結果、起こるべき戦いが起こらなければ…最悪の場合は早まる可能性もある。

 

様々な視野を入れた結果、余すことなく監視を徹底する事に決めた。

 

例え、無限力に逆らう結果であっても私は人の可能性を信じたいのだ。

 

 

「そしてOZや木連を瓦解させても、次の組織が発足される筈です。」

『まさに亡霊ですね。』

「ええ、BF団とは梁山泊で接触の機会があるのでこちらで様子を伺います。」

『解りました、どうかお気を付けて…』

「はい。」

 

 

私は連絡を終えると通信機のスイッチを切った。

 

 

「さてと。」

 

 

お膳立てはこの位でいいでしょう。

 

月のグランダーク城も壊滅、背後組織はほとんど壊滅。

 

生き延びた者も散り散りとなった。

 

これで彼らも少しは動きやすくなったでしょうけど。

 

問題は彼らの母星が今だインスペクター、いやゾヴォークの難民として扱われている以上は下手な手出しが出来ないと言う事だ。

 

この辺は何とかしないとね。

 

リュウセイ、レビ…いやマイを救えるのは貴方次第よ。

 

そしてイングラムの呪縛を解き放つ為にもその力は必要とされる。

 

ここから原作崩壊の巻き返しと行きましょうか?

 

後手に回るつもりはないよ?

 

 

=続=




その力を手に帰還する睡蓮。

そして変わりつつある戦況。

更なる力を求めて深き山の元へ。


次回、幻影のエトランゼ第十一話『竜虎《リュウコ》』


目覚めよ、四神の竜と虎よ。

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